居眠り運転は、深刻な交通事故を引き起こす主要な原因のひとつです。
居眠り運転が原因による重大事故が業務中に発生すれば、会社の管理体制が問われることにもなり、社会的信用を失う事態にもつながる可能性があります。
企業が社用車での事故を減らすためには、適切なリスクマネジメント安全対策の実施が必要不可欠です。
この記事では、居眠り運転の危険性やリスク要因、そして企業が従業員の安全を守るためにどのような対策を講じるべきかについて詳しく説明します。
マイクロスリープ(眠気が強いときに数秒から数十秒だけ眠ってしまう現象)については以下の記事でも紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。
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目次
居眠り運転は死亡事故につながる危険な行為

居眠り運転による事故は、ドライバーの反応時間が著しく遅れるか、まったく反応できない状態で発生するため、衝突の衝撃や事故の規模が大きくなりがちです。
企業にとって、社用車を使用する従業員が居眠り運転で事故を引き起こすことは、人的な損失だけでなく、企業の信用失墜や経済的な損害にも直結します。
従業員の生命を守り、企業の責任を果たすためにも、居眠り運転のリスクに対処することは経営上の重要事項といえるでしょう。
居眠り運転の主な要因

居眠り運転を引き起こす要因はさまざまですが、それを理解した上でしっかりと対処することが事故防止の鍵となります。
ここでは、特に注意すべき要因について詳しく見ていきましょう。
疲れや睡眠不足
居眠り運転の一般的な原因として、疲れと睡眠不足が挙げられます。
身体が疲れていたり十分な睡眠を取っていないまま運転した場合、安全性が著しく低下し、居眠り運転を引き起こすリスクが高まります。
病気
たとえしっかりと睡眠を取っているように感じても、日中に突然眠気が襲ってくることがあります。
この場合、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなどの病気の可能性が考えられます。
薬や食事の影響
道路交通法では、「過労、病気、薬物の影響その他の理由で正常な運転が困難な状態では、車を運転してはならない」と規定されています。
市販の風邪薬や花粉症の薬などを服用している場合、その効能により強い眠気を誘発することがあります。
また、食事の影響についても注意が必要です。
食後に血糖値が急激に上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」といった現象などにより、眠気が引き起こされることがあります。
居眠り運転によって交通事故が発生したあとのリスク

居眠り運転による交通事故が起これば、損害を与えた人身や物に対しての補償対応はもちろん、企業活動に対する損失が発生します。
就業体制に問題がなかったか、飲酒が絡んでいないかなど、企業の管理責任に疑念の目が向くことは少なくありません。
居眠りによる事故が起きた時に、想定されるべき社会的影響の余波をあらかじめしっかりと理解しておくことも大切です。
直接的な損害
交通事故全般に言えることですが、対車両または対人と接触することによって、修理やレッカー代、代車費用、相手方にケガをさせてしまったら治療費や慰謝料も発生します。
また、事故の影響で道路設置物や構造物を破損した場合には、その弁済もおこなわなければなりません。
これらは基本的に自動車保険で補償されるものの、保険を使えば等級が下がるため、次年度の保険料が上がり社用車を運用するためのイニシャルコストが膨れ上がってしまいます。
さらに事故対応や再発防止策の策定など目に見えない内部的トラブルコストの増加についても考えなければいけません。
稼働停止による生産性低下
事故によって、車両の修理やドライバーの治療が必要になれば、本来予定していた稼働が止まってしまいます。
納期の遅延や訪問停止、流通網の乱れなど、業種によって様々な形で会社の利益が失われるリスクがあります。
会社の信用・社内の士気への影響
居眠り運転による事故は、ドライバーが寝てしまった原因が「会社の管理問題」と受け止められやすく、クレームの発生や会社の信用低下にまで波及します。
近年、事故を映したドライブレコーダーの映像はSNS等で一気に拡散されやすく、「飲酒運転だったのでは?」「労働時間に問題がありそう」など、あらぬ憶測を招くことも。
そうなれば社内でも不信感が広がり、仕事へのモチベーションの低下や、最悪の場合、離職にまで発展しかねません。
居眠り運転による事故発生時の責任|3つの責任

業務中の居眠り運転が原因で事故が起きたときの責任は、「刑事」「行政」「民事」の3つに大きく分けられます。
ここでは、ドライバー側と会社側の視点で解説していきます。
参考:運転者が事故時に負う責任とはどんなものですか? | JAF クルマ何でも質問箱
刑事責任(処罰)|犯罪としての責任
刑事責任とは、社会の秩序を守るために国が処罰する枠組みです。
人身事故なら、過失運転致死傷などでドライバーが刑事責任を問われ、拘禁刑や罰金の対象となります。
ただし、無理な運転指示や過労運転の黙認など、会社の運用が極端に不適切と判断された場合には、会社の意思決定者・安全管理に関与した者などに刑事責任が及ぶ可能性があります。
行政責任(免許処分)|免許の停止・取消などの処分
行政とは、運転免許という資格の管理をしている国家公安委員会が所管です。
責任はドライバー本人が問われることになり、点数制度によって免許の停止・取消が決まります。
居眠り運転関連で特に重いのが「過労運転等」であり、違反点数は25点。つまり、前歴(過去の免許停止・取消歴)がなくても一発で免許取消2年の処分となります。
参考:交通違反の点数一覧表|警視庁
参考:行政処分基準点数|警視庁
民事責任(損害賠償)|被害者救済の観点
民事は被害者の損害を埋める枠組みで、示談交渉や訴訟で決まります。
業務中の社用車による事故は、被害者側から見ると「会社の管理・指示のもとで起きた事故」なので、会社側の責任と判断されやすいです。
基本的には金銭的な補償になるため、会社が加入している保険で対応することがほとんどです。
企業が実施できる具体的な居眠り運転対策

