VICSとは?仕組みや得られる情報、表示形式について解説

カーナビに用いられている「VICS」というシステムをご存知でしょうか?

VICSの仕組みを理解しておくことで、渋滞回避や安全運転の推進に役立ちます。

この記事では、VICSの概要や仕組みについて解説します。

VICSの基本を抑えて、社内の安全運転推進に役立ててください。

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VICSの概要

VICSの概要

まずは、VICSの基本的な情報を紹介します。

VICSとは

VICS(Vehicle Information and Communication System)とは、渋滞や交通規制などの道路交通情報(VICS情報)を、リアルタイムにカーナビに届けるシステムのことです。

道路交通情報はVICSセンター(一般財団法人道路交通情報通信システムセンター)によって24時間365日提供されており、カーナビによるルート検索や渋滞回避に活用されています。

提供される主な情報は以下のとおりです。

  • 渋滞情報:渋滞カ所や渋滞区間
  • 所要時間:目的地までの移動にかかる時間
  • 交通規制情報:通行止や速度規制、車線規制などの情報
  • 交通障害情報:事故や路上障害物、工事などの情報
  • 駐車場情報:駐車場・SA/PAの位置や満車・空車の状態に関する情報

VICSによって提供されるリアルタイムの道路交通情報は、快適でスムーズな移動の実現だけでなく、交通安全の向上にも貢献しています。

出典:一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター ホームページ

VICS受信機は多くのカーナビに内蔵されている

VICS受信機は、現在販売されているほとんどのカーナビに内蔵されています。

以下の表は、VICS車載機の累計出荷台数の推移を示しています。

1997年442,492台
2000年2,804,190台
2005年15,017,556台
2010年30,132,111台
2015年50,290,475台
2020年71,548,248台
2023年82,172,499台
出典:VICS車載機出荷台数|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

1997年までの出荷台数は累計44万台でしたが、2023年3月末時点では累計で8,200万台を超えています。

ただし、製造年の古いカーナビの中には、VICSに対応していないものもあります。

そのため、型式の古いカーナビを購入する場合は、事前にVICSに対応しているかどうか調べておきましょう。

2015年4月から始まった「VICS WIDE」とは

2015年4月からは、「VICS WIDE」という新サービスが始まりました。

VICS WIDEとは、VICSの約2倍の情報量を提供するサービスです。

従来のVICSより高精度な渋滞回避が可能で、渋滞を約10%低減し、快適な運転環境を実現することが可能です。

さらに、気象情報などの緊急情報や大雨エリア情報など、道路交通情報以外の情報も考慮した、安全なルート構築を実現しています。

ただし、サービスを受けるにはVICS WIDE対応機種が必要です。

出典:VICS WIDEの紹介|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

注意点:VICSの時刻表示は現在時刻と異なる

カーナビの「VICS」という文字やマークの近くに表示される時刻は、現在時刻とは異なります。

これは、表示されている時刻が、VICSセンターから道路交通情報が発信された時刻であることが理由です。

現在時刻と違っていても故障しているわけではないので、注意してください。

VICSの仕組みと提供する情報

VICSの仕組みと提供する情報

VICSでは、VICSセンターが収集し、編集・処理した情報を、道路交通情報としてカーナビに届けています。

情報伝達には通信・放送のメディアを用いますが、メディアによって提供される情報などが異なります。

FM多重放送|都道府県と周辺の道路交通情報を提供

FM多重放送は、各地のNHKのFM放送局から、受信している都道府県とその周辺の道路交通情報を提供するメディアです。

提供される情報は以下のとおりです。

  • 渋滞情報や所要時間情報
  • 事故、工事、災害、気象条件などによる規制情報
  • 駐車場の満車・空車情報

情報は5分間隔で更新されます。

ただし、カーナビに表示されるまでには時間がかかることがあるので、常に最新情報が表示されているわけではない点に注意してください。

出典
FM多重放送とビーコン|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター
VICSの仕組み|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

光ビーコン|近い範囲の一般道と高速道路の情報を提供

光ビーコンとは、主要な一般道路に設置されており、車の前方30km以内と後方1km以内の道路交通情報を提供するメディアです。

路上に設置された送信機から赤外線を出すことで情報提供できる仕組みで、ビーコンの手前3.5m程度が受信可能エリアです。

主に以下の情報が提供されます。

  • 渋滞情報や所要時間情報
  • 事故や故障車、工事、災害、気象条件などによる規制情報(通行止、車線規制、速度規制、チェーン規制など)
  • 駐車場の満車・空車情報

出典:VICSの仕組み|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

電波ビーコン|広範囲の道路交通情報を提供

電波ビーコンとは、高速道路に設置されているメディアです。

電波ビーコン(2.4GHz帯)とETC2.0(5.8GHz帯)がありましたが、従来の電波ビーコン(2.4GHz帯)は2022年3月31日で終了となりました。

現在のETC2.0(5.8GHz帯)は、進行方向の前方1,000km程度の情報を提供しています(2.4GHz帯の場合200km)。

提供する情報は以下のとおりです。

  • インターチェンジ間の所要時間
  • 渋滞情報や分岐案内(並行する主要一般道含む)
  • 事故や故障車、工事、災害、気象条件などによる規制情報(通行止、車線規制、速度規制、チェーン規制など)

出典:VICSの仕組み|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

VICSの3つの表示形式

VICSの3つの表示形式

VICS情報は、受信機の機能や性能などによって、表示形式が異なります。

レベル3:地図表示

レベル3では、カーナビの道路地図上に、広域の道路交通情報が表示されます。

走行地点と渋滞、規制カ所などが一目でわかるのが特徴です。

提供される情報は以下のとおりです。

  • 渋滞情報:渋滞を赤色、混雑をオレンジの矢印で表示。矢印の長さで区間もわかる。
  • 駐車場情報:駐車場・SA/PAの位置、満車・空車の状態(色別表示)、施設案内
  • 交通障害情報:事故、故障車、路上障害物、工事、作業など
  • 交通規制情報:通行止、速度規制、車線規制など

視覚的にわかりやすいため、スムーズな情報取得ができるでしょう。

出典:VICSの見方|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

レベル2:簡易図形表示

レベル2では、道路交通情報がパターン化されたシンプルな図形や文字で表示されます。

サービスエリアや高速道路などで見られる電光掲示板に近いイメージです。

FM多重放送で提供される道路交通情報をカーナビに表示するのは手動操作ですが、ビーコンで提供される情報は自動的に表示されます。

出典:VICSの見方|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

レベル1:文字表示

レベル1では、道路交通情報が30字以内(1行15字×2)の簡潔な文字で表示されます。

レベル2と同様に、FM多重放送で提供される文字情報は手動操作で、ビーコンから提供される文字情報は自動で表示されます。

出典:VICSの見方|一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター

まとめ:VICSを活用して、効率的かつ安全な運転を実現しよう

まとめ:VICSを活用して、効率的かつ安全な運転を実現しよう

VICSとは、道路交通情報をリアルタイムでカーナビに届けるシステムのことです。

渋滞や交通規制に関する情報がわかるため、目的地までのスムーズな移動をサポートしてくれます。

また、事故や気象条件といった情報も提供されるため、安全性の向上にも貢献しています。

VICSの仕組みを理解して、効率的かつ安全な運転の実現に役立ててください。

なお、JAFメディアワークスでは、JAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをまとめたeラーニング教材「JAF交通安全トレーニング」を提供しています。

隙間時間を活用して交通安全について学べるので、安全運転の実現にぜひご活用ください。

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