企業全体で交通事故防止に努めることで交通事故を減らすことができます。しかし、具体的にどのような対策をされるのがベストなのか悩まれる企業も多いでしょう。
漠然と安全運転を呼びかけるだけでは、交通事故防止対策の効果としては薄いと言えます。交通事故防止対策は具体的な行動に落とし込むことで効果を発揮します。
本記事では、教育・ツールの活用・文化形成の観点から効果的な交通事故防止対策をご紹介するので参考にしてみてください。
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安全運転に関する教育で交通事故防止対策
交通事故防止対策で大切になるのが従業員の安全運転に対する教育です。主な交通事故防止対策として以下の教育が挙げられます。
危険予知トレーニング
危険予知トレーニングとは、街中で運転していてヒヤリとしやすい場面や交通事故が起きやすい場面をシュミレーションで抜き出します。
シュミレーションでどのようなことに気をつけながら運転するのが良いのか従業員に考えさせ、実際の運転時に意識させる教育です。
危険予知トレーニングを行うことで、交通事故のリスクを軽減できます。
そのため、交通事故防止対策の教育で取り入れた方が良いトレーニングと言えるでしょう。
新入社員研修でのオリエンテーション
新入社員のほとんどは社用車の取り扱いに慣れていません。
若者の車離れで、運転免許を持っていても運転経験が浅くなる傾向もあり、実車指導も必要になるでしょう。
また、プライベートとは違い業務中は企業の看板を背負って運転をするため、世間からの評価がありリスクも異なります。
そのようなことから、交通事故対策として新入社員研修の段階で安全運転の教育を導入した方が良いでしょう。
安全運転の教育を導入することで、社用車を取り扱うことは人命に関わることであることを意識づけできます。
また、社会人としての責任や自覚を持たせる意味でも、新入社員研修の安全運転教育は有効です。
ガイドラインの作成と車両規定
各従業員によって安全運転の意識や交通事故防止に対する考え方がばらばらになってしまうと、企業全体で混乱が生じる可能性があります。
そこで有効な方法が、企業側が車両規定や安全運転に関するガイドラインを作成することです。
ガイドラインは、社用車を取り扱う際の安全運転ポイントをまとめたものです。
車両規定やガイドラインがあることで、従業員同士で安全運転ポイントや交通事故防止対策、社用車の取り扱い方を共有できます。
共有することで企業全体の混乱を防ぐことができ、安全運転に関する独自の考え方を生み出さないことなく、交通事故防止対策に努めることが可能です。
運転時の録画作成
各従業員に対し、客観的に自分の運転の仕方を知ってもらう有効な方法が運転時の録画です。
運転時の録画があることで、自分にどのような傾向があり、どのような癖があるのかを知ってもらうことができます。
また、運転時の録画から危険な運転をする従業員に関しては、指導者から交通事故が起きないよう対策を練ってもらうことも可能です。
運転時の録画からどうしても危険運転をしてしまう従業員に関しては、社用車を使わせないという判断を下すことができる点も運転記録があることのメリットです。
特に、ベテランドライバーほど自分の運転を過信してしまうことがあるため、客観的に運転をみてもらって初心に帰らせるのが良いでしょう。
指導者による実車指導
交通事故防止対策として、講師を招いて実車指導することも大切です。
指導者を招くことができない場合は、社内にて安全運転管理者を任命して見てもらうか、上司に見てもらう必要があります。
実車での運転の仕方を見てもらうことで、客観的にどのような傾向があるのか見てもらうことができ、改善点を洗い出すことが可能です。
実際の運転では座学とは違い、リアルタイムで色んなところに危険要素が含まれているため、それらの危険要素を見逃していたら指導者が指摘できます。
実車指導での指摘がなければ、見逃している危険ポイントが重大な交通事故に繋がってしまう可能性があるため、実車指導はぜひ導入しましょう。
ツールを活用した交通事故防止対策
交通事故防止対策は教育のほかにツールを活用した方法もあります。
ツールを活用した交通事故防止対策は主に以下の2つがあり、これらのツールを導入して交通事故防止に努めている企業もあります。
ドライブレコーダーの設置
ドライブレコーダーを搭載することで、自分の運転を記録されることから危険運転をしないよう従業員に意識づけができ、交通事故防止対策ができます。
また、ドライブレコーダーは運転の記録だけでなく、煽り運転や危険な運転をしてくる車両に対しても交通事故防止対策ができます。
これは記録される意識を相手に与えらるため、相手も交通事故を起こさないよう気をつけるからです。
しかし、これには相手にドライブレコーダー搭載車であることを意識させる必要があります。
この点はステッカーなどで「ドライブレコーダー搭載車」と書かれているものを貼ると良いでしょう。
そのほか、最近ではクラウド保存で運転時の様子をリアルタイムで記録でき、急ハンドルや急ブレーキといった危険な運転をした際に管理者に通知が行くドライブレコーダーもあります。
クラウド保存ができるドライブレコーダーの良いところは、通知がきた際に管理者が運転の様子をリアルタイムで確認できる点です。
リアルタイムで確認し、そのドライバーが危険な運転をしていると管理者が判断すれば指導するといった流れがスムーズにできます。
そのため、交通事故防止対策を徹底するのであれば、クラウド保存でリアルタイムにて記録を確認できるドライブレコーダーの導入がおすすめです。
車両管理システムの導入
業務で使用している車両やドライバーの情報を一元管理できる車両管理システムも有効です。
車両管理システムを導入することで、従業員の運行状況・労務管理・運転傾向など運転に関することを効率的に収集でき、安全運転教育の業務効率化ができます。
