新入社員を採用する際、 運転スキルに不安のある社員への対応は、 企業にとって重要な課題です。
特にペーパードライバーの新入社員は交通事故を起こすリスクが高いため、業務を任せる上でも企業は適切な取り組みを実施しなければなりません。
本記事では、 ペーパードライバーの新入社員が 起こしやすい事故やその背景、 企業が負うべき責任について解説します。
もし、社用車で事故を起こしたら?
目次
新入社員の運転リスクと企業の責任

最初に、新入社員を守るためのリスク回避と企業の責任について解説します。
ペーパードライバーの新入社員を指導する上でも、あらかじめ理解しておきましょう。
ペーパードライバーの新入社員の運転リスク
新入社員の中には、運転免許は持っているものの、ほとんど運転経験のないペーパードライバーも少なくありません。
ペーパードライバーの運転は、運転操作に不慣れなだけでなく、交通状況への判断力や危険予測能力も低い傾向にあり、事故のリスクが高まります。
企業は安全に業務を遂行するためにも、新入社員が抱える運転リスクを十分に認識し、適切な対策を講じなければなりません。
新入社員にペーパードライバーが多い背景
新入社員にペーパードライバーが多い背景には、単純な運転経験の不足だけでなく、若者の車離れが進んでいることも影響していると考えられます。
車離れによって自動車を運転する機会が減れば、運転の経験が習熟しにくくなるでしょう。
また、自動車の維持費や駐車場代などの経済的な負担・公共交通機関の充実・運転に対する興味の低下なども、ペーパードライバーの増加に影響している要素です。
加えて、若者の間でパソコンやスマートフォンが優先度の高いツールとなったため、自働車に触れる機会が減少していることも原因です。
このような背景から、運転免許は取得したものの、その後ほとんど運転する機会がないまま社会人になる新入社員が増加しています。
企業は、このような状況を踏まえ、新入社員の運転スキルを過信せず、慎重な対応を心がけなければなりません。
新入社員の運転に企業が責任を持つ理由
企業が新入社員に運転業務を任せる場合、企業には安全配慮義務があります。
これは、従業員が安全に業務を遂行できるよう、必要な措置を講じる義務です。
具体的には、運転スキルが不足している新入社員に対して、運転教育や研修を実施したり、一定以上の技術に達しないと業務を任せないようしたりするなどの措置が求められます。
業務で自動車を利用する以上、自社や従業員だけでなく、社会の交通安全を守らなければなりません。
もし、企業が安全配慮義務を怠り、新入社員が事故を起こした場合、企業は損害賠償責任を負う可能性があります。
また、事故の内容によっては企業の社会的信用が低下するなどのリスクもあるため、企業は新入社員の運転リスクに適切に備えなければなりません。
ペーパードライバーの新入社員の運転リスクが高い原因

ペーパードライバーの新入社員が運転業務をおこなう場合、いくつかの要因が重なり、運転リスクが高まる傾向にあります。
企業はこれらの要因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
運転の経験値が少ない
免許取得後ほとんど運転していない、または運転頻度が極端に少ないため、新入社員は運転に必要なスキルや知識が十分に身についていません。
具体的には、以下のような点が挙げられます。
車両感覚の欠如 | 車幅や車間距離の把握が難しく、狭い道での運転や駐車に苦労する。 |
交通状況への対応力不足 | 危険予測をするために必要な経験や情報が少なく、急な状況変化に対応できない。 |
運転操作の不慣れ | ハンドル操作・ブレーキ・アクセルの操作がスムーズにおこなえず、ぎこちない運転になる。 |
また、運転経験の少なさは、運転技術だけでなく、交通ルールやマナーの知識不足にもつながります。
さらに交通標識の知識が不足していたり、安全確認のポイントが押さえられていなかったりするリスクも無視できません。
緊張や不安が運転に影響しやすい
運転経験の少なさに加え、緊張や不安も運転に悪影響を及ぼします。
特に、ペーパードライバーの新入社員の場合、以下のような心理的な要因が加わることで、さらに運転リスクが高まる可能性があります。
プレッシャー | 業務で運転しなければならないというプレッシャーから焦ってしまう。 |
自信のなさ | 運転スキルに自信がなく、不安な気持ちで運転してしまう。 |
焦り | 駐車がうまくいかないことで焦って周囲への注意を怠るなど、焦燥感で安全運転に必要な確認が疎かになる。 |
また、緊張や不安は、判断力や集中力を低下させ、運転ミスを誘発する要因となります。
焦りからスピードを出し過ぎたり、無理な運転をしてしまう危険性もあります。
企業は、運転スキルだけでなく、新入社員の心理的負担にも配慮し、安心して運転できる環境を整えることが重要です。
ペーパードライバーの新入社員に向けた企業の取り組み

