駐車違反は、スピード違反や一時停止違反などと並び発生しやすい交通違反の一つです。
そのため、自社の従業員が社用車で駐車違反を起こしてしまった、といった事態に遭遇したことのある企業も多いのではないでしょうか。
社用車で駐車違反が発生した場合、車両の所属に関係なく原則としてドライバーの責任ですが、企業側が責任を負うケースもあります。
本記事では、社用車で駐車違反が発生した際における責任の所在や発生時の対応方法、駐車違反を発生させないための対策などについて解説します。
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目次
駐車違反の種類
駐車違反の主な種類は「駐停車違反」「放置駐車違反」「保管場所違反」の3つです。
駐車違反を発生させないためにも、それぞれの駐車違反がどのようなものなのか把握しておきましょう。
駐停車違反
駐停車違反とは、駐車および停車が禁止されている場所に車両を停めた場合に科される罰則です。
ドライバーが近くにいるかどうかは関係なく、たとえ車内にドライバーがいたとしても駐停車が禁止されている場所に停めていれば駐停車違反です。
駐車・停車が禁止されている場所いくつかあり、一例としては以下の通りです。
駐車・停車 | 禁止されている場所 |
---|---|
駐車 | ・道路標識などにより駐車が禁止されている場所 ・自動車用(駐車場など)の出入口から3m以内の場所 ・道路工事の区域の側端から5m以内の場所 ・消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置または消防用防火水槽そうの吸水口もしくは吸管投入孔から5m以内の場所 ・火災報知機から1m以内の場所 |
駐停車 | ・道路標識などにより駐停車が禁止されている場所 ・交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂またはトンネル ・交差点の側端または道路の曲がり角から5m以内の場所 ・横断歩道または自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に5m以内の場所 |
放置駐車違反
放置駐車違反とは、駐停車が禁止されている場所に車両を停めている、かつドライバーが警察官や交通巡視員の求めに応じられる場所にいない場合に科される罰則です。
車両から離れる距離や時間は関係なく、たとえ短時間であったとしても警察官や交通巡視員の求めに応じられなければ、放置駐車違反となります。
放置駐車違反となった場合、主にフロントガラスにステッカーが貼られます。
ステッカーを確認した場合は、ステッカーに記載されている手順に沿って警察署に出頭し、反則金を支払わなければなりません。
保管場所違反
保管場所違反とは、駐停車が禁止されている場所でなくとも、公道上に長時間駐車した場合に課される罰則です。
具体的には、公道上に12時間以上もしくは夜間に8時間以上にわたって車両を放置した場合に科されます。
駐車違反における反則金・違反点数
「駐停車違反」「放置駐車違反」「保管場所違反」それぞれの駐停車違反における反則金・違反点数について解説します。
はじめに、駐停車違反における反則金・違反点数は以下の通りです。
違反場所 | 普通車 | 大型車 | 二輪車または 原付 | 違反点数 |
---|---|---|---|---|
駐車禁止場所 | 10,000円 | 12,000円 | 6,000円 | 1点 |
駐停車禁止場所 | 12,000円 | 15,000円 | 7,000円 | 2点 |
次に、放置駐車違反における反則金・違反点数は以下になります。
違反場所 | 普通車 | 大型車 | 二輪車または原付 | 違反点数 |
---|---|---|---|---|
駐車禁止場所 | 15,000円 | 21,000円 | 9,000円 | 2点 |
駐停車禁止場所 | 18,000円 | 25,000円 | 10,000円 | 3点 |
最後に、保管場所違反における罰則・違反点数は以下の通りです。
違反内容 | 罰則 | 違反点数 |
---|---|---|
公道上に12時間以上駐車 | 3カ月以下の懲役または20万円以下の罰金 | 3点 |
夜間(日没時から日出時まで)の公道上に8時間以上の駐車 | 20万円以下の罰金 | 2点 |
駐車違反における反則金・違反点数は、駐車した場所や車両の大きさによって異なります。
車両を運転する際は、駐車違反をすることで周囲にどのような悪影響をおよぼすかを認識した上での運転を心がけましょう。
社用車で駐車違反を起こした場合における責任の所在
社用車で駐車違反が発生した場合における責任の所在について解説します。
原則はドライバーが責任を負う
駐車違反が発生した場合、原則として責任を負うのはドライバーです。
使われていた車両が社用車かどうかは関係ありません。
そのため、駐車違反によって発生した反則金や違反点数はドライバーが負担することとなります。
