今年も夏の行楽シーズンが差し迫り、残暑厳しい9月には秋のシルバーウィークが待っています。
この期間は、帰省やレジャーで車を使用する一般ドライバーが増加し、交通量の増加や長距離運転時の疲労蓄積などによる事故のリスクが高まります。
特に、物流のトラックドライバーや介護の送迎ドライバーといった、暦に関係なく仕事に就いている方々にとっては、業務で運転に関わる際、通常時以上のリスク管理と安全意識の徹底が必要不可欠です。
従業員の安全意識や行動は、企業の信用に直結し、顧客との信頼関係にも大きく影響します。
この記事では、夏〜秋の行楽シーズン特有の交通環境に潜むリスクなどの要因を踏まえ、事故を未然に防ぐ安全運転術を紹介します。
社用車で事故を起こしたら? もしもの時に備えましょう!
目次
夏から秋の行楽シーズンにおける交通安全の重要性

カレンダーを見ると、2025年は8月11日(月)は山の日で祝日となるため、暦上は8月9日(土)〜8月11日(月)の3連休がお盆休みとなり、企業によっては、8月12日(火)~8月17日(日)までをつなげて夏季休暇期間とし、最大9連休となる場合もあるようです。
また9月の中頃に入ってからも祝日が多く、シルバーウィークと称した大型連休とされることもあり、夏から秋にかけては遠方へ出かける人が多くなる傾向にあります。
この期間は一般的に「行楽シーズン」と呼ばれ、業務で車を使う方も、レジャーや旅行で車を利用する車が増える傾向にあると覚えておきましょう。
それに伴い、交通量増加による渋滞発生や、普段運転をおこなわない、いわゆるペーパードライバーの未熟な運転なども散見され、交通事故のリスクが高まる時期ともいえるでしょう。
行楽シーズンはなぜ交通事故が増えるのか?

行楽シーズンに交通事故が増える原因としては、交通量の増加といった単純な理由のほかに運転環境の変化があります。
普段運転しない人がハンドルを握る機会が増えることで、運転中の操作ミスや判断ミスなど予期せぬトラブルが起こりやすくなります。
また、夏場には、暑さの中で渋滞にはまったり、長時間の運転をおこなうことで、疲労感の増大、集中力の低下を招き注意力が散漫になる危険性があります。
夏の気温上昇による注意点

夏は日差しが強く、車内温度が上昇しやすいため、熱中症や脱水症状に注意が必要です。
エアコンは一般的に内気循環モードの方が冷えますが、長時間、内気だけで循環をおこなっていると車内の酸素濃度が低下し、眠気を誘発する可能性があります。
適度に外気導入モードに切り替えたり、窓を開けるなどして車内の空気を入れ替えましょう。
また、2時間に1度は休憩して身体のリフレッシュをすると良いでしょう。
参考:ドライブ中で、空調は「内気循環」「外気導入」どちらがいいの?(JAFユーザーテスト) | JAF
秋の夕暮れ時は事故が多発する魔の時間

一方、秋は日没時間が早くなることで事故のリスクが高まります。
夕方の日没前後(薄暮時)の薄暗くなる時間帯は、物の輪郭や動きがはっきり見えず、歩行者や自転車の存在を見落としやすくなる上、ドライバーが「まだ明るい」と判断してヘッドライトの点灯を遅らせてしまうことも関係しています。
警察庁の統計でも、薄暮時間帯の死亡事故は秋から冬にかけて増加している数字が発表されています。
ドライバーは、早めのライト点灯で視界を確保し、歩行者・自転車の存在を意識するようにしましょう。
出典:夕暮れ時に歩行者が死亡する交通事故が多発!この時間帯の交通事故を防ぐには? | 政府広報オンライン
猛暑下での長距離運転|危険性と事故防止策

ここ近年の日本の天候は、秋口に入っても残暑の厳しい日々が続きますが、特に夏の長距離運転時には、普段の運転以上に体力や集中力が必要になります。
前述した通り、この時期は突発的な渋滞など予期せぬトラブルが発生しやすく、疲労や眠気、ストレスが安全運転を妨げます。
夏の事故を防ぐためには、事前の運転計画や休憩の取り方、運転中の注意点を押さえておくことが重要です。
渋滞時に起こりやすい交通事故と心がけ