企業が社用車による事故を減らすためには、居眠り運転のリスクを最小限に抑える対策が不可欠です。
企業として主体となって具体的な居眠り運転対策を講じて、安全な運転環境の確保と事故防止に努めましょう。
長時間運転を避けるため運行計画を作成する
長時間運転による過労は、居眠り運転の大きな原因のひとつです。
長時間の運転によって居眠り運転が起こると、場合によっては「過労運転」とみなされ、運転手だけでなく企業にも責任が及ぶことがあります。
これを避けるためには、従業員が十分な休息を取りながら運転にあたれるよう、余裕のある運行計画を策定し、運転業務のシフトなど適切な環境を整えることが大切です。
企業が積極的に勤務時間の調整や休息時間の確保に努めることで、従業員の過労を防ぎ、居眠り運転のリスクを減らせます。
従業員の安全を確保し、企業の社会的責任を果たすためにも、運行計画の作成は最優先に取り組むべき課題といえます。
交通安全教育を強化する
従業員の安全意識を高め、居眠り運転を含むさまざまな要因による交通事故を予防するために、交通安全教育の強化にも注力するべきです。
社内講習の開催や、自動車学校の交通安全運転講習を利用するなどして、安全運転の知識を深めることへの重要性を周知していきましょう。
また、JAF交通安全トレーニングのようなeラーニング教材を活用するのもおすすめです。
従業員が自分のペースで学習を進められるため、忙しい業務の中でも継続的に受講できます。
これらの教育プログラムを定期的に実施することで、従業員の安全意識を継続的に高め、安全が最優先されることで交通事故のリスクを減らすことが期待できます。
従業員の健康管理を徹底する
居眠り運転のリスクを低減するためには、従業員の健康管理も欠かせません。
睡眠時無呼吸症候群のような疾患は、運転中の安全に多大な影響を及ぼす可能性があり、早期発見と適切な治療が重要です。
定期的な健康診断に加え、ストレス軽減のためのワークショップや、専門家による健康指導などを取り入れるのも良いでしょう。
従業員の健康的なライフスタイルをサポートすることで、睡眠の質を向上させ、結果的に居眠り運転のリスクを減少させることにもつながります。
安全運転の表彰制度を導入する
従業員の安全運転を促進するために、社内で独自の表彰制度を導入するのも効果的です。
安全運転をおこなっている従業員を定期的に表彰することで、社内全体の安全運転への意識を高め、良い運転習慣を持続的に促します。
表彰制度を通じて、業務を遂行するために無理な運転をするよりも、安全を最優先に考えることが大切であるというメッセージを従業員に伝えられます。
車両管理システムを導入する
企業内の制度を整えるのに加え、さまざまなシステムやITツールの活用も検討の余地があります。
例えば車両管理システムは、企業が業務で使用する車両の情報を効率的に一元管理するためのツールです。
車両の使用状況の把握から、それを運転するドライバーの位置情報に至るまで、社用車の運用に関わるさまざまなデータをリアルタイムで可視化できます。
システムによっては急ブレーキや急ハンドルなどの操作をセンサーで感知しアラートで知らせる機能もあり、事故防止に効果的です。
さらにドライバーごとの運転時間を把握することで運行計画の適正化が図れ、長時間運転による疲労や居眠り運転のリスクを減少させられます。
車両の効率的な運用はもちろん、運搬業務の安全性と効率性を同時に向上させ、ドライバーの安全と健康を守る上でも、車両管理システムの導入は非常に有効です。
ドライブレコーダーを設置する
AI搭載型ドライブレコーダーは、運転の安全性を向上させるのに役立つツールです。
AI搭載型ドライブレコーダーは、リアルタイムで映像を解析し、ドライバーに何らかの異変や危険が生じていると判断した場合、モニター上の通知文や音声ガイダンスを通じて即座に警告を発します。
自分ではつい無理をしてしまいそうな場面でも、ドライブレコーダーの客観的なデータ診断による警告であれば従いやすいでしょう。
ドライバーが自分の運転状態により意識的になり、適時に休息を取るなどの行動によって安全な運転環境が促進されます。
居眠り運転防止ツールを活用する
居眠り運転の対策として、最新技術を活用したさまざまなツールを導入するのも有効な手段です。
例えば、脈拍を検知して眠気の予兆を警告するウェアラブル端末や、まばたきや視線の変化からドライバーの眠気を察知する特殊なメガネなどがあります。
ドライバーが自分でも気付かないうちに眠気や疲労が進行していることをツールが知らせてくれるため、事故のリスクを減らすことができます。
ただし、これらのツールはあくまでも補助的なものであり、100%居眠り運転を防ぐことはできません。
そのため、ツールの使用は、運転者の健康管理や適切な休憩の取り方、安全運転の実践など基本的な対策と組み合わせることが重要です。
まとめ:十分な対策をして居眠り運転を防ごう

居眠り運転による交通事故は避けられる事故の一つであり、企業が積極的に対策を講じることでリスクを大きく減らせます。
そのためには運行計画の作成、従業員の健康管理、安全運転教育、そして最新の安全ツールの活用に至るまで、さまざまなアプローチが必要です。
従業員の安全を確保し、事故を防いで企業の信頼性を高めるためにも、積極的に対策を講じておきたいところです。
さらに、交通安全についての知識を深めるために、JAF交通安全トレーニングのようなeラーニング教材を活用することもおすすめします。
JAF交通安全トレーニングは、従業員が自分のペースで学習を進められるため、交通安全意識をさらに高められます。
安全な運転環境の実現に向けて十分な対策をおこない、企業としての取り組みを強化しましょう。
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