大手損害保険会社を中心に、2026年1月から自動車保険(任意保険)の保険料が大幅に値上げされることが発表されました。
保険料値上げに至った背景として、近年の物価高に連動する部品価格高騰や人件費の上昇のほか、車両システム高度化による修理費用高騰などが関係しているようです。
保険料値上げの影響は一般的な自家用車だけでなく、企業が保有する社用車にも。
企業の場合、保有する車両台数が多ければ多いほど、会社のコストは上昇してしまいます。
この記事では、2026年に自動車保険が大幅上昇することになった背景を深堀りし、企業レベルで取り組むことのできる対策を解説していきます。
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目次
なぜ2026年に保険料が値上がりするのか?

報道によると、損保大手4社のうち、損保ジャパン・三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保の3社は2026年1月から平均6~7.5%引き上げる見込み。さらに東京海上日動では、2025年10月から全国平均で8.5%引き上げがすでに実施されているとのことです。
これら損保大手4社の保険料引き上げ幅は過去最大として注目を集めており、2026年以降の保険料負担増加に頭を悩ませる事業者が少なくないようです。
ここでは、保険料がどのように算定されているのか、また今回の値上げの具体的な背景を探っていきます。
出典:大手損保4社、自動車保険を6〜8.5%引き上げへ|日本経済新聞
値上げの土台となる参考純率改定

各保険会社は、過去の事故や災害を分析し、公平・適正な金額となるよう損保料率機構が算出する「参考純率」を料率の基礎とし、保険料を個別に設定することができます。
自動車保険の参考純率は、昨年の6月に全国平均5.4%引き上げが実施されており、この料率改訂が大きく影響していることも原因のひとつと考えられます。
保険料値上げの具体的な背景
値上げの原因として、修理費・人件費の高騰が影響していると先述しました。
その中で、修理費上昇の大きな要因として挙げられるのが、近年の先進運転支援システム(ADAS)の急速な普及です。
安全面では非常に有用なシステムであるADASですが、カメラやレーダー部品の高性能化や複合部品化が修理費に影響しています。
そして、高性能な部品の修理には高度かつ複雑な作業技術が必要になることから、交換に要する工数も増加していく可能性があり、工数が増えれば人件費も必然的に膨らみ、事故一件あたりの損害・修理額にもその分が上乗せされることになるのです。
そういった背景が保険料率への影響することが避けられず、今後、仮に事故の発生件数が横ばいに推移したとしても、保険金額の高騰は避けられないという現状となっています。
出典:大手3損保、2026年1月に自動車保険を過去最大の値上げ 6~7.5% 災害や修理費上昇で|一般社団法人 日本自動車会議所
企業ができる保険料節約術

自動車業界を取り巻く昨今の物価事情によって、自動車保険料の値上げは避けられないことであることがわかりました。
これに備えるためには、現在の契約内容や補償内容を見直してみることが重要です。
ここでは、自動車保険の基本的な知識を説明していきます。
不必要な補償内容や重複している特約がないかを確認し、保険内容を必要最低限に絞ることで保険料を抑えることができないか検討してみましょう。
ノンフリート・フリート契約の違い
自動車保険には大きく分けて「ノンフリート契約」「フリート契約」「ミニフリート契約」の3パターンが存在します。
ノンフリート契約は少ない台数(通常9台以下)を条件とする車両ごとの個別契約で、等級(1~20等級)によって保険料が決定し、事故の有無によって翌年の保険料が増減します。
一般的な自家用車に係る自動車保険の多くは、このノンフリート契約に該当します。
対して、フリート契約は10台以上の車両を一括契約するものです。
ノンフリート契約のように、等級は存在せず、契約車両全体の事故歴や損害率をもとに翌年の保険料を算出する方式です。
自動車保険の更新が全車統一でおこなわれるため、契約を管理しやすいメリットもありますが、契約車全体で事故が多かったり、事故一件あたりの損害が大きかったりすれば、翌年の保険料が大幅に割増するリスクも存在します。
2~9台の複数のノンフリート契約を一つにまとめ契約台数に応じて割引を適応する、いわばフリート契約とノンフリート契約の中間のような「ミニフリート契約」という保険商品も存在します。
保険会社によっては「ノンフリート契約多数割引」「複数台割引」などさまざまな名称で取り扱っている場合があります。
このように、社用車を1台のみ保有する会社はノンフリート契約、2台以上9台以下保有している会社はミニフリート契約、10台以上保有している会社はフリート契約にすることで経費の圧縮を図れる可能性があります。
保険会社によって値引きなどの適用条件は異なることがありますので、気になる方は保険会社に確認をしてみましょう。
フリート契約については下記記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
特約・オプションの見直し
自動車保険の特約やオプションは、車両保険・免責金額・代車費用・弁護士費用など多岐に渡ります。
どれも万が一の際に役立つものですが、付帯範囲が広ければ広いほど保険料は上がります。
そのため、「本当に必要な特約なのか?」を見極め、必要に応じて保険内容を見直す必要があります。
例えば、弁護士費用特約やロードサービス特約などは、他のサービスで代替できる場合もあるので検討してみましょう。
保険会社の担当者と相談しながら無駄なオプションを省くことで、保険料の節約につなげましょう。
ドラレコ連動型の自動車保険

