厚生労働省が発表している令和5年労働災害発生状況の分析等によると、労働者が仕事中に交通事故に巻き込まれて死亡するケースは、墜落・転落による事故に次いで発生率が高く、全体のおよそ3割を超えています。
安全運転は企業の社会的責任です。
運転講習で安全運転への意識を高め、交通事故によるリスクを軽減したいと考えている企業も少なくありません。
この記事では、企業向け運転講習の内容から費用相場、導入メリットまでをわかりやすく解説しています。
運転講習の重要性と効果的な運転講習の選び方についても紹介しているので、ぜひご覧ください。
\ 企業の交通安全トレーニングを応援! /
なぜ企業は運転講習が必要なのか
近年、企業における車両の使用はますます増加しており、それに伴い交通事故のリスクも高まっています。
ここでは、企業が運転講習を実施する具体的な必要性について、交通事故のリスクと損失、安全運転の重要性と法的ルールを見ていきましょう。
企業における交通事故のリスクと損失
企業が交通事故を起こした場合、主なリスクとして次のようなものが挙げられます。
人的損失 | 交通事故による従業員や第三者のケガ、死亡などの人的な損害補償 |
物的損失 | 車両の修理費用や対物賠償、営業の中断による損失補償 |
信頼損失 | 企業の安全に対する意識の低さを世間に知らしめ、顧客から信頼を失う可能性 |
時間損失 | 道路交通法違反や民事・刑事責任など、法的な責任を追及された場合、本来の時間が失われ、業務に支障をきたす可能性 |
安全運転の重要性と法的ルール
安全運転は、企業の社会的責任を果たす上で欠かせない重要な要素です。
企業は、従業員に対して安全運転の重要性を周知徹底し、安全な運転習慣を定着させなくてはなりません。
道路交通法第七十条では、すべてのドライバーに対して安全運転が義務付けられています。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用元:e-GOV
運転講習の種類と内容
企業が実施する運転講習には、従業員の状況や経験に合わせてさまざまな種類があり、安全運転に対する意識向上を図ることを目的に実施されています。
企業の安全運転研修では何をする?費用相場や導入のメリットを解説
初心者向け運転講習
初心者向け『新入社員講習』は、運転経験の浅い従業員が企業の社用車を安全に運転するため、基礎を学ぶ講習です。
新入社員講習では、危険予測トレーニングや運転後のディスカッションなどの指導を実践しながら、安全な運転に貢献できる企業ドライバー育成を目指します。
通勤や買い物で自分や家族の車を自由に運転するプライベートドライバーとは異なり、企業ドライバーは業務遂行のために車両運転の技術が求められます。
企業の看板を背負う立場として、より高いレベルの運転技術と大きな責任を自覚するため、欠かすことのできない重要な講習の一つです。
ベテランドライバー向け運転講習
運転に慣れた社員に対しては、若年層からベテランまで幅広い年代の従業員を対象とした運転講習がおすすめです。
適性検査で自分の性格特性を把握し、座学や実技研修を実践しながら、安全運転への意識向上を目指します。
運転指導者向け講習
企業内のドライバーを指導する担当者を対象に実施される『運転指導者講習』は、運転理論や危険予測、効果的なフィードバックなど、指導スキルの向上を目的とした講習です。
指導者自身のスキルアップと企業全体の安全運転に向けた意識向上を目的としており、それぞれのドライバーに合わせた指導法などを学びます。
事故再発防止講習
過去に交通事故を起こした従業員に対して実施される『事故再発防止講習』は、同じ過ちを繰り返さないよう、再発防止に向けた具体的な対策を講じる場です。
従業員の心理的な要因を考慮しながら、総合的なサポートを実施し、企業全体の安全意識向上と事故リスク低減を目指します。
運転講習の費用相場
運転講習の費用は種類や内容、実施する場所などによって異なるので、費用対効果を検討し、状況にあった講習を選ぶことが大切です。
企業の安全運転研修では何をする?費用相場や導入のメリットを解説
講習の種類別費用
運転講習の費用には、次のようなものがあります。
<一般的な講習>
新入社員や一般社員向けの基礎的な講習では、1人あたり1万円から3万円程度が相場です。
安全運転の知識を学ぶ座学と、実際に車両を運転して技術を習得する実技で半日から1日程度のプログラムが一般的ですが、内容によっては2日間にわたる場合もあります。
<専門的な講習>
運転指導者や事故を起こした従業員向けの専門的な講習の費用は、1人あたり5万円から10万円程度が相場です。
一般的な講習よりも高い運転技術や事故防止対策を学ぶため、費用も高くなる傾向にあります。
<グループ講習>
複数の従業員を対象にしたグループ講習で、外部講師を依頼して実施する場合、1日あたり10万円から30万円以上の費用がかかります。
企業の規模や参加人数、講習内容によって費用も変動するため、事前の確認が必要です。
<オンライン講習>
JAFのノウハウが詰まったeラーニング『JAF交通安全トレーニング』は、従業員の人数に合わせて10アカウント単位で申し込みができます。
短時間でも効率的に知識が習得でき、契約期間も希望に合わせて選べるので、低予算での実施が可能です。
eラーニングのおすすめ教材として、JAF交通安全トレーニングがあります。
JAFが長年培った交通安全ノウハウを配信しており、社用車を運用する企業はもちろん、通勤に車を使用している方が多い企業にもおすすめです。
\ 企業の交通安全トレーニングを応援! /
外部委託と社内研修の費用比較
企業が運転講習を実施するにあたって、外部に委託した場合と社内の担当者による社内研修との違いを比較してみました。
