フロントガラスが曇って前が見えない!夏前に知っておきたい曇りの原因と対策方法

車のフロントガラスが曇る主な原因に「結露」があります。

結露とは、空気中の水蒸気が冷たい物体に触れることで水滴となって現れる現象です。

自動車を運転する際には、車内外における温度や湿度の差が出やすい冬場や雨天時にこの現象が起こりやすくなります。

フロントガラスが曇ってしまうと、運転中の視界が大きく損なわれ、安全運転に支障をきたすため、ドライバーは早急な対処を迫られます。

この記事では、エアコンの除湿機能や内外気の導入モードの操作方法、フロントガラスへの曇り止め剤の塗布方法、その他、車内の湿気を抑えるための工夫など効果的な実践方法をお伝えします。

結露の仕組みをよく理解し、適切な予防と対処方法を学ぶことで安全運転につなげましょう。

フロントガラスが曇る原因とその特徴を知る

車内の湿った空気が冷たいフロントガラスに触れることで、水蒸気が冷やされて水滴へと変化し、ガラスの表面を曇らせてしまいます。

さらに、乗員の呼吸、濡れた衣類や傘、フロアマットに付着した雨水などが車内の湿度を高めてしまうなど、湿度上昇の原因となる要素は多岐にわたります。

ここでは、まずフロントガラスが曇る原因とメカニズムについて説明します。

飽和水蒸気量|結露と曇りのメカニズム

結露とは、水蒸気量が飽和値を超えた時に発生する現象です。

飽和水蒸気量とは、空気1㎥が含むことのできる最大の水蒸気量であり、この値は空気の温度に比例します。

温度(℃)0510152025
飽和水蒸気量(g)4.856.799.3912.817.223.0

理論上、水蒸気量が飽和値に達している状態が湿度100%の状態であり、飽和値を超えた分の水蒸気が水滴に変換される、というのが具体的な結露の仕組みです。

今の車内温度と湿度が分かっていれば、飽和水蒸気量の表を用いて現在の水蒸気量が求められます。ひいては露点温度(何℃以下で結露するのか)をおおよそ求めることができます。

例1:室温20℃・湿度50%の場合
現在の水蒸気量=17.2×0.5=8.6

例2:室温25℃・湿度50%の場合
現在の水蒸気量=23.0×0.5=11.5

例えば、それぞれの計算結果を上の表に照らし合わせると、例1では露点が大体8〜9℃なのに対し、例2の露点は13℃前後という結果になります。

つまり、室温が低いほど、車のフロントガラスに結露が発生しやすくなります。

梅雨時期に曇りが起こりやすい理由は?

外気温度と車内温度の差が大きく、車内に湿気が多いと、窓の内側が曇ってしまうことがあります。

自動車の場合、特に雨の日は車内湿度が高い、つまり湿気が多いので結露しがちです。

梅雨のような長雨が続く季節は外気の湿度も高く、また、空間が狭く空調が効きやすいため、外気温度差が瞬間的に生まれやすくなります。

結露すると窓が曇り、視界が妨げられ運転に支障が出ますので、曇る前にエアコンを使って湿度を下げ、結露しにくい環境を作っておきましょう。

参考:雨の日の安全運転 3つの心がけ「窓の曇りの原因と解決法」|JAF Mate Online

なぜ夏にも曇る?内側・外側の曇りの違いとその理由

フロントガラスが曇る主な原因は、エアコン使用時の内外温度差による結露です。

特に夏場に多く発生するのが、ガラスの“外側”が曇るケースです。

冷房を強くかけた車内では、フロントガラスが外気に比べて冷たくなり、そこへ蒸し暑い外気が触れると、空気中の水蒸気が冷やされてガラスの外側に結露し、曇りが発生します。

これは冬場とは逆のパターンで、「ガラスの内側」ではなく「外側」が曇るのが特徴です。

雨の前後や、山間などの多湿な場所では外気の水分量が多いため、結露しやすくなりますが、外側の曇りは、ワイパーを使うことで一時的に解消することができます。

さらに、昨今激しさを増すゲリラ豪雨の発生や、台風接近などによって湿度が高くなれば、前述した梅雨時期の特徴と同様に“内側が曇る”場合もあり、これは車内の湿度が高く、冷房で急激にガラスが冷やされたときに起こり得ます。

