交通事故の発生件数には月ごとに明確な傾向が存在します。
特定の月に事故が増える背景には、日照時間や天候、人々の生活サイクルの変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているものです。
本記事では、警察庁の統計データに基づき、交通事故が多い月とその原因を詳しく解説します。
さらに、季節ごとの具体的な対策も紹介しますので、安全運転や交通安全意識の向上に役立ててください。
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目次
交通事故が多い月

交通事故は一年中起きていますが、件数が増加する月があります。
以下は、警察庁が発表した2024年の月別の交通事故統計のうち、交通事故の発生件数をまとめたものです。
順位 | 月 | 発生件数 |
---|---|---|
1位 | 12月 | 28,997 |
2位 | 10月 | 26,021 |
3位 | 11月 | 25,431 |
4位 | 3月 | 24,181 |
5位 | 5月 | 24,154 |
6位 | 7月 | 24,010 |
7位 | 4月 | 23,511 |
8位 | 8月 | 23,156 |
9位 | 9月 | 23,079 |
10位 | 2月 | 22,885 |
11位 | 1月 | 22,776 |
12位 | 6月 | 22,694 |
参照:統計表|警察庁
以上のように、12月はほかの月と比較して突出して事故件数が多くなっています。
また、10月・11月・3月・5月・7月も事故が多い月として続いており、こうした月には特に注意が必要であることがわかります。
交通事故はいかなる季節でも注意しなければなりませんが、交通事故が増加する時期には、より一層気を付けましょう。
特定の月に交通事故が増加する原因

