企業の安全運転研修とは?ブラッシュアップ講習は効果的?費用相場や導入メリットを解説

安全運転講習(研修)は、従業員の交通安全意識を高め、事故リスクを低減するための重要な取り組みです。

特に営業職や配送業務など、日常的に車を運転する従業員が多い企業にとって、事故によるリスク管理は避けて通れません。

安全運転講習では、基本的な運転技術の再確認から危険予測のトレーニングまで、幅広い内容が含まれます。

本記事では、安全運転研修の具体的な内容や費用相場、導入することで得られるメリットについて詳しく解説します。

事故ゼロを目指すために、ぜひ参考にしてください。

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安全運転講習(研修)の基礎知識

企業安全運転研修の基礎知識

安全運転研修は、従業員の交通安全意識を高め、事故を未然に防ぐための重要なプログラムです。

研修の内容は、基本的な運転技術の確認から危険予測能力の向上、緊急時の対応方法まで多岐にわたります。

ここでは、安全運転研修の基本的な内容やその重要性、さらに研修を管理する安全運転管理者についての基礎知識を詳しく解説します。

安全運転講習(研修)とは?

安全運転講習とは、企業が従業員の交通事故を防ぐために実施する教育プログラムです。

研修の内容は基本的な運転スキルの見直しから始まり、危険予測のトレーニング、交通ルールの再確認、緊急時の対応方法など、幅広い範囲に及びます。

さらに、ドライブレコーダーを活用した自己分析やシミュレーターを使用した実践的な訓練も含まれることがあります。

目的は、ドライバーが安全運転の重要性を再認識し、日常の運転行動を改善することです。

こうした研修を通じて、企業は事故リスクを低減し、従業員の安全を確保するだけでなく、企業としての社会的責任を果たすことが求められます。

安全運転研修の必要性

安全運転研修の必要性は、企業が抱えるリスク管理の観点から非常に高いと言えます。

交通事故は、当該従業員や事故相手に身体的・精神的なダメージをもたらすだけでなく、企業にとっても大きな損失となってしまいます。

例えば、事故による車両の修理費用や保険料の増加、法的なトラブル、企業の社会的信用の低下などです。

さらに、従業員が事故を起こすとその処理に時間を取られることになるなど、人的損失(従業員のケガ)、信頼損失(ブランド棄損)、時間損失(自己処理、再発防止策検討)もあります。

こうしたリスクを未然に防ぐために、安全運転研修は重要です。

研修を受けることで、従業員一人ひとりが安全意識を高め、リスクを理解し、実際の運転行動に反映させることが期待されます。

安全運転管理者になるには資格は必要?

