夏に車は故障しやすい?原因と対策・トラブル時の対処法を解説

夏は車にとって過酷な季節です。

高温多湿の環境は、車のさまざまな部品に負担をかけ、故障のリスクを高めます。

本記事では、夏に多い車の故障と原因、予防策、そしてトラブルが発生した際の対処法について詳しく解説します。

車を安全に運転するために、ぜひ参考にしてください。

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夏に多い車の故障と原因

夏の高温や強い日差しは車のトラブルを引き起こす原因です。

以下では、特に多い故障と原因をご紹介します。

オーバーヒート

オーバーヒートは、エンジンが過熱しすぎると発生します。

それに加え、夏は外気温の上昇により、冷却系統への負荷が高くなります。

冷却系統の電動ファンやサーモスタットなどの部品に不具合が起きることにより、エンジンの冷却機能が追いつかなくなることがオーバーヒートの主な原因です。

具体的には以下のような原因で起こります。

  • 冷却水の漏れや不足
  • ウォーターポンプの不具合
  • エンジンオイルの不足や劣化
  • 高負荷な運転

オーバーヒートは深刻なエンジンダメージにつながる可能性があるため、早期発見と適切な対処が重要です。

異常を感じたら、すぐに安全な場所に停車し状況を確認しましょう。

バッテリートラブル

バッテリートラブルも夏に頻発する問題のひとつです。

高温環境下ではバッテリー液の蒸発が促進され、バッテリーの性能が低下します。

また、エアコンの使用頻度が高くなることで、バッテリーへの負荷が増えるのも原因です。

バッテリー上がりは以下の方法で対処できます。

  • ジャンプスターターを使う
  • ブースターケーブルを使い他車から電力を分けてもらう

ただしバッテリーの取り扱いには危険が伴うため、自信がない場合はJAFなどのロードサービスの利用がおすすめです。

また一度バッテリー上がりを起こしたバッテリーは、再び問題を起こす可能性が高いため、早めの点検や交換を検討しましょう。

エアコントラブル

エアコンの使用頻度が増える夏は、トラブルも増えます。

主な原因は使用頻度の増加と部品の劣化です。

例えば、冷媒が漏れていたりコンプレッサーが故障したりすると、エアコンの冷却能力が低下したり、完全に機能しなくなったりします。

エアコンフィルターの交換やガスの補充を定期的におこない、異常があれば専門店で点検してもらいましょう。

タイヤのパンクやバースト

夏場は路面温度の上昇により、タイヤにとっても過酷な環境です。

高温による空気圧の上昇と、路面からの熱によるタイヤの劣化が主な原因です。

気温が上昇するとタイヤ内の空気が膨張し、適正値を超えた空気圧になる可能性があります。

また、高温の路面を走行し続けると、タイヤゴムの劣化が進みます。

タイヤがパンクやバーストした場合は車を安全な場所に停車し、スペアタイヤに交換やパンク修理キットでの修理が必要です。

パンクしたまま走行を続けると、重大な事故につながる可能性があります。

自力での対処が難しい場合は、JAFなどのロードサービスを利用しましょう。

車内温度によるトラブル

夏は、車内温度にも注意が必要です。

過度の熱は車内部品や装備に悪影響を及ぼし、快適性と安全性を損ないます。

JAFの実験では、外気温35℃の炎天下に4時間駐車した場合、何も対策をしないと車内の最高温度が50℃を超えています。

出典:真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)