渋滞時の交通事故の特徴としては、追突や車線変更時の接触が挙げられます。
行楽シーズンに入ると、渋滞に巻き込まれることも多々あり、特に仕事中のドライバーにはストレスが生じることも。
「せっかく高速道路を走行しているのに…」「こっちは仕事なのに…」といった不満によって、運転中に苛立ちを抑えきれず、その結果、注意散漫となり、追突をはじめ他車との接触原因となるケースが少なくありません。
事故を防止するためにも、車間距離を十分に保ち、急ブレーキや急発進を控えた運転を心がけましょう。
また、事前に渋滞情報をチェックして、混雑を避けるルート選定も有効です。
疲労・眠気・集中力低下の原因と対策

長距離運転では、疲労や眠気、集中力の低下が事故の原因となります。
単調な高速道路や幹線道路の渋滞は、景色や運転操作の変化が少なく睡魔を誘います。
眠気を防ぐためには、2時間に1回の休憩、ストレッチや水分補給が効果的です。
コーヒーなどのカフェインの摂取やガムを噛むなども眠気覚ましに有効ですが、根本的な解決にはならないので、眠気を感じたらサービスエリアやパーキングエリア、コンビニなどに寄って十分な休息を取ることが必要不可欠です。
ドライバーのリスク管理と安全運転のポイント
安全運転の基本は、無理ないスピードや適切な車間距離の確保といった、余裕を持った運転をおこなうことです。
目的地に早く着きたい一心で過度にスピードを出したり、急な車線変更や追い越し、無理な割込みをおこなえば事故のリスクを飛躍的に高めてしまいます。
また運転中、スマートフォンやカーナビゲーションの操作や注視は、その画面に意識が向いてしまい、周囲の交通状況に対する注意が不十分になります。
前の車に追突してしまうなどの重大事故につながりやすいので絶対にやめましょう。
出典:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用|警察庁Webサイト
出発前の車両点検と準備で事故を防ぐ

出発前の車両点検は、事故防止・安全運転の第一歩です。
特に、夏場に起こりやすい「タイヤのパンク・バースト」や「オーバーヒート」は、故障現場での即時復旧が難しく、せっかく立てた予定が大きく狂う可能性も。
運転前にタイヤの空気圧や溝の状態、ブレーキやライトの点灯、オイルや冷却水の量などを点検しておくことで、万が一の故障や不具合によるリスクを大幅に軽減することができます。ここでは、ドライバーが押さえるべき基本の点検項目を紹介します。
点検項目 | チェックすべきポイント | 怠った場合のリスク |
---|---|---|
タイヤ | 空気圧・タイヤの溝・亀裂損傷 | パンク・バースト |
エンジンオイル・冷却水 | オイル・冷却水の量、漏れ | オーバーヒート 走行中エンジン停止 |
ワイパー | 拭き取り・噴射状態 ウォッシャー液量 | 視界不良 |
ライト | 点灯、点滅状態・レンズの損傷 | 整備不良(道路交通法違反) |
緊急対応用品 | 発炎筒・三角表示板の有無など | 二次事故誘発 |
参考:日常点検15項目(私にもできるマイカー点検) | JAF
まとめ:組織全体で安全意識を共有しよう
この記事では、夏の行楽シーズン特有の事故を防ぐための安全運転術を紹介していきました。
この時期は、交通量の増加や暑さによる体調の変化、渋滞や長距離移動による疲労やストレスなど、一般ドライバーをはじめ企業ドライバーにとっても交通事故のリスクが高まります。
安全運転の基本に立ち返り、日々の車両点検、体調管理、時間に余裕を持った行動を徹底することで、ドライバーの安全を守り、企業の信頼を築き上げることができます。
自分自身が事故を起こさないように注意することはもちろんですが、第三者の事故を誘発させるような自己中心的な運転は言語道断ですので注意してください。
事故防止には、習慣化した安全教育が必要不可欠です。
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一人ひとりが安全運転を意識することで、この夏を安全に乗り越えましょう。
社用車で事故を起こしたら? もしもの時に備えましょう!