どちらの場合でも、原因を見極めて適切な対処(外側ならワイパー、内側なら除湿)をすることが大切です。

ガラスの汚れ・油膜やホコリにも注意

フロントガラスが少しでも汚れていると、付着した汚れが水分を吸着しやすく、結露のきっかけを作るため、注意が必要です。

ガラスの表面には目に見えない油膜やホコリ、たばこのヤニ、手の脂などが付着していることがあります。

これらの汚れは、空気中の水蒸気を引き寄せやすい性質を持っており、水分が付着しやすくなり、その結果、湿気がガラス面に均一に広がらず、ムラのある曇りが生じやすくなるのです。

また、油膜や汚れがあると、水滴が細かく分散せずに“にじみ”のように広がるため、曇りがより濃く見え、視界の妨げになることも。

清潔なガラスは水分をはじきやすく、曇りの発生を抑えることができるため、フロントガラスの内側も外側も定期的に清掃することが重要です。

運転に悪影響が及ぶフロントガラスの曇り

フロントガラスが曇ってしまうと、視界不良によって運転の難易度が高まります。

視界不良による事故は予測できない危険を伴うため、普段から車を清潔に保ち、曇りが発生しやすい条件を理解した上で、余裕を持った運転を心掛けましょう。

運転中は冷静に状況を判断し、周囲の交通に配慮することが事故防止につながります。

フロントガラスが曇るとどんな危険が生まれるか

  1. 視界不良による事故リスクの増加
    曇りによって前方が見えづらくなると、歩行者や他の車両、信号、標識などの視認が遅れます。その結果、ブレーキのタイミングが遅れたり、見落としが起きやすくなり、事故の危険性が高まります。
  2. 判断力の低下
    視界が悪くなれば、その分状況判断に時間がかかり、瞬時の判断が求められる交差点や車線変更時に対応が遅れてしまいます。特に夜間や雨天時には、光が乱反射することでさらに視界が悪化し、誤認やパニックを招くことがあります。
  3. 運転姿勢の乱れ
    曇りを解消しようと身体を前のめりにしたり、走行中あるいは停車中に手でガラスを拭いたりすると、運転姿勢が崩れ、ハンドル操作やブレーキが遅れる可能性があります。
  4. 精神的ストレスの増加
    視界が不安定な状態では、運転中の緊張感が増し、集中力が低下することでミスが起こりやすくなります。

フロントガラス曇り止めの基本対策と正しい使い方

室内空間が狭く、湿度がこもりやすい自動車の性質を踏まえれば、フロントガラスの曇り止めに対する基本的な対策を知っておくことはドライバーの必須項目です。

空調機能やワイパーなどの使い方を覚え、万が一曇りが発生した時に対処できるよう備えておくことが大切です。

ここでは、自動車の機能を使ったフロントガラスの曇り止めの方法を説明します。

エアコン・デフロスター・デフォッガーの機能と使い方

雨天や高湿度時はフロントガラスが曇りやすくなるため、車のフロントガラスの曇りや霜を取り除く霜取り機能「デフロスター」を使用すると効果的です。

デフロスターは、除湿された温風をフロントガラスに吹き付けることで、曇りを取り除くという性質を持っている機能です。

エアコン操作パネルの中に、扇形の枠に温泉マークのような上向き矢印が3本描かれているのがデフロスターのスイッチとなっているので、運転前に位置を確認しておきましょう。

さらに、リアガラスが曇った際には、「リアデフォッガー」と呼ばれる、リアガラスに張り巡らされた電熱線を作動させることで曇りを取り除くことができます。

リアデフォッガーのスイッチは、四角形の枠に温泉マークのような上向き矢印が3本描かれています。

エアコンの空気が循環しにくい後方の視界確保を先におこなうためにも、曇りが出るような状況においては同時での使用をおすすめします。

参考:フロントガラスが曇る原因と、その対処法は?|JAF クルマ何でも質問箱

外気導入か内気循環か?モード選びのコツ

車内の空調管理には大きく「外気導入」と「内気循環」の2種類があります。

外気導入は、外気を取り入れて車内を換気したいときに使い、内気循環は、外気が入ることをある程度抑えられるので、外気が汚れている場面や臭うときなど、場面によって適宜使い分けましょう。

外気導入を使うと、車内の温度を外気温に近くすることができるのでガラスの曇りは取れやすくなります。

例えば、冬は車内の湿度よりも外気の湿度が低い場合が多いので、冬に起こるフロントガラスの曇りを取るには、乾燥した外気を車内に取り込む「外気導入」が効果的です。

内気循環を示すアイコンのスイッチだけが備わっている場合、ランプが点灯している時は内気循環モード、消灯している時は外気導入モードとなりますが、切り替え方法は車種によってスイッチ式やスライド式など様々です。

