指導に活かせる!運転初心者が気をつけることと事故予防のコツを紹介

研修期間が終わり、新入社員が本格的に仕事を始める頃になると「新入社員に社用車を運転させて大丈夫だろうか?」と、心配になる方も多いでしょう。

実は、交通事故が最も多いのは、メディアでよく報道される高齢ドライバーではなく、20代前半の若年ドライバーであることをご存じでしょうか?

そのため、新入社員への安全運転に関する指導は、交通事故のリスクを減らすうえで非常に重要です。

この記事では、運転初心者が気をつけることや、事故を防ぐためのコツについて紹介しています。

新入社員をはじめ、若手社員の指導に役立つ内容なので、まずはご一読ください。

なお、本記事における「運転初心者」とは、運転に慣れていない若年ドライバーを指します。

スマホやタブレットでの受講も可能

初心運転者期間制度について

初心運転者期間制度について

運転初心者が気をつけることを紹介する前に、まずは「初心運転者期間制度」について知っておきましょう。

初心運転者期間制度とは

「初心運転者期間制度」とは、普通免許、準中型免許、大型二輪免許、普通二輪免許または原付免許について、免許の取得後1年間(停止中の期間を除く)、適用される制度です。

交通事故を起こす可能性の高い運転初心者に慎重な運転を促し、技能や知識の定着を目的として設けられました。

期間中は普通自動車および準中型自動車では、車体の前後2ヶ所に初心者マークを付けることが義務付けられています。

参考:道路交通法第七十一条の五(e-Gov法令検索)

さらに、初心者マークは地上から高さ0.4m以上、1.2m以下の見やすい位置に表示しなければなりません。

参考:道路交通法施行規則第九条の六(e-Gov法令検索)

よく「初心者マークはマイカーだけで良いのでは?」と勘違いされている方がいますが、マイカーだけでなく、社用車やレンタカー、他人の車を運転するときも、付けることが義務付けられています。

違反点数の合計が3点以上になると「初心運転者講習」の対象となる

初心運転者期間中に、違反点数が合計で3点以上(1回の違反で3点の場合は、再び違反などをして合計点数が4点以上)になると「初心運転者講習」を受けなければなりません。

また、1回の違反で3点に達した場合は、2回目の取り締まりを受けたときに初心運転者講習の対象になります。

講習の対象者が初心運転者講習を受講しない場合や、講習を受けてから初心運転者期間が終了するまでの間に再度違反を犯し、合計点数が3点以上になった場合は、講習ではなく再試験を受ける必要があります。

参考:道路交通法百条の二(e-Gov法令検索)

そして、再試験に合格しなかった人、正当な理由なく再試験を受けなかった人は、免許が取り消されます。

参考:道路交通法百四条の二の二(e-Gov法令検索)

なお、この場合の取消処分に関しては欠格期間がないため、すぐに運転免許試験を受けることが可能です。

免許停止や取消とは計算方法が異なる

免許停止や取消の場合は、原付免許や普通免許などの種別に関係なく、違反点数の合計が見られます。

例えば、過去1年において原動機付自転車で2点、車で4点の違反があった場合は免許停止となり、原動機付自転車も車も運転することができなくなります。

一方で、初心運転者講習の対象かどうかについては、以下の通り種別ごとの合計点数が見られるのです。

  • 原付免許の場合:原動機付自転車での違反点数が合計3点以上になった場合
  • 普通免許の場合:普通自動車での違反点数が合計3点以上になった場合
  • 普通二輪免許の場合:普通二輪車での違反点数が合計3点以上になった場合
  • 大型二輪免許の場合:大型二輪車での違反点数が合計3点以上になった場合

初心運転者期間中の人が、原動機付自転車で1点、普通自動車で2点の違反をして合計3点の違反になっても、それぞれの違反点数は3点未満なので初心運転者講習の対象にはなりません。

