車を運転するドライバーにとって重要なことは、自分自身や周りの人々の安全を守ることです。
しかし、運転に慣れてくると、つい基本を忘れてしまうこともあります。
安全運転を心がけるためには、具体的な目標を設定し、日頃から意識することが重要です。
今回の記事では、安全運転行動の目標設定がなぜ大切か、運転の安全性を高めるために必要なトレーニングにはどのようなものがあるかを詳しく解説します。
日々の運転の中で、安全運転に対する意識を常に持ち続け、安全な運転を心がけましょう。
スマホやタブレットでの受講も可能
目次
安全運転行動目標の重要性
平成15年、政府は今後10年間で交通事故死者数を大幅に減らし、世界一の交通安全国家を目指すための目標を掲げました。
出典:内閣府
企業が所有する車両による事故は、人命に関わる深刻な問題であり、企業イメージの低下や経済的な損失にもつながるため、企業にとって見過ごせない重要な課題です。
企業が取り組むべき対策には、車両点検整備の徹底や安全な運行環境を改善する、長距離運転による疲労や飲酒運転、ドライバーの健康管理などがあります。
特に、従業員の運転に関する意識の向上は重要です。
安全運転の重要性を認識していなかったり、日頃の運転で安全意識が薄れていたりなど、ささいな油断が引き金となって事故を誘発する可能性もあります。
従業員一人ひとりが安全運転の重要性を認識し、交通事故防止へ高い意識を持つためには、安全運転行動目標を設定するのが効果的です。
まずは、自社の状況に合わせて具体的な安全運転行動目標を設定し、達成に向けて全社一丸となって取り組む環境を整えましょう。
定期的な目標達成への進捗を評価しながら、従業員のモチベーションを保ち続けることも大切です。
企業が安全運転に取り組むことは法的な義務だけではなく、従業員の安全を守ることで、企業の持続的な成長にもつながります。
安全運転行動の目標を掲げ、より安全な社会の実現に向けた取り組みを進めていきましょう。
安全運転を徹底するためにやるべきこと
安全運転は単なる目的地への移動手段ではなく、自分自身をはじめ、周囲の命と安全を守るために大切な責任ある行動です。
安全運転を徹底するためには、運転技術だけでなく、日々の心がけや準備も忘れてはなりません。
運転に際し、常に意識しておくべき事項を確認してみましょう。
『安全運転5則』を周知徹底する
交通事故防止に役立てられる基本的なルールとして、昭和55年に定められた『安全運転5則』があります。
- 安全速度を守る
- カーブの手前でスピードを落とす
- 交差点では安全を確かめる
- 一時停止で横断歩行者の安全を守る
- 飲酒運転はしない
安全運転の基本である5則は、今も昔も交通事故防止に不可欠な指針であり、すべてのドライバーが守るべき重要なルールです。
企業は、新入社員や若手ドライバーへの入社時教育や定期的な安全運転教育を通して、5則の意味と重要性を指導する必要があります。
運転経験が豊富なベテランドライバーに対しても、日々の運転からくる慣れや油断で危険行為が発生しないよう、安全運転意識を高めるための継続的な取り組みが重要です。
企業全体が安全運転5則について重要性を認識し、社員一人ひとりが自らの運転に責任を持って実践できるようになれば、より安全な交通社会の実現に貢献できます。
安全運転行動に向けた具体的な目標設定
安全運転行動目標は、「安全運転に努める」などのような漠然とした目標ではなく、より具体的な内容で設定することが重要です。
「1年間無事故無違反で過ごす」「毎朝、出発前に車両点検をおこなう」など、数値化できる目標や具体的な行動を伴う目標を設定することで、達成度を客観的に測れます。
全員が同じ方向に向かって目標を達成するためには、個人だけでなく部署や企業全体で共有し、定期的に進捗状況を確認しながらモチベーションを維持することが大切です。
安全運転行動の目標設定を通じて、安全運転に対する意識を高め、より安全な運転の実現を目指しましょう。
安全運転のための意識向上
交通安全は企業の社会的責任であり、社員一人ひとりが安全運転への意識を高めることが重要です。
飲酒運転禁止や車間距離の確保といった基本的なルールはもちろん、周囲への思いやりを忘れずに時間に余裕を持った行動が求められます。
安全運転を促進するには、具体的な安全運転行動の目標を立てることが効果的です。
企業全体での目標、部内での目標、個人が具体的な目標を定め、達成度を確認する仕組みを設けることで視覚的に進捗が把握できます。
目標達成に向けた取り組みを可視化すれば、社員のモチベーションアップにもつながり、安全運転の意識向上にも効果的です。
安全運転管理者の役割
組織全体の安全運転を推進する上で非常に重要な役割を担っているのが、安全運転管理者です。
安全運転管理者の主な業務には、次のようなものがあります。
- 安全運転に関する方針の策定
- 安全運転教育の実施
- 安全運転に関する情報の収集・分析
- 事故発生時の対応
