「デジタルキーはこれまでの鍵とどのように違うのかが知りたい」
「デジタルキーを導入することで得られる具体的なメリットについて知りたい」
このような悩みをお持ちではないでしょうか。
デジタルキーとは、スマートフォンやスマートウォッチなどの電子媒体を車両の鍵とするシステムのことです。
利用面や防犯面などでさまざまなメリットがあることから、近年普及が進みつつあります。
本記事では、デジタルキーに搭載されている機能やメリットなどについて解説します。
社用車を利用する企業のデジタルキー活用方法なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
デジタルキーとは
デジタルキーとは、これまでのような物理的な鍵を使わず、スマートフォンをはじめとした電子媒体を介して車の施錠・解錠をおこなうシステムです。
物理的な鍵を持ち歩く必要がなくなるため、紛失・盗難などのリスクが抑えられます。
また、物理的な鍵では実現できなかった、スマートフォンを持っている方の間で鍵の共有もできるようになるため、利便性も向上します。
スマートフォンを利用した施錠・解錠システムは、デジタルキーが普及する前よりアイデア自体はありましたが、さまざまな技術的な問題により実現ができていませんでした。
しかし、2018年にスマートフォンを自動車のキーとして使用するための標準規格「Digital Key 1.0」が発表されて以降、技術の進歩と相まって普及が進みました。
現在では、デジタルキーが搭載されている車種も増えてきており、今後はデジタルキーが基本機能となる可能性もあるでしょう。
デジタルキーとスマートキーとの違い
デジタルキーとスマートキーにはさまざまな違いがありますが、特に大きな違いが「物理的な鍵を持ち歩く必要の有無」です。
スマートキーとは、携帯しているだけで車両の施錠・解錠や電源のON/OFFができる鍵のことで、電子キーとも呼ばれています。
スマートキーがあれば、鍵を取り出す必要がなくなるため便利ではありますが、鍵自体はバッグやポケット内などに所持しておく必要があります。
その一方で、デジタルキーはスマートフォンが鍵となるため、物理的な鍵を持ち歩く必要がありません。
鍵を忘れて運転ができないといった状況を減らせるほか、鍵の紛失や盗難などのリスクを抑えられるため、より安全性の高い鍵と言えるでしょう。
デジタルキーの主な機能
デジタルキーの主な機能には以下があります。
- スマートフォンなどのデバイスで車両の施錠・解錠・エンジン始動ができる
- 鍵を手渡す手間なく車両を他者と共有できる
- 利用時間や利用者の設定ができる
デジタルキーの利用により、従来の物理的な鍵と比較して利便性が向上するだけでなく、高い防犯性能を手に入れられます。
具体的な活用例としては、共有機能を活かした非対面でのカーシェアリングや、利用時間や利用者を設定できる機能を活かした車両管理などが挙げられます。
また、デジタルキーの機能を活用すれば、車両の盗難や無断使用などのリスクを抑えられるため、個人・企業を問わず車両利用の幅が大きく拡がるでしょう。
デジタルキーに用いられている安全対策
デジタルキーは、データ通信を使った鍵であることから、データ流出やハッキングなどサイバー攻撃を心配する方もいるでしょう。
しかし、デジタルキーには、このような問題に対しても高い防犯性能を備えています。
ここからは、デジタルキーに用いられている安全対策について解説します。
通信の暗号化
一つ目の安全対策は、通信の暗号化です。
デジタルキーを狙ったサイバー攻撃にはさまざまなものがあります。
代表的なものとしては、デジタルキーと車両間の通信を中継して不正にアクセスをおこなうリレー攻撃や、通信を傍受して、手に入れた情報を使って正規キーになりすますリプレイ攻撃などです。
このような攻撃から守るため、デジタルキー開発者は高度な暗号化技術を導入しており、現在も不正なアクセスから車両を守るため日々研究が進められています。
利用時間・利用者の設定機能
二つ目の安全対策は、利用時間や利用者を設定できる機能の搭載です。
デジタルキーは、鍵として利用可能な時間を設定する機能や、利用権限を持つ人を設定する機能が搭載されています。
そのため、普段使用しない時間帯での利用や許可を出していない人の利用を防げるほか、予定のない利用があったとしてもすぐに把握可能です。
また、スマートフォン自体を紛失しても、パソコンなどから遠隔で利用権限を取り消せるため、万が一車両が悪用されたとしてもすぐに対処できます。
アップデートによる定期的な改善
三つ目の安全対策は、定期的なアップデートによる脆弱性の改善です。
例えば、現在は顔認証や指紋認証、多要素認証の導入が進められており、スマートフォン単体のセキュリティに依存しなくても良いデジタルキーになりつつあります。
また、ブロックチェーン技術を活用した管理システムに注目が集まっており、実現すれば鍵データが分散されることとなり、これまで以上に安全性が向上します。