初心運転者講習の対象かどうかは点数の計算方法が通常とは異なることを押さえておきましょう。

運転初心者の事故の状況

運転初心者の事故の状況

メディアでよく報道されているため「交通事故が多いのは高齢ドライバーなのでは?」と思うかもしれません。

確かに高齢ドライバーによる交通事故は多いのですが、運転経験の浅い若年ドライバーによる交通事故件数はそれ以上です。

ここからは、運転初心者の事故の状況について、警察庁の統計データを元に紹介します。

交通事故は20代前半までが最も多い

警察庁の報告によると、令和4年の年齢層別免許保有者10万人あたりの第1当事者が自動車等の交通事故件数は以下の通りです。

年齢層10万人あたりの交通事故件数
16〜19歳1,039.2
20〜24歳597.2
25〜29歳414.8
30〜34歳320.2
35〜39歳290.6
40〜44歳282.8
45〜49歳290.7
50〜54歳296.1
55〜59歳295.9
60〜64歳295.7
65〜69歳299.1
70〜74歳341.0
75〜79歳372.1
80〜84歳423.4
85歳以上498.4
出典:令和4年中の交通事故の発生状況 P23(警察庁交通局)

交通事故件数の多い順に並べると、

  1. 16〜19歳
  2. 20〜24歳
  3. 85歳以上

と、若年ドライバーの件数が多いのがわかります。

データが示すように、若年ドライバー、特に運転初心者は、運転に不慣れで交通事故を起こす可能性が高いのです。

若者の事故の原因第1位は「安全不確認」

それでは、若年ドライバーの事故はどうして起こるのでしょうか?

警察庁の報告を元に、令和4年に16〜24歳が起こした交通事故を安全運転義務違反の内容別に分けると、以下のようになります。

安全運転義務違反10万人あたりの件数
安全不確認151.5
脇見運転115.8
動静不注視81.3
漫然運転79.2
運転操作不適58.1
安全速度5.1
その他10.2
出典:令和4年中の交通事故の発生状況 P25(警察庁交通局)

最も多いのは「安全不確認」です。

安全不確認とは、前後左右の確認を怠ったために起きた事故を指します。

例えば、交差点を右折する際に対向車ばかりを気にして、歩行者に気づかずに接触してしまった場合が当てはまります。

2番目に多いのは「脇見運転」です。

周りの景色に気を取られることだけでなく、ダッシュボードや助手席の物を取ろうとしたり、カーナビを操作したりすることも当てはまります。

3番目に多い「動静不注視」とは、歩行者や車を事前に把握していたにも関わらず、「大丈夫だろう」と思い込み、相手の動きに注意を払わないことです。

【シーン別】初心者が運転するときの注意点

【シーン別】初心者が運転するときの注意点

ここからは、初心者が運転するときの注意点を、シーン別に紹介します。

運転前

運転前の注意点は以下の通りです。

  • シートの位置・高さ:シートに深く座ってブレーキペダルを強く踏んだとき、足が伸び切らず膝の関節に軽く余裕が残る位置に調整する
  • 背もたれ:ハンドルの頂点を握った状態で肘が伸び切らない角度
  • ルームミラー:鏡に映る背景が左右対称となる位置とし、高さ方向も上下に偏らないように背景が中央になる位置に調整
  • ドアミラー:左右方向はミラー内側1/4程度に自車が映りこむ位置、上下方向は地平線から下がミラーの2/3程度となるよう調整

肘が伸びたままハンドルを握ると、カーブに差し掛かったときに腕が曲がらず、ハンドルを上手く操作できません。

操作しやすいように、肘が少し曲がる程度の高さ・距離に調整しましょう。

ブレーキ・アクセル時

急ブレーキは後続車から追突されるリスクがあります。

ブレーキを踏むときはアクセルから足を離し、ゆっくりとブレーキペダルを踏み込みましょう。

アクセルに関しても同様です。

急に踏み込むのではなく、ゆっくりと踏み込んで徐々に加速させましょう。

急発進は絶対にやめましょう。

右折・左折

右左折時は、30メートル手前からウインカーを出しましょう。

左折の場合は、歩行者や自転車、原付バイクに接触しないように注意しましょう。

交差点に差し掛かったら、ルームミラー、ドアミラー、目視で歩行者などを確認し、ゆっくりと左折します。

右折の場合はウインカーを出して交差点中央まで進み、

  • 右折先に歩行者、自転車はいないか
  • 対向車は来ていないか、または十分な遠さにあるか

などの安全確認をしてから右折します。

交差点

交差点における「右直事故」という言葉をご存じでしょうか?

