交通安全マップの活用法とは?危険箇所を可視化して企業の安全運転教育に役立てよう

社用車を運用する企業にとって、交通事故の防止は重要なリスク管理の一つです。

事故は時間や場所を問わず発生する可能性がありますが、事故が起きやすい交差点や生活道路、通学路周辺などを事前に把握し、運転前の注意喚起やドライバーの安全教育をおこなえば、事故の抑止につながります。

実は事故の危険が高い場所を把握するのに便利なサービスがあります。それが「交通安全マップ」です。

交通安全マップを用いれば、交通事故が多発している場所や潜在的な危険箇所を地図上で確認できるため危険箇所を可視化が可能となり、社員の行動範囲と照らし合わせることで事故防止に向けた具体的な対策を立てやすくなります。

この記事では、あなたの地域の危険箇所を可視化する「交通安全マップ」について徹底解説。さらに、全国の交通安全マップへのリンク集や交通安全マップの活用術、事故多発地点の原因と対策も紹介します。

社用車で事故を起こしたら? もしもの時に備えましょう!

交通安全マップとは?

画像参考:東京都交通事故発生マップ|警視庁

交通安全マップとは、交通事故が多発している場所や、見通しの悪い交差点、歩行者、自転車の通行が多い道路など、交通上の危険箇所を地図上で視覚的に確認できるツールです。

国や自治体、企業などが取りまとめていて、地域住民や交通利用者の安全な行動を促し、事故を未然に防ぐために重要な役割を果たします。

官公庁や各自治体ごとにマップの名称が異なるため、この記事ではそれらを「交通安全マップ」と統一し呼称しています。あらかじめご了承ください。

交通安全マップの重要性

近年、交通事故の発生件数は減少傾向にあります。

しかし、依然として多くの人々が交通事故により負傷したり、命を落としたりしているのが現状です。

交通安全マップは、交通事故のリスクを軽減するために、以下の点で重要な役割を果たします。

交通安全マップが果たせる役割詳細
危険箇所の可視化事故が多発している場所や、見通しの悪い交差点、歩道のない道路など、潜在的な危険箇所を地図上で明確に示すことで、注意喚起を促します
安全意識の向上マップを見ることで地域住民や交通利用者の安全意識を高め、交通ルールやマナーを守るように促します
事故防止対策の推進事故多発地点の情報は、行政や警察が事故防止対策を検討する上で重要なデータとなります。マップを活用することで、効果的な対策を推進できます。
通学路の安全確保子どもたちの通学路における危険箇所を把握し、安全な通学路の選定や交通安全指導に役立てられます

参考:令和7年版交通安全白書|内閣府 

交通安全マップに掲載されている情報

交通安全マップには、交通事故に関するさまざまな情報が掲載されています。

マップによって記載される情報はさまざまですが、主に以下のとおりです。

情報詳細
事故の種類人対車両、車両同士、自転車関連など、事故の種類が把握できます
発生時間通勤時間、夜間、休日など、事故が起きやすい時間帯を確認できます
発生場所事故が発生した地点や周辺エリアを地図上で確認できます
発生件数や密度指定エリアの事故発生件数または事故の発生密度を確認できる場合があります。マップによっては、メッシュ単位で集計した色覚情報によって密度のグラフィック表示ができる場合もあります。
事故の原因・状況事故の原因(一時不停止、信号無視、速度超過など)を把握できる場合があります
事故の程度死亡事故、重傷事故、軽傷事故など、事故の重大性を確認できる場合があります

こうした情報を活用することで、交通事故の傾向を分析し、効果的な事故防止対策を検討できます。

交通安全マップの種類

交通安全マップは、さまざまな形態で提供されています。

主な種類は以下のとおりです。

形態詳細
Web版インターネット上で公開されているマップで、パソコンやスマートフォンからアクセスできます。国土交通省などが提供している全国版のマップや、各自治体が提供している地域版のマップがあります。
アプリ版スマートフォンやタブレット端末で利用できるアプリで、GPS機能と連携して、現在地周辺の危険情報を表示できます。
配布版自治体や警察署などが作成し、地域住民に配布する紙媒体のマップです。地域の特性に合わせた情報が掲載されていることが多く、防災マップと一体化されている場合もあります。

自身の利用環境や目的に合わせて、最適な種類の交通安全マップを選びましょう。

全国の交通安全マップリンク集

ここでは、全国各地の交通安全マップへのリンクをまとめました。

地域によっては交通事故だけでなく、犯罪情報も一緒に掲載しているものもあります。

お住まいの地域やよく利用する地域の情報をチェックして、安全な行動に役立ててください。

地方都道府県
北海道・東北北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県
関東東京都茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県神奈川県
中部新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県
近畿京都府大阪府三重県滋賀県兵庫県奈良県和歌山県
中国鳥取県島根県岡山県広島県山口県
四国徳島県香川県愛媛県高知県
九州・沖縄福岡県佐賀県長崎県大分県熊本県宮崎県鹿児島県沖縄県

