マイクロスリープとは?運転中の危険性や原因・予防方法について解説

運転中についウトウトしたり、一瞬寝てしまったりという経験はありませんか?

それは「マイクロスリープ」という現象かもしれません。

本記事では、マイクロスリープの危険性や原因、予防方法について解説します。

マイクロスリープは重大な交通事故につながりかねない危険な現象です。

正しい知識と対策を知って、予防できるようにしましょう。

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マイクロスリープとは

マイクロスリープとは

マイクロスリープ(別名:瞬眠)とは、眠気が強いときに数秒から数十秒だけ眠ってしまう現象のことです。

目が開いていて意識があるように見える場合もありますが、脳波を測定すると覚醒時のパターンとは異なり、睡眠状態に入っていることが確認されます。

眠気を感じ、視界がぼんやりしたり意識が途切れかけたりしますが、瞬間的な睡眠状態であるため、自分では「寝た」と認識していないことがほとんどです。

仕事中や授業中に、眠気で頭が一瞬ガクッとなる経験をしたことがある方もいるかもしれませんが、マイクロスリープはそれよりもさらに短時間で起こることがあります。

運転中のマイクロスリープによる交通事故の危険性

運転中のマイクロスリープによる交通事故の危険性

運転中にマイクロスリープが発生すると、交通事故のリスクが大きく高まります。

広島大学の塩見利明寄附講座教授らのグループが、実際に交通事故を起こした52件のトラックドライバーの行動について、ドライブレコーダーに記録された衝突事故直前1分間の映像を調査しました。

すると、事故直前にドライバーがマイクロスリープに関連した行動を頻発していることが明らかとなりました。

具体的な行動とその例は以下のとおりです。

  • 抗眠気行動:無意識に顔や頭を触る、ストレッチをする、意図的に頭や身体を叩くなど
  • マイクロスリープ行動兆候:ゆっくりとした瞬き、頭が前に落ちるなど
  • 車両挙動異常:車線から逸脱する、不自然に減速するなど