今やドラレコ(ドライブレコーダー)を車に装着することが当たり前の時代になりました。
近年、このドラレコを活用した自動車保険が増えているのはご存じでしょうか。
ドラレコ連動型の自動車保険は、事故映像や運転データ(急加減速・車両逸脱等)を活用した保険料・事故対応・安全指導の最適化が可能です。
このような保険の中には、安全運転スコアや年間走行距離に応じて割引・割増される商品もあります。
ドライバーの運転状況を可視化することができれば安全運転教育につながり、さらには保険料の削減も狙うことができるかもしれません。
費用対効果が高い対策とは?

物価高が続く昨今の情勢を鑑みると、将来的に保険料が下がる方向へ一転するとは考えにくいのが現状です。
では極端な話、保険料値上げによって、自動車保険は加入が義務付けられる自賠責保険と異なりユーザーが任意で加入するものという位置付けですから、加入せず任意保険料自体を浮かせるという手段もあります。自賠責保険未加入の場合は罰則がありますが、任意保険に未加入だとしても法律上問題はないと言えます。
しかし、万が一事故を起こした際に任意保険未加入だと、相手から請求される損害賠償額をカバーしきれない場合があるなど、莫大なリスクを考えると未加入は現実的ではなく、当然推奨もできません。
そこで着目したいのは、「事故そのものを減らす」という考え方です。
保険の契約形式がフリート、ノンフリート、ミニフリートどの契約方式であっても、交通事故を減らすことが出来れば事故による損害が抑えることができる上、保険料割引の恩恵を受けられるため、費用対効果の高い方法といえるでしょう。
どのような交通安全教育を検討すべきか
では、企業の事故防止に有効な策はなにか?
それが「オンライン×オフラインのハイブリッド教育」です。
オンライン教育とは、パソコンやスマホで学ぶ映像やテキストを用いた学習のことを指し、交通安全の基礎知識や、道路上の危険についてさまざまなケースを学ぶことができる上、反復学習にも適しています。
一方、オフライン教育とは、実車を用いる体験型学習や対面形式の座学により、その身を以って安全な運転方法を実践することで、高い修学率を見込むことができる方法です。
これら両者を組み合わせたハイブリッドな教育が企業の事故防止に効果的です。
まずは、OJTや集合研修といったオフライン教育による直接指導を実施し理解をより深めることで、ドライバーの安全意識の醸成・安全行動への変容が期待できます。
さらに、オンライン教育を短時間・高頻度で実施することで、交通安全知識や危険予知能力を高め、安全意識を高いレベルで維持していくことが、体系的な交通安全教育施策の一歩目です。
交通安全のオンライン教育に興味がある方は、まずは下記問い合わせよりお気軽にご相談ください。
交通安全のお困りごと・お悩みもお気軽にご相談ください。
まとめ: 自動車保険値上がりをきっかけに事故防止策を見直そう
この記事では、2026年に自動車保険が大幅上昇することになった背景と、企業レベルで取り組むことのできる対策について解説しました。
参考純率の引き上げにともない、大手損害保険会社を筆頭に最大級の上げ幅が報じられています。
企業の対策として、この機に保険内容見直しをおこなうことで今の保険料に下がる余地はないかを検討するだけでなく、「事故そのものを減らす」といった根本的な安全教育を従業員に施す方法をおすすめします。
そのためには、「安全を最優先」とする安全意識の醸成と、その安全意識を高い状態で保つための継続的なアプローチが必要です。
そこで、e-ラーニング形式で配信するオンライン型の交通安全教材「JAF交通安全トレーニング(通称JAFトレ)」をおすすめします。
JAFトレでは、「継続教育」「交通安全に触れる機会を増やす」という点が交通安全教育には必要不可欠だと考えており、その強い理念に共感をいただいた多くの企業から継続的なご利用をいただいています。
長年、ロードサービスを提供するJAFが積み重ねてきた、交通安全のノウハウがふんだんに盛り込まれているこの教材は、すき間時間を活用し、パソコンやスマホを使っていつどこからでも受講が可能となっていることから、「従業員の習熟率が高い」「受講管理が簡単なのでありがたい」と好評です。
ドライバーの継続的な安全教育、企業の生産性向上、コスト削減に大きく貢献することができるため、JAF交通安全トレーニングをぜひ検討してみてください。
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