車線変更違反の罰金・点数は?違反ケースと場所別のルールを徹底解説

​車線変更に関する違反は、交通事故の原因となるだけでなく罰金や違反点数の加算など、行政処分の対象です。

この記事では、車線変更違反に関する罰金・点数、具体的な違反ケースや違反後の流れと対処法など、安全な車線変更のポイントについて解説します。​

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車線変更違反とは

車線変更の違反は、道路交通法において『進路変更禁止違反』として定められており、進路変更が禁止されている場所で車線を変更する行為が該当します。

道路交通法第二十六条の二では、次のように述べられています。

(進路の変更の禁止)
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

引用:道路交通法第二十六条の二|e-GOV 道路交通法

違反になりやすい車線変更ケーススタディ

車線変更は、日常的な運転操作の一つです。

ここでは、特に違反になりやすい車線変更の事例を紹介し、注意すべきポイントを解説します。

キープレフト違反

『キープレフト(Keep Left)』とは、日本の道路交通法で定められている、道路の左側通行を基本とする原則です。

高速道路及び2車線以上の一般道でも、一番右側の車線は追い越しのための車線とされているため、走行中ずっと右側を走り続けると『通行帯違反』になる可能性があります。

通行帯違反とみなされる事例には、次のようなものがあります。

  • 高速道路で右側車線を長時間走行し続けている
  • 追い越しが終わっても左車線に戻らない
  • 走行中、後続車に追い越しをかけられているのに右車線に居座り続ける

これらの行為は、通行帯違反(道路交通法第二十条)に該当し、違反点数が科されることがあります。

追い越しが終わったら、速やかに左側車線に戻るよう心がけましょう。

出典:道路交通法第二十条|G-GOV道路交通法

追い越し禁止場所での車線変更

禁止されている場所での車線変更は、取り締まりの対象です。

道路交通法第三十条に基づき、次のような場所では追い越しによるものも含め、進路変更は原則禁止です。

  • 交差点の直前・直後
  • 横断歩道や自転車横断帯の手前
  • トンネル内
  • 踏切付近
  • 進路変更禁止の標識や標示がある場所

進路変更禁止場所での車線変更は『通行区分違反』となり、反則金や違反点数が科されます。

事故が発生した場合には責任が重くなる可能性があり、リスクの高い行為なので、進路変更をしたい場合は禁止場所を避けて早めに進路を決めておくことが大切です。

ナビの案内や道路標識をよく確認し、あわてて急な進路変更をしないように心がけましょう。

交差点内での追い越しのための車線変更

交差点やその手前30メートル以内(以下、交差点内)では、道路交通法第三十条第三号により、追い越しを目的とした車線変更は例外を除いて禁止されています。

<違反になるケース>

  • 交差点手前で遅い車を追い越すために右車線へ変更する
  • 交差点を通過中に前方の車を抜くために左から追い越す

これらはすべて交通違反となり、故意であれば3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失であっても10万円以下の罰金が科される可能性があります。

出典:道路交通法第百十九条|G-GOV道路交通法 

<違反にならないケース>

  • 緊急自動車に進路を譲るための車線変更
  • 車線境界線が白色で、追い越しではなく進路変更の一環としての車線変更
  • 自転車などの軽車両を追い越す場合

合図不履行

進路を変更する際は、事前にウィンカーを使って周囲のドライバーに合図することが道路交通法第五十三条により義務付けられています。

『合図不履行』とみなされる場合の事例には、次のようなものがあります。

  • 車線変更の際にウィンカーを出さなかった
  • ウィンカーを出すのが遅すぎて他車に意図が伝わらなかった

このような行為はいずれも『合図不履行』に該当し、違反点数1点、反則金6,000円(普通車)が科されます。

さらに、合図不履行による事故では過失割合が加算されることもあり、通常の車線変更事故よりも前方車の責任が重くなることもあります。

進路変更の際には、3秒以上前からウィンカーを出して合図しましょう。

出典:警視庁 交通違反の点数一覧表 警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表

場所別の車線変更ルールを図解で解説

車線変更は日常的な運転操作ですが、道路に描かれた線の意味を正しく理解していないと知らぬ間に間違った危険な行為をしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、道路標示による車線変更ルールを図解つきで4つのパターンに分けて解説します。

黄色線(イエローライン)

参考:JAF|クルマ何でも質問箱

黄色の実線は『追い越しのためのはみ出し通行』を禁止するラインなので、センターラインに引かれている場合、右側へ出て追い越すのは法律違反です。

工事車両や駐停車中の車を避ける場合は、追い越し目的でなければ一時的なはみ出しは許されます。

特殊なパターンとして『黄色の実線+白の破線が2本』並んでいる場合は、自分の側のラインが何色なのかによって、意味が異なるので注意しましょう。

  • 自分の側が白の破線 ⇒ はみ出しOK
  • 自分の側が黄色の実線 ⇒ はみ出しNG

白の実線

参考:JAF|クルマ何でも質問箱

白の実線は「車線変更を控えるべき区間」であり、法的には禁止されていないものの、原則として車線変更禁止の場所です。

白の実線は主にトンネル内や交差点手前、合流・分岐点の直前など、安全確保が求められる場所や、左側車線が6m以上の広い道路で使われています。

白の実線がセンターラインとして引かれている場合の右側へのはみ出し通行は禁止されており、追い越しや駐車車両を回避するときも対向車線には入れません。

車線境界線として引かれている場合は車線変更は可能ですが、無理な車線変更は危険です。

十分な安全確認をした上で慎重に車線変更しましょう。

白の破線(点線)

