子どもや高齢者、自転車は、交通事故の際重大な被害を受けやすい存在です。
道路交通上の表現としてこれらを「交通弱者」と呼び、交通社会において守られるべき存在として扱われています。
本記事では、交通弱者の実態と注意すべきシーン、交通事故を起こさないために守るべき「安全運転の3S」とは何かについて、詳しく解説していきます。
社用車で事故を起こしたら? もしもの時に備えましょう!
目次
交通弱者とは

交通弱者とは、交通事故で重大な被害を受けやすい存在を指す表現で、一般的には子どもや高齢者、自転車、障がい者などが該当します。
外装や安全装置に身を守られている自動車と違って、身体的な脆弱性や判断力の面において、重大な交通事故のリスクが高いとされていることが理由です。
さらに、子どもは危険を予測・察知する能力が未発達であったり、高齢者は反応速度や身体機能が低下し回避行動をとっさに取りにくい傾向にあるため、道路交通法では、これら交通弱者を優先的に保護するための規定が設けられており、ドライバーには細心の注意を払うことが義務付けられています。
交通事故死者のうち6割近くを高齢者(65歳以上)が占める

交通事故による死者数は年々減少傾向にあるものの、交通事故死者全体のうち高齢者(65歳以上)が占める割合は6割に迫る数字となっており、社会的にも深刻な問題となっています。
高齢者の交通事故が多い理由として、加齢による身体機能の低下が挙げられます。
視力や聴力の衰え、反応速度の低下、判断力の鈍化などにより、危険を察知してから回避行動を取るまでの時間が長くなったり、転倒しやすく衝撃に対する耐性も低いため、事故に遭った際の重症率が高くなります。
ドライバーは高齢者を見かけたら、予測しにくい行動を取る可能性も考慮し、十分な距離を保ちながらいつでも止まれるよう通行することが大切です。
子どもの交通事故は登下校中に多く発生している

子どもの交通事故は、登下校の時間帯に集中して発生しています。
特に小学生の事故が多く、午前7時台と午後3時から午後5時の通学時間帯に事故件数がピークを迎えます。
子どもは周囲の状況を十分に確認せずに道路を横断することが多く、友達との会話や遊びに夢中になり、車の接近に気づかないケースも少なくありません。
また、子どもは大人より背が低いため、ドライバーから発見しにくいという問題もあります。
通学路や学校周辺を運転する際は、時間帯を問わず子どもの飛び出しを想定した慎重な運転を心がけるようにしましょう。
参考:特集「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」|内閣府
小学生は「歩行中」の死者が5割、「自転車乗用中」の死者が3割近く
小学生の交通事故死者を状態別に見ると、「歩行中」が約5割、「自転車乗用中」が約3割を占めています。
歩行中の事故では、横断歩道での事故だけでなく、道路の横断中や路上で遊んでいるときの事故も発生しています。
小学生は登下校時に集団で歩くことが多いものの、集団の中にいると注意力が散漫になることがあります。
自転車乗用中の事故では、交差点での出会い頭の衝突が最も多く発生しています。
小学生は自転車の操作技術が未熟であり、一時停止や安全確認を怠りやすいため、ドライバーは十分な車間距離を保ち、いつでも停止できる速度で走行することが求められます。
参考:特集「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」|内閣府
交通弱者保護のために守りたいシーン別6つのルール

