安全運転は、自分自身だけでなく、周りの人々を守るためにも必要不可欠です。
しかし、十分注意しているつもりでも、思いがけない事故に巻き込まれてしまうこともあります。
そこで、事故を未然に防ぐために重要なのが、危険予知です。
この記事では、危険予知の重要性と、安全運転意識を高めるトレーニング方法を詳しく解説しています。
思いがけない事故に遭った場合に必要な対処方法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
スマホやタブレットでの受講も可能
目次
危険予知と安全運転
危険予知とは、運転中に起こりうる危険を事前に予測し、適切な対応をとる能力のことを言います。
危険予知は、安全運転を心がけるドライバーにとって基本的な責任の一つであり、事故を未然に防ぐために欠かせない重要なスキルです。
危険予知スキルは、日々の運転の中で意識的に危険予知を心がけることで、徐々に身につけられます。
周囲に気を配りながら起こりうる危険を予測して、安全運転を心がけましょう。
認知(情報収集)
危険予知では、周囲の状況を的確に把握する情報収集スキルが必要です。
情報収集の主なポイントには、次のような4つがあります。
- 前後の車の動き
- 歩行者や自転車の有無
- 道路標識や信号
- 路面状況
予測・判断
危険予知では、収集した情報から何が起こり得るかを判断するスキルが必要です。
- 前方の車が急に止まるかもしれない
- 歩行者が飛び出してくるかもしれない
- 対向車がセンターラインを超えてくるかもしれない
操作(対応)
危険予知では、予測される危険を回避するための行動力も必要です。
- 車間距離を十分にとる
- スピードを控えめにする
- 早めのブレーキ
- 安全確認を徹底する
危険予知が安全運転につながる理由
危険予知が安全運転につながる理由には、次のような理由があります。
事故のリスクを減らす
危険予知とは、運転中に起こりうる危険を予測するスキルのことです。
その危険を予測した運転をすることで、次のような危険の回避につながります。
早めのブレーキ・ハンドル操作 | 危険を予測して早めにブレーキをかける、早めのハンドル操作などで事故を回避し、被害を軽減できる可能性が高まる |
適切な車間距離の保持 | 前後の車と車間距離を適切に保ち、追突事故のリスクを低減できる |
余裕のある運転ができる
危険を予測すると、慌てることなく余裕を持った運転ができる可能性が高まります。
焦ったり、パニックになったりすると、適切な判断ができなくなり事故につながる可能性があるので注意しましょう。
集中力が持続する
常に周囲の状況に気を配り、危険予知をしようと意識すれば、より集中力が持続します。
漫然とした運転は事故のリスクを高めてしまうので、常に集中した運転が重要です。
運転マナーの向上
危険予知を意識して運転するようになると、周囲の車や歩行者に気を配れるようになり、運転マナーも向上します。
危険予知を前提にした安全運転のヒント
危険予知を前提とした安全運転のヒントをいくつかご紹介します。
運転前のチェック
安全な運転を遂行するために、運転前には以下のようなポイントをチェックしておきましょう。
体調管理 | 十分な睡眠をとり、体調を整える |
車の点検 | タイヤの空気圧やブレーキなど、車の状態を点検しておく |
適切な運転姿勢 | シートの前後位置や背もたれの角度、ミラーの映し方などを調整する |
服装 | 動きやすく運転しやすい服装を心がける |
計画 | 時間に余裕を持ち、渋滞などを考慮した計画を立てる |
法定速度を守る
法定速度や制限速度は、道路状況や交通量などを考慮して設定されている、最高速度の上限です。
道幅の狭い生活道路では、速度規制の標識や表示がある場所を除いて一般的な道路と同じ60kmに設定されていましたが、その道路に適した速度は異なります。
時間に余裕を持ち、思いやりのある安全運転を心がけましょう。
特に雨天や夜間、見通しの悪い道路では、控えめな速度での運転が大切です。
2024年4月に警視庁が発表した「ゾーン30」では、警視庁と墨田区、国土交通省東京国道事務所が連携し、墨田区内において次のような施策が実施されることになりました。
ゾーン30は、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全対策の一つです。
区域(ゾーン)を定めて時速30キロの速度規制を実施するとともに、その他の安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内におけるクルマの走行速度や通り抜けを抑制します。出典:警視庁
車間距離
車間距離は、前方車両との衝突を回避するために必要な距離です。
一般道路では、およそ2秒以上の間隔を目安に、車間距離を十分に確保しなければなりません。