右直事故とは、右折車と直進車の間で起こる事故のことです。

右折時に対向車の通過を確認して発進したら、対向車の陰に隠れていたバイクや自転車に気づかず、衝突してしまうという事故が多く発生しています。

交差点では、車の陰にバイクや自転車、歩行者がいる可能性を考慮して、一呼吸置いてからの操作を意識しましょう。

特にスピードの出るバイクやスポーツ用自転車には注意が必要です。

駐車

運転初心者の多くは、バック駐車に苦手意識があると思います。

バック駐車は運転初心者でなくても苦手な人が多いので、無理もないでしょう。

苦手であれば、1度で駐車しようとせず、「何度切り返しても大丈夫」と意識すると、緊張もほぐれます。

ただし、周囲の車や人の動きに十分注意してください。

カーブ

カーブでの運転で大切なことは、スピードを落としてから曲がることです。

カーブの直前でスピードを落とすと、曲がりきれない恐れがあるため、カーブの手前からスピードを落とすようにしましょう。

車線変更・合流

バック駐車と同様に、車線変更も運転初心者が苦手意識を持ちやすい操作の1つです。

運転初心者にありがちなことは以下の2点です。

  • ウインカーを出してもなかなか車線変更ができない
  • 焦ってウインカーを出してすぐに車線変更してしまう

車線変更をおこなうときは、まずは安全確認のうえウインカーを出して周りの車に意思表示をします。

次にルームミラー、ドアミラー、目視の順に確認し、再度安全を確かめてから車線変更をおこないます。

合流の際も、車線変更と同様です。

高速道路

高速道路での運転で注意するポイントは以下の通りです。

  • 進入:本流の流れを乱さない速度までしっかりと加速して入る
  • 車線変更:ウインカーで合図を出し、入念に安全確認をしてからおこなう
  • 車間距離:一般道よりも広くとる

夜間

周囲が見えにくく危険を見落としやすい夜間の運転は、交通事故のリスクが高くなります。

以下の点は日中でも注意が必要なことですが、夜間は特に気を付けて、事故のリスクを減らしましょう。

  • ハイビームとロービームを使い分ける
  • スピードを出しすぎない
  • 十分な車間距離をとる
  • 右左折は慎重におこなう
  • 歩行者・自転車の存在を意識する

「こんな遅い時間に歩行者や自転車はいないだろう」と思ってしまうこともあるかもしれません。

油断は事故の元なので、歩行者や自転車がいると意識して運転する習慣を身につけましょう。

運転初心者の事故を予防するためのポイント

運転初心者の事故を予防するためのポイント

続いて、運転初心者の事故を予防するためのポイントを紹介します。

若手社員への指導の際は、ぜひ参考にしてください。

安全確認すべき対象を知る

若年ドライバーの事故原因で最も多いのが「安全不確認」であるように、若年ドライバーは注意力が足りないという傾向があります。

運転初心者は以下のような「かもしれない運転」ができるように意識しましょう。

  • 右折時は、対向車の陰にバイクや自転車が隠れているかもしれない
  • 住宅街では子どもが突然飛び出してくるかもしれない
  • 信号のない交差点では車が急に出てくるかもしれない

視線は遠くに向ける

基本的に、視線は遠くに向けましょう。

車は徒歩の10倍以上の速さで走ることができるため、より遠くを視界に入れておかなければなりません。

また、前方だけではなく、ルームミラー・ドアミラーを見て、周囲の状況を確認することも重要です。

例えば、ミラーで後ろの様子を確認する癖を付けておけば、緊急車両の接近や危険運転の車両に気づけます。

万が一追突してくる車がいても、事前に身構えることができるので、怪我をある程度軽減できることもあります。

スピードメーターを小まめに確認する

スピードの出し過ぎは事故の元です。

スピードメーターをこまめに確認して、速度を把握する癖をつけさせましょう。

同じ感覚で運転していても、交通量や時間帯などでスピードの感じ方は異なります。

感覚で運転するのではなく、スピードメーターを小まめに確認して、スピードを調整しながら走りましょう。

ルームミラーやドアミラーを確認する

ルームミラーやドアミラーを確認する際は、以下の点に注意しましょう。

  • ミラーで確認できない死角は、頭を動かして目視する

脇見運転しない環境を作る

若年ドライバーの交通事故原因で2番目に多いのが「脇見運転」です。

そのため、運転中は脇見運転をしないよう、以下の点に注意しましょう。

  • カーナビやスマートフォンは安全な場所に停止してから操作する
  • 通知に気をとられないように、スマートフォンはドライブモードにして目のつかないところに置く
  • 助手席や後部座席の物をとろうとしない