道路交通法では、交通弱者を保護するための具体的なルールが定められています。
これらのルールを遵守することが、交通事故を防ぐ第一歩となります。
歩行者や自転車の近くを走行するとき
歩行者や自転車の側方を通過する際は、安全な間隔(目安1.5m以上)を確保する必要があり、十分な間隔がない場合には減速・徐行が必要です。
特に狭い道路では、歩行者との距離が十分に取れないケースが多く、徐行が必須となります。
また、雨天時には傘で歩行者の視界が制限されること、強風時には歩行者がバランスを崩しやすいことなど、気象条件にも配慮する必要があります。
高齢者や監護者なしの幼児などの近くを通行するとき
道路交通法では、高齢者や身体障がい者、監護者のいない幼児や児童の近くを通過する際は、一時停止または徐行し、安全を確保することが義務付けられています。
高齢者は判断力や運動能力が低下しており、予想外の行動を取ることがあります。
また、耳が遠い方も多いため、車の接近に気づいていない可能性も考慮する必要もあります。
幼児は保護者と一緒にいる場合でも、急に走り出したり、道路に飛び出したりする危険性があります。
監護者がいない場合はさらに注意が必要で、予測不能な行動を取る可能性が高くなっています。
そのため、これらの存在が道路を横断している、または横断しようとしている場合は、必ず一時停止して安全を確保しなければなりません。
歩道や路側帯を横切るとき
車両が歩道や路側帯を横切って駐車場やガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどの道路外施設に出入りする場合、歩道や路側帯の直前で一時停止し、歩行者や自転車がいないか確認しなければなりません。
特に繁華街や商業施設の出入口付近などでは、歩行者が頻繁に通行しています。
歩行者や自転車がいないことを事前に確認できたとしても、必ず手前で一時停止し、今一度左右の安全を確認してから進入することが求められます。
参考:道路交通法第17条第1項・第2項|e-Gov 法令検索
信号のない横断歩道を通過するとき
信号のない横断歩道を歩行者が横断している、または横断しようとしている場合、車両は歩行者の通行を妨げてはいけません。
進入する前には付近に歩行者や自転車がいないか確認しつつ十分な減速をおこないましょう。
歩行者が横断歩道上ではなく斜め横断してくることがあるため、交差点を通過する直前や直後も油断せず、周囲の安全確認を継続する必要があります。
横断歩道は歩行者が最優先される場所であることを常に意識し、早めに減速して停止する準備をすることが大切です。
停止中の通学・通園バスの近くを通過するとき
幼児や児童を乗降させるために停止している通園バス、通学バスの側方を通過する際は、徐行して安全を確認しなければなりません。
バスが停止している場合、子どもが乗降している可能性が高く、バスの前後から道路に飛び出してくる危険性があります。
子どもは背が低いため、バスの陰に隠れて見えにくく、バスに乗り遅れまいと走ってくる子どもや降車後に道路を横断しようとする子どもも少なくありません。
そのため、バスが停止しているのを見たら、周囲に子どもがいることを想定し、十分に速度を落として注意深く通過するようにしましょう。
特に通園バスや通学バスが頻繁に停車する朝方と夕方に住宅街や学校周辺を運転する際は、より一層の注意が求められます。
ぬかるみや水たまりを通過するとき
道路上のぬかるみや水たまりを通過する際、泥や水を歩行者にはねかけないよう、徐行するなどして注意する義務があります。
また、泥や水をかけてしまった場合、運転者には法的責任が問われる可能性もあるため、ぬかるみや水たまりの手前では減速する習慣を身につけましょう。
交通弱者を交通事故から守るために交通安全の「3S」を徹底する

交通弱者を保護するための具体的な運転方法として、「3S」という考え方があります。
これはSee(見る)、Slow(減速する)、Stop(止まる)の3つの頭文字を取ったもので、安全運転の基本原則として広く推奨されています。
See(シー):見る・発見する
3Sの最初のステップは「See(見る・発見する)」、危険を回避するためにはまず危険を早期に発見することが必要不可欠です。
運転中は常に周囲の状況を把握し、歩行者や自転車、他の車両の動きを注視する必要があります。
特に交通弱者は予測しにくい動きをすることがあるため、「かもしれない運転」を心がけることが大切です。
視界の死角となる場所には特に注意を払い、駐車車両の陰や建物の影などから歩行者が現れる可能性を考慮しましょう。
また、遠くを見るだけでなく、近くの状況を念入りに確認することも大切です。
バックミラーやサイドミラーを活用し、車両の周囲すべてに気を配る習慣をつけましょう。
Slow(スロウ):減速する
危険の可能性を発見したら、次のステップは「Slow(減速する)」です。
速度を落とすことで、突発的な状況にも対応できる時間的余裕が生まれます。
歩行者や自転車の近くを走行する際は、法定速度内であっても状況に応じた適切な速度まで減速することを意識することが大切です。
特に住宅街や通学路、商店街などでは歩行者が多く、見通しも悪いことが多いため、徐行が基本です。
減速のタイミングも重要で、危険を感じてからブレーキを踏むのではなく、早めに速度を落としておくことで、余裕を持った対応が可能になります。
雨天時は路面が滑りやすく制動距離が長くなるため、晴天時よりもさらに早めの減速が必要となります。
Stop(ストップ):止まる
3S運転の最後のステップは「Stop(止まる)」です。
危険を回避するために必要であれば、躊躇せずに停止することが重要です。
信号のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている場合や、子どもが道路脇で遊んでいてこちらに気づいていない場合など、少しでも危険を感じたら一時停止する判断が求められます。
「急いでいるから」「多分大丈夫だろう」という理由で停止を躊躇することは、重大な事故につながる可能性があります。
特に見通しの悪い交差点や一時停止の標識がある場所では、必ず停止して左右の安全を確認しましょう。
「止まる勇気」を持つことが交通事故を防ぐ最後の砦となり、数秒の停止がかけがえのない命を守ることにつながります。
まとめ|交通弱者とは交通事故で被害を受けやすい子どもや高齢者
交通弱者とは、交通事故に遭った際に重大な被害を受けやすい子どもや高齢者、障がい者などを指します。
全国の交通事故死者は高齢者が6割近くを占めており、子どもの事故も登下校中に多く発生しているという現状があります。
道路交通法では、歩行者の近くを走行する際や信号のない横断歩道を通過する際など、様々な場面で交通弱者を保護するためのルールが定められています。
ドライバーはこれらのルールを遵守し、交通弱者の安全を最優先に考えた運転を心がけることが大切です。
より実践的な安全運転技術を身につけたい方は、JAF交通安全トレーニングの受講をおすすめします。
JAF交通安全トレーニングでは、危険予測や適切なブレーキング技術など、交通弱者を守るための運転スキルを学ぶことができるため、この機会にぜひ受講を検討してみてください。
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