自動車を運転する上で、ドライバーは必ず安全運転を心がけなければなりません。
業務で自動車を利用する場合も、もちろんそれは同様であり、企業として安全運転を徹底させるためにも対策を講じる必要があります。
一方で、安全運転を徹底する上でどのような対策が有効なのか、わからない方もいるのではないでしょうか。
本記事では企業でできる安全運転対策について解説します。
具体的な取り組みやコツなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
スマホやタブレットでの受講も可能
目次
安全運転とは?
安全運転とは、交通ルールや一般常識に基づき、歩行者やほかの車両に配慮し、交通事故を起こさないように努める運転を意味します。
安全運転はただ「交通事故を起こさない運転」を意味するものではありません。
道路交通法第七十条では以下のように定められています。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用:道路交通法第七十条
以上のように、安全運転はすべてのドライバーに義務付けられています。
公私に関わらず、自動車を運転する機会があるなら、必ず安全運転を遵守しましょう。
安全運転対策の重要性
ここでは、交通事故の状況や、事故が起こる原因を踏まえた上で、安全運転の重要性について解説します。
交通事故の現状
昨今は技術の発展に伴い、安全性が高い自動車が販売されていますが、交通事故が完全になくなったわけではありません。
以下の表を見てみましょう。
出典:令和5年中の交通事故の発生状況|政府統計の総合窓口(e-Stat)より加工して作成
交通事故の件数は2013年度以降減少こそしていますが、それでも年間で30万件以上発生しています。
むしろ、コロナ禍以降の2023年は、交通事故件数が減少傾向から増加に転じています。
政府や警察は交通事故をゼロにすることを目指していますが、交通事故は依然として発生するリスクが高いといえます。
そのため、ドライバーは交通事故を起こさないよう細心の注意を払わなければなりません。
交通事故が起こる原因
交通事故が起こる原因には一定の傾向があります。
以下のグラフを見てみましょう。
交通事故が発生した原因の半分以上は、運転ミスや運転中の不注意などといった安全運転義務違反によるものだとわかります。
運転に慣れているドライバーでも、ささいなミスで交通事故を起こしてしまうケースは少なくありません。
安全確認不足は、「このくらい大丈夫だろう」「いつも危なくないから」といった、ベテランドライバー特有の慣れや思い込みから発生します。
安全運転義務違反による交通事故を防ぐためにも、日頃から安全運転への意識を高めましょう。
企業における交通事故のリスク
企業において、交通事故は注意しなければならないリスクです。
交通事故が起きれば、従業員や事故相手、周囲の歩行者が負傷したり、人命が失われたりする事態になりかねません。
また、安全運転対策を怠っている状況で交通事故が起きれば、企業のブランドや社会的信用の失墜を招きかねません。
安全運転対策は従業員をはじめとした人命を守り、企業の社会的信頼を維持する上でも重要な取り組みです。
そのため、従業員一人ひとりが注意するだけでなく、企業が一丸となって安全運転意識の向上に努めなければなりません。
安全運転対策のコツ
安全運転対策は、一見すると難しい取り組みに見えますが、実はスムーズに実行できるコツがあります。
安全運転対策は、ドライバーであれば誰もが教習所で学ぶ知識が基本です。
例えば、安全運転対策を検討する際に、以下のような「安全運転5則」を参考にしてみましょう。
- 安全速度を守る
- 十分な車間距離をとる
- 割り込みをしない
- わき見運転をしない
- 路肩走行をしない
安全運転を目指す上で学ぶべきものは何か、確認すべきことは何かを明確にすれば、具体的な対策を講じやすくなります。
教習所で学ぶような基本的な知識を再確認できる対策なら、十分有効です。
ドライバーがするべき安全運転対策
ここでは、ドライバー一人ひとりが実践すべき安全運転対策について解説します。
いずれも基本的な事柄ですが、日頃の運転を見直すためにも、あらためて確認しましょう。
交通安全ルールの遵守
制限速度・追い越しの手順・車線や標識の意味など、交通安全に関わるルールは正確に把握しましょう。
交通安全ルールは、遵守するだけでも事故が発生するリスクを軽減できます。
特に、走行中の速度は周辺の状況に対応できる程度のスピードを維持することを心がけましょう。
学校や住宅地を走行していると、予期せぬタイミングで子どもが飛び出してくる場合もあります。
雨天時や、見通しの悪い道を通る際は急な飛び出しに対応できる速度を維持していれば、交通事故を回避しやすくなります。
安全確認の徹底
安全確認の徹底も、安全運転対策における基本的な取り組みです。
運転中はほかの自動車だけでなく、歩行者やバイク・自転車などが通行しているため、常に周囲の安全を確認する必要があります。
自動車の周囲の安全確認は標識の有無に関わらず、必ず実施しなければなりません。
信号のない交差点を通行する際や、駐停車から発進する際も意識しましょう。
安全確認はルームミラーやサイドミラーだけでなく、目視で確認することも重要です。
ミラーの死角に歩行者が入り込む可能性もあるため、駐停車からの発進時は、一度自動車から降りて確認しましょう。
なお、長時間運転のように、集中力が低下しやすい状況はより一層注意しなければなりません。
