シートベルトの着用義務は後部座席も対象?違反時の罰則や着用が免除されるケースも紹介

2008年6月の道路交通法改正により、自動車を運転する際、運転席や助手席のほか、後部座席を含む全ての座席でシートベルトを着用することが義務化されました。

全ての乗員を対象に、シートベルトを着用させないまま道路で運転をおこなえば、道路交通法違反として罰則が課せられるのはもちろん、万が一事故に巻き込まれた際の致死率も上がってしまいます。

そこで本記事では、シートベルトの着用義務に違反した場合の罰則、非着用での事故リスク、着用が除外されるケースなどについて徹底的に解説していきます。

同乗者の安全を守るためにも、シートベルトの着用義務についてこの機会にしっかり確認しておきましょう。

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後部座席のシートベルト着用率と非着用のリスク

シートベルトの着用義務について解説する前に、まずシートベルトの着用率と未着用のリスクについて紹介します。

後部座席のシートベルト着用率

JAFでは警察庁と合同で、 2024年10月7日(月)から11月8日(金)までの期間に「シートベルト着用状況全国調査」を実施しました。

この調査結果によると、運転席・助手席においては、一般道・高速道路どちらの場合でも全国平均96%〜99%と着用率が高いことがわかりましたが、後部座席の着用状況に目を向けると、一般道路においては45.5%、高速道路では79.7%とシートベルト着用率が著しく下がることが判明しました。

2008年に後部座席のシートベルト着用が義務化され、運転席・助手席の着用率は上がっていますが、後部座席のシートベルトは依然として低い着用率のまま推移しています。

シートベルト非着用によるリスク

シートベルトを着用していなかった場合、後部座席であっても事故の衝撃によって前の席に頭を強くぶつけてしまったり、車から身体が飛び出してしまったりする可能性があります。

実際、警察庁が発表した「シートベルト関連統計」における座席位置別シートベルト非着用死者の構成率(令和6年)は、運転席が38.8%、後部座席が37.9%と、この10年で下降傾向にはあるものの高い数字を示していることがわかっています。

シートベルトの着用義務は2008年から全席対象に

冒頭でも説明した通り、シートベルトの着用は、2008年6月の道路交通法改正により運転席・助手席に加えて後部座席を含む全席が着用義務の対象となり、一般道だけでなく高速道路を含む全ての道路で適用されるものとなりました。

ここでは、シートベルト着用義務の内容について詳しく解説していきます。

一般道路・高速道路を問わず後部座席を含む全席で着用義務がある

2008年6月に道路交通法が改正されるまでは、運転席と助手席の乗員に対してのみシートベルトの着用義務が課せられていました。

つまり、後部座席の乗員のシートベルト着用については、運転者の努力義務とされてきたのです。

しかし、道路交通法が改正されてからは、以下条文のように後部座席を含むすべての席でシートベルトの着用が義務化されることになりました。

自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。
自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。

道路交通法第七十一条の三(普通自動車等の運転者の遵守事項)

これは一般道路や高速道路など走行場所に関係なく適用されます。

路線バスを除く高速バス、観光バス、マイクロバス、タクシーでも着用義務がある

シートベルトの着用義務は、高速バス、観光バス、マイクロバス、タクシーにも同様に適用されます。

シートベルトを着用しなかった場合、乗客側に罰則はありませんが、運転手には違反点数が課せられます。

具体的には、運転者に対して行政処分の基礎点数が1点加算され、その基礎点数は3年間累積となります。

なお、11名以上が乗車できる路線バスでは、運転手を除きシートベルトの着用義務の対象外です。

市内や住宅街を低速で走行する路線バスはそもそも乗客を乗せて高速道路を走行できず、路線走行中は立ち乗りをする方や短距離の移動で使用する方も少なくないため、シートベルトを義務化してしまうとスムーズな運行が難しくなってしまうからだと考えられます。

参考:道路運送車両の保安基準第二十二条の三|e-GOV 法令検索
参考:交通違反の点数一覧表|警視庁

シートベルトを正しく着用できない6歳未満の子供はチャイルドシートが必須

道路交通法第七十一条の三で定められている通り、車の乗員にはシートベルトの着用義務がありますが、6歳未満の子どもに対してはその限りではありません。

代わりに、6歳未満の子どもは身体が小さく、席に備わっているシートベルトでは安全性能が十分に発揮されない可能性があるため、チャイルドシートまたはジュニアシートの使用が義務付けられています。

さらに、年齢条件を満たしていたとしても、子どもの体格が小さい場合はクルマのシートベルトが十分な効果を発揮できない場合があるためジュニアシートなどを使用する必要があり、JAFでは150cm未満の子どもを対象に使用を推奨しています。

チャイルドシートなどを使用しない状態で事故が起これば、衝撃で子どもの身体が車外に投げ出されてしまったり、首や腹部にベルトがかかって思わぬ怪我に繋がる可能性があるため、運転手が責任を持って装着しましょう。

参考:JAFは身長150cm未満の子どもにチャイルドシートの使用を推奨しています|JAF

2020年からはシートベルトリマインダーの設置も義務化

2020年9月以降の新型車両では、シートベルトリマインダーの設置も義務化されました。

シートベルトリマインダーとは、運転者や同乗者がシートベルトをしていないときに警報音がなる装置のことです。

このシートベルトリマインダーの警報が全座席対象となったことで、シートベルトの着用率を引き上げ、交通死亡事故低減に繋がることが期待されています。

参考:道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令等について(概要)|国土交通省

シートベルトの着用義務が例外的に免除されるケースは?

