もしも業務中に社用車で交通事故を起こした場合、「事故報告書」を迅速に作成し、関係各所に提出しなければなりません。
事故報告書の作成は、関係者への迅速かつ正確な情報共有はもちろんのこと、冷静かつ客観的な分析によって原因を突き止め、交通事故の再発防止につなげることが目的でもあります。
自分のミスを明らかにする事故報告書の作成に気後れする気持ちが出てくることもあるでしょうが、これをチャンスと捉え、再発防止のためにしっかりと作成することが大切です。
とはいえ、通常、事故報告書を書く機会はそう頻繁に起こるものではなく、「書き方がわからない」という方も多いでしょうから、この記事では、事故報告書の書き方や押さえるべきポイントについて解説します。
交通事故の種類別に例文も掲載しているので、不慣れな方もぜひ活用してみてください。
もし、社用車で事故を起こしたら?
目次
事故報告書の書き方と押さえるべきポイント

まずは、事故報告書に必要な項目と、その書き方について解説します。
事故報告書には決まったフォーマットというものはありません。
Web上のさまざまなサイトでテンプレートが公開されているので、ダウンロードして活用すれば書式作成の手間を時短することができます。
もちろん、使いやすさを考慮するならば、自社独自の事故報告書を作っても構いません。
自社で事故報告書を作る場合は、次に紹介する項目を記載するようにしましょう。
提出先・提出日
事故報告書の提出先と提出日を記載します。
作成した日ではなく、事故報告書を提出する日を記載する点に注意してください。
提出日が正しくわかることで、事故後の対応を時系列で把握できるからです。
発生日時・場所・天候
発生日時は、事故が起きた年月日と時間を記載します。
事故が起きた場所は、以下の情報を含めて具体的に明記します。
- 住所
- 交差点名
- 道路名・番号(例:国道◯号線、◯◯自動車道など)
場所の特定が難しい場合は、周辺の目印となる物を書いておきましょう。
また、気象条件は事故原因にも関わってくることなので、天候やそれに伴う路面状況についても詳しく記載しておきましょう。
事故の内容
交通事故の内容について、詳細に記載しましょう。
具体例としては以下のとおりです。
- 直線道路上で信号のない横断歩道を横断してきた歩行者との接触事故
- 幹線道路からの右折時、対向直進車との衝突事故
- 赤信号によって停止していた前走車に対する前方不注意による追突事故
また、自分がドライバーだったのか、同乗者だったのかも明記してください。
被害状況
被害状況は、保険請求や法的手続きの際に必要です。
人身事故、物損事故ごとに、以下の内容を記載しましょう。
| 人身事故 | 物損事故 | |
|---|---|---|
| 書くべき内容 | ・負傷者の氏名と年齢 ・負傷状況 ・治療内容 | ・車両の損傷範囲 ・破損物の種類と状態 ・損害額 ・ドライバー自身の治療費 |
事故の原因
例えばこのように、事故の原因を詳細に記載します。
- 業務連絡がスマホに届き、つい脇見運転をしながら確認してしまった
- 取引先との約束の時刻に遅れそうだったので、一時停止を怠った
事故の原因が複数ある場合は、個別の原因を順に記載しましょう。
例えば、「出発直前に体調が悪くなったが、取引先との打ち合わせの時間が迫っていたため、やむなく出発。道中、交差点で左折しようとした際、後方から来る自転車の存在に気づかず、接触。自転車を大破させる接触事故となった」という事故ケースでは、以下のように記載します。
- 体調が悪かったにも関わらず車を運転してしまった
- 取引先との打ち合わせに間に合うかわからず、焦る気持ちがあった
- 体調不良も重なり、左後方の安全確認をおろそかにした
- 先を急ぐ気持ちから十分な減速・徐行をしないまま交差点へ進入・左折してしまった
事故の発生状況
以下のように、事故の発生状況を時系列でまとめます。
- ◯月◯日8:30:出社後、日常点検整備を実施
- 9:00:アポイント先の◯◯株式会社に向けて出発
- 9:30頃:国道◯号線を時速60キロで走行中、△△交差点にて赤信号で停止していた乗用車2台の列に衝突。追突した乗用車のドライバーの被害状況を確認し、警察、救急、会社に連絡
- 9:40頃:救急車到着。最初に衝突した乗用車のドライバー(50代男性)が大腿骨骨折の重傷を負い、病院に搬送。現在も入院中。前の乗用車のドライバー(30代女性)は首に軽傷。取り調べ後、自ら病院へ向かう。
加えて、地図を作成するとよりわかりやすくなります。
地図には以下の内容などを記載します。
- 道路や交差点の図
- 周辺の建物
- 車両などの位置
- センターラインや中央分離帯の有無
- 信号の位置や色
- 標識の位置
- 道路幅
道路幅は過失割合に影響してくるので、広い道路と狭い道路がわかるように書きましょう。
また、事故発生時の被害者と加害者の車の位置を書き、矢印で進行方向を示してください。
このとき、加害者の車を黒く塗りつぶすなどすると、よりわかりやすくなります。
今後の対応
以下のように、発生した事故に対する今後の対応や、事故を解決した方法についてまとめます。
まだ完全に解決できていない場合は、現在の状況で構いません。
- 従業員◯◯は現在治療中
- 相手と示談について交渉中
なお、再発防止策は別で記載します。
事故に対する反省・再発防止策
事故が発生した原因を振り返り、事故に対する反省を記載します。
客観的な事故分析をおこない、再発防止に努めることを記載しましょう。
「気をつけて運転する」といった抽象的な表現では表面的な解決策に見えてしまうので、以下のように具体的に書くのがポイントです。
- 予定の15分前には到着できるように、運行計画を立てる
- 横断歩道の手前では、声を出して左右の指差し確認をおこなう
- 右左折時は、歩行者・自転車などの確認を徹底する
事故報告書を書くときに使える例文・テンプレート

