交通事故は季節によって、その特徴や件数に変動があるものです。
夏は行楽シーズンで交通量が増える一方、暑さや疲労から交通事故が起こりやすくなります。
特に渋滞や長距離運転による疲労、集中力の低下が事故の原因となるケースが多く見られるなど、夏特有の危険が潜んでいます。
本記事では夏に多い交通事故の特徴や原因を解説し、今日から実践できる具体的な防止策をわかりやすく解説します。
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目次
夏の交通事故発生件数と特徴

夏の交通事故発生件数は決して無視できる量ではありません。
以下の表を見てみましょう。
順位 | 月 | 発生件数 |
---|---|---|
1位 | 12月 | 28,997 |
2位 | 10月 | 26,021 |
3位 | 11月 | 25,431 |
4位 | 3月 | 24,181 |
5位 | 5月 | 24,154 |
6位 | 7月 | 24,010 |
7位 | 4月 | 23,511 |
8位 | 8月 | 23,156 |
9位 | 9月 | 23,079 |
10位 | 2月 | 22,885 |
11位 | 1月 | 22,776 |
12位 | 6月 | 22,694 |
参照:統計表|警察庁
警察庁が発表した2024年の月別の交通事故統計のうち、交通事故の発生件数を見ると、1年の中で交通事故の発生件数自体は年末の12月が最も多くなっています 。
しかし、夏にあたる7月から8月にかけても、交通事故は決して少なくありません。
この背景には、帰省や旅行による長距離運転が増えることがあり、漫然運転や居眠り運転に起因する事故も多くなると考えられます。
夏に多い交通事故の原因

夏の運転環境は、ドライバーの心と体にさまざまな影響を及ぼし、事故のリスクを高めます。
ここでは、夏に多い交通事故の主な原因を6つに分けて解説します。
熱さによる集中力の低下
夏の運転で特に注意すべきなのが、車内の高温環境です。
炎天下に駐車した車内は、わずかな時間で50℃を超えることもあり、人間の判断力や集中力を著しく低下させます。
エアコンを使用していても、外気との温度差が激しいと体力を消耗し、自律神経の乱れを引き起こすことがあります。
この状況が続くと、自分では気づかないうちに、反応が遅れたり、注意力が散漫になったりするものです。
これが「うっかりミス」を誘発し、事故につながる大きな原因となります。
強い紫外線による目の疲れ
夏の強烈な日差しは、ドライバーの目を容赦なく攻撃します。
正面からの太陽光だけでなく、路面や対向車からの照り返しも相当なものです。
強い紫外線を長時間浴び続けると、目は大きなダメージを受け、以下のような症状が現れることがあります。
- 目の充血や痛み
- 視界のかすみ
- 焦点が合いにくい
こうした症状は、信号や標識・歩行者の発見を遅らせる原因になりかねません。
目の疲れは安全運転の土台を揺るがす、見過ごせないリスクなのです。
暑さによる疲労の増加
「夏バテ」という言葉があるように、夏は1年で特に体力を消耗しやすい季節です。
熱帯夜による睡眠不足や、食欲不振による栄養不足は、日中の活動に大きく影響します。
特に、運転という集中力と判断力を要する作業には、十分な休養が不可欠です。
しかし、夏は仕事や通勤だけでなく、レジャー帰りなどで疲労が蓄積している場面も少なくありません。
「あと少しだから」と無理をして運転を続けることが、居眠り運転という最悪の事態を招きかねません。
疲労はドライバーにとって最大の敵であることを、常に意識する必要があります。
部品の消耗
過酷な夏の環境は、人間だけでなく車の部品にも大きな負担をかけます。
特に注意が必要なのは、タイヤとバッテリーです。
これらの部品のトラブルは、直接事故につながる危険性をはらんでいます。
タイヤ | ・不適切な空気圧や劣化したタイヤで高速走行を続けると、タイヤが破裂するバーストを引き起こす危険がある。 |
バッテリー | ・高温はバッテリーにとってシビアな環境になる。 ・エアコンの多用でバッテリーへの負荷が増大し、突然のバッテリートラブルを起こすことがある。 |
こうしたトラブルを防ぐためには、運転前の点検が重要です。
特に長距離を運転する前には、必ずチェックする習慣をつけましょう。
交通量の増加
夏休みやお盆の時期は、多くの人が一斉に移動します。
そのため、高速道路や観光地周辺の道路は、普段とは比べものにならないほど混雑します。
交通量が増加すると、以下のようなリスクが高まります。
渋滞の発生 | 長時間の渋滞はドライバーのストレスや疲労を増大させ、追突事故の原因となります。 |
不慣れなドライバーの増加 | 普段あまり運転しないドライバーや、初めての道を走る観光客が増えます。予期せぬ動きをする車も多くなるため、より一層の注意が必要です。 |
歩行者や自転車の増加 | 観光地では、道路脇を歩く歩行者や自転車も増えます。子どもの飛び出しなどにも警戒しなければなりません。 |
周囲の交通環境がいつもと違うことを認識し、余裕を持った運転を心がけましょう。
不安定な天候
夏の天気は非常に変わりやすいのが特徴です。
晴れていたかと思えば、突然空が暗くなり、大量の雨が降るゲリラ豪雨に見舞われることも少なくありません。
このような急な天候の変化は、運転に大きな危険をもたらします。
特に以下のような状況には注意しましょう。
視界の悪化 | 激しい雨はワイパーを最速にしても前が見えないほどの視界不良を引き起こします。 |
路面状況の悪化 | 濡れた路面は滑りやすくなり、制動距離が長くなります。特に危険なのが、路面とタイヤの間に水の膜ができ、ハンドルやブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象です。 |
こうした天候の急変に対応するためには、常に情報を確認し、無理のない運転計画を立てることが重要です。
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夏の交通事故を防ぐ対策

