営業活動や運搬作業など、業務で車を使っている企業も多いでしょう。
一定台数以上の自動車を使用している事業者は道路交通法の定めにより「安全運転管理者」を選任しなければなりません。
もし選任を怠った場合は厳しい罰則もあり、決して「知らなかった」では済まされない法律です。
この記事では、安全運転管理者の仕事内容や届出方法について解説します。
これから安全運転管理者を選任する企業の方は、参考にしてください。
スマホやタブレットでの受講も可能
目次
安全運転管理者制度とは?
「安全運転管理者制度」は、企業が保有する車両を適切に管理・監督することで事故発生を防止し、従業員や一般の人々の安全を確保するために設けられた制度です。
一定台数以上の自動車を使用する事業者に対し、安全運転の責任を負う指導者・管理者である「安全運転管理者」の選任を義務付けています。
かつて白ナンバー自動車(自社の荷物を自家用車で運ぶ車)の交通事故が多発し、社会問題となったことから、昭和40年6月に「安全運転管理者制度」が開始されました。
最近では2021年6月に千葉県八街市で下校中の児童に飲酒運転のトラックが突っ込み、5人が死傷した痛ましい交通事故が発生。
ドライバーの雇用主である事業者が、安全運転管理者を選任していなかったことも問題になりました。
この八街市の事故を受け内閣府が交通安全のための緊急対策を指示し、2021年の道路交通法の改正では「アルコール検知器を用いた運転者の酒気帯び有無確認」が義務として追加されました。
更に、安全運転管理者を選任しなかったり、届けを出さなかったりした場合の罰金が引き上げられるなど、厳格傾向にあります。
安全運転管理者を選任すべき理由
一定条件を満たす企業において、安全運転管理者の選任は義務ですが、企業にとって重要な理由があります。
安全運転管理者は交通事故や違反行為を未然に防止し、人命や安全を守るとともに企業の信頼性を守る役目があるからです。
安全運転管理者を選任すべき理由について、詳しく解説します。
法的義務の遵守
自動車による交通事故を防止するため、安全運転に関する法令や規則は厳格化しています。
安全運転管理者制度も、その取り組みのひとつです。
道路交通法第七十四条の三に基づき、一定台数以上の自動車を使用する事業所には、安全運転管理者の選任が義務付けられました。
対象となる事業所が選任を怠った場合、罰則が適用されることもあるため、確実に法令遵守することが求められます。
法的義務を遵守することは、企業の社会的責任を果たす上で非常に重要です。
そのため、企業は確実に法令を遵守し、適切な人材を安全運転管理者として選任する必要があります。
また、法令遵守は単に罰則を避けるためだけではありません。
法令を遵守し、積極的に安全対策に取り組む企業は、社会からの信頼を得ることができ、長期的には企業価値の向上にもつながります。
安全運転管理者の選任は、これらの法的義務を遵守し、企業としての社会的責任を果たすために欠かせません。
事故防止と安全性向上
安全運転管理者は、事業所における安全運転を確保する責任者として、人命を守るために重要な役割を担っています。
安全運転管理者が運転状況の監視や安全対策の徹底、ドライバーへの教育を実施し、事故防止や交通安全意識の醸成に取り組むことが重要です。
企業のイメージ向上
交通事故や違反行為は、人命や安全を脅かすだけでなく、企業のイメージを大きく損なう可能性があります。
特に人命に関わる重大な事故が発生した場合、企業に対する風評被害は甚大です。
安全運転管理者が業務に取り組み、交通事故やトラブルを減少させることは、企業の信頼性向上にもつながります。
また、安全運転への取り組みを積極的にアピールすることで、企業イメージの向上にも有効です。
安全運転への取り組みにより、企業は安全を重視する責任ある企業としてのイメージを確立しやすくなるでしょう。
ポジティブなイメージは、顧客や取引先との信頼関係構築、優秀な人材の採用や定着にもプラスの影響を与えます。
安全運転管理者の業務
安全運転管理者は、どのようなことをしなければならないのでしょうか?
安全運転管理者の業務は「道路交通法施行規則」で定められています。
ここでは、法律原文とともにわかりやすく説明しますね。
ドライバーの状況把握
一 自動車の運転に関する運転者の適性、技能及び知識並びに法及び法に基づく命令の規定並びに法の規定に基づく処分の運転者による遵守の状況を把握するための措置を講ずること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
安全運転管理者は、ドライバーの適性、技能、法令遵守の状況等を把握しなければなりません。
安全運転のための運行計画の作成
二 法第二十二条の二第一項に規定する最高速度違反行為、法第五十八条の三第一項に規定する過積載をして自動車を運転する行為、法第六十六条の二第一項に規定する過労運転及び法第七十五条第一項第七号に掲げる行為の防止その他安全な運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成すること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
安全運転管理者は走行距離、速度、積載量、運転時間などを考慮しながら安全運転を遂行するための計画を策定し、従業員や関係者に周知徹底する責任があります。
長距離、夜間運転時の交代要員の配置
三 運転者が長距離の運転又は夜間の運転に従事する場合であつて、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置すること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
従業員が疲労や健康状態によって安全運転が難しい場合は、交代要員を配置しなければなりません。
長距離運転や夜間運転を想定しており、疲労により安全運転できない可能性がある場合は交代要員を配置してください。
異常気象時等の安全確保の措置
四 異常な気象、天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示その他安全な運転の確保を図るための措置を講ずること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
異常気象や災害などによって安全運転が難しい可能性がある場合は、ドライバーに指示を出し、安全確保の措置を取る必要があります。
点呼等によるドライバーの状態確認
五 運転しようとする運転者に対して点呼を行う等により、道路運送車両法第四十七条の二第二項の規定により当該運転者が行わなければならないこととされている自動車の点検の実施及び過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