また国土交通省からは、全国版の事故危険箇所の一覧が公開されています。各都道府県のマップと合わせて確認すると良いでしょう。

参考:事故危険箇所検索マップ|国土交通省

これらのマップは、事故多発地点や潜在的な危険箇所を特定し、事故を未然に防ぐための貴重な情報源です。

企業・団体における安全運転管理のほか、地域における通学路の安全点検や交通安全指導などにも活用できます。

なお、警察庁では交通事故統計情報をオープンデータとして公開しており、国土交通省もそのデータを活用した交通事故発生箇所の地図化マニュアルを公表しています。

交通安全マップを確認するだけでなく、自社の営業エリアや配送ルートに合わせて事故発生地点を可視化することも有効です。

参考:交通事故統計情報のオープンデータ|警察庁
参考:オープンデータを用いた 交通事故発生箇所の地図化マニュアル|国土交通省 

交通安全マップの活用方法

交通安全マップは、事故を未然に防ぐためツールとして非常に有用です。

ここでは、交通安全マップを最大限に活用し、企業活動をより安全にするための具体的な方法を解説します。

事故多発地点の特定

交通安全マップを詳細に分析することで、地域内の事故多発地点を特定し、危険箇所の優先順位をつけられます。

優先順位をつける際には、以下の要素を考慮しましょう。

  • 事故発生件数:事故発生件数が多い地点ほど、危険度が高いと考えられる
  • 事故の重大性:死亡事故や重傷事故が発生している地点は、特に優先度を高める必要がある
  • 事故の特異性:特定の時間帯や天候時に事故が集中している地点にも注意が必要

特定した事故多発地点については、なるべく実際に現地を見て確認し、何が事故の原因となっているのかを詳しく調査することが重要です。

そして、調査内容を詳細にまとめて社内で共有することで、社内の交通安全意識の向上につながります。

見通しの悪さ、歩道の狭さ、信号機の設置状況など、具体的な問題点を把握することで、効果的な対策を講じられます。

移動ルートの安全確認

交通安全マップは、企業活動や日々の生活における安全確保に役立ちます。

通勤や営業などで使う移動ルートを事前にマップで確認し、危険箇所を把握した上で、移動ルートを変更するなど柔軟な運行計画を立てましょう。

特に、子どもと出会う可能性の高い

  • 学校
  • 保育園・児童館
  • 公園・スポーツ施設

などの周辺、人通りや交通量が多い通りは念入りにチェックしてください。

マップからわかる交通事故多発地点の原因と対策

交通安全マップから交通事故多発地点を把握したら、次は事故の原因を知り、対策を立てましょう。

ここからは、事故の種類別に、原因と対策を紹介します。

歩行者・自転車」が関わる事故多発地点

歩行者や自転車が巻き込まれる事故は重大な怪我につながる可能性が高く、特に注意が必要です。

これらの事故が多発する地点には、以下のような共通する原因が見られます。

事故多発地点特徴事故の原因対策
見通しの悪い交差点・建物や植え込みなどによって死角が多い
・信号機による交通整理がおこなわれていない
・道幅が狭い
・車の一時不停止
・過信や思い込みによる確認不足
・死角による、歩行者や自転車の発見遅れ
・多段階停止による安全確認
・歩行者や自転車の飛び出しを予測し減速する
・優先意識を持ちすぎない
生活道路・歩行者や自転車の通行が多い
・歩道と車道が区切られていない
・見通しが悪い
・車側の速度認識不足
・歩行者や自転車の飛び出し
・30km/h以下を目安とした意識的な速度管理
・歩行者の多い時間帯の進入を控える
幹線道路・車線数が多い
・車が速度を出しやすい
・横断歩道が少ない
・車の大幅な速度超過
・歩行者や自転車の無理な横断、信号無視
・車の法定速度遵守
・広い視野で歩行者
・自転車の動向を確認する

なお、内閣府のデータによれば、状態別人口10万人当たりの交通事故死者数は着実に減少しているものの、歩行中の死者数は依然として高い水準を保っていることが指摘されています。