出典:【研究成果】居眠り運転事故直前でのマイクロスリープ(瞬眠)を検知~トラックドライバーのドライブレコーダー映像研究~|広島大学

このように、運転中にマイクロスリープが発生すると、たとえ事故直前のわずかな時間であっても、交通事故のリスクが大きくなります。

マイクロスリープによる交通事故を防ぐためにも、その原因を知って、日頃から対策行動をとることが求められます。

運転中にマイクロスリープを引き起こす原因

運転中にマイクロスリープを引き起こす原因

ここからは、マイクロスリープを引き起こす原因を紹介します。

睡眠不足

マイクロスリープの原因で最も一般的と考えられるものは、睡眠不足です。

睡眠不足が続くと、マイクロスリープが起こりやすくなります。

また、短時間の睡眠不足が蓄積している「睡眠負債」も、マイクロスリープの原因となります。

睡眠負債とは、睡眠不足が慢性化し、借金のように蓄積された状態のことです。

週末にたっぷり眠った程度では解消できず、十分に眠る生活を数週間は続けないと解消されないでしょう。

睡眠時間が少し短い生活が積み重なるだけで、後々に大きな問題となって自分自身に返ってくるため、睡眠不足を軽視することは危険です。

睡眠の質の低下

睡眠時間だけでなく、睡眠の質の低下も、マイクロスリープの原因の1つです。

睡眠の質が低下すると考えられる要因の例は以下のとおりです。

  • 不規則な生活リズム
  • 睡眠環境の悪化
  • 就寝前のパソコンやスマートフォンの使用
  • カフェインやアルコールの過剰摂取
  • 就寝前の喫煙

疲労

「疲労が溜まって眠い」という経験をしたことはありませんか。

長時間休憩をとらずに仕事や勉強を続けていると、脳に疲労が溜まってきます。

そうすることで脳が少しでも休息しようとして眠気が増し、マイクロスリープが発生する可能性があります。

睡眠関連の疾患

睡眠関連の疾患によって十分な睡眠が確保できない場合も、マイクロスリープが起こりやすくなります。

考えられる疾患の例は以下のとおりです。

  • 不眠症
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 周期性四肢運動障害

また、ストレスが溜まっている場合も睡眠障害が発生しやすく、マイクロスリープにつながります。

薬の副作用

薬の副作用によって眠気が増すことも、マイクロスリープの原因の1つです。

風邪薬や花粉症薬などを服用すると、集中力や判断力が低下して、100%のパフォーマンスを発揮できなくなることがあります。

また、インフルエンザなどのワクチン接種を受けた後も、眠気や体調悪化が生じる場合があります。

運転中のマイクロスリープを防ぐ方法

運転中のマイクロスリープを防ぐ方法

原因を把握したところで、次にマイクロスリープを防ぐ方法を紹介します。

十分な睡眠をとる

マイクロスリープを防ぐには、十分な睡眠時間を確保することが第一です。

個人差はありますが、必要な睡眠時間は7〜8時間の睡眠が適切といわれています。

参考:マイクロスリープの特徴が分かります | 阪野クリニック

忙しくて十分な睡眠を確保することが難しい人もいるかもしれませんが、5分でも10分でも、可能な限り睡眠時間を伸ばすようにしましょう。

ただし、休日に寝だめすることは避けてください。

生活リズムが乱れて、体内時計が社会のリズムとズレることにより時差ボケのような状態になる「社会的時差ボケ」に陥るためです。

週末にまとめて寝るのではなく、毎日十分な睡眠を確保するよう心がけましょう。

睡眠の質を上げる

睡眠の質を上げるには、規則正しい生活習慣を身につけることが重要です。

具体的には以下のとおりです。

  • 朝起きたら朝日を浴びる
  • 朝食をとる
  • 適度な運動をする
  • 就寝2〜3時間前に入浴する
  • 就寝1〜2時間前からパソコンやスマートフォン操作を控える
  • 就寝前の喫煙・アルコール・カフェインを控える
  • 15〜30分程度の昼寝を取り入れる
  • 寝室の環境を整える
  • 自分に合ったストレス解消法を取り入れる

取り組みやすいものから実践し、生活習慣を整えて、睡眠の質を改善してみましょう。

睡眠疾患の場合は早めに睡眠専門医を受診する

睡眠疾患やストレスによって睡眠の質が低下している場合は、早めに睡眠専門医を受診しましょう。

十分な睡眠時間をとっているのにも関わらず、日中活動している際に眠気を感じたり、眠り込んでしまったりする症状がある場合は要注意です。

早めに治療することで病気の進行を防ぎ、良質な睡眠をとれるようになるでしょう。

体調不良時は運転を避ける

体調不良のときは、運転を避けることがベストです。

体調不良というほど調子が悪いわけではないが、何かしらの違和感を覚える場合は、以下の対応を検討しましょう。

  • 少し休憩して様子を見る
  • 眠気の副作用が弱い薬を処方してもらう

しかしながら、ドライバー本人の判断だけに委ねると、無理をしてしまうリスクも考えられます。

そのため、事業所の安全運転推進を担う安全運転管理者が、朝の点呼時に従業員一人ひとりの体調をしっかりと確認することが重要です。

もし異常を感じた場合は、少し休憩をして様子を見るように指導しましょう。

運転中にマイクロスリープの兆候が見られた場合の対処法

運転中にマイクロスリープの兆候が見られた場合の対処法

もし運転中に眠気が生じた場合は、車を安全な場所に停めて20分程度の仮眠をとるようにしましょう。

椅子などに腰掛けて浅い睡眠をとることで、一時的に眠気が解消されることがあります。

ただし、20分以上の長い仮眠をしてしまうと、徐々に眠りが深くなり、起きたときに意識がぼんやりしてしまうことがあります。

この現象を「睡眠慣性」といって、運転を再開しても再度強い眠りに襲われて、マイクロスリープを引き起こしかねません。

仮眠する時間は20分程度にするよう、注意してください。

まとめ:十分な睡眠を確保して、運転中のマイクロスリープを予防しよう

まとめ:十分な睡眠を確保して、運転中のマイクロスリープを予防しよう

マイクロスリープは、瞬間的に睡眠状態に陥る現象です。

運転中に発生すると、命に関わる交通事故につながるリスクが跳ね上がります。

眠気を感じないクリアな状態で1日を過ごせるよう、十分な睡眠をとるなどの規則正しい生活習慣を身につけましょう。

とはいえ、少々眠気を感じても、ほとんどの人は無理して運転しがちです。

運転者本人が「危険」と感じて運転を控える判断を下すには、安全を最優先にできる組織風土の醸成が欠かせません。

JAFメディアワークスが提供するeラーニング教材「JAF交通安全トレーニング」では、安全を最優先にした行動について学べるため、運転者個々の適切な判断の助けとなります。

生活リズムを整えるのと同時に、JAFトレ導入もご検討ください。

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JAF交通安全トレーニング

毎日の学習で交通安全意識の向上へ。通勤・通学・あらゆる事故を減らしたい。そんな想いからJAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しました。