社用車の使用誓約書とは、従業員が社用車を安全に使用し、企業や組織が社用車の管理・運用を円滑におこなうためのものです。
しかし、「どのような項目を記載すれば良いのか?」「すぐに活用できるテンプレートはないのか?」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、社用車の使用誓約書に記載する内容や、効率的に作成・管理する方法について解説します。
目的別のテンプレートも紹介しているので、社用車の使用誓約書の作成を検討されている場合は、ぜひ参考にしてください。
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目次
社用車の使用誓約書とは
社用車の使用誓約書とは、企業や組織が従業員に社用車を貸与する際の取り決めを文書化し、署名を求めるものです。
使用者が社用車を使用する際に守るべきルールや規定が明記されています。
具体的な内容は以下のとおりです。
- 社用車の使用目的(業務外でのプライベート利用の可否)
- 安全運転のルール
- 車両の状態確認
- 保険の適用範囲
- 違反行為や事故が起きた場合の責任
例えば、営業担当者が顧客訪問に社用車を使う企業の場合、使用誓約書には以下の内容が含まれることが一般的です。
- 社用車は基本的に業務のために使用し、プライベート利用は避けること
- 運転前には日常点検整備をおこない、整備不良や異常があれば速やかに報告すること
- 交通規則を遵守し、安全運転を心がけること
社用車の使用誓約書を作成することで、従業員と会社が社用車の仕様に関するルールを共有し、理解することが可能になります。
また、責任の所在を明確化することで、万が一の事故やトラブルが発生した場合の責任問題の回避につながります。
社用車の使用誓約書の内容
使用誓約書に記載する項目について、法的な決まりはありません。
しかし、載せるべき内容はある程度決まっています。
ここからは、社用車の使用誓約書に記載すべき内容について紹介します。
記載・添付項目
社用車の使用誓約書の主な記載・添付項目は以下のとおりです。
- 誓約日:誓約書に誓約した年月日を記載する
- 誓約者の情報:誓約する従業員の氏名・所属先・役職・連絡先などを記載する
- 使用する社用車の情報:社用車の登録ナンバーや車検有効期限、返却時の状態などを記載する
- 社用車の使用用途:社用車を使用する期間と使用目的、使用する地域を記載する
- 使用する従業員の運転免許証の写し:運転免許証のコピーを添付する
誓約事項
社用車の使用誓約書に記載する主な誓約事項は以下のとおりです。
誓約事項の種類 | 具体例 |
---|---|
遵守すべき交通ルールや法令について | ・社用車利用の際は、定められた社用車管理規定を遵守いたします ・交通ルール・法令を守り、安全運転に努めます |
車両の点検・整備・修理に関する規定 | ・社用車の状態に常に気を配り、異常を発見した場合は速やかに報告します |
酒気帯び運転・スピード違反・事故発生時に関する規定 | ・飲酒運転、酒気帯び運転は絶対にいたしません ・万が一事故を起こした場合は人命救助を最優先し、関係各所に速やかに通達いたします |
社用車の使用目的に関する制限とプライバシー保護に関する規定 | ・社用車を運転するにあたり、会社業務以外の目的での使用はいたしません |
罰則や違反時の責任について | ・自己の重大な過失や故意により社用車に損害を与えた場合、それを弁償します ・交通違反による罰金・反則金等の負担については、すべて私(社用車の使用者)自身が負担します |
また、使用誓約書の最後には、
- 誓約日
- 従業員の署名
- 印鑑を押す欄
が必要です。
社用車の使用誓約書テンプレート
前述の内容を基に社用車の使用誓約書を一から作るのも良いですが、インターネット上に公開されているテンプレートを活用するのもおすすめです。
テンプレートをそのまま活用するもの良いですし、テンプレートを自社に合うようにアレンジして活用するのも良いでしょう。
ここからは、どのようなテンプレートがあるのかを簡単に紹介します。
シンプルな使用誓約書
シンプルな内容で構成された使用誓約書です。
PDFだけでなくWordファイルとしてもダウンロードできるため、自社に合うようにアレンジすることも可能です。
安全運転に関する項目が多い使用誓約書
安全運転に関する事項が多く記載された使用誓約書です。
交通ルールや法令を確実に守ることや、運転中の注意事項なども記載されています。
罰則や違反時の責任について記載された使用誓約書
罰則や違反時の責任に関する内容が厚い使用誓約書です。
交通事故を起こしたときや、社用車を故意または過失によって破損させた場合の負担に関する項目、私的利用時の責任に関する項目などが記載されています。
社用車を通勤で使用する場合の「社用車通勤使用届出書」が添付されているものもあります。
マイカー使用申請と併用できる使用誓約書
通勤や業務でマイカー使用を許可する場合、責任の所在が曖昧になってしまうことがあります。