安全運転管理者は、ドライバーの健康管理や事故防止策の策定、事故発生時の対応計画の策定など、多岐にわたる業務を担います。

安全運転管理者としての資格は、特別な免許や資格が必要というわけではありませんが、一定の条件と研修の受講が求められます。

一般的には、運転経験が豊富であり、企業内で交通安全の指導や教育をおこなう立場にある人が適任です。

地方自治体や交通安全協会などが主催する講習を受講し、最新の安全運転知識を習得することも推奨されています。

企業において、信頼できる安全運転管理者がいることは、従業員それぞれの交通安全意識を高める重要な要素です。

安全運転管理者に関する詳しい内容は、こちらの記事もご覧ください。

安全運転研修の種類

企業安全運転研修の種類

企業の安全運転研修には、従業員の職種や運転経験、過去の事故歴に応じてさまざまな種類があります。

それぞれの研修は、特定のニーズに対応し、従業員の安全意識を高めることを目的としています。

ここでは、企業が導入できる主な安全運転研修の種類について詳しく解説しますので、参考にしてください。

新入社員研修

新入社員研修は、運転経験が浅い新入社員を対象に安全運転の基本を学ぶための研修です。

近年は、若者の車離れから運転経験が乏しい新入社員がいることもあり、安全運転の基本を学ぶための研修を導入している企業が増えてきました。

新入社員研修では、基本的な交通ルールや車両の操作方法、危険予測の重要性などを中心に指導します。

座学を通じた理論学習だけでなく、実際の車両を使った実技訓練も含まれることが多く、運転スキルの向上を図ります。

さらに、緊急時の対処法や事故防止のための注意点も学ぶ基本的な研修です。

新入社員研修は企業が新たに雇用した従業員に対し、安全運転の基礎を確立させるための重要なステップであり、企業のリスク管理にも直結します。

一般社員研修

一般社員研修は、すでに企業に在籍している従業員を対象とした研修で、日常的に車両を運転する従業員が対象です。

この研修では、交通ルールの再確認や最新の交通事情に応じた安全対策、自己の運転習慣を客観的に見直す機会を提供します。

ドライブレコーダーやシミュレーターを使った訓練も実施されることがあり、実際の運転に近い環境での訓練がおこなわれます。

運転経験が豊富なドライバーでも、安全運転に対する意識を定期的に見直すことが重要です。

若年層と同じく、40~50代の事故も多いです。

自己流で安全確認を省略し、たまたま事故や違反に至っていないことを成功体験のように認識してしまうケースも多いため、40代~50代向けの研修も必要になります。

運転指導者向け研修

運転指導者向け研修は、企業内でほかのドライバーに対して運転指導をおこなう担当者を対象とした研修です。

運転指導者は自分自身の運転スキルだけでなく、指導方法や他者の安全運転を効果的にサポートする能力も求められます。

運転指導者向け研修では、運転指導のための知識や技能、コーチングスキルを学びます。

具体的には、危険予測トレーニングやフィードバックの仕方、各ドライバーの運転スキルに応じた指導方法などです。

運転指導者向け研修を受けることで、運転指導者は自信を持ってほかの従業員の運転技術向上を支援でき、企業全体の安全意識向上に貢献できます。

事故再発防止研修

事故再発防止研修は、過去に交通事故を起こした従業員を対象とした研修で、再発防止が目的です。

事故再発防止研修では、事故の原因を分析し、同じ過ちを繰り返さないための具体的な改善策を学びます。

例えば、運転中の注意力散漫やスピード超過など、個々の従業員が抱える問題点を特定し、それに対応するためのトレーニングをおこないます。

また、事故の心理的影響を理解し、メンタルヘルスのサポートも含めた総合的なアプローチが取られることが多いです。

事故再発防止研修を通じて、従業員の安全運転意識を高めるだけでなく、企業全体の事故リスクを低減することが期待されます。

JAFトレは、JAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材かしています。

短時間で学べるコンテンツが豊富で、毎日の学習で交通安全の意識を高められるのがメリットです。

安全運転講習の実施方法

安全運転講習の実施方法には、いくつかの方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、各実施方法の特徴を把握した上で自社の現状に適した方法を選ぶことが重要です。

ここでは、代表的な安全運転講習の実施方法について解説します。

対面講習講師と生徒が一堂に会し、対面でおこなう講習
オンライン講習ビデオ通話やWeb会議システムなどを用いて、リアルタイムでおこなう講習
ブラッシュアップ講習特定の対象者に向け、全国の指定自動車講習所でおこなう講習
eラーニング講習パソコンやスマートフォンなどを使って、インターネットを介しておこなうオンデマンド型の講習

