交通事故防止には、普段から安全運転の意識を強く持っていることが大切です。
企業や団体が安全運転目標を掲げることは、安全運転の意識付けをおこなうために特に有効な方法となります。
安全運転目標の設定によって、安全運転の意識が高まれば、交通事故減、ひいては事故ゼロにもつながっていきます。
本記事では、安全運転目標の書き方のポイントや企業別の例文紹介、安全運転目標の意識づけに有効な方法などを紹介していきます。
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目次
交通事故防止に役立つ「安全運転目標」とは?

安全運転目標とは、企業や団体が社内・社外に向けて、交通安全に対してどのように取り組むのか宣言したものを指します。
企業や団体が交通安全に積極的に取り組み、社会的責任を果たしていることを示すためには、安全運転目標を掲げ、それを対外に広く示すことが必要です。
また、安全運転目標を企業や団体の内部に周知させることで、従業員の安全運転の意識を高まることが期待できます。
事故防止の安全運転目標設定のポイント

安全運転目標は、社内・社外に広く浸透しやすくするために、誰が見てもわかりやすく、かつ共感しやすいものを掲げることをおすすめします。
ここからは、安全運転目標を設定する際のポイントをいくつか紹介しますので、参考にしてみてください。
社内と社外で共感を呼ぶスローガンを設定する
安全運転目標は、社内だけに周知させるものではありません。
社外に対しても宣言するため、会社の内外に関わらず、誰が見ても共感が生まれる内容にするということが、安全運転目標を決める際に大切なポイントとなってきます。
社外の方が見ても共感してもらえるような内容であれば、社外の方からの安全運転目標への理解が深まり、やがて従業員も社外からの目を感じやすくなります。
さらに、企業の信頼性が向上することで、安全運転の意識が自然と高まっていくことが期待できるのです。
また、共感を呼ぶ安全運転目標が社内と社外で浸透することで、企業ブランディングの面でも、業務面でプラスになる可能性があります。
安全運転のための行動指針を明確化する
安全運転目標は、行動指針が具体的であることもポイントです。
例えば…
- 交差点付近は歩行者や自転車を確認
- 法定速度を守り安全運転を徹底
- 運転中はながら運転をしない
などが具体的な行動指針の一例になります。
具体的な行動指針は「特に何に気をつければ良いのか」がわかりやすくなります。これも、安全運転の意識向上に有効です。
具体的な数字を盛り込んだ目標数値を設定する
安全運転目標に説得力を持たすには、具体的な数字を交えることも有効です。
例えば…
- 交通事故を年間で0件にする
- 高速道路では法定速度〇〇km/hを守る
- 日没30分前にはライトをつける
など、数字を交えることで安全運転目標を守る意味も高まります。
また、具体的な数字を盛り込むことで、安全運転目標も業務の一貫として捉えてもらいやすくなり、社内での意識向上につながるでしょう。
誰が聞いても覚えやすい言葉を選ぶ
安全運転目標は、覚えやすい言葉を選んでつなげるのもポイントのひとつです。
なぜなら、わかりづらい言葉・覚えにくい言葉を選んでしまうと、記憶に残らない可能性があるからです。
記憶に残らなければ、何のための安全運転目標なのか曖昧になり、安全運転意識向上につながりません。
そのため、安全運転目標は誰が聞いても覚えやすい言葉を選び、明確な言葉で簡潔に宣言する必要があります。
季節に合った内容の安全運転目標を設定する
年間を通して掲げる目標とは別に、月別で安全運転目標を掲げていくのも有効です。
月別で安全運転目標を掲げる際は、掲示する季節に合った内容を掲げると良いでしょう。
例えば…
12月〜2月などの冬季:凍結などで滑りやすくなるため、スタッドレスタイヤの早めの装着と、スタッドレスタイヤの点検をおこなう
6月〜8月の夏場:こまめな水分補給で熱中症対策・十分な睡眠で疲労回復を推奨
秋口:「薄暮」の季節なので、日没30分前にライト点灯を
といった内容です。
このように、月別での安全運転目標を設定することで、「今月は特に何を意識する必要があるのか」を社内で共有できます。
安全運転5則を基に目標を設置する
安全運転5則とは以下のことを指します。
- 安全速度は必ず守る
- カーブの手前で速度を落とす
- 交差点では必ず安全を確かめる
- 一時停止で横断歩行者の安全を守る
- 飲酒運転は絶対にしない
これらの安全運転5則は、安全運転の基本といっても過言ではありません。
しかし、毎日のように運転していると基本を忘れがちになってしまうことも…。
そのため、これらの安全運転5則をもとに、安全運転目標を設定したり、社内に安全運転5則のスローガンのポスターを貼ったり、基本を忘れないような意識づけが大切です。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
企業の安全運転目標例文を紹介

