2026年4月1日の道路交通法の改正によって、自動車が自転車を追い越す際のルールが見直されます。
道路の左側端を走行する自転車をはじめとした車両を追い抜く際に「十分な距離を保つこと」、そしてそれをおこなえない場合には「減速して安全な速度で進行しなければならないこと」が義務として求められるようになり、車のドライバーは自転車との関わり方を今一度考え直す必要があります。
追い抜きの際に限らず、そもそも自転車と事故を起こしてしまったときは、どんなに小さな事故でも必ず警察に届け出ることが必要であり、もしも警察に報告しなかった場合は重い罰則を受けたり、保険金を請求する際不利になったりする可能性があります。
そこで本記事では、自転車が関わる事故が起きた際、警察を呼ばなかったときのリスクや事故後の対応、相手が立ち去ってしまったときの対処法などについて、徹底的に解説していきます。
年齢別に見る事故傾向とその対策を解説します!
目次
自転車が関わる事故も警察への報告義務がある

道路交通法上、車を運転して交通事故を起こした際、それが自転車相手でも警察への報告義務(報告義務)があり、これに違反した場合罰則が課される可能性があります。
これは人身事故だけでなく、物損事故にも適用されます。
また、交通事故による負傷者がいる場合には、負傷者を救護する義務(救護義務)も規定されており、これらを怠るといわゆる「ひき逃げ」「当て逃げ」などとしてさらに重い罰則が適用されることも。
ここでは、自転車との事故を起こした際の警察への報告義務について詳しく解説します。
参考:道路交通法 第七十二条第一項(交通事故の場合の措置)|e-Gov法令検索
自転車対自動車、対歩行者、自転車同士などいずれの場合でも報告が必要
自転車が関わる事故が発生した場合、以下のいずれの場合でも、警察への通報義務が必ず発生します。
- 自動車(バイク等も含む)に乗っていて自転車と交通事故を起こした時
- 自転車に乗っていて自動車やバイク、歩行者と交通事故を起こした時
- 自転車に乗っていて電動キックボードなどの特定小型原付と交通事故を起こした時
- 自転車同士で交通事故を起こした時
- 自転車に乗っていて相手のいない物損事故を起こした時
なお、自身が歩行中に自転車との交通事故に遭ってしまった場合、歩行者に警察へ報告する義務は発生しませんが、後日のトラブルや損害賠償、保険金請求の不利益が生じる可能性があるため必ず通報しましょう。
怪我人がいない場合や相手から通報を拒まれた場合でも必ず通報する
自転車が絡む事故が起きた際、非接触による相手の転倒時や事故による怪我人がいない場合、通報するべきか悩むこともあるでしょう。
しかし、事故の程度、怪我人の有無に関わらず、事故が発生した時点で必ず通報しなければなりません。
事故後に相手から通報を拒まれたり、「何ともないから」と遠慮されたり、その場で示談を迫られたりするケースも少なくありませんが、どのような場合でも交通事故が起きたら必ず警察に通報するようにしましょう。
相手が言葉を交わす間もなく立ち去ってしまったとしても、後から相手が通報をおこなった場合、通報義務違反ないし、ひき逃げなどの疑いをかけられ不利を被る可能性も考えられます。
交通事故が起きたら、その程度に関わらず「通報は必須」と考えておきましょう。
参考:交通事故で救護義務違反(ひき逃げ事件)として処罰されないために|高知県警察
後日警察に連絡することもできるが、事故直後に通報するのが基本
自転車との事故または自転車で事故を起こし、その場で警察を呼ばなかった場合、後日警察に通報して「交通事故証明書」の発行を申請することは可能です。
しかし道路交通法上では、交通事故を起こしたら「ただちに」現場の警察官および最寄りの警察署に報告することが義務となっているため、やむを得ない場合を除き、道路交通法違反として処罰される可能性があります。
事故から時間が経てば、証拠が散逸してしまったり相手と連絡が取れなくなったりも考えられます。
事故を起こした証明をすることが難しくなる可能性があるため、事故後は直ちに警察に通報するようにしましょう。
参考:道路交通法 第七十二条第一項(交通事故の場合の措置)|e-Gov法令検索
自転車が関係する事故で警察を呼ばなかったときのリスク