対面講習

対面講習とは、講師と受講生が同じ場所に集まって、直接対面しながら研修をおこなう実施方法です。

【メリット】

  • 講師が受講生の表情や雰囲気を見ながら直接指導をおこなえる
  • 受講生の理解度を高めやすい
  • 受講生が疑問点をその場ですぐ解消ができる

【デメリット】

  • 会場の確保や受講生の日程調整が必要となる
  • オンライン講習やeラーニングなどと比べて時間やコストかかりやすい

以上のことから、質の高い安全運転教育を実施できる反面、時間やコストがかかる実施方法と言えるでしょう。

オンライン講習

オンライン講習とは、ビデオ通話やWeb会議システムなどを用いて講習をおこなう方法です。

【メリット】

  • 講師と受講者が同じ場所に集まらずとも講習をおこなえるため、対面講習と比べて場所や時間の制限が少ない
  • 移動などにかかるコストが抑えられる

【デメリット】

  • 対面研修と比べて受講者の状況に合わせた講習がしにくい
  • ワークショップや実技指導がしにくい

以上のことから、従業員の勤務場所や勤務時間の関係で対面講習が難しい企業や、できるだけコストを抑えたい企業におすすめの実施方法と言えるでしょう。

ブラッシュアップ講習

ブラッシュアップ講習とは、事業として自動車を運転するドライバーや高齢者を対象に、全国の指定自動車講習所でおこなわれている運転講習です。

ブラッシュアップ講習では、専門の指導員から問題点について指導してもらえるだけでなく、GPSやIT技術を用いてドライバーの走行状況を客観的に診断してくれます。

最後には、標準値と比較できるレポートにまとめてくれるため、ドライバーは自分の運転のクセや運転時の注意点なども知ることができます。

ただし、ブラッシュアップ講習にかかる費用は、1人1時間あたり4,000~8,000円ほどと高めである点には注意が必要です。

eラーニング講習

eラーニングを活用した研修では、忙しい中でも従業員それぞれの業務都合に合わせて安全運転教育が可能です。

パソコンやスマートフォンで学習できるため、従業員を一堂に集めたり講師を招いたりする必要がありません。

単に映像や資料を見るだけではなく、以下のような教材を使って知識の充実を図れます。

  • 安全運転の心構え
  • 安全運転に関する知識
  • 緊急時の対応
  • 確認テスト
  • 危険予測トレーニング
  • さまざまな運転シーンにおける安全な確認

また、学習状況を把握するための機能も備わっているため、全員が受講できるよう管理が可能です。

安全運転研修の費用と所要時間の目安

企業安全運転研修の費用と所要時間の目安

企業の安全運転研修の費用と所要時間は、研修の種類や内容、講師の専門性、企業のニーズに応じて大きく異なります。

一般的な目安として、新入社員向けや一般社員向けの基礎的な研修の場合、1人あたり1万~3万円程度が目安になるでしょう。

これには、座学による基本的な交通ルールや安全運転の知識、実技指導の費用が含まれます。

所要時間は半日から1日程度が一般的ですが、内容の充実度に応じて2日間にわたるプログラムもあります。

より専門的な内容を含む運転指導者向け研修や事故惹起者研修では、費用は1人あたり5万~10万円程度になるものもあるでしょう。

さらに、企業規模や参加人数に応じて、グループ研修として講師を呼んで実施する場合には、1日あたり10万~15万円以上の費用がかかることもあります。

安全運転研修を実施する際は、費用だけでなく、内容や効果を重視することが大切です。

企業のリスク管理や従業員の安全意識向上に直結するため、長期的な視点での投資として考えましょう。

企業の特性や研修目的に合わせて、最適な研修プログラムを選ぶことが求められます。

年に1~2度の警察等による講習や保険会社から提供される無料の安全運転資料で満足している企業の場合、「企業にとってコスト負担が少ない」「従業員の業務時間を大きく割くことなく、安全教育が完了できる」などをメリットと感じているかもしれません。

しかし、講習や資料は一過性のものであり、時間が経つにつれて安全意識が薄れやすいく、事故を防ぐための継続的な意識の向上は期待できないでしょう。

また、無料で提供される内容は、従業員が積極的に取り組む姿勢を持ちにくい点がデメリットとして挙げられます。

一方で、JAFトレのように多少の費用をかけて継続的に安全意識を高める企業は、定期的なトレーニングをおこなうことで、安全意識が醸成され、事故を未然に防ぐ能力が向上します。

また、JAFトレでは、運転シミュレーターや実践的なトレーニングを通じて、現実の運転に即したスキルを学べるため、急な危機にも適切に対応できる能力が身につくのがメリットです。

