車の運転は油断をすると事故の危険がいつでもついてまわります。
なぜなら、自分が運転する車のほかに、道路には多くの車や人が通行しているからです。
運転中に、一度や二度は事故に遭いそうになったり、ヒヤッとした経験があるのではないでしょうか。
事故にはならなかったものの、あわや事故になりそうだった事案は「ヒヤリハット」と言います。
本記事ではヒヤリハットになりそうな危険な状況を事例とともに紹介しつつ、その対策方法について解説していきます。
本記事を参考にヒヤリハットを起こさないような工夫をしていきましょう。
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目次
運転中のヒヤリハットとは
運転中のヒヤリハットとは、車を運転している際に危うく事故を起こしてしまいそうになりヒヤリとする、もしくはハッとする状況を指します。
前方不注意によりブレーキのタイミングが遅れ追突しそうになる、右左折時に左右の確認を怠って事故を起こしそうになる、などが該当します。
運転中以外にもヒヤッとした、もしくはハッとしたかのように感じたことがある方も多くいらっしゃるはずです。
それが運転中となれば命に直結する重大な場面であり、非常に怖いことでもあります。
運転中にヒヤリハットとならないようドライバーは普段から安全運転に努めなければなりません。
運転中のヒヤリハットとハインリッヒの法則
運転中のヒヤリハットと相関性のあるハインリッヒの法則があります。
ハインリッヒの法則とは、アメリカの損害保険会社に勤務していたハインリッヒが損害事案の膨大なデータを解析することで発見した法則です。
このハインリッヒの法則では、実際に損害が起きなかった事案であっても、その背景には人間の不安全行動や不安全状態があることを指摘しています。
具体的には330件の災害事案のうち、1件は重大な災害、29件は軽傷、300件は傷害のない事故であり、300件の背景に人間の不安全行動や不安全状態があるというものでした。
上記の状況を交通事故にあてはめて考えると、300件が事故に至らない危険行為や違反行為に該当します。
つまり、運転中のヒヤリハットも事故までは発生していないが、その背景にはヒヤリハットとなってしまうようなドライバーの行動や状態が示唆されると解釈ができるでしょう。
運転中のヒヤリハット防止は重大事故や軽微な事故の防止につながるため、ドライバーに対して何かしらの対策を講じなければなりません。
参考:厚生労働省|ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)
運転中のヒヤリハットの事例と種類について
運転中のヒヤリハットと言っても、事故につながってしまいそうな事案にはいくつかの種類があります。
ここでは運転中のヒヤリハットとして考えられる事例を種類別に分けて紹介します。
車間距離不保持により追突しそうになる
運転中に前方の車と車間距離が保てていない場合、追突のリスクは大きくなります。
つまりヒヤリハットの事例につながりやすい要因の一つです。
例えば、車間距離を詰め過ぎた状態で運転を続けていると、前方の車のブレーキに合わせてブレーキ操作をしても、ゆとりをもって停車ができずに衝突寸前になることもあるでしょう。
また、高速道路の場合には渋滞に差し掛かってブレーキ操作をした際、車間距離が保てていないと急ブレーキとなることもあります。
あわや衝突してしまう状況になり、ドライバーからするとまさしくヒヤリハットとなってしまうのです。
車間距離はヒヤリハットに直結しやすい要素の一つであると言えるため、しっかりと車間距離を保ち、余裕を持ったブレーキ操作ができるようにしておくことが重要です。
外的要因により車や人と接触しそうになる
運転中のヒヤリハットでは、外的要因により車や人と接触しそうになる場合もあります。
道路は自分が運転する車のほかに、他人が運転する車や歩行者・自転車等が多く行き交うため、ドライバーがどれだけ注意を払っても、ヒヤリハットにつながる事案が隠れています。
例えば、ほかの車が信号無視をして交差点に侵入してくる場合もあれば、小さな子供が急に道路に飛び出してくることもあるでしょう。
このような状況では、どれだけ運転に注意を払っていてもブレーキが間に合わず接触する、もしくは接触しそうになることが考えられます。
外的要因は自分ではコントロールしきれません。
まずはドライバー自身が普段から安全運転を心がけ、「車が飛び出してくるかもしれない」「子供が飛び出してくるかもしれない」のように「かもしれない」運転であらゆる危険を予測しながら運転することが大事です。
自らの不注意により車や人と接触しそうになる
運転中に自らの不注意により車や人と接触しそうになるケースもヒヤリハットに挙げられます。
ドライバーからすると、自分の不注意でヒヤリハットが発生しているため、非常に怖い思いをするでしょう。
例えば、車間距離の不保持や交差点で左右の確認不足はもちろんですが、運転中のスマートフォン使用なども要因の一つに挙げられます。
そのほかにも車線変更時の無理な割り込みやウインカーの未使用、ミラーの確認不足や悪天候時の急ブレーキなども、自らの不注意と考えられるのではないでしょうか。
自らの運転を見直すことでヒヤリハットは防ぎやすくなります。