通勤・業務でマイカー使用を許可している企業は、万が一事故やトラブルが発生した場合の責任について記載された使用誓約書を選ぶのがおすすめです。
マイカー使用申請と誓約書が1枚になっているタイプは、マイカーを使う機会がある場合におすすめです。
社用車の私的利用禁止について明記されている使用誓約書
社用車の私的利用禁止について記載されている使用誓約書です。
内容はシンプルなものが多いため、自社に合わせてアレンジできます。
社用車の私的利用を禁止したい場合は、このようなタイプを利用しましょう。
社用車の使用誓約書を効率的に作成・管理する方法
社用車の使用誓約書は、社用車の管理と安全な使用のために重要です。
しかし、記載する内容や確認事項が多く、作成業務が負担になる場合があります。
そこでここからは、社用車の使用誓約書を効率的に作成・管理する方法を紹介します。
電子署名ツールを使用する
最近では、電子署名を導入する企業が増えています。
電子署名ツールを使うことで、使用誓約書にオンライン上で署名できます。
管理もオンライン化できるため、効率化が期待できるでしょう。
フォーム作成ツールを使用する
フォーム作成ツールとは、Webフォームを作成できるツールやサービスのことです。
例えば、「Googleフォーム」が該当します。
フォーム作成ツールを使用すると、使用誓約書のテンプレートを作成し、必要項目を入力するだけで、簡単に使用誓約書が作成できます。
署名欄を設けることで、署名も容易になるでしょう。
ワークフロー管理ツールを使用する
ワークフロー管理ツールとは、業務を効率化するためのソフトウェアやツールのことです。
ワークフロー管理ツールを使用することで、社用車の使用誓約書の作成・署名・管理を自動化できます。
機能はツールごとにさまざまです。
例えば、申請フォームに社用車使用規則を添付し、従業員は規則を確認した上で使用誓約書の提出が可能になる機能などがあります。
社用車の使用誓約書を作成する際の注意点
社用車の使用誓約書を含む「誓約書」を作るときには、いくつかの注意点があります。
記載する内容や電子署名の取り扱いなど、知っておかないと誓約書として効力を発揮できない場合があります。
内容が法令に違反していないか確認する
法令に違反する内容を使用誓約書に記載していた場合、従業員が同意していても無効になります。
公序良俗に反する場合も同様に無効となるので、注意しましょう。
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
引用元:民法第九十条|e-GOV法令検索
内容は明確に記載する
使用誓約書が曖昧に書かれている場合、誓約書自体が無効となってしまう可能性があります。
そのため、使用誓約書の条文は明確に記載しなければなりません。
一般的に、明確な条文を作成するためには、以下のような5W1Hを意識することが効果的です。
- Who:誰が誰に対して義務を履行すべきか
- When:義務を履行すべき時期
- Where:義務の履行場所
- What:履行すべき義務の内容
- Why:義務の発生根拠
- How:義務の履行方法
使用誓約書の場合、この中でも「When」と「What」が明確になっているかチェックしてください。
電子署名を使用する場合は法律を遵守する
電子署名を使用する場合、「電子署名及び認証業務に関する法律(以下「電子署名法」)」で定められた「本人性」と「非改ざん性」の要件を満たさなければなりません。
- 本人性:本人が作成したことを確認できること
- 非改ざん性:改ざんされていないことを確認できること
例えば、単なる電子印鑑を押しても、本人性や非改ざん性が認められなければ、電子署名法に定められた「電子署名」とはいえず、法的効力は弱まります。
さらに、電子署名法第三条に定める「真正成立の推定効」を発生させるために、本人だけがおこなえる「固有性」の要件も満たすことも必要です。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
引用元:電子署名及び認証業務に関する法律第三条|e-GOV法令検索
まとめ:社用車の使用誓約書でルールや責任を明確にしよう
社用車の管理・運用を円滑かつ安全におこなうためには、使用誓約書が必要です。
使用誓約書があることで、社用車を使う際のルールや責任が明確になるからです。
「社用車の使用誓約書がない」という企業様は、この機会にぜひ作成してみてはいかがでしょうか。
公開されているテンプレートも多いので、テンプレートを元に、自社に合うようにカスタマイズして運用してみましょう。
また、社用車を安全に使用するには、従業員への交通安全教育も有効です。
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隙間時間を活用して交通安全について学習できるので、安全運転の推進にぜひご活用ください。
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