動作がそれぞれ異なるので、自動車の取扱説明書でしっかりと確認してください。

引用:エアコンの外気導入と内気循環は、どう使い分ければいいのですか?|JAF クルマ何でも質問箱

ワイパーの効果的な使い方

最近の自動車は、雨滴量に反応するレインセンサーが標準装備である車種も多く、オートで作動するワイパー機能もありますが、フロントガラスの外側に付着した曇り(細かな水滴)の検知までは難しく、十分に作動しないことがあります。

主に夏場に起きやすいフロントガラスの外側の曇りが発生した際は、一定間隔で作動するモードでワイパーを作動させましょう。

その際、ウォッシャー液を噴射させガラス表面を一時的に清掃させることで、ガラスの汚れが落ち、しばらく曇りにくくなることも期待できるので試してみても良いでしょう。

自分でできるフロントガラス曇り止めメンテナンス&予防法

デフロスターやデフォッガー、ワイパーなどの自動車に備え付けられた曇り止め対処機能を活用する以外にも、フロントガラスの曇り止めを予防する方法があります。

ここでは、最低でも月に一度程度おこないたい曇り止めのメンテナンスを紹介します。

効果的なガラスのクリーニング方法と使用アイテムとは

市販されている曇り止めスプレーやその他のグッズも、フロントガラスの曇りを防ぐための効果的な手段です。

曇り止めスプレーをガラスに均等に塗布し吹き上げることで、表面に薄い保護膜を形成し、結露や汚れの付着を防ぐことができます。

また、使い捨ての曇り止めシートやウェットクロスも同様に効果があり、1〜2週間ほどの曇り止め効果が得られるのが一般的なようです。

一度施工すれば、頻繁に曇りを取り除く手間が省け、ひいては安全運転にも繋がるので、運行前点検や定期的な洗車のついでに曇り止め製品を塗布しておくと良いでしょう。

油膜・汚れ除去、くもり防止コーティングの作業手順

  1. ガラス表面のホコリ・汚れを落とす
    まず、マイクロファイバークロスや柔らかい布で表面のホコリを軽く拭き取ります。強くこすると傷の原因になるため、やさしく行います。
  2. ガラスクリーナーで洗浄
    市販の自動車用ガラスクリーナーを使用し、油膜や手垢、ヤニなどの汚れを落とします。クリーナーをスプレーし、マイクロファイバークロスで縦横に丁寧に拭き取るとムラになりにくく効果的です。
  3. 脱脂作業(曇り止め前の重要工程)
    ガラスに油分が残っていると、曇り止めの効果が落ちるため、アルコール系の脱脂剤や中性洗剤を使って油膜をしっかり除去します。
  4. 曇り止め剤の塗布
    完全に乾いた状態で、曇り止めスプレーやコーティング剤を塗布します。塗りムラを防ぐためにクロスで薄く均一に広げましょう。ガラスの内側専用の曇り止め製品を選ぶのがポイントです。

まとめ|安全のために曇りに気づいたらすぐに対処を

日本は高温多湿であり、自動車のガラスには曇りが発生しやすい環境にあります。

運転中に曇りが発生してしまった場合は、まずは車のエアコンやデフロスターなどの機能を正しく活用しましょう。

曇りがすぐに取れない場合には、無理に運転をおこなってはいけません。

安全な場所に停車し、視界を確保してから運転を再開しましょう。

さらに曇りやすい状況を理解した上で運転前に予測し、事前に曇り止めを塗布しておくなどの予防策を講じることが大切です。

「JAF交通安全トレーニング」では、ドライバーの安全運転意識を向上させるための交通安全教材を、インターネット上で学べるe-ラーニング形式で随時配信しています。

ドライバーの交通安全への意識が低いままだと、自動車メンテナンスの重要性などへの理解が足りず、いざ曇りが発生したときに対処に戸惑うなど、事故を引き起こす要因ともなり得ます。

従業員の交通安全意識向上のためにも、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

JAF交通安全トレーニング

毎日の学習で交通安全意識の向上へ。通勤・通学・あらゆる事故を減らしたい。そんな想いからJAFが長年培ってきた交通安全のノウハウをeラーニング「JAF交通安全トレーニング」として教材化しました。

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オノデラマコト
小野寺マコト
1991年生まれ、東京生まれ東京育ち。グラフィックデザイナーとして就職するも、気づけば乗り物全般に濃く携わる編集者の道へ。出版社を渡り歩き、独立後は若年層向けの雑誌創刊や、メディアローンチを手がけるなど、特にZ世代への訴求方法を模索。交通安全普及を考える一方で、映像分野にも明るく、マルチなコンテンツクリエイターとしても活動している。