安全運転を徹底する上で、ドライバーが注意すべき点は多くあります。
特に動静不注視は、交通事故を防ぎ、安全運転義務を順守するためにも注意しなければなりません。
しかし、「動静不注視」は聞き慣れない用語であるため、具体的に何を注意すべきかわからない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、動静不注視の意味や、安全運転につながる対策などを解説します。
従業員の安全運転意識向上のためにお役立てください。
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目次
動静不注視とは
本章では、動静不注視の意味について確認します。
適切な対策を実施するためにも、用語の意味を正確に把握しましょう。
動静不注視の意味
動静不注視とは、「運転中に相手の自動車や歩行者の動きに気づいていながら、危険がないと判断して注視を怠ること」を意味します。
つまり、自動車や歩行者に危険がないと判断して適切な確認をおこなわないこと、一般的にいう「だろう運転」と同一です。
「きっと止まってくれるだろう」「相手が譲ってくれるだろう」といったような、安易な希望的観測によって発生します。
こうした運転では、自動車や歩行者の予期せぬ挙動によって事故が起こるケースも珍しくありません。
そのため、ドライバーは希望的観測にとらわれず、自動車や歩行者の動静に対し、常に注視する必要があります。
安全不確認との違い
動静不注視は安全不確認と混同されやすいですが、両者は意味合いが異なります。
先述したように、動静不注視は楽観的な予測によって注視を怠ることです。
一方で、安全不確認は一時停止・徐行をしていても、十分な安全確認をしていないことを意味します。
動静不注視の危険性
動静不注視は交通事故の原因として上位に挙がるものです。
参照:道路の交通に関する統計 交通事故の発生状況|政府統計の総合窓口(一部抜粋してグラフに変換)
動静不注視による交通事故件数は、安全運転義務違反行為の中でも2番目に多く発生しています。
特に運転に慣れているドライバーほど、運転中の予測に自信を持ちやすくなり、楽観的な予測をしやすくなるものです。
交通事故を防ぐためにも、運転中は集中力を切らさず、常に周辺の状況に注意を払いましょう。
安全運転義務における動静不注視
本章では、安全運転を徹底する上で重要な安全運転義務について解説します。
動静不注視を防ぐためにも、必ずチェックしましょう。
安全運転義務とは
安全運転義務は、道路交通法第七十条で以下のように定義されています。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用:道路交通法第七十条
安全運転義務は、ドライバーすべてに課されるものです。
交通事故を防ぐためにも、必ず順守しなければなりません。
なお、安全運転義務は自動車だけでなく、二輪車や自転車などを運転する際にも適用されます。
安全運転義務違反の種類
安全運転義務違反に該当する行為には、以下のようなものがあります。
分類 | 内容 |
操作不適 | ブレーキやアクセルの踏み間違え・ハンドルの誤操作・ウィンカーの出し忘れなど、操作ミス全般 |
前方不注意 | 漫然運転・わき見運転のような前方に対する不注意 |
動静不注視 | だろう運転に代表される適切な注視の不徹底 |
安全不確認 | 前方不確認・後方不確認・左右不確認のような安全確認上のミス |
安全速度違反 | 必要な状況での徐行・減速の未実施 ※スピード違反とは異なる |
予測不適 | 歩行者や対向車などの動きに対する予測や判断の誤り |
その他 | 手放し運転・蛇行運転などのような危険性が高い行為 |
いずれの違反行為も、ドライバーのわずかな気の緩みや油断で発生するものです。
たとえ経験が豊富なドライバーでも、このような交通安全義務違反を起こすリスクはあります。
免許を取ったばかりのドライバーや、認知能力が落ちている高齢者であれば、よりリスクが高まります。
交通事故を防ぐためにも、運転中は適度な緊張感を保ち、集中力を切らさないように心がけましょう。
動静不注視の対策
動静不注視を防ぐには、ただ注意深く運転するだけでなく、さまざまなポイントを意識する必要があります。
本章では動静不注視を防ぐ対策について解説するので、ぜひ参考にしてください。
安全運転5則を意識する
動静不注視を含め、安全運転義務違反を防ぐには、安全運転5則を意識することが重要です。