ここからは、自転車との事故、または自転車で事故を起こして警察を呼ばなかったときのリスクについて解説します。
報告義務違反や救護義務違反などに問われる可能性
自転車との事故、または自転車で事故を起こして、警察に報告しなかった場合、報告義務違反や救護義務違反などの刑事罰が課されることがあります。
| 報告義務違反 | 事故を起こしたにもかかわらず、警察への報告を怠った場合、3カ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が課せられる。 参考:道路交通法|第百十九条第十七号 |
| 救護義務違反 | 負傷者がいるにもかかわらず、救護せずに立ち去った場合、1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金が課せられる。 参考:道路交通法|第百十七条の五 |
なお、このような刑事罰で起訴されるかどうかは、諸事情などを考慮して検察官が判断します。
事故に対して捜査や実況見分調書の作成がおこなわれない可能性
自転車との事故、または自転車で事故を起こして警察を呼ばなかった場合、事故状況の詳細な調査や実況見分調書の作成はおこなわれません。
実況見分調書とは、事故現場の状況、車両や自転車の位置、道路状況などを警察が客観的に記録した公的な文書のことです。
警察を呼ばずに当事者同士で解決しようとした場合、事故の責任割合や事故状況について双方の主張が食い違うケースが多く発生します。
その際、実況見分調書などの公的記録がなければ、どちらの主張が正しいのかを客観的に証明する手段がなくなってしまいます。
また、警察による捜査がおこなわれないと相手の身元確認も不十分になりがちです。
その場で連絡先を交換したとしても虚偽の情報を伝えられる可能性もあり、後日連絡が取れなくなるリスクも否定できません。
交通事故証明書が発行されず保険会社への請求ができなくなる可能性
自転車との事故、または自転車で事故を起こして警察への報告を怠った場合、交通事故証明書が発行されません。
交通事故証明書とは、その名の通り事故があったことを証明するもので、警察への届出のない事故については交通事故証明書の発行はできない上、これがなければ保険会社への保険金請求や賠償請求ができなくなる可能性があります。
相手の保険会社に賠償請求をする際などにも必要となる書類でもあるため、必ず警察へ事故報告をし、交通事故証明書を発行してもらうようにしましょう。
交通事故証明書は、人身事故については事故発生から5年、物件事故については事故発生から3年をそれぞれ経過したものについては原則交付できなくなります。
怪我が事故によるものと証明できず損害賠償の対象外となる可能性
事故に遭った直後に怪我や痛みがなかったとしても、時間が経ってから痛みが出てきて怪我をしていたというケースも少なくありません。
しかし、警察への届出をしていない場合、後日怪我を主張しても、その怪我が本当にその事故によるものかを証明することが極めて困難になるため、必ず通報をおこないましょう。
自転車が関わる交通事故の後にあなたが取るべき対応

ここでは、自転車との事故、または自転車で事故を起こした後に取るべき対応について解説します。
自転車事故を起こしてしまった場合にスムーズに対応できるよう確認しておきましょう。
ケガ人の救護をし、事故車両を安全な場所へ移動
自分に怪我がなく動ける場合には、まず怪我人を助け、救急車を呼ぶなど状況に応じて適切に対応しましょう。
相手の意識がない場合にはむやみに動かさず通報後の指示に従うことが大切です。
その後、二次的な事故を防ぐため、事故車両を交通の妨げとならない安全な場所に移動させましょう。
警察に報告する
自転車との事故、または自転車で事故を起こした場合は、必ず警察に報告しましょう。
道路交通法上、自転車は軽車両に該当するため、当事者は事故が起きれば、発生日や場所、負傷者の有無や容体などを報告する義務があります(歩行者であれば通報義務は課されない)。
事故相手に氏名・住所・連絡先・保険加入の有無を確認する
相手に氏名や連絡先、住所、保険に加入しているかどうかを確認するようにしましょう。
特に自転車は車と違い、運転する際に免許証などの携帯義務がないため、事故の際、身分を証明するものを所持していない可能性があります。
氏名や住所、連絡先、保険加入先が分からないとその後の損害賠償請求などが困難になりますので、必ず確認をおこなうことが大切です。
万が一、氏名や連絡先などを聞いてトラブルになりそうな場合は、警察官を通して連絡先を確認するとよいでしょう。
事故現場や自転車、着衣、所持品を撮影する
事故状況を争うことになった場合を想定して、事故現場や自転車の損傷具合などを撮影しておくと事故状況を証明する際に役立ちます。
警察も事故状況の写真を撮影する場合もありますが、なにより自分で記録しておくことが安心です。
また、事故に遭った際に着ていた服が破れたり、所持品が壊れたりしていた場合も、撮影しておけば相手方に損害賠償請求をする際、有利に働きます。
病院に行って診察してもらう
事故によって怪我をしていた場合は、たとえ軽傷であってもすぐ病院で受診しましょう。
これは自身だけでなく、相手方にもすぐ病院を受診してもらうよう依頼することが大切です。
事故直後は身体が危機的状況に対応するため、アドレナリンやノルアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌され、これにより、一時的に痛みの感覚が鈍くなることが知られています。
そのため、事故の直後は「大丈夫」と思っていても、ホルモンの作用が切れる数時間〜半日後に痛みを強く感じることがあります。
特にむち打ち症など遅発性のものは、事故から数日が経って異常が見つかるケースも多々あります。
事故直後は怪我や体調に異変がなくても、「この時までは異変がなかった」「この時から異変が起こった」といったような、事故と怪我の因果関係を証明するための受診が必要です。
スムーズな保険請求のためにも、交通事故に遭ったら速やかに病院にて診察をおこなってください。
自転車が関係する事故の後に相手が立ち去ってしまった場合の対処法