特定の月に交通事故が増加する背景には、明確な原因があります。
ここでは、特に事故が多い月をピックアップし、その背景にある原因を詳しく掘り下げていきます。
12月:交通量の増加や路面凍結など
12月は1年のうちで、特に交通事故が増加する月です。
主な原因は以下のとおりです。
要因 | 内容 |
---|---|
交通量の絶対的な増加 | 年末の帰省ラッシュや旅行で長距離を移動する車が増える時期です。小売業や物流業が繁忙期を迎え、トラックなどの商用車が昼夜問わず稼働します。さらに、クリスマスや年末年始の買い出しで、商業施設周辺の交通が混雑します。 |
日没の早さと悪天候 | 12月は1年で最も日照時間が短く、夕方の早い時間帯から視界が悪くなります。この視界が悪化する薄暮の時間帯は、重大事故が多発する危険な時間です。さらに降雪や路面凍結が発生し、スリップ事故のリスクが全国的に高まります。 |
心理的な焦りと気の緩み | 12月はドライバーは仕事やプライベートで気忙しくなりがちです。焦りから来るスピードの出し過ぎや、不注意な運転が増える傾向にあります。忘年会シーズンで飲酒の機会が増え、飲酒運転のリスクも高まります。 |
路面の凍結や雪の影響 | 気温の低下で道路が滑りやすくなり、特に北海道や東北などの豪雪地帯では、凍結した路面でスリップ事故が多発します。それにもかかわらず、スタッドレスタイヤを装着せずに運転したり、チェーンを持たずに走行するケースがあり、こうした準備不足も事故の一因となっています。 |
以上の要因が複合的に絡み合うことで、12月は1年で最も交通事故が多く発生しています。
10月・11月:日没の速さや行楽シーズンなど
秋が深まる10月と11月も、交通事故が多い時期です。
この時期の事故増加には、主に2つの要因が関係しています。
要因 | 内容 |
---|---|
急激な日没時間の変化 | 夏から秋にかけて日没時間が一気に早まります。「まだ明るい」という感覚のまま運転していると、気づいたときには周囲が暗くなっていることがあり、歩行者や自転車の発見が遅れがちです。「つるべ落とし」とも言われる日没の早さに、ドライバーの意識が追いつかないことが事故の一因です。 |
行楽シーズンの到来 | 紅葉狩りや秋のレジャーで、週末を中心に普段運転しない人や、不慣れな道を走る車が増加します。特に山間部や観光地周辺では、渋滞やサンデードライバーによる予期せぬ動きが事故を誘発することも珍しくありません。また、秋の長雨や落ち葉による路面の悪化も、スリップ事故の原因となります。 |
この時期には「秋の全国交通安全運動」が実施され、特に薄暮時間帯の事故防止が重点的に呼びかけられています 。
7月・8月:暑さによる疲労や飲酒機会の増加など
夏休みシーズンである7月と8月も、交通事故の発生件数が上位に入ります。
この時期は、冬とは異なる種類の危険が潜んでいる点が特徴です。
7月・8月の事故が多い要因は以下のとおりです。
要因 | 内容 |
---|---|
レジャーによる交通量の増加 | 夏休みやお盆の帰省で、高速道路をはじめとする主要道路が長期間にわたり混雑します。長距離運転による疲労の蓄積や、慣れない土地での運転が事故のリスクを高めます。 |
ドライバーの心身への負担 | 猛暑による熱中症や夏バテは、集中力や判断力を著しく低下させる原因です。エアコンの使用で車内は快適でも、体は着実に疲労しています。夏の開放的な気分から、スピードの出し過ぎや無謀な運転につながりやすくなります。 |
特有の気象条件 | 夏に多いゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な大雨は、一瞬で視界を奪います。濡れた路面では、タイヤと路面の間に水膜ができて車が浮く「ハイドロプレーニング現象」が発生し、ハンドルやブレーキが効かなくなることがあります。 |
飲酒機会の増加 | 夏はビアガーデンや花火大会、地域の祭りなど屋外イベントが多く、友人や家族とお酒を飲む機会が自然と増えます。その結果、飲酒運転に対する意識が緩みやすくなり、ハンドルを握るべきでない状態での運転が発生しやすくなります。飲酒運転は判断力や反応速度を著しく低下させ、重大事故につながる危険性が高いため、夏場は特に注意が必要です。 |
夏の運転では、こまめな休憩と水分補給、そして急な天候変化への備えが不可欠です。
また、7月・8月は長期休暇に伴い、飲酒をする機会が増加する時期でもあります。
特に7月は年間で最も飲酒運転に人身事故が増加する時期です。
3月:不慣れなドライバーの増加や気温の不安定さなど
3月は、卒業・就職・転勤など、生活環境が大きく変わる「年度末」です。
この時期特有の人の動きが、交通事故の増加に直結しています。
特に以下の事柄が交通事故の要因になりがちです。
要因 | 内容 |
---|---|
交通需要の集中 | 引っ越し業者のトラックや、年度末工事の車両が頻繁に行き交います。企業の営業車も決算期に向けて活動が活発化し、道路は常に慌ただしい状態です。 |
不慣れなドライバーの増加 | 卒業旅行や春休みで、経験の浅いドライバーがハンドルを握る機会が増えます。免許を取得したばかりの初心者が路上に出始めるのもこの時期です。 |
不安定な気象 | 「三寒四温」という言葉のとおり、暖かい日と寒い日が交互に訪れます。油断していると、朝晩の冷え込みで思わぬ路面凍結に遭遇することもあります。 |
周囲の交通状況をよく観察し、いつも以上に慎重な運転が求められる月です。
6月:雨による視界不良や路面状態の悪さなど
6月は梅雨の時期にあたり、雨が原因となる事故が増加します。
雨天時の運転には、晴天時とは異なる危険が伴うため、以下のような要因で交通事故が発生します。
視界の悪化 | フロントガラスやミラーに付着した水滴、ワイパーの拭き残しなどで、周囲の状況を正確に把握しにくくなります。対向車の水しぶきで、一瞬視界がゼロになることもあります。 |
路面の滑りやすさ | 濡れた路面は摩擦係数が低下し、ブレーキをかけてから車が停止するまでの距離(制動距離)が長くなります。特に、降り始めの雨は路面のホコリや油を浮き上がらせるため、最も滑りやすい状態です。 |
歩行者・自転車の予測不能な動き | 歩行者は傘で視界が遮られがちで、自転車は雨を避けようと急な動きをすることがあります。ドライバーは、普段以上に歩行者や自転車の動きに注意を払う必要があります。 |
雨の日は「見えにくい」「滑りやすい」「止まりにくい」という状態にあることを認識し、速度を落として車間距離を十分にとることが重要です。
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まとめ:季節ごとの事故原因を理解して交通事故を防ごう

交通事故の発生件数は12月をピークに、特定の季節や月に集中する傾向がありますが、その背景には交通量や気象条件などの変動が影響しています。
しかし、最も大切なことは、これらの傾向を事前に理解し、常に慎重な運転を心がけることです。
季節ごとの危険をあらかじめ知っておくことで、防衛運転や防衛行動につながります。
時間にゆとりを持った運転計画と、周囲の状況を常に観察する危険予測の習慣を意識し、季節ごとの特徴を意識した運転を実践していきましょう。
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