運転情報を効率的に収集できれば、迅速に分析や安全運転の指導ができ、危険運転をしてしまう前に対策が可能です。
従業員数が多い企業は従業員の運転情報の収集に時間がかかるため、車両管理システムで効率的に情報収集することは交通事故防止に対策に必要と言えます。
JAF交通安全トレーニングの活用
JAF交通安全トレーニングを活用することで、交通安全の教育を効率的に行うことができ、安全運転管理者の工数削減と手当未実施を防ぎます。
例えば、ドライブレコーダーの記録や車両管理システムからあぶり出された危険運転者に対する教育に活用することも可能です。
JAF交通安全トレーニングを活用する際は、ドライブレコーダーと車両管理システムを再度確認し、改善度をチェックして活用すると良いでしょう。
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企業内の文化醸成で交通事故防止対策
社用車を取り扱う企業であれば、交通事故防止対策は年中必要な業務と言っても過言ではありません。
従業員の教育だけで交通事故防止対策をするだけでなく、企業全体で日常的に、交通事故防止対策に取り組む必要があります。
そのために必要なことは、交通事故防止対策に関する文化醸成です。
交通事故防止対策の文化形成のために、取り組める主なことは以下のことが挙げられます。
安全運転イベントへの取り組み
企業内で安全運転イベントの開催をしたり、企業側が社外の安全運転イベントに参加したり、積極的に安全運転イベントへ取り組むことで交通安全の文化を形成できます。
また、安全運転イベントに企業側が積極的に取り組むことで、企業側のイメージも良くなります。
企業側のイメージが良くなることで、従業員が企業側のイメージを壊さないためにも安全運転を意識づけさせることが可能です。
イベントの告知などで周知させることができる点も安全運転イベントが効果的な方法である理由です。
健康管理プログラムの導入
車両を運転することはドライバー自身の健康が何よりも大切です。体調が優れないドライバーに車両を運転させると交通事故を起こすリスクがあります。
そのため、社内にて健康管理プログラムを導入し、ドライバーの健康管理を把握しましょう。健康管理プログラムの例としては、定期的な健康診断やセルフチェックなどがあります。
健康診断やセルフチェックは管理者が把握し、運転をさせると危険なドライバーは別の業務に割り当てるなど、健康な状態で運転をさせることも交通事故防止対策です。
また、健康管理プログラムを導入することで従業員も体調管理に気を配るようになり、結果的に安全運転の文化を形成できます。
社内向けメールでの注意喚起
ほとんどの企業が出勤後に社内向けメールをチェックします。社内向けメールにて交通安全に関する注意喚起をすることで、従業員の交通安全に対する意識を高められます。
また、社内向けメールは一斉に送れるため、効率的に共有できる点もメリットです。しかし、中には社内向けメールを流し読みしてしまう従業員がいるところもあるでしょう。
そのため、社内向けメールはあくまでも交通安全文化形成の一環として取り組み、安全運転教育や従業員の運転分析なども同時に取り組むと良いでしょう。
運転適性診断の実施
指定の機関が実施する運転適正診断を実施することで、運転の傾向や癖を知ることができ、従業員の運転に関する情報を取集できます。
収集した情報は実車指導で活用したり、従業員に対するアドバイスに活用したり、一人一人に合った安全運転教育に活用が可能です。
また、従業員自身に客観的にどのような傾向があるのか知ってもらうためにも運転適正診断は導入した方が良いでしょう。
ヒヤリハットの共有と交通事故の事例を共有
実際の交通事故の事例やヒヤリハットを共有することで、自分事として安全運転を意識づけできます。
企業内で過去に起きた事故を共有したり、ヒヤリハットの映像を共有したり、リアルな事例を共有すると効果的です。
共有後は「どうすればよかったのか」、「なぜこの場面で交通事故が起きてしまったのか」と定例会などで話し合うことで交通事故防止対策の文化を形成できます。
また、過去の教訓を活かせる点もヒヤリハットや交通事故の事例を共有することのメリットです。
社用車に乗る前の点検を必ず行う
交通安全に必要なのは従業員の運転の仕方や健康状態だけでありません。
社用車の状態も交通安全に大切な要素です。
タイヤにスリップサインが出ていないか、機能しない箇所がないか、ライトが点灯するかどうかなど、社用車の点検は乗る前に必ず行いましょう。
問題があれば管理者に報告し、代用できる社用車がないか確認してもらい、問題がない社用車で運転することが大切です。
企業向け安全グッズの設置
企業内の施設も交通安全に大切な要素となります。例えば、見通しの悪い道が企業内の施設にあれば、カーブミラーを設置してドライバーに優しい環境を整備する必要があります。
駐車場内の交通事故を抑えるのであれば、減速ハンプを設置してドライバーに減速や一時停止を促す工夫も大切です。
そのほか、バックのしすぎで建物や他の車への衝突を避けるために、パーキングブロックを設置するのも良いでしょう。
まとめ:企業全体で交通事故防止対策に取り組もう
交通事故防止対策は1人で取り組むことはできません。企業全体が一丸となって交通事故防止対策に取り組む必要があります。
企業側が積極的に交通事故防止対策に取り組むことで、社内外に良い影響を与えることもできます。
社外であれば、企業イメージが良くなり、結果的に売り上げにつながる可能性もあるでしょう。
社内であれば、従業員の安全運転意識を高めることができ、企業の看板を背負っていることの責任感を持たせることができます。
ぜひ、企業全体で交通事故防止対策に取り組んでいきましょう。
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