デイサービスでは、利用者の送迎が日常的におこなわれますが、その際にもっとも注意しなければならないのが送迎中の交通事故です。
送迎中に交通事故が発生すれば、スタッフ・利用者や歩行者がケガをするだけでなく、最悪人命が失われる事態になりかねません。
そのため、デイサービスの事業所では送迎中の事故を防ぐためにも、原因を把握し、適切な対策を講じる必要があります。
本記事ではデイサービスの送迎中に起きる事故について解説します。
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目次
デイサービスの送迎中に起こる事故とは?

デイサービスの送迎中に起こる事故に対策を講じるには、リスクの在り処や原因を適切に把握しなければなりません。
本章では、デイサービスの送迎中に起こる事故の概要について解説します。
デイサービスの送迎中に注意すべきリスク
日常的に業務で自動車を利用するデイサービスでは、以下のようなリスクが想定されます。
- 自動車を乗り降りする際の転倒
- 降ろし忘れ
- 社内での熱中症
- 交通事故
なかでも、送迎中の交通事故はスタッフや利用者に重傷を負わせるだけでなく、最悪の場合だと命を落とす可能性があるものです。
近年でも、デイサービスの送迎中に発生した事故によって、スタッフ・利用者や歩行者が命を落としたケースは度々報告されています。
リスクを避けるためにも、デイサービスの事業者は事故を防止する体制を構築しなければなりません。
デイサービスの送迎中に事故が起こる原因
デイサービスの送迎中に事故が起こる原因には以下のようなものが想定されます。
- 交通安全意識・安全運転知識の不足
- 運転中のスマートフォンやタブレットの利用
- 高齢ドライバーの増加
- 送迎車両の不備
- 連携不足や利用者との意思疎通の不足
- 過労による集中力の低下
昨今の介護業界は少子高齢化や人手不足の影響もあってスタッフが高齢化しており、運転技術や認知能力に不安があるケースは少なくありません。
人手不足で業務負担が増加している状況であれば、過労で集中力が維持できなくなる状況も想定されます。
また、運転経験が少ない新任のスタッフであれば、交通安全意識や安全運転知識が不足していることもあるでしょう。
以上を踏まえ、スタッフの傾向を適切に把握すれば、より効果的な対策を講じられます。
参考:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用|警察庁
デイサービスの送迎中に起こる事故による罰則

送迎中に事故が起こった場合、当然罰則が科せられます。
いずれの罰則も業務に影響を及ぼすものであるため、あらかじめ把握しましょう。
刑事処分
送迎中に事故によって人を死傷させた場合、ドライバーには運転過失致死傷罪が適用されます。
運転過失致死傷罪とは、業務上過失致死傷の類型の一種であり、罰則は以下のとおりです。
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
引用:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第五条
なお、飲酒運転や無免許運転のような悪質かつ危険性が高い運転によって事故が起こった際は、危険運転致死傷罪が適用されたり、より厳しい罰則が科せられたりします。
行政処分
交通違反や交通事故は免許上に点数が加算され、一定以上を越えるとドライバーは免許の停止・取り消しのような重い行政処分が下されます。
事故別に加算される点数の一覧は以下のとおりです。

損害賠償
送迎中の事故によって利用者にケガを負わせたり、器物を破壊したりした際は、損害賠償の対象になるリスクも発生します。
事故の規模にもよりますが、数百万円~数千万円程度の損害賠償が発生したケースも少なくありません。
支払い自体は自動車保険などでカバーできる可能性がありますが、損害賠償の最大のリスクは事業所への信頼の失墜です。
「損害賠償を請求されるような事故を起こした」というイメージを持たれてしまうと、事業所の経営にも深刻な影響を及ぼします。
デイサービスの送迎中に起こる事故への対策

デイサービスの送迎中に起こる事故には、適切な対策が不可欠です。
本章では、送迎中の事故を防止する上で有効的な対策について解説します。
ヒヤリハットマップの作成と周知
ヒヤリハットマップの作成と周知は、ドライバーがより注意深く運転するきっかけを作る上で役立ちます。
送迎で利用するルートを中心に、見通しが悪いカーブ・飛び出しが多い交差点など、「ヒヤリハット」を感じるエリアをあらかじめ地図上に記載しましょう。
ヒヤリハットを感じるエリアを可視化すれば、運転時に注意すべき状況が共有されやすくなります。
また、ヒヤリハットマップを作成する過程で、スタッフ同士で意見を交換できる機会を設ける方法も効果的です。
互いに情報を共有すれば、スタッフが交通安全意識を高める機会になります。
ゆとりのあるスケジュールの作成
送迎中の運転ミスを防止するためにも、ゆとりのあるスケジュールを作成しましょう。
利用者の送迎頻度が多かったり、インターバルのないタイトなスケジュールだったりすると、自然とドライバーに焦りが生まれるようになります。
余裕がないスケジュールを続けると、時間を守ろうとするあまり、ドライバーが焦って運転操作や判断をミスするリスクを高めます。
スケジュールを作成する際は、無理に予定を詰め込まず、ゆとりのある日程にするよう心がけましょう。
そもそも送迎は交通事情や道路状況の影響を受けやすく、予定どおりにスケジュールを進行できるものではありません。
あらかじめ遅れることも踏まえてスケジュールを組み立てれば、ドライバーが焦らずに対応しやすくなります。
勤務体制の見直し
勤務体制の見直しも、ドライバーの運転ミスを防止する上で効果的な対策です。
ドライバーの業務負担が大きい状況だと、疲労の蓄積によって運転ミスや集中力の低下を招きます。
例えば、清掃の代行や入浴介助のようなスタッフの負担が大きい業務を行った後だと、疲労で集中力が低下し、運転ミスが発生しかねません。
この場合、負担が大きい業務を行ったスタッフには運転をさせず、別のスタッフに交代するなどの調整を行えば、送迎中の事故が起こるリスクを回避できます。
また、送迎時に大型の自動車を利用しているなら、ドライバーに加えてスタッフを1名添乗させる方法も効果的です。
添乗したスタッフが利用者の乗り降りをサポートしたり、一緒に周辺の状況をチェックしたりすれば、ドライバーの負担を軽減するだけでなく、よりスムーズに送迎できます。
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交通安全教育の実施
スタッフの交通安全教育の実施も、送迎中の事故を防ぐ上で重要です。
基本的な交通ルールや危険運転に関する知識を身に付けることは、事故のリスクや交通安全を意識する意義を再確認する機会になります。
また、交通事故につながる運転ミスをあらかじめ把握すれば、ドライバーが運転時により注意できるようになります。
なお、交通安全教育を実施するなら、JAF交通安全トレーニングの導入をご検討ください。
JAF交通安全トレーニングは、交通安全教育に役立つ教材であり、安全運転に欠かせないノウハウを学べます。
eラーニングの形式を取っているため、デイサービスのように多忙な業種でも導入しやすい点もメリットです。
業務の合間に講習を受けられるため、効率的に知識を学習できます。
まとめ:適切な対策でデイサービスの送迎中に起こる事故を防ごう

デイサービスの送迎中に起こる事故は、スタッフはもちろん、利用者や歩行者の人命を危険に晒すものです。
加えて、送迎中の事故は刑事処分や行政処分の対象となるだけでなく、事業所の信頼も左右します。
送迎中の事故はスタッフの疲労による集中力の低下に加え、安全運転知識の理解不足などによって生じます。
事業所は原因を適切に把握し、有効的な対策を講じましょう。
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