経営層に対して安全運転の重要性を訴え、安全運転への投資を促したりドライバーとコミュニケーションをおこなったりなど、安全運転に関する課題を早期に発見し、改善策を講じることも求められる重要な役割です。
安全運転管理者の役割をもっと知りたい方はこちらもご覧ください。
安全運転行動に役立つトレーニング法
安全運転は単なる技術だけでなく、意識と行動の積み重ねが重要です。
効果的なトレーニングを継続的におこなうことで、自分自身の運転能力や適性を判断できます。
安全運転行動の目標とともに効果的なトレーニングを実施しながら、運転技術と安全意識の向上を目指しましょう。
運転技術向上のための練習方法
運転技術の向上には、実際に車を運転しながらの実技体験が効果的です。
<自動車学校>
各自治体の自動車学校では、企業のニーズに合わせたさまざまな講習を実施しており、新入社員からベテランドライバーまでを対象に幅広い内容のプログラムが用意されています。
業務で使用する車両の種類に合わせた講習や季節に応じた運転技術の習得、シミュレーターを使った体験学習などの実践的な技術が学べるため、社員の運転レベルを把握したい場合にもおすすめです。
<JAF>
JAFでは、企業・団体向けに講習会の講師を派遣しています。
- 実技講師派遣:企業・団体の方向け 実技インストラクター派遣
- 座学講師派遣:企業・団体・高等学校の方向け座学講師派遣
実技では、車庫入れ講習など運転の基本から、実際の事故事例に対応した内容まで、再発防止に役立つ講習内容を提案しています。
座学では、交通安全・エコドライブを中心に、ご希望に添った内容で実施します。
ドライブレコーダーの効果的な活用
ドライブレコーダーは、万が一の事故発生時に客観的な証拠として役立つだけでなく、日々の運転を見直すためのツールとしても効果的です。
警察庁では、交通安全教育手法を開発する目的で平成19年から20年度にかけて調査研究を実施し、ドライブレコーダーの記録映像が一般企業で効果的に活用できるようにするために『交通安全教育マニュアル』を作成・提供しています。
ドライブレコーダーが記録した実際の映像も提供されているため、参考資料としても活用できます。
ドライブレコーダーを使って、ヒヤリハットや交通事故を起こしやすい運転行動を振り返り、反省を踏まえながら安全運転への意識向上に役立てましょう。
『危険予知訓練テキスト』を参考に、自社の映像でオリジナルテキストを作成することも可能です。
ただし、自社での作成には工数がかかるため、ぜひJAF交通安全トレーニングもご検討ください。
スマホやタブレットでの受講も可能
危険運転を学ぶ
あおり運転や飲酒運転などの危険運転による事故は、人命を奪い、企業の社会的責任を問われる深刻な事態を引き起こします。
「自動車の運転により人を死傷させる行為などの処罰に関する法律 第二条」では危険運転致死傷罪に該当する8つの要件が定められており、こうした行為を満たした場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役が科せられます。
出典:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律│e-Gov 法令検索
危険運転を防ぐには、ニュースやインターネットで取り上げられる事故事例から、なぜ事故が起こったのか、どうすれば防げたのかを深く分析することが重要です。
危険運転に伴うリスクを認識し、継続的な安全運転行動に役立てましょう。
JAF交通安全トレーニングの活用
『JAF交通安全トレーニング』は、インターネット上で最新の交通ルールや運転マナー、危険予測の方法などの幅広い内容が学べる交通教育です。
eラーニング形式で提供されており、PCやスマートフォン・タブレットのデバイスを通じて手軽に受講できるので、すきま時間を利用しながら学習できます。
短時間で学べるコンテンツやシミュレーション映像も豊富に用意されており、実践的なトレーニングも可能です。
受講状況を確認できる管理者機能も利用できるので、従業員の学習結果と進捗状況もすぐに確認ができます。
企業の安全運転行動の向上に向けた実践的なトレーニングとして、効果的です。
スマホやタブレットでの受講も可能
まとめ:安全運転の行動目標を設定していても事故は起こりうる
安全運転の行動目標を設定し、日頃から安全運転を心がけていても、事故が起こる可能性はあります。
どのように注意深く運転していても、予期せぬ事態やドライバーのミスによって事故に巻き込まれる可能性はゼロではないからです。
万が一事故を起こしてしまった場合、どうすれば被害を抑えられるか、スムーズな対処手順などを理解しておきましょう。
安全運転で事故を防ぐためには、具体的な行動目標を設定し、状況に合わせた定期的な見直しと最新の交通情報を把握するのが重要です。
安全運転で交通事故ゼロを目指し、意識を高めていきましょう。
スマホやタブレットでの受講も可能