ふんわりアクセルとは?実践で得られる効果や注意点について解説

ふんわりアクセル「eスタート」は「エコドライブ10のすすめ」の一つとして、環境庁をはじめ自動車メーカーやいくつかの市町村でも取り上げられている発進方法です。

具体的には、交通安全や燃費、環境保全にも効果があるとされていますが「実際に効果はどれぐらい?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ふんわりアクセル「eスタート」がどういったものなのか、効果や実施する際の注意点などについて解説します。

スマホやタブレットでの受講も可能

ふんわりアクセルとは

ふんわりアクセル「eスタート」とは、国が推進している車の発進方法です。

名前の通り、ふんわりとアクセルを踏んで車を発進させる方法で、実践により以下3つの効果があるとされています。

  • CO2排出量の削減
  • 燃費の向上
  • 事故発生リスクの減少

各自動車メーカーにおいても、ふんわりアクセルを実現するシステムの開発や試乗会でアドバイスをするなど、ふんわりアクセルの普及に積極的に取り組んでいます。

また『ふんわりアクセル「eスタート」』の名称は、平成17年に公募されたものであり、約1,300件の応募の中から選ばれました。

ふんわりアクセルが生まれた背景

ふんわりアクセルが生まれた背景には「地球温暖化問題」があります。

現在日本では、温暖化防止に向けて「2030年度においてCO2を含む温室効果ガス排出量の46%削減(2013年度比)」を目標に掲げています。

※参考:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定) | 環境省

温室効果ガス削減施策の一つとして、取り組まれているのがエコドライブであり、具体的な取り組み内容として策定されたのが、ふんわりアクセルを含む「エコドライブ10のすすめ」なのです。

  1. 自分の燃費を把握しよう
  2. ふんわりアクセル「eスタート」
  3. 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
  4. 減速時は早めにアクセルを離そう
  5. エアコンの使用は適切に
  6. ムダなアイドリングはやめよう
  7. 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
  8. タイヤの空気圧から始める点検・整備
  9. 不要な荷物はおろそう
  10. 走行の妨げとなる駐車はやめよう

出典:「「エコドライブ10のすすめ」の改訂について」(国土交通省)

エコドライブは、国民の誰もが手軽に実施できる施策として国によって推進されており、現在でも積極的に取り組みがおこなわれています。

ふんわりアクセルの実施により得られる効果

ふんわりアクセルは、ドライバーの心がけ一つですぐに実践できるエコドライブです。

しかし「実際にどれくらい効果があるのかわからない」と考え、積極的に取り組む気持ちになれないかもしれません。

以下に、ふんわりアクセル「eスタート」の実施により得られる効果を、数字を使って具体的に紹介します。

CO2排出量の削減

ふんわりアクセルの実施により、CO2の排出量を12%削減(※1)できます。

2021年度におけるCO2排出量の15.1%(※2)が、自動車の排気ガスが原因となっている点から考えても、温暖化防止に大きな効果があると言えるでしょう。

※1:ふんわりアクセル「eスタート」|エコドライブ10のすすめ|大気環境の情報館|大気環境・ぜん息などの情報館|独立行政法人環境再生保全機構

※2:環境:運輸部門における二酸化炭素排出量 – 国土交通省

燃費の向上

ふんわりアクセルを実施すると約10%(※1)燃費が向上します。

乗用車が1km走行した場合、発進において約33.9ccの燃料を消費しますが、ふんわりアクセルの実施により、消費量を22.4ccにまで削減できます。(※2)

また、ある物流企業が1,420台の車を対象にふんわりアクセルの効果を調査したデータによると、ふんわりアクセルの実施率80%以上の車両と80%未満の車両とでは、燃費の差が3.42%あったとの結果も出ています。

※1:エコドライブ10のすすめ|エコドライブ|デコ活 ウェブサイト(環境省)

※2:乗用車のエコドライブテキスト:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団

燃料コストの低下

ふんわりアクセルの実施は燃料コストの低下にもつながります。

資源エネルギー庁の試算によると、年間を通してふんわりアクセルを実践することで、約11,950円の節約につながります。

また、ふんわりアクセル以外にもエコドライブを実践により、以下のような節約効果を得ることが可能です。

エコドライブの内容節約効果(年間)
加減速の少ない運転4,190円
早めのアクセルオフ2,590円
アイドリングストップ2,480円

出典:「無理のない省エネ節約​」(資源エネルギー庁)

すべて実践すれば、車両1台あたり2万円以上もの燃料コストの低減につながります。

事故発生リスクの減少

ふんわりアクセルの実施には事故発生のリスクを抑える効果もあります。

車の急発進・急加速は周囲の危険に対応できなかったり、前の車に追突したりする可能性があり危険です。

特に、交差点における急発進・急加速は周りに車や人が多いことから、非常に危険と言えるでしょう。

ふんわりアクセルをおこなうことで、車はゆっくりと発進することになるため、事故発生のリスクを抑えることが可能です。

また「エコドライブ10のすすめ」には、ふんわりアクセル以外にも交通安全につながる内容が多く含まれています。

  • 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
  • 減速時は早めにアクセルを離そう
  • 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう

