昨今は自動車の利用方法が多様化しており、購入しなくても自動車を運転できる手段が増加しました。
企業でも、社用車を確保する上で購入以外の方法を実践するケースが増えています。S
近年では、自動車をリーズナブルに利用する手段として、カーシェアが注目を集めるようになりました。
なかには、社用車の代替手段としてカーシェアを活用する企業もあります。
本記事では、社用車としてカーシェアを利用する際のメリットや、運用する際のポイントなどについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
【基礎知識】カーシェアとは?
自動車を購入せずに利用する方法には、カーリースやレンタカーがありましたが、カーシェアの仕組みはこれらと異なります。
実際にカーシェアを導入する前に、必ず確認しましょう。
社用車としてのカーシェア
社用車とは、一般的に法人や個人事業主が運用する自動車を指します。
社用車は主に営業活動など業務で利用されますが、近年は通勤やプライベートでの使用を認めている企業も増加しています。
今までは社用車を調達する際、購入やカーリースが一般的な選択肢でした。
しかし、最近はカーシェアが企業から注目を集めています。
カーシェアは昨今話題になっているシェアリングエコノミーの一種であり、名前のとおり自動車を共有するサービスです。
サービスに登録した会員同士でステーションにある自動車を共有し、必要なときにだけ使用する点が、カーシェアの最大の特徴です。
そのため、カーシェアは従来の社用車のように自動車を所有するサービスではありません。
車両管理の手間を省いたり、維持コストを削減できたりするため、カーシェアは社用車を確保できる新たな手段として活用されています。
レンタカーやカーリースとの違い
カーシェアとレンタカー・カーリースの最大の違いは「自動車を利用する期間」と料金体系です。
以下の表を見てみましょう。
カーシェア | レンタカー | カーリース | |
自動車の利用期間 | 数分~数時間 | 数時間~数日 | 数年 |
料金体系 | 定額の月額料金+利用時間・走行距離に応じた料金 | 利用時間に応じた料金 | 定額の月額料金 |
レンタカーは長ければ数日、カーリースは数年に及ぶなど、中期間~長期間の自動車の利用を前提にしたサービスです。
対して、カーシェアは数分の利用にも対応できるなど、レンタカーよりもさらに短期間での自動車の利用にも対応できます。
また、レンタカーが利用した時間分、カーリースが契約に定められた月額料金を支払う一方で、カーシェアは月額料金に加えて、利用した時間・距離に応じた料金を支払います。
なお、業者によっては月額料金が無料になっているカーシェアもあるため、よりコストを抑えたい企業におすすめです。
社用車をカーシェアにするメリット
カーシェアを社用車にすることで、企業が得られるメリットはさまざまです。
カーシェアを導入した効果をイメージしやすくなるので、それぞれのメリットをあらかじめ把握しておきましょう。
コストを削減できる
カーシェアは自動車の購入やカーリースよりも、多くのコストを削減できる点がメリットです。
自動車の購入やカーリースは、自動車を確保するための費用に加え、管理費・駐車場代・保険料など、さまざまなコストが発生します。
業務のために頻繁に自動車を利用する企業であれば、必要な社用車を維持するだけでも収益を圧迫しかねません。
しかし、カーシェアは自動車を所有しないサービスであるため、駐車場代・管理費・燃料代などがかかりません。
加えて自動車に課せられる税金や、自賠責保険料はカーシェアを提供する企業が負担するので、これらのコストも発生しない点も魅力です。
カーシェアでかかるコストは、月々の支払い・利用した時間や距離に応じた金額のみです。(基本的に自動車保険料は利用料込み)
コストを流動的に調整できるため、社用車の利用頻度が低下する時期の出費を抑制できます。
スケジュールに合わせて運用できる
カーシェアは短い時間でも利用できるうえに、ステーションがある場所なら日本全国どこでも利用できます。
日々の業務や通勤はもちろん、出張時にも柔軟に利用できるため、スケジュールに合わせた運用が可能です。
また、ルートに合わせて電車などの公共交通機関と組み合わせれば、渋滞を回避しながら移動したり、交通費を抑えたりできます。
利用する際の予約はスマートフォンでの操作で完結するので、無駄な手間もかかりません。
業務に合わせて車種を選べる
豊富な車種を揃えている企業であれば、業務に合わせて車種を選べます。
同乗する人数や荷物の量に応じて車種を選べば、業務に合った最適な運用が可能です。
もちろん、自動車の購入やカーリースと違い、車種を揃えるコストもかからない点も魅力です。
業者によっては、冬になるとスタッドレスタイヤへの換装をしてくれる場合もあります。
管理がしやすい
従来の運用方法では、社用車に不具合が発生したり、整備が必要になったりする際には、従業員が対応する必要がありました。
場合によっては業者を呼ばなければならないケースも想定されます。
しかし、カーシェアは自動車を所有しないため、管理する手間がかかりません。
万が一事故が発生した際の対応も、業者が対応してくれるため、人的コストの削減も可能です。
ただし、人身事故の度合いや過失度合いが業者の補償範囲を超えた場合は、利用者が対応しなければならいため、注意してください。
CO2削減に貢献できる
カーシェアはCO2削減にも貢献できるサービスです。
カーシェアの普及は企業が所有する社用車の数を最適化し、自動車の過剰な所有を抑制するため、CO2の削減につながります。
さらに、カーシェアで使用される自動車は比較的短期間で入れ替わる傾向があります。