自転車との事故、または自転車で事故を起こした後、相手が逃げてしまった場合、どのように対処すればいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、自転車事故後に相手が逃げてしまったときの対処法について解説します。
相手を追いかけずにその場に留まり、警察に通報する
自転車との事故、または自転車で事故を起こした後、相手が逃げてしまった場合は無理に追いかけず、その場ですぐに警察へ通報しましょう。
無理に追いかけてしまうとトラブルになる可能性や、事故の影響による体調の変化に対応できなくなる可能性もあります。
まずは自身の安全確保を優先に、駆けつけた警察官に任せるのが理想的です。
また、その場を離れてしまうと事故現場の状況が変わってしまい、後の調査に支障をきたす可能性もあります。
警察に通報する際は、110番に電話して事故の発生場所、発生時刻、相手が逃走した方向、相手の特徴や車両の色・形状などを可能な限り詳しく伝えるようにしましょう。
周囲に目撃者がいないか、防犯カメラがないかを確認する
事故の相手が逃げてしまった場合、まずは自身の安全確保、事故車両の安全な場所への移動などをおこなった上で、周囲に目撃者がいないかを速やかに確認することも重要です。
事故直後であれば、通行人や近隣の住民、店舗の従業員などが事故の様子を見ていた可能性があります。
目撃者がいれば協力を仰ぎ、氏名と連絡先を聞いた上で、可能であれば見ていた事故状況を聞き取りメモしておきましょう。
また、事故現場周辺に防犯カメラが設置されていないかもチェックしておき、その場所をスマートフォンで撮影した上で、警察に情報提供するのもよいでしょう。
防犯カメラの映像は一定期間で上書きされてしまうため、早急に確認してもらうよう依頼しましょう。
事故後に警察を呼ばずに示談してしまうのは絶対NG

自転車との事故または自転車で事故を起こした後、警察を呼ばずその場で示談してしまうと、様々なリスクが発生します。
- 後日痛みが出て病院に行ったときの治療費等を請求することができなくなる可能性がある
- 相手が口約束のみで後日示談金を払うと提案してきた場合、踏み倒される可能性がある
- 事故の事実はないと言われる可能性がある
これらの一例のように、泣き寝入りとなるリスクが高まるため、警察への通報なし、保険会社の介入なしでの示談はおこなわないようにしましょう。
まとめ|自転車が関わる事故で警察を呼ばなかったら刑事罰に問われる可能性が高いため必ず通報する
本記事では、自転車が関係する事故で警察を呼ばなかったときのリスクや事故後の対応などについて解説してきました。
自転車は道路交通法上軽車両に分類されるため、自転車に乗っている時や、相手が自転車で事故を起こした場合には直ちに警察へ報告することが義務付けられています。
通報を怠ってしまうと道路交通法違反、さらに負傷者がいた場合に救護を怠ればいわゆる「ひき逃げ」として厳罰に問われる可能性が高く、事故後、保険会社からなどの適切な補償が受けられなくなるリスクもあるため、事故後は直ちに警察へ通報するようにしましょう。
最後に、JAFが提供している「JAF交通安全トレーニング」では、JAFの長年にわたるロードサービスを支えてきた交通安全ノウハウを徹底的に学ぶことができます。
自転車のルールが変容していくいま、知識のアップデートをおこなうことは全てのドライバーの責務です。
通勤時などに自転車を運転するときだけでなく、自動車のドライバーの立場からも、万が一交通事故を起こした際どのように行動すれば良いか、安全意識の向上のためにも「JAF交通安全トレーニング」を通して継続的に再学習することをおすすめします。
\ 企業の交通安全トレーニングを応援! /