種類 | メリット | デメリット | 費用 |
外部委託 | ・質の高い講習を受講できる ・最新の交通ルールが技術が学べる | ・費用が高額 ・スケジュール調整が必要 | 1万円〜(講習内容や人数によって変動) |
社内研修 | ・費用を抑えられる ・カリキュラムをカスタマイズできる | ・専門知識を持つ担当者が不足している場合がある ・最新の情報を取り入れるのが難しい ・準備にも工数がかかる | 不要 |
費用を抑えるためのポイント
運転講習は、必要な講習内容を精査し、不要な部分を削ることで費用を削減できます。
また、安全運転管理者による社内研修の実施やオンライン講習の活用で、低予算で導入が可能です。
運転講習の導入メリット
運転講習は、企業と従業員双方にとってさまざまなメリットがあります。
従業員の安全意識向上
運転講習を通じて、従業員は安全運転の重要性を改めて認識し、運転に活かせるのは大きなメリットです。
安全な運転習慣は、職場だけでなく、プライベートでの生活にも良い影響を与え、結果として企業全体の生産性向上にも貢献します。
法令を守る意識の徹底
法令を守る意識は、企業の社会的責任を果たす上で不可欠です。
従業員一人ひとりが法令を理解できる環境を整え、企業全体のコンプライアンス意識の向上が期待できます。
企業の社会的責任を果たす
運転講習の導入は、交通事故防止に向けた効果的な対策であり、企業の社会的責任を果たす観点からも評価されます。
リスクマネジメントの強化
交通事故は、企業にとって大きなリスクです。運転講習を導入し効果的な活用ができるようになれば、交通事故のリスクを低減し、企業の安定的な経営にも貢献できます。
運転講習の選び方
運転講習とは、運転免許を取得したばかりの従業員やブランクがあって運転に不安を感じている従業員に安全運転を習得し、自信を持って運転できるようになるための有効な手段です。
ここでは、企業が運転講習を導入する際に考慮すべき重要なポイントを7つにまとめました。
受講の手軽さ
受講期間や回数が柔軟に対応できるか、受講者のレベルに合わせたカリキュラムが用意されているかなど、受講のしやすさは重要なポイントです。
従業員の業務負担を考慮し、運転講習を選ぶ時は、オンライン受講や勤務時間中の受講が可能かどうかを確認してみましょう。
JAFの交通安全トレーニングは、いつでもどこでも手軽に学べるオンライン型の運転講習プログラムです。
短時間で完結できる動画コンテンツが充実しており、忙しい方でも無理なく自身のペースで学習を進められます。
受講できる場所
運転講習を選ぶ場合、企業の立地や従業員の居住地に合わせてアクセスしやすい場所を選ぶのも重要です。
一般的な運転講習は、各自治体の自動車学校や教習所、民間のドライバースクールなどでも受講できます。
また、社内にスペースがあれば出張講習も可能でシュミレーターを使った講習や実際の車両を使った実技講習ができるなども選択肢の一つです。
自動車学校 | ・実技練習設備が充実している ・アクセスが不便なところが多い |
専門研修施設 | ・実技・座学ともに充実しているところが多い ・多様なニーズに対応 ・アクセスが不便な場合がある |
自社敷地内 | ・自社の車両や実際の業務に合わせたカリキュラムが組める ・通う必要がない |
オンライン講習 | ・場所や時間を問わず、いつでも受講できる ・職種やレベルに応じて受講形式が選べる ・通う必要がない |
研修内容の充実度
運転講習は単なる運転操作だけでなく、安全運転のための知識や、さまざまな状況に対応できるスキルを習得できるようなカリキュラムが理想的です。
初心者から経験者まで、幅広いレベルに対応しているか、実技やシミュレーターを使ったトレーニングがあるかなど、業務に必要なコースが提供されているかを事前に確認しておきましょう。
講師の質
運転講習では、講師の質も受講者の運転技術向上に影響する大きなポイントです。
運転教習の資格を有し、長年の経験と豊富な知識を持つプロフェッショナルであることはもちろん、レベルや特性に合わせてわかりやすく丁寧な説明ができる質の高い講師が求められます。
受講者のニーズへの対応
運転講習は、受講者一人ひとりの目標やレベルに合わせて、きめ細やかな対応が求められます。
個別指導や柔軟なスケジュール設定が可能か、アフターフォローがあるかなどを確認しましょう。
企業のニーズに合わせてカスタマイズされた講習カリキュラムを提供してくれるところなどもおすすめです。
費用
運転講習の費用は、講習内容や対象者によって違いがあります。
企業が従業員向けに運転講習を導入する場合、数十人規模での受講を想定し、1時間あたり10万円から30万円がおおよその相場です。
講習内容は、座学のみのものから座学と実技を組み合わせたものまで、さまざまな形式が案内・提供されているので、自社のプランに見合ったものを選びましょう。
実績数
運転講習は、多くの人から選ばれている実績があるかどうかも大きなポイントです。
多くの受講実績がある運転講習は、質の高さの証と言えます。受講者の口コミや評判を参考に、信頼できる運転講習を選びましょう。
まとめ:企業の安全運転レベル向上のための具体的なアクション
企業が安全運転レベルを向上させるには、従業員の意識改革と組織的な取り組みが求められます。
交通安全は、継続的に意識しなければ定着しません。
その点、JAFトレは継続教育に最適です。
運転適性診断やドライブレコーダー導入、過去の事例やヒヤリハット事例の共有などを盛り込んだ運転講習で、従業員一人一人が安全運転の重要性を認識し、日々に活かせる環境づくりを実現しましょう。
\ 企業の交通安全トレーニングを応援! /