以下に安全運転目標の例文を5つ紹介します。
以下の例文は社内・社外に対して交通安全の具体的な行動指針や共感を呼ぶものであり、信頼感も高まります。
安全運転目標を作る方は参考にしましょう。
株式会社ケーエスケー
株式会社ケーエスケーは地域の医療に携わる会社であり、医療用医薬品・医療機器の卸売・介護事業・その他医療関連のサービスが主な事業です。
地域で医薬品が必要な方に、医薬品をお届けするサービスをおこなっており、その際に車両を使用しています。
車両を使用することから、以下の安全運転目標を掲げています。
- 常に交通法規を遵守し、思いやりとゆずり合いの心をもって運転します
- 走行中に携帯電話は一切使用しません
- 黄色信号では安全に止まれるような運転を心がけます
- 運転時には車両を事前に確認し、シートベルトを着用してから発進します
- 体調管理に努め、無理な運転はしません
- 夕暮れ時における早めの点灯、雨天時など視界が悪いときには点灯を心がけます
営業車両使用に関するルール
- 車両の清掃・整備・点検を行い、安全に運行できるよう万全の体制をとる
- 時間や心に余裕をもって、常に冷静かつ慎重な運転を心がける
- 駐車時はバックで駐車し、前進発進できるよう心がける
- 「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」を心がける
北海道農業共済組合
北海道農業共済組合は、北海道で農業を営んでいる方に対して不慮の災害などが起きた場合に、保険制度を提供しています。
地域の農業経営を支える重要な役割を担っており、以下の交通安全目標を掲げています。
交通安全宣言
1.交通安全を最優先し、法定速度を遵守します。
2.交通マナーに心掛け、思いやりのある運転を行います。
3.運転中は、携帯電話の操作は一切いたしません。
4.車間距離を十分に取り、急発進や急加速はいたしません。
5.飲酒運転は、しません、させません、許しません。車両使用の基本ルール
1.駐車時はバックで駐車します。
2.無理な車線変更や割込み、あおり運転は絶対に行いません。
3.”かもしれない”(危険予知)運転を心掛けます。
4.荒天候時の状況を把握し、危険を伴う場合は運転を中止させます。
5.出発前はアルコールチェックを実施するとともに、体調が優れない
ときは、無理な運転を控えさせます。引用元:交通安全宣言│北海道農業協同組合(https://www.nosai-do.or.jp/policy/traffic-safety-declaration/)
株式会社沖一ハイヤー
沖縄県の観光ハイヤー専門会社です。
観光客に対して車両を使用した観光スポット巡りのサービスを提供しています。
車両の使用をメインとし、交通安全宣言で以下を掲げています。
安全運転基本5則
- 安全速度・交通ルールを必ず守る。
- 交差点の手前で減速し、また一旦停止する。
- 交差点では必ず安全を確認し、譲り合いの気持ちで運転する。
- お客様のシートベルト着用の声掛けをする。
- 一時停止で横断歩行者・二輪車の安全を守る。
以上の交通安全の基本を遵守し、プロドライバーとして絶対事故は起こさないを第一と認識し、強力に安全運転を推進していくことを全員で決意し、ここに宣言します。
キリングループロジスティクス株式会社
酒類・食品・飲料の物流サービスを提供している企業です。
その他、倉庫業や通関業もおこなっています。
トラックの使用をメインとし、企業のカラーに合った交通安全宣言を掲げています。
飲酒運転根絶に向けた共同宣言
- わたしたちは、「飲酒運転を絶対にしない、させない」活動を、パートナー・協力会社とともに実践いたします。
- わたしたちは、適切な飲酒習慣を身に付け、酒気帯びでの運転は絶対に行いません、させません。パートナー・協力会社とともに実践いたします。
- わたしたちは、点呼・アルコールチェックを行い、飲酒運転・酒気帯び運転の未然防止を行います。パートナー・協力会社とともに実践いたします。
ヤマシタホールディングス株式会社
医療・福祉・介護・在宅医療など地域のヘルスケアを主なサービスとし、人々のQOL(生活の質)を向上させることを目指している企業です。
車両を使用することから、以下の交通安全宣言を掲げています。
交通安全宣言
当社グループは、全従業員が安全運転を実践し、交通マナーを心掛けた思いやりのある運転、そして環境に配慮した運転に努め、地域社会の一員として社会的責任を果たすべく、交通三悪およびあおり運転等の違反行為を撲滅し、一丸となって交通安全へ取り組むことを、宣言いたします。
ヤマシタヘルスケアホールディングス・グループ
交通事故防止のため安全運転目標を意識づけさせる方法