ここで、交通事故の種類別に、事故報告書を書くときに使える例文を紹介します。
なお、事故報告書を何に書けばいいか分からないという方や事故報告書が手元にないという方は、以下でダウンロードできる事故報告書のテンプレートを活用してみても良いでしょう。
人身事故の場合
| 事故発生日時 | 2026年1月◯日 ◯曜日 ◯時◯分頃 |
| 事故発生場所 | 県道◯号線 ◯◯交差点付近 |
| 使用車両 | 社用車(ナンバー△△-1234) |
| 事故の内容 | 人身事故 |
| 事故の詳細状況 | 右折時に、横断歩道を渡っていた歩行者に車両前部が接触した |
| 当日の使用用途 | アポイント先に向かうため移動していた |
| 被害者情報 | 40代女性 |
| 被害情報 | お相手:軽度の打ち身、左足の捻挫 自分:車両前部の傷 |
| 事故の原因 | 横断歩道を横断中の歩行者に気づくのが遅れ、接触してしまった |
| 事故後の対応 | ・事故後すぐにお相手様と車を安全な場所に避難させた ・お相手様の応急処置を実施 ・警察および保険会社に連絡 ・お相手様とは示談が完了し、損害分は保険で対応する |
| 事故への反省点 | スケジュールを詰め込み過ぎた結果、前後の打ち合わせ間の移動時間が短くなり、焦りから運転に十分な集中ができていなかった。今後は、スケジュールに余裕を持たせて移動時間を十分に確保し、落ち着いて安全に運転できるよう心がけたい。 |
物損事故の場合
| 事故発生日時 | 2026年2月◯日 ◯曜日 ◯時◯分頃 |
| 事故発生場所 | 国道◯号線 ◯◯交差点付近 |
| 使用車両 | 社用車(ナンバー△△-5678) |
| 事故の内容 | 接触事故 |
| 事故の詳細状況 | 信号のない交差点を走行中、右から出てきた車両と衝突した。お相手の走行車線が優先で、当方の車線には一時停止の表示があった。 |
| 当日の使用用途 | アポイント先へ向かうため移動していた |
| 被害者情報 | 30代男性、△△株式会社勤務 |
| 被害情報 | お相手:後方の破損 自分:車両前方の凹み |
| 事故の原因 | 見通しの悪い交差点で、当方が一時停止を無視して飛び出した |
| 事故後の対応 | ・事故後、すぐに車両を安全な場所に移動 ・警察および保険会社へ連絡 ・お相手様とは示談が完了し損害分は保険で対応する |
| 事故への反省点 | 見通しが悪い交差点で一時停止を怠った結果、事故が発生した。今後は必ず一時停止を守り、その後、周囲の安全を確認した上で、速度を落として進むことを徹底する。 |
相手のいない自社敷地内駐車場での物損事故の場合
| 事故発生日時 | 2026年3月◯日 ◯曜日 ◯時◯分頃 |
| 事故発生場所 | 中央区◯◯センター駐車場 |
| 使用車両 | 社用車(ナンバー△△-1234) |
| 事故の内容 | フェンスへの接触 |
| 事故の詳細状況 | バック駐車の際に下がり過ぎてしまい、フェンスにぶつけてしまった |
| 当日の使用用途 | アポイント先への巡回 |
| 被害状況 | 車両後部に傷が入った。フェンスは凹んでしまった。 |
| 事故の原因 | 後方確認を怠った上に、スピードを出して下がってしまい、ぶつけてしまった |
| 事故後の対応 | ・すぐに警察および保険会社へ連絡 ・現場検証を実施 |
| 事故への反省点 | 後ろに余裕があると油断してしまい、十分に確認していなかった。今後はサイドミラーに加え、目視で後方確認し、低速で下がるよう徹底する。 |
事故報告書を書くときの注意点