集中力が低下すると注意力が散漫になり、自動車や歩行者などの動向予測が鈍くなります。
わき見運転や動静不注視の原因になるため、集中力が低下していると感じた際は、無理に運転せず、適度に休憩を取りましょう。
運転ミスの防止
運転ミスの防止は、日頃の運転姿勢の確認が欠かせません。
ながら運転をしたり、過度にリラックスした姿勢で運転したりしていると、ハンドルやブレーキの操作ミスを起こすリスクが高まります。
運転ミスを防ぐためにも、常に適切な運転姿勢を保つように心がけましょう。
また、運転ミスは集中力の低下や体調不良などが原因になる場合もあります。
体調が悪かったり、疲れていたりする場合は必ず運転を避けてください。
昨今はアクセルとブレーキの踏み間違いを防いだり、自動で緊急停止したりするなど、運転ミスを防げる機能がありますが、過信は禁物です。
飲酒運転を防ぐ取り組み
飲酒運転及び酒気帯び運転は、絶対に防止しなければなりません。
飲酒運転は飲酒なしの運転よりも死亡事故率が約6.1倍も引き上がるなど、リスクが高い行為です。
アルコール類はたとえ少量でも脳の働きを麻痺させ、運転に必要な判断力や注意力などを低下させます。
この状態だと交通事故を引き起こす運転ミスを起こしやすくなるため、ドライバーや歩行者の生命が脅かされるリスクが高まります。
安全に運転するためにも、飲酒した際は絶対に運転を避けましょう。
また、昨今は行政処分の強化により、飲酒運転や酒気帯び運転は厳罰を科せられます。
処罰の対象はドライバーだけでなく、同乗者・自動車の提供者・酒類を提供した者も含まれます。
飲酒運転や酒気帯び運転の防止は自身だけでなく、周りの人が飲酒運転を起こさないように配慮することも不可欠です。
参照:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁
企業ができる安全運転の取り組み
安全運転対策はドライバー個人だけでなく、企業も積極的に取り組まなければならないものです。
ここでは、企業が実施できる安全運転の取り組みについて解説します。
標語・スローガンの作成
標語やスローガンの作成は、安全運転対策を従業員に周知する上で有効な取り組みです。
わかりやすい・覚えやすい文言で標語やスローガンを作成すれば、安全運転対策の重要性を訴求しやすくなります。
標語やスローガンが記載されたポスターなど、掲示物でアピールする方法もおすすめです。
標語やスローガンを作成する際は、社内で文言を募集してみましょう。
従業員が安全運転について考えるきっかけにもなります。
安全運転講習会の実施
定期的な安全運転講習会の実施も、重要な安全運転対策です。
安全運転講習会を実施すれば、交通ルールや運転ミスの防止方法などの安全運転に必要なノウハウを学べます。
特に運転経験が少ない新入社員や、ペーパードライバーの従業員にとって、安全運転講習会は安全運転を学ぶ良い機会になります。
社内で開催するだけでなく、警視庁のような公的機関や一般企業が開催している安全運転講習会への参加もおすすめです。
また、eラーニングで安全運転対策について学べる教材も役立ちます。
eラーニング形式の安全運転講習を活用するなら、安全運転に必要な知識を効率的に学べる「JAF交通安全トレーニング」をぜひお試しください。
JAF交通安全トレーニングなら、前述したミラーの死角や適切な運転姿勢など、さまざまなテーマを動画付きの教材で学べます。
また、個々のタイミングで受講できるため、講習会のようなスケジュール調整が不要です。
継続的に受講できるので、安全意識の継続的な醸成に適しています。
スマホやタブレットでの受講も可能
ドライブレコーダーの設置
ドライブレコーダーの設置も、安全運転対策に有効です。
ドライブレコーダーなら、運転状況が映像として記録されるため、運転のクセを確認できます。
加えて、ドライブレコーダーで記録される状況を作れば、ドライバーが自然と運転に注意を向けるようになります。
近年は、前方車両が接近した際、急加速・急ブレーキを検知した際に警報を発する機能を持つなど、安全運転に役立つドライブレコーダーが豊富です。
安全運転対策の一環として導入すれば、交通事故のリスクが高いドライバーを確認できます。
さらにドライブレコーダーで選定した対象者に、JAF交通安全トレーニングで教育すれば、さらに効果が期待できます。
ヒヤリハットマップなどの資料の作成
従業員同士でヒヤリハットマップなどの資料を作成することは、安全運転につながる情報を共有する上で有効です。
業務でよく利用するルートで交通事故が発生するリスクが高い場所を共有すれば、従業員同士で安全運転意識を高めるきっかけになります。
作成したヒヤリハットマップは、定期的に内容を更新しましょう。
内容をバージョンアップすることにより、精度の高い状態を維持できます。
まとめ:安全運転対策を徹底してリスクを回避しよう
道路交通法において、安全運転はドライバーの義務とされており、交通事故を防ぎ、ドライバーや歩行者などの人命を守る上でも、必ず徹底しなければなりません。
安全運転対策は交通安全ルールの遵守や安全確認の徹底など、基本的な事柄を確認するだけでも十分効果があります。
またドライバー個人はもちろん、企業が一丸となって安全運転対策を実施することも重要です。
安全運転講習会を実施したり、標語・スローガンを作成したりすれば、従業員の安全運転意識を高めるきっかけを作れます。
交通事故のリスクを回避し、人命を守るためにも、安全運転対策は積極的に実践しましょう。
スマホやタブレットでの受講も可能