安全運転目標は掲げるだけではなく、社内でしっかりと共有をおこない、従業員に対して意識付けさせる必要があります。
意識付けに有効な方法としては以下の方法があります。
社内メールにて安全運転目標を共有
各部署に対して送る社内メールにて安全運転目標を共有することで、従業員に意識付けさせることができます。
送る内容に関しては、注意喚起や月別の安全運転目標を交えた内容が良いでしょう。
また社内メールを送るタイミングは、朝イチなど、定時性を持って送ることで、従業員全員が確認しやすくなります。
【リライト】安全運転ポスターやステッカーを活用
社内で目に留まる場所に安全運転ポスターやステッカーを貼るのも、共有するための有効な方法です。
社用車やトラックを使用する企業であれば、車内のドライバーから目につきやすい場所に貼ることがドライバーに安全運転目標を意識付けさせるのに効果的です。
ポスターやステッカーには、赤・青・黄色など原色を使ったり、蛍光色などの目立つ色を配色することで目に留まりやすくなるでしょう。
【リライト】朝礼時の点呼で安全運転目標を共有
社内メールやポスターなど、文字で安全運転目標を共有することはもちろんですが、朝礼時などに管理者から従業員へ安全運転目標を都度共有していくことも大切です。
朝礼時に呼びかけることで、目からの情報だけでなく、耳から安全運転目標を理解することができます。
この方法は記憶に残りやすいため、社用車やトラックの使用をメインとした企業では、積極的に呼びかけると良いでしょう。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
全国交通安全年間スローガンの活用

安全運転目標がすぐに思い浮かばない場合などには、全国交通安全年間スローガンを活用しましょう。
これは全国のドライバー・大人・子供から集まったスローガンから選抜されたものです。
安全運転をする上で覚えやすい言葉でまとめられており、安全運転目標を設定する際の参考になるでしょう。
なお、全国交通安全年間スローガンは毎日新聞社と全日本交通安全教会から確認できますので、リンク先から確認してみてください。
まとめ:安全運転目標を宣言・共有して交通事故防止

社内の交通事故防止には、安全運転への意識付けが大切です。
効率的に意識向上を図るためには、指標となる安全運転目標が必要になります。
しかし、安全運転目標はただ掲げるだけでは意味がありません。
社内と社外で共感を得られる内容・覚えやすい言葉・共有しやすい仕組みづくりをおこなうことが大切です。
この記事を安全運転目標を設定する際の参考としていただければ幸いです。
さて、日々の安全運転教育も掛け合わせることで、さらに交通事故防止に役立てることができます。
受講することで、安全運転目標について深く理解することにも繋がり、相乗効果が期待できます。
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