車間距離は車種や速度、道路状況によっても変化するので、状況に合わせた適切な調整が必要です。
出典:走行中の適切な車間距離は? | JAF クルマ何でも質問箱
シートベルトの着用
シートベルトは、衝突したときに乗員が車外に放り出されるのを防ぎ、ケガを最小限にとどめる効果があります。
後部座席を含むすべての座席でシートベルトを着用しなければなりません。
標識・信号を守る
標識や信号は、安全な道路交通を守るために設置されています。
設置されている標識や信号に従い、安全運転を心がけましょう。
一時停止は止まり、信号や標識のない交差点でも、左右確認を十分におこなって徐行しながらの走行が大切です。
飲酒運転は厳禁
飲酒運転はそもそも法律違反であり、決してしてはいけない行為です。
飲酒をした状態で車の運転をすることは、当然ながら事故のリスクを大幅に高めます。
飲酒をしたときは、代行運転やタクシーを利用したり公共交通機関を利用したりなど、自分が運転しない手段をとりましょう。
携帯電話・スマートフォンの使用禁止
運転中の携帯電話・スマートフォンの使用は、注意力が散漫になり、事故リスクを高めます。
運転中は、ハンズフリー通話も含めて携帯電話・スマートフォンの使用を控えることが大切です。
緊急の用事でやむを得ず使用する場合は、安全な場所に停車して電話しましょう。
疲れたときは運転しない
睡眠不足や疲労は、注意力低下や判断力の低下を招き、事故のリスクを高めます。
まずはこのような状態で運転をすることを避けなければなりません。
万全な状態で運転を開始しても、疲れたと感じたら無理に運転を続けずに、仮眠や一定時間の休憩をとるようにしましょう。
定期的な車の点検整備
安全運転には、車の状態を常に確認し、安全な走行ができる状態にしておくことが重要です。
定期点検には、車を使用する前に自分でチェックを行う日常点検整備と、国の認証を受けた整備工場で行う定期点検整備の2つがあります。
車の異常や故障が原因となる事故を未然に防ぐには、日常点検整備で車の状態を日々チェックしておくことが大切です。
日常点検整備の具体的なやり方は、こちらの記事をご参照ください。
また、定期点検整備は、車種や使用している用途によって点検を行う時期や項目数が異なるため、それぞれに定められた時期を守って点検整備を実施しましょう。
危険予知トレーニングで安全運転を
危険予知トレーニング(KYT)とは、職場や作業における潜在的な危険要因を事前に予測・分析し、事故発生を防止する能力を養うトレーニングのことを指します。
KYTとは、Kiken(危険)、Yochi(予知)、Training(トレーニング)の頭文字を取った危険予知トレーニングの別呼称です。
危険予知トレーニングをおこなう際に重要なポイントには、次のような4つのポイントがあります。
- イラストや実際の作業を通して危険を見つけやすくする
- グループで意見を出し合い、より多くの危険を発見する
- 解決策を話し合い、具体的な対策を検討する
- 全員が同じ認識を持つようにする
危険予知トレーニングは安全意識の高まりとともに、職場における事故防止対策が重要視されおり、事故を未然に防ぐために効果的として注目を集めている手法です。
危険予知トレーニングの効果には、3つの効果が期待できます。
- 潜在的な危険要因を早期に発見し、事故を未然に防止できる
- 従業員の安全意識を高め、安全運転を促進する
- 事故による損失を削減し、社会貢献ができる
危険予知能力を高めるためには、さまざまなトレーニング方法があります。ここでは、代表的な3つのトレーニング法と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
1.事例に基づいたトレーニング
過去の事故事例を分析し、そこから危険予知のポイントを学ぶトレーニングです。
危険要因の発見と対策を検討し、具体的な状況を想定すれば、より実践的な危険予知能力を身につけられます。
<活用方法>
- 職種や経験に合わせた事例を用いる
- 事前学習を推奨して活発な議論を促す
- 外部講師を活用する
メリット | ・過去の事故事例を題材にするので、現実的で説得力がある ・具体的な状況を想定して、より深い理解が促進できる ・グループディスカッションなどで、参加者の相互理解を深め、問題解決能力を向上させられる |
デメリット | ・事例の収集や準備に時間がかかる ・すべての状況を網羅しきれないので、偏りが生じる可能性がある ・事故のショッキングな映像を使用する場合、参加者に精神的な負担を与える可能性がある |
事例に基づいたトレーニングは、過去に起きた事例をもとに作成したトレーニングシートを活用するのも効果的です。
書籍やインターネットで公開されているシートを活用し、イラストや写真を見ながら実際の路上でどのような危険が潜んでいるかを予測して、どのような行動をするべきかを分析・考察しましょう。