企業は、ペーパードライバーの新入社員が安全に運転できるよう、さまざまな取り組みをおこなう必要があります。
ここでは、具体的な取り組みについて順番に解説します。
慣れるまで先輩社員が同乗する
運転に不慣れな新入社員には、まず先輩社員が同乗し、指導・サポートをおこなうのが効果的です。
先輩社員は、運転技術だけでなく、安全確認のポイントや危険予測など、実践的な知識を教えられます。
また、新入社員は先輩社員の運転を間近で見ることで、運転のコツをつかめます。
同乗期間中は、新入社員の運転スキルや習熟度を評価し、徐々に一人で運転する機会を増やしていきましょう。
安全確認を徹底させる
運転において、安全確認は最も重要です。
企業は新入社員に対して、企業活動において安全が最優先されることを繰り返し伝え、確実に実践させる必要があります。
具体的には、以下のような項目を重点的に指導しましょう。
出発前の車両点検 | タイヤの空気圧・ライトの点灯・オイル量などを確認する。 |
駐車時の安全確認 | バックカメラに頼らず、ミラーや目視による確認を徹底する。必要があれば、一度降車して安全確認を実施する。 |
交差点での安全確認 | 右左折時に歩行者や自転車の有無を確認する。 |
車間距離の確保 | 十分な車間距離を保ち、追突事故を防止する。 |
このような安全確認を徹底することで、事故のリスクを大幅に減らせます。
運転に集中できる環境を整える
新入社員が運転に集中できる環境を整えることも、企業にとって大切な取り組みです。
例えば、以下のような対策が考えられます。
無理な運転スケジュールの禁止 | 時間に余裕を持たせ、焦って運転することを防ぐ。 |
運転中の電話・メールの禁止 | 運転に集中できるよう、業務連絡は停車後におこなう。 |
休憩時間の確保 | 長距離運転の場合、こまめな休憩を挟む。 |
新入社員は心身ともに余裕を持って運転することが、安全運転につながります。
安全運転教育をおこなう
安全運転に関する知識や技能を習得するための教育は、ペーパードライバーである新入社員にとって不可欠です。
企業は、座学や実技指導などを通じて、体系的な安全運転教育をおこなう必要があります。
安全運転研修などの企業向けペーパードライバー講習を受講させることも有効な手段です。
定期的な安全運転教育を実施することで、新入社員の安全運転意識が高まり、事故の未然防止につながります。
ペーパードライバーの新入社員に安全運転教育をおこなうなら、『JAF交通安全トレーニング』を活用しましょう。
JAF交通安全トレーニングは、安全運転に欠かせない知識を学べるeラーニング教材です。
経験値が少ないペーパードライバーでも、動画でさまざまな交通シーンを疑似的に体験できるため、知識だけでなく、危険予測をする上で必要な情報の蓄積を目指せます。
基本的な交通ルールなどを学ぶ上でも役立つので、積極的にご活用ください。
なお、JAF交通安全トレーニングを活用することで、実際に新入社員の事故件数が0になった事例もあります。
ペーパードライバーの新入社員を実際に教育する上でもおおいに役立つので、ぜひ導入をご検討ください。
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ペーパードライバーの新入社員を指導する際のポイント

ペーパードライバーの新入社員を指導する際は、運転技術だけでなく、精神的なサポートも重要です。
ここでは新入社員が焦らず、段階的に運転に慣れてもらうためのポイントを解説します。
過度なプレッシャーをかけない
運転に不慣れな新入社員には、過度なプレッシャーをかけないように心がけましょう。
ペーパードライバーの新入社員は、運転に対して不安や恐怖心を抱いている場合があります。
そのため、最初から完璧な運転を求めたり、厳しく叱責したりすると、萎縮して運転への苦手意識をさらに強めてしまう可能性があります。
まずは、リラックスして運転できる雰囲気を作り、小さな成功体験を積み重ねて自信をつけられるような状況を作りましょう。
なお、漫然と自信をつけさせるのではなく、「安全確認を実施したから上手く駐車できた」「合流時の状況確認と適切な予測ができたからスムーズに合流できた」など、具体的な行動を承認することが重要です。
周囲の目を意識させる
安全運転を促すためには、周囲の目を意識させることも有効です。
同乗者がいる場合はもちろん、運転中は常にほかの車両や歩行者から見られていることを意識させ、模範的な運転を心がけるように促しましょう。
また、会社の車を運転しているという責任感を持たせ、会社の代表として安全運転を徹底するよう指導することも重要です。
加えて、ドライブレコーダーなどを設置して運転中の様子を記録できるようにしておけば、新入社員もより高い意識で運転に取り組めます。
スケジュールに余裕を持たせる
ペーパードライバーの新入社員を指導する際は、スケジュールに余裕を持たせましょう。
時間に追われる状況は、焦りや注意力の低下を招き、事故のリスクを高めます。
特に、運転に不慣れなペーパードライバーの新入社員には、十分な時間を確保して運転させることが重要です。
目的地までのルートを事前に確認させ、休憩時間も考慮した無理のないスケジュールを組むようにしましょう。
また、悪天候や交通渋滞が予想される場合は、公共交通機関の利用を検討するなど、臨機応変な対応も必要です。
まとめ:ペーパードライバーの新入社員に安全運転意識を持たせることは企業の責任

本記事では、ペーパードライバーの新入社員が安全に運転できるよう、企業が取り組むべき対策と、指導する際のポイントについて解説しました。
ペーパードライバーの新入社員に対する安全運転教育は、単なる業務指導ではなく、企業が果たすべき社会的責任の一環です。
新入社員が安心して業務に取り組めるよう、企業全体で安全運転を支える体制を整えましょう。
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