事故報告書は、事故の再発防止や、社内外への情報共有のために作成します。
そのため、誰が読んでも内容がわかるものでなければなりません。
事故報告書を書くときの注意点としては、主に以下の5点が挙げられます。
- 簡潔でわかりやすい文章を意識する
- 事故発生から迅速に作成・提出する
- 事実を客観的に記述する
- 時系列に沿って記述する
- 原因不明のことは「調査中」と記載する
事故報告書を書くうえで最も重要なのは、事故が起こった事実と、正確な情報を伝えることです。
目撃者の証言やドライブレコーダーをもとに、客観的かつ時系列に沿って書き、わからないことは無理に記述せず、事実をそのまま記載するようにしましょう。
事故報告書の書き方に関するよくある質問

ここからは、事故報告書の書き方に関連する質問について、回答します。
事故報告書・交通事故証明書・事故発生状況報告書の書き方に違いはある?
交通事故が起きた際には、事故報告書に加えて、交通事故証明書や事故発生状況報告書といった書類の提出も必要となります。
交通事故証明書は「交通事故が発生した事実を示す書類」であり、事故発生の日時・場所・当事者の情報、事故の状況などを記載します。
一方、事故発生状況報告書は「加害者側の保険会社に賠償金を請求するために作成する書類」のことで、こちらも同様に事故の発生日時・場所・当事者の情報、事故の状況などを記載します。
どの書類も書き方に大きな違いはなく、事故の状況について客観的かつ分かりやすく書くことが求められます。
事故報告書を書くときに事故当時の内容を詳細に思い出せない場合は?
交通事故は、非日常的な出来事であるため、パニックになり、事故当時の状況を思い出せない場合も珍しくありません。
事故報告書を書くときに事故当時の内容をよく思い出せない場合は、以下の2つの対処法を試してみると良いかもしれません。
- ドライブレコーダーを確認する
- 同乗者や目撃者に証言してもらう
まとめ:事故報告書の書き方は早く正確に、例文やテンプレートも活用しよう

もしも社用車で交通事故を起こしてしまった場合、事故報告書を作らなければなりません。
事故報告書の目的は、関係者への迅速かつ正確な情報共有と、事故の再発防止です。
誰が読んでもわかるように、客観的な事実を簡潔な表現で記載することが重要です。
交通事故は起こらないに越したことはなく、普段から社内の交通安全意識を高めることで、事故発生防止に努めましょう。
JAFメディアワークスでは、交通安全意識の向上に向けたeラーニング「JAF交通安全トレーニング」を提供しています。
JAFが長年培った交通安全の知見とノウハウを凝縮しています。
短時間で学べるコンテンツが豊富なので、隙間時間を使って交通安全意識を高め、危機感受性を高めることも可能です。
社内の交通安全意識の向上に関する施策をお考えの際は、ぜひご活用ください。
若年・中年・高齢層それぞれの事故の特徴と背景要因




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