あまりの高温下はダッシュボードの変形や内装の劣化にもつながります。

また、高温の車内は熱中症のリスクもあるため、適切な対策をしましょう。

夏の車の故障を防ぐための対策

適切なメンテナンスと予防策を講じれば、多くのトラブルを未然に防げます。

以下の点に注意して、夏の車の故障を防ぎましょう。

冷却システムのメンテナンス

冷却システムの定期的なチェックと整備が、夏のオーバーヒート予防に効果的です。

冷却システムは、エンジンの適切な動作温度を維持する重要な役割を果たしています。

具体的なメンテナンス項目は以下です。

メンテナンス項目詳細
冷却水の残量FULLとLOWのラインの間に液面があるか確認
ラジエーターの点検ホースのひび割れやファンのフィン破損などを目視チェック

点検はエンジンが冷えた状態でおこないましょう。

メンテナンスを定期的におこなうことで、故障リスクを軽減できます。

特に高温になりやすい夏場は、冷却システムの負荷が大きくなるため、より注意深い管理が必要です。

バッテリーのチェック

バッテリーの定期的なチェックは、トラブル防止に欠かせません。

高温環境下ではバッテリーの劣化が加速するため、通常以上に注意が必要です。

また、エアコンの使用増加によるバッテリーへの負荷も考慮する必要があります。

バッテリーの液量と端子の状態を定期的にチェックしましょう。

液量が少ない場合は補充、端子に腐食がある場合はクリーニングが必要になります。

エンジンがかかりにくかったり、ヘッドライトが暗くなったりなど寿命の兆候が見られたら、早めの交換をおすすめします。

なお、バッテリーの寿命は一般的に2〜5年です。

エアコンのメンテナンス

エアコンの定期的なメンテナンスにより、性能低下や故障を予防し、快適な車内環境を維持できます。

適切なメンテナンスを怠ると、冷却効率の低下や異臭の発生、さらには故障につながるので注意が必要です。

主なメンテナンス項目は以下です。

  • フィルターの清掃や交換
  • 冷媒の点検・充填
  • コンプレッサーの点検

年に1度はエアコンの点検をカーディーラーや整備工場に依頼することをおすすめします。

タイヤのチェック

タイヤの定期的なチェックは、安全運転に不可欠です。

夏は高温による空気圧の上昇や、路面からの熱によりタイヤの劣化が進みます。

適切な管理を怠ると、パンクやバーストのリスクが高まるので注意しましょう。

主なチェック項目は以下です。

  • 空気圧のチェック
  • トレッド深さの確認
  • 摩耗、ヒビ割れのチェック

推奨空気圧は車種によって異なるため、ドアピラーなどに記載された値を参照し、月に1回程度確認してください。

また、トレッドの深さの法定最低基準は1.6mmです。

出典:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示|国土交通省

タイヤの寿命を伸ばすために、ローテーションも有効です。

室内温度対策

車内の温度管理は、快適性だけでなく安全性にも関わる重要な要素です。

夏の車内温度は、直射日光と密閉空間の影響で極端に上昇します。

以下のような対策をしましょう。

  • サンシェードの使用
  • 窓ガラスへの断熱フィルム貼付
  • 換気

また可能であれば、日陰に駐車するのも有効です。

さまざまな対策を組み合わせることで、トラブルを予防できます。

夏に車が故障したときの対処法

万が一故障が発生した場合、冷静な対処が重要です。

適切な対処法を知っておくと、トラブルの拡大を防ぎ安全に対応できます。

夏に車が故障したら、以下の対応を心がけましょう。

専門家に頼る

車の故障時には自己判断で対処せず、専門家に相談するのが安全で効果的な対処法です。

車の故障は見た目では判断できない複雑な原因が多く、素人の判断ミスがさらなるトラブルを引き起こす可能性があります。

例えば、オーバーヒートが発生した場合、エンジンを冷やすために水をかける対処法を取る人がいますが、推奨されません。

急激な温度変化によってエンジンブロックにひびが入る可能性があるからです。

また夏の高温環境下では、故障が急速に悪化する可能性もあります。

事前にロードサービスの連絡先を確認しておき、緊急時にすぐに連絡できるようにしておきましょう。

専門家の助けを借りることで問題の根本的な解決ができ、将来的な故障リスクも低減できます。

熱中症対策をする

夏の車の故障時には、乗員の安全、特に熱中症対策が重要です。

故障した車内での待機中は、高温環境下に長時間さらされる可能性があります。

特にエアコンが使えない状況では、車内の温度が急激に上がるので注意が必要です。

JAFの実験では、エアコン停止からわずか15分で熱中症指数が危険レベルに達しています。

出典:真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)

エアコンが使えない場合は、窓を開け風通しを良くし、直射日光を避けるようにしましょう。

また、常に飲料水を車内に備えておき、のどが乾く前のこまめに水分補給ができるようにしておくことも大切です。

体調が悪化した場合は、躊躇せず救急車を呼ぶことも検討してください。

故障以外に夏の車で注意すべきポイント

夏の車の管理では、故障対策以外にも注意すべきポイントがあります。

以下のポイントに注意してください。

車内に物を放置しない

夏の高温環境下で車内に物を放置すると、予期せぬ事故や損害が発生するので注意が必要です。

直射日光にさらされた車内は、外気温よりもはるかに高温になり、以下のようなリスクがあります。

  • スマートフォンなど精密機器の故障や発火
  • スプレー缶やライターの爆発
  • 炭酸飲料の破裂
  • プラスチック製品の変形
  • アルコール消毒液の発火
  • 化粧品の変質

リスクを回避するために、夏は車内に物を放置せず持ち出すようにしましょう。

定期的な点検が重要

定期的な車の点検は、夏場に限らず年間を通じて重要です。

定期点検整備により、潜在的な問題を早期に発見し、大きなトラブルを未然に防げます。

エンジンオイルの交換や各種フィルターの点検、ブレーキパッドの確認など、定期的な点検をおこないましょう。

定期的な点検を習慣化すればトラブルリスクを大幅に軽減でき、安全な運転環境を整えられます。

また、日常的におこなう日常点検整備も忘れずにおこないましょう。

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まとめ:夏の車の故障に備えて点検をしよう

夏の車の故障は、適切な対策と定期的なメンテナンスによって多くを予防できます。

エンジンやバッテリー、エアコン、タイヤなど、各部品の状態を確認し、必要な整備をおこないましょう。

また万が一のトラブル時には、慌てず冷静な対応が重要です。

JAFなどのロードサービスの利用も躊躇せず、自身と同乗者の安全を第一に考えましょう。

最後に、車の状態だけでなくドライバー自身の体調管理も安全運転には欠かせません。

十分な睡眠と水分補給、無理のない運転計画を心がけてください。

安全運転と定期的な車両チェック徹底のために、ぜひJAF交通安全トレーニングをお役立てください。

日常点検整備の基本をはじめとする、安全意識の醸成に役立つ知識を効率的に学べます。

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