先述したように、自動車を運転する際はシートベルト着用が義務付けられていますが、場合によってはそれが免除されるケースがあります。

ここからは、シートベルトの着用が免除される代表的なケースについて紹介します。

ただし、シートベルトの着用が免除される場合でも、自動車に乗るうえでシートベルトの着用は重要な安全策の一つとして強く推奨されていることを念頭におくことが大切です。

妊婦や病気、ケガなどによって着用が好ましくない場合

妊娠中や病気、ケガをしている場合はシートベルトの着用が免除されます。

特に妊娠中は、破水や陣痛、腹痛時などの緊急性が認められる場合に限り、シートベルト着用義務が免除されます。

単に妊婦だからといった理由でシートベルトを付けずにいると着用義務違反になる可能性があるだけでなく、母子共に十分な安全を確保することができなくなり危険が伴います。

緊急時以外は、マタニティシートベルトなどの補助具を活用し、対応するようにしてください。

その他、障がいや病気、ケガなどにより緊急性が高いケースや、医師からシートベルトの常時着用が適切でないと診断された場合も免除の対象となりますが、可能な限り着用するようにしましょう。

参考:道路交通法施行令第二十六条の三の二(座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除)|e-GOV 法令検索

肥満や座高の高さなどによって着用が難しい場合

肥満や座高の高さが原因で適切にシートベルトが着用できない場合も、シートベルト着用義務が免除の対象となります。

これは、肥満や座高が極端に高かったり低かったりした場合、シートベルトを物理的に装着するのが難しく、シートベルト着用を義務とすると運転に支障がでるからだと考えられます。

仕事や業務などの都合で着用が難しい場合

消防士が消防車両を運転するときや警官などが職務中にパトカーなどを運転する際、また、宅配やゴミ収集などで頻繁に車を乗り降りするときや、選挙候補者または選挙運動に従事する人が選挙カーを運転するときに限っても、シートベルトの着用が免除されます。

その他、やむを得ない理由で着用が免除される対象についても道路交通法により8つの要件が定められているため、ここまで紹介したものと合わせて要約してお伝えします。

  • 妊娠中や病気・怪我・障害により着用が適さない者が運転、乗車するとき
  • 著しく座高が高くまたは低く、著しく肥満しているためにシートベルトを装着できない者が運転・乗車するとき
  • 自動車を後退させるとき
  • 消防士等が消防用車両を運転するとき
  • 警察官等の公務員が職務のために自動車を運転するとき
  • 宅配業務、ごみ収集などで頻繁に乗降する区間で業務するとき
  • 要人警護などで警察用自動車に護衛、または誘導されているとき
  • 公職選挙法の適用を受ける選挙における候補者または選挙運動に従事する者が選挙カーを運転するとき

この他にも、応急救護のため緊急搬送する必要がある幼児を搬送のため乗車させるときなども着用除外の対象です。

しかし、着用義務がないとは言え、シートベルトは自動車に乗っている人の命を守る大切な保安装置です。

着用義務に該当しないケースでも可能な限り着用を心がけ、除外条件に従って着用しない乗員がいる場合は、速度を抑えて細心の注意を払い運転するようにしましょう。

参考:道路交通法施行令第二十六条の三の二(座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除)
参考:座席ベルトの装着義務の免除に係る業務を定める規則|e-GOV 法令検索

シートベルトの着用義務に違反したときの罰則は?

シートベルトの着用義務を怠り検挙された場合、座席ベルト装着義務違反として違反点数が加算される可能性があります。

運転席・助手席でシートベルトを着用していなかった場合は、一般道路や高速道路に関係なく違反点数が1点加算されます。

一方、後部座席でシートベルトを着用していなかった場合は高速道路で1点加算されますが、一般道路では口頭注意のみで違反点数は加算されません。

また、どちらのケースでも違反点数の加算のみで、反則金・罰金はありません。

高速道路以外の走行時に「後部座席ならシートベルト非着用でも違反点数はつかないから大丈夫」などと慢心せず、本来何のためにシートベルトを付けるべきなのかを考えましょう。

安全のためにも、やむを得ない場合を除き、シートベルトは必ず着用することが大切です。

運転席・助手席の場合

高速道路一般道路
違反点数1点1点
罰金・反則金なしなし

後部座席の場合

高速道路一般道路
違反点数1点なし(口頭注意)
罰金・反則金なしなし

参考:交通違反の点数一覧表|警視庁

まとめ|シートベルトの着用義務は後部座席を含む全席が対象

本記事では、シートベルト着用義務について、2008年の法律改正による全席対象化や違反時の罰則、着用が免除されるケースなどを中心に解説してきました。

運転席・助手席でのシートベルト着用は浸透しているものの、後部座席においては未だ着用率が低い傾向にあります。

運転している自分だけでなく同乗者全員の命を守るためにも、後部座席を含む全席でシートベルトは必ず着用するようにしましょう。

最後になりますが、JAFが提供している「JAF交通安全トレーニング」では、JAFの長年にわたるロードサービスを支えてきた交通安全ノウハウを徹底的に学ぶことができます。

後部座席でシートベルト非着用のまま事故にあうとどうなるのか、適切なシートベルト着用方法を知ることができるなど、この記事で解説した以上の交通安全知識が詰まったe-ラーニング教材として、数多くの企業から好評のお声を頂いています。

社用車を運転する従業員の命はもちろん、周囲のドライバーや歩行者の安全を守るためにも、「JAF交通安全トレーニング」を通して日々の運転を再点検し、交通ルールのアップデートを目指してみてください。

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