参考:JAF|クルマ何でも質問箱

白の破線は、車線変更が許可されている区間を示します。

白色実線が引かれる場所以外は破線で表示されており、主に幅6m未満の道路で交通量の少ないエリアに引かれていることが多く、対向車にはみ出しての追い越しが可能です。

車線境界線として引かれている場合も車線変更は自由ですが、どちらの場合もウィンカーでの合図と安全確認は必要です。

急な割り込みや斜め侵入なども事故のリスクを高めてしまうため、周囲の状況を十分に確認し、安全を確保した上で車線変更しましょう。 ​

黄色の実線と白の波線

参考:JAF|クルマ何でも質問箱

高速道路の合流地点や分岐部では『白実線』『白破線』『黄色実線』など、複数のラインが組み合わされている場合があります。

  • 白の破線:合流または分岐が可能なゾーン
  • 白の実線:車線変更の制限。合流完了エリアではラインをまたいでの進入NG
  • 白+黄の2本ライン:自車側のラインの意味が優先される

​合流ポイントでは、ミラーでの後方確認と早めのウィンカーで合図を出しましょう。

無理な割り込みや急な車線変更は事故の原因となるため、十分な注意が必要です。

違反後の流れと対処法

車線変更禁止の道路標示を無視して違反した場合、一般的には『進路変更禁止違反』として反則金が課せられ、普通車の場合6,000円、違反点数は1点が加算されます。

ただし、危険な車線変更で事故や妨害運転とみなされた場合には、行政処分に加えて刑事処分となる可能性があります。

出典:警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表 ,交通違反の点数一覧表 警視庁

違反切符(青切符)を切られた後の流れ

車線変更違反で青切符を交付された場合、まず警察官から違反内容の説明を受け、サインを求められます。​

交通反則通告制度(反則金を納めることにより、事件の手続きを終わらせる制度)を適用させるかどうかは、違反者が選択できるためサインの拒否も可能です。

適用を受ける場合は、指定された期限内に反則金を納付する必要があります。

参考:山梨県警察/交通反則通告制度のよくある質問Q&A

反則金の納付方法と期限

反則金は、銀行・信用金庫・郵便局で納付できます。

納付期限は通常、違反日から7日以内です。​

​期限内に納付しなかった場合は、以下のいずれかで新たな納付書を再交付してもらう必要があります。

  1. 免許センター内の通告センターに出頭して新たな納付書を受け取る
  2. 通告センターに出頭しなかった場合は、40日程度で反則金相当額と送付費用を合わせた納付書が郵送される

新たな納付書の納付期限内に納付しなかった場合は、刑事手続きに移行する可能性があるため、速やかな対応が求められます。

出典:警視庁 反則金の納付

違反に納得できない場合の対処法

違反に異議がある場合、反則金を納付せず、裁判で争うことが可能です。

​この場合、検察からの呼び出しを受け、裁判所で主張をしなければなりません。​

ただし、裁判には時間と労力がかかるため、慎重な判断が必要です。

車線変更違反が免許に与える影響

車線変更違反による点数加算は1点とはいえ、累積により免許停止や取り消しにつながる恐れがあります。

免許をとって間もないドライバーや免停歴がある方は注意が必要です。

また、違反が繰り返されると『危険運転者』として、運転免許を受けることのできない期間の上限引き上げなどの行政処分が実施され、道路交通の場から排除される可能性があります。

出典:警察庁 運転者施策

事故を伴った場合は刑事罰や行政処分が重くなるため「少しくらいなら」と油断せず、日頃から意識して安全運転に努めることが大切です。

累積点数による免許停止・取り消し

最後に交通違反や交通事故を起こした日から、過去3年間の累積点数を基準に停止や取消処分等の行政処分が行われます。

例:過去3年以内に行政処分を受けたことがない場合

  • 6点から14点まで:停止処分
  • 15点以上:取消処分

そのため、過去3年以内に行政処分を受けたことがある場合や行政処分歴が多い場合は、低い累積点数で処分対象となります。

出典:警視庁

安全な車線変更のポイント

車線変更時の安全確保はミラーだけに頼らず、死角にいるかもしれない車両の存在確認と約3秒前のウィンカーの点灯で周囲への意思伝達が大切です。

高速道路などの合流地点では早めの判断とスムーズな加速も重要なので、道路標示や標識を見落とさず、禁止区域での変更は絶対に避けましょう。

決められたルールを守ることが、自分と他人の命を守る第一歩です。

  • 車線変更前の安全確認:ミラーや目視で周囲の車両や歩行者の有無を確認して安全を確保する
  • 適切なタイミングと合図:約3秒前にウィンカーを出し、周囲に意思を伝える
  • スムーズな車線変更のための速度調整:車線変更前後で速度差が大きいと、事故を誘発する可能性があるため​周囲の流れに合わせた速度調整を心がける
  • ​安全な車間距離の確保:急な車線変更やブレーキにも対応できるよう、十分な車間距離を保つ

まとめ:安全運転を心がけ、違反のない車線変更を

車線変更違反は、見落としや軽視から起こることが多い違反ですが、その影響は想像以上に大きいものです。

事故のリスクはもちろんのこと、反則金や点数の加算や免許の効力にも関わるため、確かな知識と慎重な運転が求められます。

道路標示の意味を正しく理解し、車線変更のルールを守ることが安全運転の第一歩です。

自分だけでなく、周囲のドライバーや歩行者の安全を守るためにも日々の運転に責任を持った行動を心がけましょう。

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