参考:令和7年交通安全白書|内閣府 

「車両同士」の事故多発地点

車両同士の事故も、特定の場所に集中する傾向があります。

事故多発地点特徴事故の原因対策
交差点・車の進行方向が交差する
・車、歩行者、自転車、バイクなど多くの要素が同時に存在する
・車間距離の不足
・黄色信号での無理な進入
・右折時、対向車のスピードを見誤る
・車間距離の保持
・黄色信号は停止することを前提に考える
・確実に安全が確保されてから右折を開始する
高速道路の合流地点・本線を走る車との速度差がある
・走行しながらの状況判断を求められる
・前後の状況を確認する必要がある
・合流時の加速不足
・サイドミラーのみでの安全確認
・ウインカーを出さない、遅い
・本線の流れを見た加速
・ミラーだけではなく、目視で安全確認
・合流の30m手前からウインカー点灯
カーブ・ハンドル操作や速度の調整が必要
・道路の先の見通しが悪い
・速度超過による対向車線へのはみ出し
・急ハンドルやハンドル戻し遅れといったハンドル操作ミス
・カーブ手前での十分な減速
・道路の先を見て走行ラインをイメージする
・丁寧なハンドル操作
駐車場・車の動きが不規則になる
・意識が駐車スペースに向きやすい
・同じ空間に車、歩行者、自転車などが混在している
・発進時や後退時の安全確認不足
・逆走などのルール違反・速度の出しすぎ
・動き出す前の安全確認の徹底
・進行方向や一時停止などのルールの順守
・5〜7km/h程度を目安とした徐行での走行

事故の原因別対策:見通しの悪い交差点、一方通行、速度超過

見通しの悪い交差点、一方通行路、速度が出やすい道路では、車両管理システムやナビゲーションシステムの機能を活用することで、事故リスク低減を図ることができます。

当然、ドライバーがしっかりと安全確認をおこなうこと、安全運転意識を持つことが前提ですが、一方通行路への誤進入や見通しの悪い交差点での一時不停止、速度の出やすい幹線道路でのアクセル踏み込みを防ぐためにもナビによる標識の事前通知などを活用しましょう。

事故原因対策
見通しの悪い交差点・リアルタイムの交通情報により迂回ルートを選択
・一時停止不停止の検知
一方通行・ナビゲーションシステムの活用
・事前のルート選定
速度超過・車両速度と制限時速の情報を照合し、速度超過を検出
・速度警告機能の活用

企業ができる対策

もし交通事故が起きると、企業には以下のようなリスクが発生します。

  • 人的損失:従業員の休業などにより、業務が停滞する可能性
  • 物的損失:車両備品の破損などにより、業務が停滞したり、修理費用がかかる可能性
  • 信頼損失:取引先や顧客、地域社会からの信頼を失う可能性
  • 時間損失:事故の処理に時間がかかる可能性

持続可能な企業活動を継続していくためには、従業員の交通安全意識を高め、事故を未然に防ぐことが重要です。

この記事で紹介した交通安全マップは、交通安全教育にも活用できます。

例えば、社用車での移動ルート上の危険箇所を題材にしたKYT(危険予知)グループディスカッションが挙げられます。

リスク管理の一環として、ぜひ交通安全教育の導入を検討してみましょう。

まとめ:交通安全マップを活用して、安全な企業活動を

この記事では、交通安全マップの重要性や具体的な活用方法、地域別のリンク集などを紹介しました。

交通安全マップは、事故多発地点や危険箇所を地図上で確認できる便利な情報源です。

営業や配送など、業務で運転する機会が多い企業にとって、日々の運行ルート上にどのような危険が潜んでいるのかを事前に把握することは、事故防止を進めていくうえで有効な手段といえます。

Web版、アプリ版、地域配布版など、自社にあった形式の交通安全マップを活用し、日々の企業活動におけるリスクを事前に把握しましょう。

なお、交通安全マップを活用するだけでなく、そこに安全運転教育を組み合わせることによって交通事故リスクの低減や業務効率の向上、法令遵守の徹底が可能となります。

その安全運転教育のツールとしてオススメしたいのが、JAF交通安全トレーニング(通称JAFトレ)です。 

JAFトレとは、JAFが長年蓄積してきた交通安全の知見をもとに制作している、e-ラーニング形式の交通安全教材です。

パソコンやスマートフォンからもアクセス可能で、日々の業務間を活用した効率的に学習できるのが特徴です。

多くの企業にご活用頂く中、パソコンが苦手でも受講状況の管理がしやすい、社員の安全意識が変わったと好評をいただいています。

ドライバーの交通事故を未然に防ぐためにも、交通安全マップとJAFトレを活用して、企業全体の交通安全意識を高めていきましょう。

交通安全のお困りごと・お悩みもお気軽にご相談ください。

JAF交通安全トレーニング

毎日の学習で交通安全意識の向上へ。通勤・通学・あらゆる事故を減らしたい。そんな想いからJAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しました。

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