社用車にかける自動車保険とは?法人契約の種類や選び方について解説

社用車を所有する場合も、交通事故に遭う、もしくは交通事故を起こしてしまう可能性はゼロではありません。

そこで重要な役割を果たすのが自動車保険です。

しかし、社用車に対する自動車保険についてお悩みの企業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では社用車における法人向けの自動車保険について解説するとともに、保険の選び方や企業がすべきことなどについて解説します。

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社用車にかける法人向け自動車保険とは

企業が使用する社用車には、法人向け自動車保険が不可欠です。

この保険は、営業車やビジネス用車両が事故や損害に見舞われた際のリスクに備えるためのものです。

例えば、社用車が交通事故に巻き込まれた場合、修理や補償が必要となり、企業の財政を圧迫しかねません。

法人向け自動車保険は、事業継続性を確保し、リスクに対処する手段として不可欠です。

法人向け自動車保険の特徴

法人向け自動車保険では原則以下をすべて同一の法人名義にしなければなりません。

  • 契約者:保険料を支払い、保険を利用する者
  • 記名被保険者:車両を最も運転する者
  • 車両所有者(または使用者):車検証に記載される車両を所有(または使用)する者

また、個人向けの自動車保険と比較すると、対象となる車両が多いこと、保険料の総額が高くなること、運転者・補償特約の範囲が広くなることなどが特徴として挙げられます。

社用車における法人向け自動車保険の種類

企業が使用する社用車にかける法人向け自動車保険には種類があります。

大きな違いは使用する車両の台数によって保険の種類が変わる点です。

使用する車両台数保険の種類
10台以上フリート契約
9台以下ノンフリート契約
2〜9台以下ミニフリート契約

保険の種類に応じてメリットやデメリットが存在するのはもちろん、費用面で気になる割引率にも違いがあります。

それぞれについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

フリート契約

フリート契約は使用する社用車が10台以上ある場合に選択可能な保険です。

法人として1つの自動車保険を契約し、使用する社用車のすべてを対象として契約するのがフリート契約です。

メリットとデメリットは以下になります。

メリットデメリット
・ノンフリート契約と比較して保険料が抑えやすい
・保険証券が1枚で済むため管理がしやすい ※1
・契約車両を追加しても保険の割引率が変わらない
・1台でも事故を起こしてしまうと翌年度の保険料が大幅に上がる場合がある
(1台の事故でも全体の保険に影響してしまう)
※1:全車両一括付保特約の付帯が条件となる場合あり

フリート契約の最大のメリットは1台あたりの保険料が抑えやすく、車両を追加しても同様の割引率が適用されることにあります。

一方で、1台の事故が全体の保険に影響してしまい保険料の増加につながる場合もある、というデメリットが存在します。

ノンフリート契約

ノンフリート契約は使用する社用車が9台以下の場合に選択する保険の種類です。

契約は車両ごとにしなければなりません。

メリットとデメリットは以下になります。

メリットデメリット
・1台の事故でも全体への影響がない
・車両ごとに保険の内容のカスタマイズが可能
・1台ずつ保険を契約・更新しなければならない
・フリート契約と比較して保険料が割高になりがち

ノンフリート契約では、フリート契約とは違い、1台ずつの契約となります。

1台が事故を起こしたとしても保険の等級に影響があるのは事故を起こした車両のみです。

そのため、翌年度の保険料への影響はフリート契約と比較して少なくなりますが、多くの事故が重なってしまうと意味がありません。

保険料を抑えるために、年齢条件や運転者限定特約の活用も選択できますが、それでもフリート契約よりは割高になりがちです。

ミニフリート契約

使用する社用車の台数が9台以下であってもフリート契約と同様の内容で契約可能な保険がミニフリート契約です。

主な内容は社用車の台数が9台以下でも車両ごとの契約ではなく、1枚の保険証券で契約が可能になります。

メリットとしては9台以下であってもフリート契約と同様の内容で契約可能なことから、保険料を抑えやすいことが挙げられます。

また、証券1枚で保険が完結するため、車両ごとの管理や手続きの手間が軽減できる点もメリットです。

一方で、保険料の請求は一括で複数台の車両分がまとめられる点はフリート契約と同様です。

法人向け自動車保険の主な内容

法人向け自動車保険には、一部法人向けだからこその特有の保険内容があります。

ここでは補償内容と特約内容に分けて解説をします。

基本的な補償内容

事故により人や物に対する支払い面を補償する内容です。

法人向け自動車保険でも個人向け自動車保険でも内容は大きく変わりません。

自動車保険における一般的な補償内容は以下の通りです。

補償の種類補償の内容
対人賠償保険人に対する自動車事故において、相手の運転手を死傷させてしまった場合の賠償金の保険(自賠責保険を超えた支払いがある場合)
対物賠償保険物に対する自動車事故において、相手方の自動車や物品などを破損させてしまった場合の賠償金の保険
人身傷害保険自動車事故において運転者や同乗者を死傷させてしまった場合における損害に対する保険
車両保険所有する車両を事故で破損させてしまった場合の保険(車両保険の中でも補償範囲によってタイプが別れる場合がある)