環境保全だけでなく交通安全のためにも「エコドライブ10のすすめ」の実践はおすすめです。

ふんわりアクセルの実践方法

ふんわりアクセルの実践方法は以下の通りです。

  1. クリープ現象で動き出し
  2. 徐々に加速
  3. 穏やかに速度上昇
  4. 目標速度に

動き出しのブレーキからアクセルへ操作を切り替える際に、一呼吸置くイメージです。

また、スピードの目安は、発進から最初の5秒間で時速20キロに達するくらいの加速をイメージすると良いでしょう。

【方式別】ふんわりアクセル時の注意点

ガソリン車やEV、ハイブリッド車などの方式によって、燃料効率の良い発進方法は異なります。

以下で、各方式別におけるふんわりアクセル時の注意点を解説します。

※参考:4つの走行パターンと燃費(誰でもできるエコ運転術)|JAF

ガソリン車

ガソリン車でふんわりアクセルを実施する際の注意点は、一気にアクセルを踏み込まないことです。

ガソリン車の場合、最初からいきなりアクセルを踏み込んでも、パワーがエンジンに伝わらないため、燃料を無駄に消費してしまいます。

そのため、ある程度動き出すまでは、車の動きがついてくる程度に優しくアクセルを踏むことがポイントです。

ハイブリッド車

ハイブリッド車でふんわりアクセルを実施する際は、ガソリンエンジンを使わずに発進することです。

発進時にアクセルを踏み込みすぎると、ガソリンエンジンを併用することとなり、燃費に悪影響をおよぼすため、ガソリン車と同様に優しく発進しましょう。

また、目標速度の達成後はアクセルペダルから一度完全に足を外し、ガソリンエンジンから電気モーターに切り替えるのも、燃費よく走るためのポイントです。

EV

EVの場合、電力消費をいかに抑えるかがポイントです。

EVは環境の維持を目的として開発された車であり、ガスの排出はありませんが、安全確保や電力消費を抑えられることから、エコドライブの実践は無駄ではありません。

急発進をしてしまうと、無駄に多くの電力を消費することにつながるため、ガソリン車と同じようにふんわりアクセルを心がけましょう。

【すぐに実践可能】ふんわりスタート以外のエコ運転術を紹介

車両発進時のふんわりスタート以外にも、すぐに実践できるエコドライブは少なくありません。

以下に、走行時・減速時・停車時の各シーンにおける、すぐに実践可能なエコ運転術を紹介します。

走行時

走行時におけるエコ運転術は以下の通りです。

方式エコ運転術
ガソリン車・できる限りアクセルを一定にして走行・早めのアクセルOFF・早めの車線変更による加減速の削減
ハイブリッド車・加減速を減らして一定速度をキープし、ガソリンエンジンを使用しない状態を維持する
・緩やかな加速で発進時のモーター比率を上げる
・下り坂の際は「回生充電」を活用する※回生充電:走行中に発生する運動エネルギーから電気を創り出してバッテリーに充電する機能でガソリン車におけるエンジンブレーキの役割も果たす
EV・一定スピードでの運転を心がける・下り坂の際は「回生充電」を活用する

全体に共通して言えるのは、スピードを一定に保つことで燃料・電力の消費は抑えられるという点です。

運転時はできるだけ先も見るようにして、加減速を少なくするよう心がけましょう。

減速時

減速時におけるエコ運転術は、停止位置を予測して早めにアクセル操作をやめることです。

具体的には、信号などで停まることがわかった時点で、エンジン(回生)ブレーキによって減速し、停止位置に近づいた段階でフットブレーキを使って停止します。

早めにアクセルから足を離すことで、無駄な加速を減らせるだけでなく、フューエルカットと呼ばれる機能によって燃料消費を大幅に削減できます。

ただし、早くアクセルを離しすぎると再加速が必要になるため、車が持つエンジンブレーキの性能をしっかりと把握しておきましょう。

停車時

停車時のエコ運転術は、しっかりとアイドリングストップをすることです。

ガソリン車の場合、10分間のアイドリングで約130ccの燃料を消費します。

周辺の状況にもよりますが、アイドリングは無駄に燃料を消費するため、できる限りアイドリングストップを心がけましょう。

エコドライブの実践には定期的な安全運転教育が重要

企業において、多くの従業員にふんわりアクセルやエコドライブを実践してもらうためには、定期的な安全運転教育の実施が重要です。

ふんわりアクセルをはじめとしたエコドライブは、知識として持っているだけではなく、実際の行動に移すことではじめて意味があります。

特に、企業においてドライバー全員にふんわりアクセルを実践してもらうためには、方法だけでなく意味や背景を説明し、必要なことであると認識してもらうことが重要です。

まとめ:ふんわりアクセルを実践して環境や安全に配慮しよう

ふんわりアクセルとは、温暖化防止の取り組みである「エコドライブ10のすすめ」の一つで、実施することでCO2の削減や燃費向上などの効果が得られます。

ふんわりアクセルを含む「エコドライブ10のすすめ」は、CO2削減だけではなく交通安全に効果のあるものもあります。

以上のことから「エコドライブ10のすすめ」は、取り組む価値の高い内容といえるでしょう。

「エコドライブ10のすすめ」の教育・実践には、eラーニング「JAF交通安全トレーニング」がおすすめです。

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また、管理者機能によって学習の進捗も一元管理ができるため、効率的に交通安全教育を進められます。

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毎日の学習で交通安全意識の向上へ。通勤・通学・あらゆる事故を減らしたい。そんな想いからJAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しました。
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