先述したように、夏の運転にはさまざまな危険が潜んでいます。
ここでは、誰でも簡単に実践できる、夏の交通事故を防ぐための具体的な対策を紹介します。
車内の温度管理を徹底する
快適で安全な運転環境を作る第一歩は、車内の温度管理です。
運転に適した車内温度は人によって異なりますが、一般的に20~25℃くらいが快適に過ごせると考えられます。
エアコンを以下のように使い、常に快適な状態を保ちましょう。
熱気を逃がす | ドアを開け閉めしたり、窓を全開にしたりして、車内にこもった熱気をまず外に出します。 |
外気導入でスタート | エアコンをONにし、最初の数分間は外気導入モードで窓を開けたまま走行します。これにより、効率的に車内の熱い空気を外に追い出せます。 |
内気循環に切り替え | 車内が涼しくなってきたら、窓を閉めて内気循環モードに切り替えます。これにより、冷房効率が高まり、燃費の悪化も防げます。 |
サンシェードを活用して駐車中の車内温度上昇を抑えるのも、非常に有効な対策です。
水分補給を徹底する
夏場の運転では、知らず知らずのうちに汗をかき、体内の水分が失われています。
もし、隠れ脱水の状態になると集中力や判断力が低下し、非常に危険です。
「喉が渇いた」と感じる前に、30分~1時間に1回程度は水分を補給する習慣をつけましょう。
水分補給をする際、飲み物は水・麦茶・スポーツドリンクがおすすめです。
すぐに飲めるように、運転席の近くに飲み物を常備しておきましょう。
なお、コーヒーや緑茶のようにカフェインを含むものは利尿作用があるため、かえって水分不足を招くことがあります。
こまめに休憩を取る
こまめな休憩も、交通事故を防ぐ上で効果的です。
長時間の連続運転は、心身の疲労を蓄積させ、事故のリスクを高めます。
特に夏の運転では、疲れを感じる前に計画的に休憩を取ることが重要です。
休憩を取る際は、以下のポイントを意識しましょう。
休憩のポイント | 具体的な行動例 |
---|---|
タイミング | ・運転開始から1~2時間に1回は休憩する。 ・少しでも眠気や疲れを感じたら、すぐに次の休憩場所を探す。 |
場所 | ・高速道路ではサービスエリアやパーキングエリアを積極的に利用する。 ・一般道では道の駅などを活用する。 |
過ごし方 | ・車から降りて外の空気を吸い、軽いストレッチで体をほぐす。 ・15分程度の短い仮眠は、疲労回復に非常に効果的。(車内温度には注意) ・冷たい飲み物や食べ物でリフレッシュする。 |
「急がば回れ」という言葉の通り、休憩は時間のロスではなく、安全への投資です。
ゆとりのあるスケジュールを組むことが、結果的に安全でスムーズなドライブにつながります。
サングラスなどを着用する
サングラスで強い日差しや紫外線から目を守ることは、安全運転に直結する対策です。
サングラスは、まぶしさを軽減するだけでなく、目の疲労を大幅に減らしてくれる重要なアイテムです。
選ぶ際は、以下のようにファッション性だけでなく機能性を重視しましょう。
必要な機能 | ポイント |
---|---|
UVカット機能 | 必ず紫外線(UV)カット機能があるものを選びます。「紫外線透過率1.0%以下」などの表示を確認しましょう。 |
レンズの色 | 運転用としては、色の変化が少なく自然な視界を保てるグレー系や、コントラストをはっきりさせて物を見やすくするブラウン系がおすすめです。 |
偏光レンズ | 路面や対向車のフロントガラスからの乱反射を抑える「偏光機能」付きのレンズは、さらにクリアな視界を確保できるため、ドライバーに最適です。 |
自分に合ったサングラスを1本用意しておくだけで、夏の運転の快適さと安全性が向上するでしょう。
悪天候時は運転しない
天気予報でゲリラ豪雨や雷雨の注意が呼びかけられている場合、可能であれば運転を控えるのが賢明な判断です。
不要不急の外出は避け、計画を変更する勇気を持ちましょう。
しかし、もし運転中に突然の豪雨に見舞われてしまった場合は、パニックにならず冷静に対処することが重要です。
状況 | 推奨される対処法 |
---|---|
視界が悪い | ・速度を十分に落とす。 ・昼間でもヘッドライトを点灯し、自車の存在を周りに知らせる。 ・前の車との車間距離を普段の2倍以上に保つ。 |
道路が冠水している | ・アンダーパスなど、冠水しやすい場所には進入しない。 ・水の深さがわからない場合は、安全な場所に停車して様子を見る。 ・万が一車が動かなくなったら、無理にエンジンをかけず、車内から避難したうえでロードサービスなどに救助を要請する。 |
天候の急変は予測が難しい場合もあります。
常に「かもしれない運転」を心がけ、最悪の事態を想定して行動することが、自分と周囲の命を守ります。
まとめ:夏に多い交通事故を防ぐなら万全の対策が不可欠

夏はさまざまな原因によって、交通事故が多くなる季節です。
夏の運転は、ドライバー自身の体調管理・車のコンディション維持・刻々と変わる交通状況や天候への対応力が問われます。
業務中・プライベートに関わらず、夏に運転する際は本記事で紹介した対策を踏まえ、最大限の注意を払いましょう。
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