ドライバーは、安全運転に努めることが重要です。
運転中のヒヤリハットを起こしやすい人の特徴
車の運転にはドライバーの性格や気性が影響を及ぼしていることも少なくありません。
ここでは運転中のヒヤリハットを起こしやすい人の特徴を解説します。
カッとしやすい
普段の生活からカッとしやすい人は、運転中のヒヤリハットに気をつけるようにしましょう。
なぜなら、運転中にちょっとしたことでイライラしてしまい、攻撃的になりやすいと考えられるためです。
例えば、走行しているほかの車が自分の意図とは反した運転をしている場合に、カッとなってあおり運転をしてしまうケースが考えられます。
そのほかにも、歩行者のちょっとした行動でイライラしてしまうこともあるかもしれません。
何らかのきっかけで運転中に冷静さを欠き、攻撃的な運転をすることによってヒヤリハットにつながってしまいます。
運転中はカッとしないよう、常に冷静な運転を心がけなければなりません。
集中力が欠如しやすい
集中力が欠如しやすい場合、車の運転に集中しきれずヒヤリハットを発生させてしまう恐れがあります。
例えば、運転中に考え事をしていると、前方や左右への注意力が散漫になってしまい、とっさのときに車の操作が遅れてしまいます。
運転中には運転に集中し、ヒヤリハットにならないよう注意しましょう。
違反を軽く捉えやすい
違反を軽く捉えている場合、「少しなら大丈夫」「以前も大丈夫だった」という考えから、危険な運転をしてしまいヒヤリハットにつながることが考えられます。
例えば、スピード超過や右左折時のウインカー不使用、さらにはあおり運転などは、どれもヒヤリハットにつながる運転を容認してしまう結果となります。
ドライバーの「少しなら大丈夫」はヒヤリハットに収まらず、重大な事故につながる可能性も大いにあることを認識しなければなりません。
ヒヤリハットだけでなく、事故を起こさないためにも交通ルールを遵守した運転を心がけましょう。
運転中のヒヤリハット対策方法
ドライバーの心構えや意識でヒヤリハットは減らせるはずです。
しかし、ドライバーが具体的なヒヤリハットの事例について考えたり、自身の運転をゆっくり振り返ったりする時間がないのもまた事実ではないでしょうか。
ここでは運転中のヒヤリハットを起こさないための対策方法について解説します。
社内で事例の共有をする
ドライバーがヒヤリハットを経験した際、社内で事例を共有する仕組みを作りましょう。
事例を共有することでほかのドライバーに対して、ヒヤリハットの意識づけになります。
一方で、ドライバーにとってはヒヤリハットの事例を共有するのは、自分の恥ずかしい部分を曝け出すかのような意識に苛まれてしまいます。
例えば、運転中に車間距離を詰め過ぎて前の車に追突しそうになった場合、事例を共有することに不安を覚え、「結果的に事故にもなっていないから」とヒヤリハットの事実が隠れてしまうかもしれません。
そうならないように、ヒヤリハットの種類や内容、発生した事象に対する対策方法など、共有すべき内容をフォーマット化して、事例共有のハードルを下げる工夫をしておきましょう。
さらに、失敗から学ぶ社内の風土作りも有効です。
運転に関する危険予知のトレーニングを実施する
運転に関する危険予知トレーニング(KYT)を実施しておくのも対策方法の一つです。
あらかじめ運転に関する危険をトレーニングを通じて洗い出すことで、ドライバーのヒヤリハットに対する意識が高まるでしょう。
例えば、前方不注意により生じるヒヤリハットはどのようなケースが考えられるのか、右左折時の確認を怠るとどのようなヒヤリハットが発生しそうかなどを考えると、ドライバーも自分ごととして捉えやすくなります。
それだけでなく、安全運転の基本ともいえる「かもしれない運転」につながります。
安全運転に関する社内教育制度を整える
運転中のヒヤリハットを発生させない大前提として安全運転は欠かせません。
社内で安全運転に関する社内教育制度を整えておくのは、ヒヤリハットを発生させないために重要な対策方法の一つです。
具体的には、運転のコツだけでなく、交差点進入時や右左折時に何を注意すべきなのか、心がけるポイントはどのような点か、などを改めて整理しておくことが重要です。
社内教育に興味がある方は、交通安全意識の醸成はもちろん、危険予知トレーニングもおこなえる「JAF交通安全トレーニング」をお勧めします。
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まとめ:運転中のヒヤリハットは事故に直結!発生させないための対策を取りましょう
運転中のヒヤリハットは事故に直結しかねない危険な状況です。
ドライバーは事故の前段階であるヒヤリハットを起こさないよう、安全運転に努めなければなりません。
ヒヤリハットを詳しく見ていくと、状況やドライバーの心理などから発生しやすいとされるポイントが見えてきます。
まずは、ヒヤリハットを発生させないよう、できる対策を講じましょう。
対策の一環として交通安全に対する社内教育の仕組みづくりに興味がある方は「JAF交通安全トレーニング」へお問い合わせください。
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