JAF「実写版危険予知・事故回避トレーニング」もぜひ参考にしてください。
2.シミュレーショントレーニング
仮想現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)などの技術を活用した、運転シミュレーターを用いて、さまざまな交通状況を再現するトレーニングです。
安全な環境で危険運転を体験し、実際の運転でも適切な対応ができるよう、トレーニングをおこないます。
<活用方法>
- 効果的なシミュレーション教材を選ぶ
- 個々の習熟度に合わせて難易度を調整する
- 実車運転との組み合わせ
メリット | ・実際の運転状況に近い環境で安全運転を体験できる ・危険な状況を安全に再現し、リスクに対する適切な対応が学べる ・個々の習熟度に合わせて難易度を調整できる |
デメリット | ・専用の設備や機器が必要 ・導入コストや運用コストが高い ・すべての運転状況を再現しきれない |
シミュレーショントレーニングでは、交差点を右折する時や裏通りを走行する場面など、さまざまなシーンで考えられる危険をゲーム感覚で学べます。
警視庁が公開している危険予測トレーニングなども、参考にしてみてください。
3.JAF交通安全トレーニング
JAFでは、交通安全の推進に役立つ安全運転トレーニングを実施しています。
JAFが長年培ってきた交通安全のノウハウを企業・団体向けeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しているので、社内研修や自主学習にも効果的です。
パソコン・スマートフォン・タブレットでいつでもどこでも受講できるので、業務を止めて受講者を集める必要がありません。
<活用方法>
- 業務のすきま時間で受講可能
- 教材は毎月配信され、教材の量も豊富
- 受講進捗を管理するツールを活用
<おすすめポイント>
- 時間や場所を選ばずに自分のペースで学習できる
- パソコンやスマートフォンなどの身近なデバイスで利用できる
- 豊富な教材配信で、教材を探す手間を削減できる
- 事後対応ではなく、事故を未然に防げる
JAF交通安全トレーニングなら、従業員に受講を習慣化させられれば、クオリティの高い教材が毎月配信されるため、安全意識の醸成ができます。
詳細は下記リンクをご確認ください。
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3つのトレーニング比較
それぞれのトレーニングを費用や難易度別に比較しました。
サービス・製品により異なるため、目安として参考にしてください。
項目 | 事例に基づいたトレーニング | シミュレーショントレーニング | JAF交通安全トレーニング |
費用 | コストパフォーマスが高い | 高額 | コストパフォーマスが高い |
導入難易度 | 比較的容易 | 困難 | 容易 |
学習時間 | 短時間 | 長時間 | 自由 |
学習管理 | できない | できる | できる(専用管理画面あり) |
危険予知していても事故に遭ってしまったら
十分に注意しているつもり運転でも、100%事故を防ぐことはできません。
もし、危険予知をしていても事故に遭ってしまった場合は次のような4つのポイントを意識しましょう。
冷静に対処する | パニックに陥らず、冷静になってそのときに必要な判断をおこなう ハザードランプを点灯させ、安全な場所に車を停める |
周囲の安全を確保する | 事故現場の安全を確保し、二次被害を防ぐ 必要であれば救急車を呼び、警察に連絡する 応急処置が必要であれば、適切な処置をおこなう |
相手と情報を共有する | 相手の氏名、住所、保険会社などの情報を共有する |
事故状況を記録する | 事故現場の写真や動画を撮影し、可能であれば目撃者の証言を記録する 事故に関するすべてのやりとりは、記録として残しておく |
まとめ:危険予知能力を高めて事故のない社会
事故のない社会を実現するためには、安全運転に対する意識改革と社会全体での取り組みが必要です。
それぞれの会社や団体においては、安全教育や研修を充実させ、職員の危険予知能力を高めることが求められます。
事項防止は、企業のリスク回避に必要です。
リスク回避のための危険予知トレーニング方法には、それぞれにメリット・デメリットがあります。
単一トレーニングだけに偏らず、複数の方法を組み合わせ、より効果的な危険予知トレーニングを実施することが大切です。
目的や対象者、予算に合わせたトレーニングを活用して危険予知能力と安全意識を高め、誰もが安心して暮らせる社会づくりに貢献していきましょう。
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