衝突軽減ブレーキ(AEB)とは|義務化の背景や仕組みなどについて解説

交通事故の被害を最小限に抑えるために、 近年注目されているのが「衝突軽減ブレーキ(AEB)」です。

衝突軽減ブレーキは適切に活用すれば、交通事故を防ぐ上で効果的な装置です。

この記事では、衝突軽減ブレーキ(AEB)の仕組みや種類・ 搭載車を選ぶ際のポイント、利用時の注意点などを解説します。

衝突軽減ブレーキを正しく理解し、 安全運転に役立てましょう。

社用車で事故を起こしたら? もしもの時に備えましょう!

衝突軽減ブレーキ(AEB)が重視される背景

近年、交通事故の発生件数は減少傾向にあるものの、依然として多くの方が交通事故により死傷しています。

以下のグラフを見てみましょう。

出典:交通安全|一般社団法人日本自動車工業会

高齢者の運転による事故や、漫然運転による事故など、さまざまな要因が考えられます。

このような背景から、事故を未然に防ぎ、被害を軽減するための技術として、衝突軽減ブレーキが注目されるようになりました。

衝突軽減ブレーキは、車両に搭載されたカメラやレーダーなどが前方車両や障害物を検知し、衝突の危険性があった際にドライバーに警告を発したり、自動でブレーキをかけたりするシステムです。

これにより、ドライバーの反応が遅れた場合や、注意散漫になっている場合でも、衝突の回避や被害の軽減が期待できます。

衝突軽減ブレーキの義務化

衝突軽減ブレーキの普及を促進するため、国土交通省は2020年1月に保安基準を改正し、新型車への衝突被害軽減ブレーキの搭載を義務付けました。

その結果、2021年11月以降に国内で発売される新型乗用車には、衝突被害軽減ブレーキ(AEB /AEBS)の搭載が必須となりました。

2024年7月からは輸入車の新型車にも義務化が適用されています。

2025年12月からは、現在生産されている既存モデルも義務化の対象となる予定です。

これにより、将来的にはほぼすべての新車に衝突軽減ブレーキが搭載されることになり、交通事故の減少に大きく貢献することが期待されています。

このように衝突軽減ブレーキの義務化が進む背景には、交通事故による被害を少しでも減らしたいという強い思いがあります。

自動車メーカー各社も、より高性能な衝突軽減ブレーキの開発に力を入れており、今後ますます安全な車社会の実現が期待できるでしょう。

また、国土交通省は、衝突被害軽減ブレーキの性能認定制度を設け、消費者が性能を比較検討できるようにしています。

参照:乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに関する国際基準を導入し、新車を対象とした義務付けをおこないます。~道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部改正について~|国土交通省

報道発表資料:衝突被害軽減ブレーキの性能を国が認定します-衝突被害軽減ブレーキの性能認定制度の創設について- – 国土交通省

AEB(衝突軽減ブレーキ)とは

AEB(Autonomous Emergency Braking)とは、衝突軽減ブレーキを指す用語です。

車両に搭載されたセンサーが、前方車両や障害物を検知し、衝突の危険性があると判断した場合に、自動的にブレーキを作動させて衝突を回避、または被害を軽減するシステムです。

なお、同じような用語にAEBS(Advanced Emergency Braking System)がありますが、こちらも同一の意味です。

AEBは、事故を未然に防ぐための先進安全技術として注目されており、近年、多くの自動車に搭載されています。

衝突軽減ブレーキの仕組み

衝突軽減ブレーキは、以下の3つの段階を経て作動します。

危険の検知カメラやレーダーなどのセンサーが、前方車両や歩行者との距離、相対速度などを測定し、衝突の危険性を判断します。
警告衝突の危険性が高いと判断された場合、ドライバーに警告音や表示で注意を促します。
ブレーキ作動ドライバーが警告に反応しない場合、または衝突が避けられないと判断された場合、自動的にブレーキが作動し、衝突の回避または被害軽減を図ります。