その一方で、企業には従業員の安全運転を確保する責任があるため、ドライバーへの教育や再発防止策の検討・実施が求められます。
企業が責任を負うケースもある
駐車違反の責任は原則としてドライバーが負いますが、企業が責任を負うケースもあります。
具体的には、企業側が従業員に駐車違反を容認・助長するような指示を与えていた場合などです。
以上のようなケースの場合、企業側に使用者責任が問われる可能性があります。
また、従業員が社用車で駐車違反を発生させたにもかかわらず、反則金を支払わなかった場合、企業側が未払いの反則金を支払わなければなりません。
社用車で駐車違反を起こした場合の対応方法
社用車で駐車違反が発生した場合の対応方法について解説します。
従業員が、駐車違反発生時の対応を知らないと、周囲に迷惑をかけるだけでなく、企業にも不利益を与える可能性があります。
駐車違反を発生させないよう教育をおこなうのはもちろんですが、あわせて発生させてしまった場合における適切な対応についても周知しておきましょう。
企業が所有する車両の場合
社用車で駐停車違反や放置駐車違反が発生した場合、まずは速やかに車両を移動させましょう。
その後は、駐車違反の内容にしたがって手続きをおこないます。
駐停車違反の場合は、その場で警察官や交通巡視員に指導がおこなわれます。
その後、違反者本人に反則金の納付書が届きますので、内容にしたがって反則金を支払えば手続きは完了です。
放置駐車違反の場合は、その場で警察官・交通巡視員の指導が受けられないため、管轄の警察署に出頭した上で、反則金の納付や違反点数の処分を受ける必要があります。
駐停車違反・放置駐車違反どちらのケースにおいても、違反者から反則金が支払われない場合、企業側が支払うことになります。
駐車違反の対応が適切におこなわれるよう、駐車違反が発生した際は、すぐに報告するように周知しておきましょう。
企業が借りたレンタカーの場合
企業が借りたレンタカーで駐車違反が発生した場合、警察への出頭や反則金の支払いなどをすべて済ませた状態で返却する必要があります。
もし、支払いなどの手続きをおこなわずに返却した場合、ブラックリストに登録されレンタカーを利用できなくなる場合があります。
状況により、すぐに支払いなどの手続きがとれない場合は、まずはレンタカー会社に相談しましょう。
社用車で交通違反を起こさないための対策
社用車で交通違反を起こさないための対策には「車両管理の実施」「ドライバー管理の徹底」「安全運転教育の実施」の3つがあります。
それぞれについて詳しく解説します。
車両管理の実施
一つ目は、車両管理の実施です。
車両管理とは、車両の点検やメンテナンス、誰がいつ車両を使用していたのか稼働状況の把握などをおこなうことです。
社用車を適切に管理することで、交通違反や事故の防止につながります。
しかし、多数の車両を保有する企業にとっては、すべての車両を適切に管理するのは困難です。
多くの車両を適切に管理するためには、すべての車両をリアルタイムに管理できる車両管理システムの導入がおすすめです。
ドライバー管理の徹底
交通違反の防止には、ドライバー管理の実施も重要です。
ドライバー管理を徹底することで、体調不良による交通事故や飲酒運転などを未然に防げるようになります。
具体的なドライバー管理の方法としては、以下が挙げられます。
- 社用車利用時のアルコールチェック
- 交通違反を起こした従業員に対する面談や指導
特に、運輸業や配送業などの企業の場合、従業員による交通違反は事業に大きな悪影響を与えかねません。
従業員・企業を守るためにもドライバー管理の実施を徹底しましょう。
安全運転教育の実施
社用車を利用するすべての従業員に、安全運転教育を実施することも重要です。
いくら企業側で交通違反が発生しないよう体制を整えたとしても、従業員に安全運転を実施する意識が無ければ、いずれ交通違反は発生します。
定期的に、安全運転を実施する意味や、交通違反によって周囲に与える影響などを教育し、すべての従業員の安全運転に対する意識を高めましょう。
JAF安全運転トレーニングを利用すれば、従業員の勤務場所や勤務時間を気にせず安全教育を進められます。
導入により、効率的に安全運転教育を進められるので、気になる方はぜひお気軽にお問い合せください。
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まとめ:安全運転教育を徹底して従業員の交通違反を防ごう
駐車違反をはじめ、交通違反をした場合は基本的にはドライバーの責任となります。
しかし、従業員に交通違反を容認・助長するような指示を与えていた場合は、企業側が責任を問われるケースもあります。
また、駐車違反の場合はドライバーが反則金を支払わないと、企業側が支払わなければなりません。
ドライバーが交通違反を起こしてしまうと、周囲だけでなく企業側にも悪影響を与えてしまう可能性があります。
ドライバー本人だけでなく企業を守るためにも、安全運転教育を徹底しましょう。
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