2026年2月26日、警察庁から2025年の交通事故統計が発表されました。
警察庁が保有する交通事故統計のデータは1948年(昭和23年)以降蓄積されており、長年の推移を確認することができますが、その中で、最も年間交通事故死者数が多かったのが1970年(昭和45年)の16,765人です。
それから時は流れ、この数年では3,000人を下回る水準まで年間交通事故死者数が減少しています。
しかし、その一方で見過ごせない課題も残っています。
この記事では、最新の交通事故統計をもとに、前年との違いや近年の推移、押さえておきたい傾向を整理しながら、これからの交通安全対策を考える上でのポイントを解説していきます。
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目次
警察庁公表の統計データから見えること

警察庁の発表によると、2025年は交通事故死者数が前年比で減少となり、その数は過去最小を更新しました。
2025年の死者数は2,547人で、前年の2,663人から116人減少し、増減比で見ると-4.4%でした。
ここ数年の交通事故死者数は横ばい

直近5年間(2021年~2025年)の交通事故死者数は以下の通りです。
| 年度 | 交通事故死者数 | 前年差 | 増減比 |
|---|---|---|---|
| 2021年(令和3年) | 2,636人 | -203人 | -7.2% |
| 2022年(令和4年) | 2,610人 | -26人 | -1.0% |
| 2023年(令和5年) | 2,678人 | +68人 | +2.6% |
| 2024年(令和6年) | 2,663人 | -15人 | -0.6% |
| 2025年(令和7年) | 2,547人 | -116人 | -4.4% |
この表を見ると、ここ数年の死者数はほぼ横ばいであることが分かります。
全体として減少傾向にあり、2025年は統計始まって以来の最小値で、年間の死者数が2,600人を下回りました。
なお、2021年の大幅な減少については、もともとの減少傾向に加え、コロナ禍による外出・人流の抑制が上乗せで効いたことが理由のひとつと見られるのに対し、2023年の増加はコロナ禍で落ち込んだ人流の回復が一因と考えられます。
交通事故死者数が減少している背景

交通事故死者数が長期的に減少している背景には、国や地方自治体、自動車メーカーが主導となって「人」「道路」「車」の各面で安全対策が積み重ねられてきたことが主な要因といえるでしょう。
ドライバーや歩行者の安全意識の向上に加え、事故の起きにくい道路環境の整備、衝突被害軽減ブレーキなど車両の安全性能向上が挙げられ、さらには、交通違反の罰則強化により、危険運転が抑制されつつあることも考えられます。
2025年の事故傾向を深掘り|過去最少の死亡者数更新でも安心できない理由

交通事故死者数は長期的に減少している一方、統計を細かく見ると、重大事故につながる要因が数多く残されていることがわかってきます。
事故統計資料のグラフを参考に、2025年の事故傾向を深掘りしていきましょう。
重傷者数は増加している

2025年は交通事故死者数が減少した一方で、重傷者数は増加しています(2025年27,563人、前年差+278人)。
死亡事故が過去最少を更新していても、死亡事故にも繋がる可能性のあった重大なケガを負う事故が増えている以上、道路が安全になったとは言い切れません。
歩行者・自転車の法令違反率が高い

警察庁の資料によると、2025年に交通事故によって死亡した歩行者の57.7%に法令違反があったとされており、歩行者側にも事故リスクを高める原因が十分あったことがわかります。
また自転車についても、自転車乗用中の交通事故死亡者のうち79.7%に法令違反があったことがわかっているものの、安全性を高めるためのヘルメット装着率は15.8%と極めて低いままです。
これらの数字を頭に入れながら、ドライバーは道路を運転をしなくてはなりません。
高齢化社会の影響

警察庁では、「75歳以上の高齢運転者については、全死亡事故に占める割合が増加傾向にある」と示しています。
さらに、75歳以上の高齢運転者による死亡事故を免許保有者当たりの数字でみると、75歳未満の1.92倍となり、人的要因ではブレーキとアクセルの踏み間違いなどの操作不適が最も高いことがわかりました。
なくならない飲酒運転