費用をかけて安全教育をおこなうことで、企業が安全意識を重視していることが従業員に伝わり、モチベーション向上も期待できるでしょう。

企業安全運転研修を導入する4つのメリット

企業安全運転研修を導入する4つのメリット

企業が安全運転研修を導入することには、さまざまなメリットがあります。

研修を通じて従業員の交通安全意識を向上させるだけでなく、企業全体のリスク管理や経費削減にも大きく寄与します。

特に、運転業務を多く含む業界においては、交通事故のリスクを減らし、従業員や道路利用者の安全と企業の信頼性を確保することが不可欠です。

ここでは、企業が安全運転研修を導入することで得られる4つの主なメリットについて詳しく解説します。

従業員の健康と安全の確保

安全運転研修を導入することは、従業員の健康と安全を確保するためにも重要です。

交通事故は身体的な怪我だけでなく、精神的なダメージやストレスも引き起こします。

研修を通じて安全運転の重要性を学び、リスクを回避するスキルを身につけることで、従業員はより安全な環境で働けます。

安全な職場環境を提供することは、従業員のモチベーション向上にも寄与し、結果的に企業全体の生産性向上を促進するでしょう。

事故リスクの低減

企業が安全運転研修を導入する最大のメリットは、従業員の交通事故リスクを大幅に低減できることです。

研修では、交通ルールの再確認や危険予測のトレーニング、実際のシミュレーションを通じて、運転技術の向上とリスク回避の方法を学びます。

安全運転研修を導入することにより、従業員は日常の運転において危険な状況を未然に察知し、適切な対応ができるようになります。

事故を防ぐことで従業員の健康と安全が守られ、企業としてのリスク管理も強化されるでしょう。

特に運転業務を頻繁におこなう企業にとって、事故の発生を未然に防ぐことは大きな経済的損失の回避にもつながります。

企業イメージの向上

安全運転研修の導入は、企業の社会的責任を果たす一環として、企業イメージの向上にも寄与します。

従業員の安全を重視し、事故防止のために積極的に取り組んでいる企業は、顧客や取引先からの信頼が高まります。

また、研修を通じて従業員一人ひとりの安全意識が向上することで、事故によるトラブルや損害を避け、企業の評判を守れるのもメリットです。

特に、環境や安全性に対する意識が高まる現代において、企業の取り組みが広く評価されることは、競争力の向上にもつながります。

経費削減につながる

安全運転研修の導入は、結果として企業の経費削減にも大きく貢献します。

事故が発生すると、修理費用や保険料の増加、場合によっては法的なトラブル対応のコストが発生します。

さらに、事故による業務の遅延や損失も経済的負担となり得るでしょう。

しかし、安全運転研修を通じて事故リスクを減らすことで、これらの直接的・間接的な費用を削減できます。

研修費はかかりますが、長期的には経費の削減とリスク管理の強化により、企業の健全な運営に寄与します。

安全運転講習を効果的に実施するためのポイント

安全運転講習は、ただ実施するだけではあまり高い効果は得られません。

ここでは、安全運転講習を効果的に実施するためのポイントを2つ解説します。

課題を抽出し目的を明確にする

効果的に安全運転講習をおこなうためには、まず受講者の具体的な課題を把握し、それに基づいた明確な講習目的を設定することが重要です。

課題が不明確なままでは、講習内容が受講者の状況と合わず、誰にとっても学習効果の低い講習となる可能性があるためです。

具体的な方法としては、過去の事故データやアンケート調査から、特定の運転行動(例:右折時の安全確認不足、速度超過など)から課題を確認・把握し、その課題の解消を講習目的として設定すると良いでしょう。

複数の課題がある場合は、テーマごとに分けて講習をおこなうのもおすすめです。

効果測定をおこなう

安全運転講習の効果を最大限に引き出すためには、講習後の効果測定が不可欠です。

効果測定をおこなうことで、講習内容が受講者の運転行動や意識にどのような変化をもたらしたのかを客観的に把握できます。

その結果、講習の改善点や今後の対策を検討するためのデータが得られるだけなく、講習の意義を参加者や関係者に具体的に示すことができるため、モチベーション向上にもつながるでしょう。

効果測定の方法としては以下が挙げられます。

  • 講習前後のアンケート調査による意識変化の測定
  • ドライブレコーダーの映像分析による運転行動の変化の確認
  • 事故件数の推移の追跡
  • 車両管理システムで検知できる「急」のつく操作変化の確認
  • OJTによる運転行動変化の確認

講習自体の質を高め、受講者の安全運転意識を定着させるためにも、講習を実施した際は合わせて効果測定をおこなうと良いでしょう。

eラーニングと組み合わせると、受講進捗や受講後の行動改善も追跡しやすくなります。

まとめ:企業安全運転研修は企業防衛につながる

企業安全運転研修は企業防衛に繋がる

企業における安全運転研修は、従業員の事故リスクを低減し、企業の経済的損失を防ぐ重要な取り組みです。

研修を通じて安全意識を高めることで、従業員や道路利用者の安全を守り、企業イメージの向上にもつながります。

導入には費用がかかるものの、長期的には経費削減やリスク管理の強化に寄与します。

企業防衛の一環として、積極的に安全運転研修を導入することで、持続可能な成長と社会的責任を果たす企業姿勢を築いてください。

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