余裕を持ったスケジュールで動く

遅刻すれば訪問先に失礼になるうえに、焦りによって事故のリスクも高まります。

そのため、運転する予定があれば、普段以上に余裕を持ったスケジュールで動くように心がけましょう。

「道に迷ってしまった」「一方通行だと知らなかった」とならないように、事前に経路を調べておくことも重要です。

カーナビ操作は脇見運転の原因になるので、目的地の設定などは発車前に済ませ、運転中は操作しないようにしてください。

企業ドライバーとしての自覚と責任感を持つための指導も必要

企業ドライバーとしての自覚と責任感を持つための指導も必要

社用車を運転する際は「企業ドライバーとしての自覚と責任感を持つ必要がある」という意識を持たせる指導も必要です。

社用車に乗ることは、自分がどこの会社の人間か、周囲から見られているということです。

事故を起こす・起こさないに関わらず、運転マナーが悪いと企業イメージの低下を招きます。

車体に社名が入っていなくても、服装や持ち物から会社を特定されることもあります。

SNSやインターネットで情報が拡散され、トラブルに発展するリスクもあるでしょう。

一方で、安全で良いマナーの運転が、会社のイメージアップにつながることもあるかもしれません。

以上の理由から、企業ドライバーとしての自覚と責任感を持ち、日頃から安全運転ができる指導を心がけましょう。

日頃から交通安全について学ぶ方法

日頃から交通安全について学ぶ方法

交通安全への意識を高めるには、上司や先輩社員からの指導だけでなく、新入社員一人ひとりの意識も重要です。

個々の意識が高まることで会社全体の交通安全意識が高まり、ひいてはそれが会社のイメージアップや、信頼感の醸成につながるからです。

そのため、日頃から交通安全について学ぶ機会を設けて、定期的な意識付けをおこないましょう。

交通安全を学ぶ具体的な方法は以下の通りです。

  • 自動車教習所の企業向け研修
  • 外部講師による研修
  • eラーニング

中でもeラーニングは、「時間や場所を問わず学べる」「全員が同じ品質で受講できる」といったメリットがあります。

JAFメディアワークスでは、JAFが長年培った交通安全に関するノウハウをまとめたeラーニング教材「JAF交通安全トレーニング」を提供しています。

特徴は以下の通りです。

  • 短時間で学べるコンテンツが豊富
  • 学習結果と進捗をマイページで確認でき、継続意欲を促進
  • 確認とフォローがしやすい管理画面で、やりっぱなしを防ぐ
  • PCだけでなく、スマートフォンやタブレットからの受講も可能

毎日コツコツ学ぶことで交通安全意識の向上が期待できます。

新入社員への交通安全研修などに、ぜひご活用ください。

スマホやタブレットでの受講も可能

まとめ:運転初心者のうちから交通安全への意識を高めよう

運転初心者のうちから交通安全への意識を高めよう

「交通事故は高齢ドライバーに多いのでは?」と思いがちですが、実は交通事故件数が最も多いのは、運転経験の浅い若年ドライバーです。

特に運転初心者は不慣れな点が多く、事故のリスクが大きくなります。

そのため、企業は新入社員などの運転初心者を対象に、日頃から交通安全に対する意識付けをおこなうことが求められます。

とはいえ、「どうやって指導すれば良いかわからない」「普段の業務の中で交通安全の指導をするには時間が足りない」とお悩みの方も多いでしょう。

JAFメディアワークスでは、JAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しました。

短時間のコンテンツを毎日継続することで、交通安全意識の向上が期待できます。

新入社員をはじめ、若手社員の交通安全教育についてお悩みの企業担当者は、ぜひご活用ください。

スマホやタブレットでの受講も可能