車両火災が発生する原因とは?前兆や消化方法も徹底解説!

車両の火災の発生は、人的被害を引き起こすことはもちろん、業務の停止や財産の損失など企業にとって重大なリスクになります。

そのため、車両の管理者として、車両火災の原因や前兆、消化方法についての知識を持っておくことは非常に重要です。

車両火災は突然起こるわけではなく、前兆や原因を知っておくことで未然に防ぐことができる場合があります。

本記事では、車両火災の主な原因を紹介し、どのような前兆が見られるのか、そして万が一火災が発生した場合の適切な消火方法について詳しく解説します。

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実際に発生した車両火災の出火原因

実際に発生した車両火災の原因を理解することは、企業の車両管理において非常に重要です。

総務省消防庁「令和5年版 消防白書」より、令和4年度中に発生した車両火災の原因を、出火件数が多い順に紹介します。

車両火災の前兆やリスク要因を把握し、企業の安全対策に役立ててください。

排気管

排気管の過熱は、車両火災の原因の一つです。

排気管はエンジンの排気ガスを排出するため、非常に高温になってしまいます。

定期的に適切なメンテナンスをおこなわないと、排気管に付着したゴミやオイルの堆積により発火のリスクが高まるでしょう。

異臭などいつもと違うことを感じたら、速やかに整備士に相談することが重要です。

電気配線

電気配線のトラブルも車両火災の原因の一つです。

車両内には多くの電気配線があり、配線への摩擦で被覆が損傷することで短絡(ショート)につながります。また過負荷により発熱、発火することも考えられるでしょう。

事故後や異臭がするときなど、異常が感じられた場合は速やかに修理する必要があります。

電気機器

電気機器の故障や加熱も車両火災の原因です。

バッテリーは液量不足で内部短絡(ショート)し、爆発に至ります。

発電機故障のオーバーチャージが起こることがありますが、エアコン、ヒーターの過剰使用では通常火災に発展しません。

定期的に点検するのはバッテリーくらいなので、その他機器の異常や故障は、異音や異臭が発生して整備工場で点検を受けるまで気づけないケースも多々あるでしょう。

放火

放火による車両火災は、特に都市部や駐車場で問題になることがあります。

無防備な駐車状況や防犯の不備などが放火のリスクを高めます。

車両は安全な場所に駐車し、防犯カメラやセキュリティシステムを設置することで、放火のリスクを大幅に減少させることが可能です。

また、地域の防犯意識を高める活動に参加し、共同で安全な環境を作り出すことも有効です。

タバコ

タバコの火種が原因で車両火災が発生するケースも少なくありません。

車内の喫煙は、火種がシートやカーペットに落ちることで火災が発生するリスクが伴います。

特に、車内で燃えやすいものが多い場合は注意が必要です。

喫煙は喫煙所でおこない、吸い殻はしっかりと火が消えていることを確認してから処分するように徹底しましょう。

スプレー缶も夏場は爆発の危険がありますので、注意してください。

車両火災につながる具体的な要因と対策

車両火災は従業員の安全や企業の資産を脅かすだけでなく、運転中の車両で火災が発生した場合には重大な事故にもつながりかねません。

以下に挙げる具体的なポイントに注目し、適切な対策を講じて車両火災のリスクを低減しましょう。

燃料やオイル漏れ

燃料やオイル漏れは車両火災につながる要因です。

現在の車両では燃料漏れ自体は一般的に起こりづらい故障ですが、漏れた燃料やオイルが高温のエンジンや排気管に触れることで、簡単に発火してしまいます。

燃料やオイル漏れによる車両火災を防ぐには、定期的な点検をおこない、燃料ラインやオイルラインの亀裂や緩みをチェックすることが重要です。

特に、古い車両や高走行距離(年間走行距離が1万キロを超える車)の車両はオイル漏れのリスクが高まるため、注意してください。

エンジンルーム内への異物混入

整備・点検作業後にエンジンルーム内に雑巾を置き忘れることで、火災が発生することもあります。

雑巾が高温のエンジン部品に触れることで、発火するリスクがあります。

整備・点検作業をおこなった後は、必ずエンジンルームを確認して不要なものが残っていないかをチェックすることが重要です。

バッテリーのターミナルが緩むことで発生するショート

バッテリーターミナルとは、車両の各部に電気を送るための配線とバッテリー端子をつなぐ金属部品です。

バッテリーのターミナルが緩むと、接触不良やショートにより発火することがあります。

特に、振動が多い車両や長期間使用されている車両では、ターミナルが緩みやすくなります。

これらが原因の車両火災を防ぐためには、定期的にバッテリーのターミナルを点検し、緩みがないことを確認しましょう。