飲酒運転による死亡・重傷事故は近年横ばいで推移していますが、2025年は死亡事故が減少し、重傷事故は増加しています。
飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なしの場合の約7.1倍とリスクが大幅に高まります。
幾度となく飲酒運転が原因による痛ましい事故が起き、罰則が強化されているにも関わらず、未だ根絶には至っていません。
2026年の交通安全とは|ドライバー・企業が実践できる対策を紹介

統計発足以降、ピーク時の交通事故死者数に比べれば、その1/6以下へと数自体は激減しています。
しかし、2025年の統計を振り返ると、重傷事故の増加や、歩行者・自転車、高齢者関連の課題などが残っています。
2026年は、死亡事故が減っていることにただ安心するのではなく、企業として運転に関するルールを策定、運用まで落とし込み、事故を「起こさない」「重大化させない」ための対策を継続しておこなっていくことが重要です。
ドライバーが実践できる事故防止策の基本は安全行動の徹底

事故防止を徹底するためには基本的な安全行動の知識習得はもちろん、習得した安全行動を運転時にしっかりとおこなうために常日頃からの安全意識向上が肝となります。
業務上の運転時には、時間の制約などによって焦りが生まれやすく、安全確認が疎かになる危険性があります。
例えば、「客先訪問の約束の時間が迫っている」「乗客から急いでと頼まれた」などの理由です。
そのような状況でもドライバーに焦りを生ませない、安全確認を疎かにさせないためには、企業が主体となって、継続的に安全意識向上を促す施策をおこなう必要があります。
さらに近年では、運転操作以前に「ドライバーの体調」が関係するケースも目立つため、乗車前に疲労や体調不良を申告しやすい環境づくりも意識するべきです。
安全意識を継続的に醸成していくためには、どのような施策があるのでしょうか。
継続できる教育体制|e-ラーニングの活用

交通安全教育で大切なのは、「日々継続しておこない安全意識を維持すること」です。
年に1〜2回の講習でも効果は見込めますが、そこで学んだ安全意識を高いレベルで保ち続けるのは難しいものです。
短時間でも繰り返し学習できる環境を構築することで、日々の運転行動に反映されやすくなります。
その点、インターネット上で学べるe-ラーニングシステムでは、時間や場所に左右されにくく、スキマ時間を活用して受講ができ、管理者は受講状況を簡単に把握し指導に活かせるなどメリットが多いことが特徴。
組織として、現場の実態に合った運用とはどのようなものかを考え、継続しやすい管理体制を整えましょう。
まとめ:業務中の交通事故を減らすために必要なのは継続した交通安全教育
2025年の交通事故統計をもとに事故傾向を分析したところ、死者数の減少だけでは見えなかった課題が浮き彫りとなりました。
交通事故はさまざまな原因が複合して起こるものですが、「すべてに気をつけよう」と声かけをしても効果が薄れてしまいがちです。
「今週は〇〇に気をつけよう」といったように、具体性のある注意喚起をおこない続けることで、職場内での安全意識を包括的に高めていくことが大切です。
大阪市に本社を持ち『世界一事故を起こさないタクシー会社』を目指す、OMタクシーという会社では、eラーニングシステム「JAF交通安全トレーニング(通称JAFトレ)」を導入してから、事故件数がさらに半減したといいます。
導入当初こそ受動的な受講状況だったものの、管理側から毎週受講する教材をひとつ指定したところ、職場全体の受講率が上がり、今では声掛けせずとも能動的に受講する環境が定着しました。
JAFトレで定期配信しているドラレコ動画の教材を、過去に遡ってまで学習する従業員が出てくるなど、「事故はどうやったら減らせるのか」を能動的に考える土壌が職場全体に広がるなど、JAFトレ導入は良い施策だったといいます。
ドライバーの安全意識や行動の変容を継続的に促す施策として、JAFトレの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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