このように、デジタルキーを不正から守る技術は、日々研究・改善が進められています。
デジタルキーを利用するメリット・デメリット
デジタルキーには、メリットがあると同時にデメリットも存在します。
デジタルキーの導入は、メリット・デメリット両方をしっかりと把握した上でおこなうのが重要です。
メリット
デジタルキーを利用する主なメリットは以下の通りです。
- 複数の人と手間なく鍵を共有できる
- 鍵をなくすリスクが少ない
- スマートフォン自体をなくしても遠隔で操作できる
- 利用者や利用時間を細かく管理できる
デジタルキーを活用することで、スマートフォンさえあれば鍵を共有できるため、鍵の管理場所を決めたり、合鍵を作ったりする必要がなくなります。
また、利用者や利用時間を細かく管理ができるため、必要のない長時間利用や無断での車両利用の削減が可能です。
デメリット
デジタルキーの利用には以下のようなデメリットが存在します。
- スマートフォンのバッテリーが切れると使えない
- システムメンテナンスなど提供会社の都合で使えなくなる可能性がある
- 電波状況によって正常に作動しない可能性がある
特に注意すべきはバッテリーの残量です。
デジタルキーの場合、スマートフォンのバッテリーが切れてしまうと、本当に何もできなくなってしまいます。
デジタルキーを利用する際は、バッテリー切れに常に注意するとともに、対策としてモバイルバッテリーや充電用のコードを常備しておくようにしましょう。
デジタルキーを活用した社用車管理方法
デジタルキーが持つ機能は、社用車やバス、トラックなど事業として利用する車両の管理に役立ちます。
デジタルキーを活用した場合に、どのような効果が期待できるのか、具体的な例を一部紹介します。
- 鍵の受け渡しを目的とした移動が少なくなる
- 鍵の保管場所の確保や使用者リストの作成などの管理コストが削減できる
- 利用者や利用時間を設定することで無断使用のリスクを減らせる
- 体調確認やアルコールチェックに問題があった従業員のデジタルキーを停止できる
- 車両利用のデータが一元管理できるため保有車両数を最適化しやすくなる
このように、デジタルキーを活用すれば、これまで発生していた手間を多く削減できるため、生産性の向上につながるでしょう。
多くの車両を適切に管理するのは簡単ではありません。
現在、車両管理に課題を抱えている企業は、デジタルキーの導入を検討するのも一つの方法です。
デジタルキーの導入方法
デジタルキーの導入方法には、大きく分けて「デジタルキーが搭載されている車両を購入する」「後付けのデバイスを利用する」の2つがあります。
それぞれの方法について詳しく解説するので参考にしてください。
デジタルキーが搭載されている車両を購入する
一つ目は、デジタルキー搭載車両を購入する方法です。
具体的な手順は以下になります。
- デジタルキー機能が搭載されている車種の確認・購入
- デジタルキー利用サービスへの登録・手続き
- アプリのダウンロード
- アプリの初期設定
- 利用開始
メーカーによっては、新車購入時のタイミングでのみデジタルキーの利用を受け付けているケースがあり、後からの利用ができない点には注意が必要です。
そのため、車両を購入する際は、必ずデジタルキーを利用する旨をメーカーに伝えるようにしましょう。
後付けのデバイスを利用する
二つ目は、今ある車両にデジタルキー用のデバイスを後付けする方法です。
具体的な手順は以下の通りです。
- 取り付けるデジタルキーデバイスの選定
- 導入予定のデジタルキーが現在保有している車両に対応しているかの確認・購入
- 業者へデバイスの取り付け依頼・日程の調整
- デジタルキー利用サービスへの登録・手続き
- アプリのダウンロード
- アプリの初期設定
- 利用開始
後付けでデジタルキーを取り付ける際は、必ず保有している車両にデジタルキーが対応しているか確認しましょう。
特に、外車や古い車両を利用している場合は、デジタルキーに対応していない可能性が高いため、事前にメーカーに問い合わせるのがおすすめです。
まとめ:デジタルキーを活用して車両を安全に管理・運行しよう
デジタルキーは、物理的な鍵を使わず、スマートフォンをはじめとした電子媒体を介して車の施錠・解錠・エンジン始動をおこなうシステムです。
物理的な鍵を持つ必要がなくなるため、鍵の紛失や盗難などのリスクを抑えて車両を利用できるようになります。
また、デジタルキーには鍵の共有機能や利用時間・利用者を設定する機能も搭載されています。
そのため、トラックやタクシーなど車両の利用をメインとした企業や、社用車を利用している企業がデジタルキーを導入すれば、より効率的に車両管理ができるでしょう。
保有している車両が多い、人手不足で管理が追い付いていない、などの課題を抱えている企業は、一度デジタルキーの導入を検討してはいかがでしょうか。
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