安全運転5則とは、1980年に警察が提唱した運転の基本であり、以下のような内容で定められています。
- 安全速度を必ず守る
- カーブの前でスピードを落とす
- 交差点では必ず安全を確かめる
- 一時停止で横断歩行者の安全を守る
- 飲酒運転は絶対にしない
出典:昭和56年警察白書
いずれも基本的なことですが、安全運転を順守する上で必ず意識しなければなりません。
経験が豊富なドライバーほど、運転時の緊張感が薄くなり、基本を忘れてしまうものです。
常に安全運転5則を意識し、注視が疎かになることがないようにしましょう。
安全運転5則についての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。
交差点やカーブでは慎重に運転する
安全運転5則にもあるように、交差点やカーブは、対向車・歩行者が頻繁に動くため、慎重に運転しなければなりません。
たとえ見通しの良い場所でも、「対向車や歩行者が出てこないだろう」「自分の方が先に行けるだろう」という認識でいると、突発的な事態に対応できないリスクが高まります。
特に、通勤や業務で日常的に利用するルートでは、慣れによって注視が疎かになりがちです。
慣れているルートでも、交差点やカーブは慎重に運転しましょう。
常に周囲に注意を払い、対向車や歩行者の突発的な動きに対応できるようにすれば、動静不注視を防止できるでしょう。
ヒヤリハットマップを作成する
ヒヤリハットマップの作成も、動静不注視を防ぐ上で効果的な対策です。
ヒヤリハットマップとは、交通事故や運転ミスが起こりやすい場所を網羅したマップであり、リスクを視覚化する際に役立ちます。
業務で日常的に使用するルートにあるリスクを、ヒヤリハットマップで視覚化すれば、従業員同士で共有しやすくなります。
ヒヤリハットマップの作成は、交通安全意識の向上や注意喚起など、さまざまな場面で応用が可能です。
なお、工事などでルートの状況が変わることは多々あるため、情報に間違いがないように、ヒヤリハットマップは作成した後でも定期的に更新しましょう。
「かもしれない運転」を徹底する
動静不注視は「だろう運転」と同一であり、「相手がこう動いてくれるだろう」という楽観的な認識が招くものです。
そのため、常に周囲の状況を注視するためにも、ドライバーは「かもしれない運転」を徹底しましょう。
「歩行者が飛び出すかもしれない」「対向車が曲がるかもしれない」といったリスクを予測することは重要です。
常にリスクを意識することにより、速度を控える・周辺に気を配るなど安全運転を意識するきっかけになります。
ただし、「かもしれない運転」を実現するには、リスクを想像できるだけの危険感受性を養わなければなりません。
危険感受性を養うなら、JAF交通安全トレーニングを活用しましょう。
JAF交通安全トレーニングは、実際に運転中に起こり得る危険なシチュエーションを安全に再現できるため、危険感受性を高められます。
正しい交通安全知識を身に付ける
動静不注視を防ぐなら、安全運転5則・安全運転義務など、さまざまな知識を把握する必要があります。
そのため、ドライバーが正しい交通安全知識を身に付けられるように、企業が研修や交通安全教育を実施することは欠かせません。
交通安全知識を身に付けるなら、JAF交通安全トレーニングを活用しましょう。
JAF交通安全トレーニングは、交通安全知識や運転のノウハウなどを学べるeラーニングです。
さまざまな知識を学べるう上に、eラーニングなので業務の合間で手軽に受講できます。
継続的に受講すれば、交通安全知識を身に付けられるだけでなく、意識の向上にもつながります。
動静不注視を防ぐのはもちろん、交通事故のリスクを回避するためにも、JAF交通安全トレーニングを積極的に活用しましょう。
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まとめ:動静不注視を防いで安全に運転しよう
動静不注視は「だろう運転」のように、ドライバーが楽観的な予測によって注視を怠る行為を指します。
歩行者や対向車の動静に注意を払い、適切に予測しなければ、重大な交通事故につながりかねません。
日ごろから運転に慣れているドライバーでも、動静不注視が発生するリスクがあります。
普段の運転から注意を払うだけでなく、正しい交通安全知識を身に付け、動静不注視を防止しましょう。
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