また、ターミナルの接続部分を清潔に保つことで、ショートのリスクをさらに減少できます。

バッテリーの管理は、安全性を維持するために欠かせないポイントです。

駐車位置の地面に枯れ草がある

駐車位置の地面に枯れ草があると、車両火災のリスクが高まります。

特に、車の排気管やエンジン部分が熱を持つと、枯れ草に引火しやすくなります。

このため、駐車する際には地面に枯れ草などの可燃物がないか確認することが重要です。

車両火災を予防する方法

車両火災は企業とって深刻なリスクへとつながります。

ですが、適切な予防策を講じることでそのリスクを大幅に減少できます。

車両の安全性を向上させ、火災による被害を未然に防ぐことが重要です。

ここからは、車両火災を予防するための方法について詳しく解説します。

火災の原因となるものを置かない

車両火災を防ぐための1つ目の方法は、車両内に火災の原因となるものを置かないことです。

前述のとおり、燃料やオイルの漏れ、可燃性物質、エンジンルームに放置させた雑巾などが火災の原因となってしまいます。

特に、日常点検整備や洗車後にはエンジンルーム内をしっかり確認し、不要なものが残っていないことを確認することが重要です。

日常点検整備・定期点検整備をおこなう

日常点検整備や定期点検整備をおこなうことは、車両火災を予防するための基本です。

オイル漏れ、エンジンルームへの異物混入、バッテリーのターミナルの緩みなど、火災の原因となる可能性がある問題を早期に発見し、それぞれの原因に合った適切な対処ができます。

定期的なメンテナンスを実施すれば、車両の安全性を維持し、火災のリスクを大幅に減少させられます。

電源を必要とする各機器の設置は専門家に依頼する

最近は、配線の接続も容易におこなえる部品がありますが、安全に設置できる自信がない場合は、専門家に依頼するようにしてください。

素人が無理に設置をおこなうと、配線の不備や接続ミスにより、ショートや火災が発生する原因になりかねません。

特に、車両の電気系統に関わる作業は高度な専門知識が必要であり、専門家による安全かつ確実な設置が求められます。

車両火災が起きた際の適切な対応・消火方法

車両火災が発生した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。

初期の対応が遅れると被害が拡大して、命の危険を伴うこともあります。

ここからは、車両火災が発生した際の具体的な対策と消火方法についてについて詳しく解説しますので、参考にしてください。

ハザードランプを点滅させて周囲に危険を伝える

車両火災が発生した場合には、まずはハザードランプを点滅させて後続車や周囲に危険を知らせましょう。

ハザードランプを点滅させることで、ほかのドライバーが車両を避けるようになり、二次災害を防ぐことができます。

路肩に停止して119番に通報する

安全を確保した後は、車両を速やかに路肩に停止させて119番に通報してください。

通報時には車両の状況や場所をできるだけ詳しく伝えることが重要です。

具体的な位置情報や火災の規模、車内にいる人の有無を正確に伝えることで、消防や救急隊の迅速な対応が期待できます。

通報後は可能な限り車両から離れて、安全な場所に避難にすることを心掛けましょう。

社内でマニュアルなどを作成し、社員全員に周知させることが重要です。

可能であれば初期消火をおこなう

初期消火が可能な場合は、消火器を使用して初期消火を試みましょう。

ただし、安全が最優先ですので、火の勢いが強い場合やガソリンタンク周辺での火災の場合は無理に消火を試みず、速やかに避難してください。

可能であれば、車内で初期消火や避難方法などの訓練やシミュレーションをしておくと良いでしょう。

車両火災の前兆は?

車両火災の前兆として、異常な臭いや煙、エンジンルームからの異音などが挙げられます。

これらの前兆が見られた場合は、速やかに運行を中止して原因を突き止めるための点検をおこなうことが必要です。

車両火災の前兆を早期に察知することは、企業の車両管理において非常に重要です。

車両火災は予期せぬタイミングで発生することが多いため、点検と車内整頓によりリスク回避につながります。

また、点検にあたる従業員が、車両火災の原因をきちんと理解しておくことも重要です。

形式的な点検ではなく、具体的に危険な行為や状況を理解したうえで点検をおこなえるよう、社内で従業員への教育も徹底しましょう。

まとめ:車両火災を起こさないための対策をしてリスクを回避しよう

企業における車両管理では、火災発生時の迅速かつ適切な対応が求められます。

車両火災の前兆や原因を理解し、万が一の際の対処法を知っておくことで、従業員の安全と車両の損害を最小限に抑えられます。

また、火災につながるような異常に気が付けるよう、適切な点検をおこなうことも重要です。

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