入れ替わりが進むと、環境に優しい新型のEV車やハイブリッド車がカーシェアで活用される機会も増えるでしょう。
環境に優しい新型車の普及が促進されれば、ユーザーが利用する機会が増えるため、結果的にCO2削減につながります。
企業が積極的にカーシェアを活用することは、CO2削減という社会貢献にもなる施策です。
参照:車両電動化及びカーシェア普及が温室効果ガス排出量へ与える影響|大瀬佳之
社用車をカーシェアにした際のデメリット
社用車としてカーシェアを導入するなら、いくつかのデメリットに注意しなければなりません。
カーシェアを利用することで、かえって業務に悪影響が出ないよう、あらかじめデメリットを把握しておきましょう。
場所や利用時間が制約される
カーシェアは短時間でも柔軟に利用できる一方、ステーションがある場所や利用時間による制約がある点には注意しなければなりません。
当然ながら、カーシェアは自動車があるステーションがなければ使用できません。
また、レンタカーのように別の営業所に乗り捨てられないため、自動車を借りた同じステーションに返却しなければなりません。
そのため、使用する地域によってはかえって手間がかかるリスクがあります。
加えて、利用時間内に返却しなければならない点もカーシェアのネックです。
もし利用時間をオーバーすれば、次の利用者に迷惑がかかります。
返却するタイミングが読めないなら、予定より長めの時間で予約しておきましょう。
予約状況に左右される
カーシェアはさまざまな法人や個人が利用するため、予約状況に左右されるリスクがあります。
もし別の利用者の予約で一杯になっていると、業務に必要なタイミングでも使用できなくなるなど、自社の都合で利用できない点がカーシェアのデメリットです。
予約状況に左右されるリスクを減らすなら、複数のサービスに登録しましょう。
カーシェアを運用する際の5つのポイント
カーシェアを運用する際は、いくつかのポイントを意識する必要があります。
より良いサービスを導入できるように、必ず確認しましょう。
サービス内容と業務の相性を確認する
カーシェアのサービス内容と業務の相性は、導入前に必ず確認しなければなりません。
ステーションの数・使用できるエリア・自動車の台数などは、業者によって異なります。
自社が業務で自動車を利用する頻度やエリアと照らし合わせて業者を選びましょう。
なお、業者によってはステーションがあるエリアが限定的だったり、法人会員に対応しなかったりする場合があるため、注意が必要です。
選択できる車種をチェックする
業者によって利用できる車種は異なるため、あらかじめ選択できるラインナップもチェックしましょう。
カーシェアはレンタカーよりも車種の選択範囲が狭い傾向があります。
シチュエーションに応じて車種を選ぶなら、豊富なラインナップを売りにしている業者を選ばなければなりません。
また、利用できるオプションも確認しておきましょう。
ETC車載器・カーナビ・携帯電話の充電器などをオプションとして提供してくれるサービスなら、快適に利用できます。
継続しやすい料金設定を選択する
カーシェアを利用するなら、継続しやすい料金設定が重要です。
レンタカーと異なり、カーシェアは利用した分の料金に加え、月額料金が発生することがあります。
月額料金は利用していなくても発生するため、利用頻度が低いと無駄な出費になります。
そのため、社用車の使用頻度が低いなら、月額料金がかからない業者がおすすめです。
特に、予約状況に左右されないために複数のサービスを利用する際は、月額料金が無料の業者を選ぶとコストを抑えられます。
トラブル時の対応を決めておく
カーシェアを利用する際はトラブル時の対応を決めておきましょう。
従業員に業者の連絡先・トラブル発生時に報告する部署などを共有しておけば、トラブルが発生してもスムーズに対応できます。
なお、カーシェアは特有のトラブルが起きやすい点に注意が必要です。
カーシェアは自社以外にも使用者がいるうえに、返却時に業者のチェックが入りません。
ヘッドライトなどの消し忘れによってバッテリーが上がっている状態で返却されている場合もあります。
カーシェアを利用する際は、従業員に出発前の車両チェックを徹底させましょう。
保険・補償の適用範囲を調べる
カーシェアは業者が保険に加入しているため、安心して運転できる一方、保険・補償には適用範囲がある点には注意しなければなりません。
適用されないケースには、以下のようなものがあります。
- 非会員による運転
- 警察・カーシェアリング業者に届け出をしていない事故
- 補償を上回る損害
- 法令違反の運転(飲酒運転など)
- 利用者の不注意などによる不適切な管理が原因のトラブル(無施錠による盗難など)
- 保険約款の免責事項に該当するトラブル
- カーシェアリング業者の貸借約款に違反する行為
カーシェアを利用する際は、必ず保険・補償の適用範囲を調べましょう。
さらに、従業員には適切にカーシェアを利用するよう徹底させてください。
まとめ:社用車をカーシェアに切り替えれば効率的に運用できる
カーシェアは複数の会員で自動車をシェアするサービスであり、短時間だけの利用に適しています。
利用するコストや維持費も抑えられるため、社用車としても運用が可能です。
ただし、カーシェアにはさまざまなメリットがあるものの、デメリットや導入する際の注意点もあります。
実際にカーシェアを社用車として活用するなら、必ず業者が提示するルールや約款を確認しましょう。
また、カーシェアはドライブレコーダーや車両管理システムが設置できないため、安全運転管理が難しくなります。
カーシェアを社用車にする際は、JAF交通安全トレーニングを活用して従業員の安全運転意識を高めましょう。
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