衝突軽減ブレーキは、あくまで運転をサポートするシステムであり、ドライバーの安全運転を前提としたものです。

システムに頼りすぎず、常に周囲の状況に注意し、安全運転を心がけることが重要です。

自動ブレーキとの違い

衝突軽減ブレーキと同じような用語に「自動ブレーキ」がありますが、両者に違いはありません。

自動ブレーキは一般的な名称であり、衝突軽減ブレーキは国土交通省で多用される名称です。

そのため、どちらの名称を利用しても問題はありません。

ただし、メーカーや車種によっては別の名称が利用される場合があります。

衝突軽減ブレーキの種類

衝突軽減ブレーキは、その検知方法によっていくつかの種類に分けられます。

それぞれの特徴を理解することで、より自身の運転環境や車両に合ったシステムを選べます。

カメラ型

カメラ型は、車両前方に搭載されたカメラで前方の状況を認識するシステムです。

歩行者や車両、白線などを認識し、衝突の危険があると判断した場合にブレーキを作動させます。

近年では、単眼カメラだけでなく、ステレオカメラを使用することで、より高精度な検知が可能となりました。

赤外線レーザー型

赤外線レーザー型は、赤外線レーザーを照射し、その反射波を検知することで前方の状況を把握するシステムです。

コストパフォーマンスが高く、夜間や悪天候時にも安定した性能を発揮します。

ミリ波レーダー型

ミリ波レーダー型は、ミリ波を照射し、その反射波を検知することで前方の状況を把握するシステムです。

カメラ型よりも遠くまで検知でき、悪天候の影響も受けにくいのが特徴です。

より高度な検知機能で、前走車・対向車・歩行者を認識し、衝突の危険が高まると音や表示、軽い自動ブレーキで注意を促します。

衝突軽減ブレーキ搭載車を選ぶ際のポイント

衝突軽減ブレーキは、安全運転をサポートする重要な機能ですが、搭載車を選ぶ際にはいくつかのポイントがあります。

ここでは、衝突軽減ブレーキ搭載車を選ぶ際に考慮すべき点を解説するので、ぜひ参考にしてください。

メーカーごとの特徴を把握する

衝突軽減ブレーキの性能は、メーカーによって異なります。

各社が独自の技術を開発し、異なるアプローチで安全性を追求しているためです。

また、メーカーによって衝突軽減ブレーキの名称が違う点にも注意しましょう。

利用シーンに合わせて選ぶ

これらのシステムは、検知方法(カメラ・レーダーなど)・作動速度・対応する対象物(車両・歩行者・自転車など)に違いがあります。

各メーカーのWebサイトやカタログで詳細な情報を確認し、比較しながら検討しましょう。

衝突軽減ブレーキを選ぶ際には、普段車を運転する環境や目的に合わせて、最適なシステムを選ぶことが重要です。

例えば、以下のような選び方があります。

市街地での運転が多い場合歩行者や自転車の検知機能が充実しているシステムがおすすめ
高速道路での運転が多い場合車間距離を維持し、追突事故を防ぐ機能が重要
夜間の運転が多い場合夜間でも歩行者や車両を検知できる高感度なシステムが望ましい

また、雪道や悪天候時の運転が多い場合は、天候に左右されにくいミリ波レーダーを用いたシステムが有効です。

自分の運転スタイルや環境を考慮し、必要な機能を備えた衝突軽減ブレーキ搭載車を選びましょう。

衝突軽減ブレーキを利用する際の注意点

衝突軽減ブレーキは、安全運転を支援する上で有効的なシステムですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。

これらの注意点を理解しておくことで、システムの限界を認識し、より安全な運転を心がけられます。

必ず事故を防げるわけではない

衝突軽減ブレーキは、あくまで運転支援システムであり、いかなる状況下でも必ず事故を防げるわけではありません。

システムの性能には限界があり、天候・道路状況・対象物の種類などによっては、正常に作動しない場合があります。

例えば、夜間や悪天候時での運転や、歩行者が小さい子供や高齢者の場合、システムが対象物を検知しにくいことがあります。

また、急な飛び出しや、システムが予測できない動きに対しては、対応が間に合わなくなるリスクがある点にも注意しましょう。

衝突軽減ブレーキはあくまで運転支援のためのものであり、過信せずに運転することが重要です。

正常に作動しない可能性がある

衝突軽減ブレーキは、さまざまな要因によって正常に作動しない可能性があります。

センサーの汚れ・故障・悪天候・道路状況の悪化などが原因です。

例えば、センサーが汚れていると、対象物を正確に検知できず、ブレーキが作動しないことがあります。

また、大雨や濃霧などの悪天候下では、センサーの性能が低下し、誤作動や作動遅延が発生することもあるでしょう。

さらに、雪道や砂利道など、路面状況が悪い場合も、タイヤのグリップ力が低下し、ブレーキの効果が十分に発揮されないことがあります。

定期的なメンテナンスをおこない、センサーを清潔に保つとともに、正常に作動しない可能性があることを理解して安全運転に努めましょう。

ドライバー自身の安全運転意識を向上させる

衝突軽減ブレーキは、安全運転を支援するシステムですが、ドライバー自身の安全運転意識も不可欠です。

システムに頼りすぎるのではなく、常に周囲の状況に注意し、安全な車間距離を保ち、適切な速度で運転することが大切です。

また、疲労や眠気を感じた場合は、無理な運転を避け、休憩を取るようにしましょう。

衝突軽減ブレーキは、あくまで緊急時のサポートであり、安全運転の基本を忘れないようにすることが、事故防止につながります。

衝突軽減ブレーキの普及が進んでいますが、ドライバーの安全意識の向上が、より安全な交通社会の実現に不可欠です。

安全意識の向上を目指すなら、JAF交通安全トレーニングを活用しましょう。

JAF交通安全トレーニングはドライバーの安全運転に不可欠な知識を学べるeラー二ング教材です。

JAF交通安全トレーニングを使えば、知識が身に付くだけでなく、安全運転への意識を高められます。

\ 企業の交通安全トレーニングを応援! /

まとめ:適切に運用すれば衝突軽減ブレーキは安全運転の実現に役立つ

衝突軽減ブレーキは、カメラやレーダーなどを用いて前方の車両や障害物を検知し、衝突の危険性がある場合に自動でブレーキを作動させるシステムです。

これにより、追突事故などのリスクを大幅に軽減させられます。

ただし、衝突軽減ブレーキは万能ではありません。天候や道路状況によっては正常に作動しない場合もあります。

また、衝突軽減ブレーキはあくまで運転をサポートするシステムであり、ドライバー自身の安全運転意識は依然として重要です。

衝突軽減ブレーキを過信せず、常に周囲の状況に注意を払い、安全運転を心がけましょう。

社用車で事故を起こしたら? もしもの時に備えましょう!

JAF交通安全トレーニング

毎日の学習で交通安全意識の向上へ。通勤・通学・あらゆる事故を減らしたい。そんな想いからJAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しました。

アルコールチェック義務化のすべて

アルコールチェックの義務化の概要をわかりやすく説明しながら、企業として対応が必要になることを解説していきます。添付してあるアルコールチェックの記録簿テンプレートをご活用ください。