基本的に補償内容に関しては、どの自動車保険でも含まれている内容です。

ただし、契約によって補償範囲(賠償金の金額など)に違いがあるため、契約内容を確認しましょう。

特約内容

基本的な補償内容に加え、さらに補償内容を広げるために設けられているのが特約内容です。

例えば、事故により車両が自走できなくなったような場合、代わりに用意するレンタカー費用は基本的な補償内容ではカバーができません。

この場合に、「レンタカー費用特約」をつけているとレンタカーの費用まで保険でカバーができます。

また、自社で営む事業が貨物を運ぶ運送業である場合は「運送業者受託貨物賠償特約」を選択することで、特約の補償内容で載せていた貨物に対する損害補償ができます。

その他にも、自動車に商品や備品などを載せて営業活動をしている場合は「事業用積載動産特約」を選択しておくと安心です。

事故により商品や備品を破損させてしまった際に、損害をカバーできます。

特約内容については保険会社独自のものも多く存在しているため、契約を考えている保険会社にしっかりと確認しておくのが重要です。

法人向け自動車保険の特約の例を紹介します。

特約内容
対人賠償使用人災害特約対人賠償保険では補償されない業務中の従業員に対する災害まで補償する
事業用積載動産特約自動車に積んでいた業務で使用する物品(商品・備品など)に対する補償
対物賠償非所有管理財物特約他人から借りていたものを自動車事故によって破損してしまった場合の補償

このほかにも法人向け自動車保険ならではの特約が保険会社ごとに用意されているため、契約の前段階でしっかりと確認しましょう。

社用車の自動車保険を選ぶ際のポイント

ここでは法人向け自動車保険を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。

契約する保険会社は1つにまとめる

自社で契約する保険会社は1つにまとめておきましょう。

契約の種別に関わらず、自社の中で複数の保険会社と契約をしてしまうと管理が煩雑になってしまいます。

例えば、契約更新の時期が異なるほか、補償内容が完全に一致しないなど、事務手続きの面で大きな業務負担にもなりかねません。

自動車の保険管理が煩雑にならないよう、契約する保険会社は1つにまとめておきましょう。

社用車を安全に使用するために企業がすべきこと

法人として自動車保険を契約しておくことは重要ですが、企業として社用車を安全に使用するための仕組みを整えておくことも重要です。

ここでは保険の契約と合わせて社用車を有する企業がすべきことを解説します。

安全運転管理者を選任する

社用車を有する企業は、安全運転管理者の選任が道路交通法により義務付けられています。

なお一定の台数を有している企業が安全運転管理者の選任が義務付けられているため、以下を参考に自社が対象になっているか確認してください。

  • 乗車定員数が11人以上の自動車を1台以上使用している場合
  • その他の自動車を5台以上使用している場合

参照元:道路交通法施行規則第九条の八

詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてください。

社用車管理のマニュアルを作成する

保険は事故が起きてしまった場合に備えるためのものですが、事故を起こさないための対策も重要です。

例えば、社員による車両点検をマニュアルとして作成しておけば、車両の整備不良による事故が防げる可能性が高まります。

そのほかにも、自動車事故を起こさないための安全運転に関するマニュアルを作成するのもよいでしょう。

また、社用車で事故を起こしてしまった場合の対応方法も定めておかなければなりません。

なぜなら事故が発生した場合の一次対応は運転者、つまり従業員によっておこなわれるからです。

事故が起きた場合、まずは二次事故防止と負傷者の救護を最優先でおこなう必要があります。

事故を起こしてしまった従業員からすると、動揺してしっかりとした対応ができない場合も想定されるはずです。

そうならないためにも社内のマニュアルとして事故を起こしてしまった場合の対応方法も定めておくと良いでしょう。

社内教育の仕組みを整える

事故を起こさないために、自社の社員が安全運転に努めるよう、社内教育の仕組みを整えておきましょう。

事故はほんの少しの不注意や気の緩み、無謀な運転から起きてしまうことが多くあります。

その多くは安全運転に努めていれば未然に防げるものも多くあります。

日々の業務がある中でも、従業員に対して安全運転に関する適切な教育をおこなうことが必要です。

JAFメディアワークスでは、JAFが長年培ってきた交通安全ノウハウをeラーニングとして教材化しています。

従業員の受講状況を確認できる管理者機能が付いているほか、PCだけでなくスマホやタブレットから気軽に受講が可能です。

社内教育制度の確立でお悩みの企業担当者の方は「JAF交通安全トレーニング」をお問い合わせください。

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まとめ:社用車の保険は法人契約で!事故を未然に防ぐ対策も重要

社用車の自動車保険は、所有する台数に応じた契約種別で法人契約をしましょう。

契約の種別により保険料が異なるほか、車両管理の煩雑さが変わってきます。

また、自社の業種に合っていない補償・特約内容の場合は、せっかく契約した自動車保険が役に立ちません。

本記事を参考に、自社に適した自動車保険を選択してください。

自動車事故を起こさないようにすべく、自社で対策をするのも重要です。

社内教育でお困りの企業担当者の方は、「JAF交通安全トレーニング」までお気軽にお問い合わせください。

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