運転開始前に自動車の点検と点呼をおこない、安全運転できる状態かどうか目視で確認します。
長距離運転や夜間運転を想定しており、疲労により安全運転できない可能性がある場合は交代要員を配置してください。
ドライバーの酒気帯び有無の確認
六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認を行うこと。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
運転前と運転後、目視でドライバーの顔色・受け答え・呼気の臭い等を確認してください。
また、必ずアルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認してください。
酒気帯び確認の記録と保存
七 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
酒気帯び確認の結果などを記録し、1年間保存します。
アルコール検知器は、常にメンテナンスして有効な状態を保持しなければなりません。
運行日誌の備え付けと記録
八 運転者名、運転の開始及び終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
ドライバーや車両の運行記録、点呼の結果などは1年間保存しなければなりません。
また、必要に応じて報告や監査をおこないます。
ドライバーに対する安全運転指導
九 運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと(法第七十四条の三第二項に規定する交通安全教育を行うことを除く。)。
引用元:道路交通法施行規則第二章の四
ドライバーに対し、「交通安全教育指針」に基づく教育など、定期的、継続的なトレーニングや教育を提供し、交通法規や安全運転の知識向上を図ります。
安全運転管理者等法定講習の受講が義務付けられている
安全運転管理者には「安全運転管理者等法定講習」の受講も義務付けられています。
講習は毎年度1回、安全運転管理者は6時間以上、副安全運転管理者は4時間以上受講します。
最近ではオンライン型の受講が可能なところもあります。
安全運転管理者等法定講習で学ぶこと
安全運転管理者等法定講習では、安全運転管理者として必要な知識を学びます。
具体的には、次のことを学びます。
- 自動車と道路交通の安全運転管理の方法
- 安全運転のための知識
- ドライバーの交通安全教育に必要な知識
- 道路交通の現状と交通事故の実態
- 交通事故、賠償責任の事例
安全運転管理者等法定講習には手数料が必要
安全運転管理者等法定講習は、受講にあたり手数料が発生します。
手数料は、安全運転管理者4,500円(非課税)、副安全運転管理者3,000円(非課税)。
大抵は、事前に手数料を納付してから受講する必要があり、各都道府県が発行している収入証紙を購入して納付するケースが多いです。
開催日や納付方法は都道府県によって異なりますので、会社があるエリアを所轄する警察署のホームページ等で確認してください。
安全運転管理者等法定講習の注意点
講習は、安全運転管理者および副安全運転管理者が必ず参加しなければならない講習です。
「仕事が忙しいので、他の人に代理出席してもらう」「次の用事があるので途中で抜ける」といったことは認められないので注意してください。
事前に管理者としての届出が完了していることが前提なので、当日になってバタバタ届出を提出し、講習にも参加するといったこともできません。
また、当日は管理者証、ハガキの通知書などの持参を求められる場合があります。
事前によく開催スケジュールや持ち物を確認して調整してください。
スケジュールや持ち物は都道府県によって異なるため、各都道府県警察のWebサイトを確認しましょう。
安全運転管理者の選任基準は?
安全運転管理者を選任する必要がある事業所とは、具体的にどのようなケースなのでしょうか。
安全運転管理者の選任基準を確認しましょう。
安全運転管理者の選任基準
以下の条件で自動車を利用している場合は、安全運転管理者の選任が必要です。
- 乗車定員が11人以上の自動車 1台以上
- その他の自動車 5台以上(自動二輪車は1台を0.5台として計算)
安全運転管理者の必要人数
安全運転管理者は、自動車を一定台数以上使用している事業所ごとに1人選任しなければなりません。
また、一定台数以上になると、副安全運転管理者を別に選任する必要があります。
事業所の規模や業務内容によっては、副安全運転管理者を複数名選任することが望ましい場合もあります。
補佐役の副安全運転管理者の選任基準
以下のケースに合致する場合、「安全運転管理者」の業務を補助する「副安全運転管理者」の選任も必要です。
- 自動車の台数が20台以上40台未満の場合…副安全運転管理者を1人選任する
- 自動車の台数が40台以上の場合…20台を増すごとに副安全運転管理者を追加で1人選任する
副安全管理責任者の仕事内容は、安全運転管理者の補助です。
副安全運転管理者の選任は、単なるサポート業務だけでなく、次に安全運転管理者となる後継者を育成する意味合いもあるので、安全運転管理者と同様、安全運転の運用実現に尽力しなければなりません。
安全運転管理者の選任条件は?
安全運転管理者は、誰でもなれるというわけではありません。
安全運転管理者になれる人には、条件があります。
安全運転管理者の選任条件を確認しましょう。
安全運転管理者の要件
安全運転管理者の要件は以下のとおりです。
- 20歳以上 (副安全運転管理者が置かれる場合は30歳以上)
- 自動車の運転の管理に関し2年以上の 実務の経験を有する者等
副安全運転管理者の要件
副安全運転管理者の要件は以下のとおりです。
- 20歳以上
- 自動車の運転の管理に関し1年以上の実務の経験を有する者等
欠格要件
以下のケースに該当する人は、安全運転管理者もしくは副安全管理者になることができません。
- 過去2年以内に都道府県公安委員会による安全運転管理者等の解任命令を受けた者
- 次の違反行為をして2年経過していない者
(酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、妨害運転、無免許運転、救護義務違反、飲酒運転に関し車両等を提供する行為、 酒類を提供する行為及び要求・依頼して同乗する行為、無免許運転に関し自動車等を提供する行為及び要求・依頼して同乗する行為、 自動車の使用制限命令違反) - 次の違反を下命・容認してから2年経過していない者
(酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許運転、大型自動車等の無資格運転、最高速度違反、積載制限違反運転、放置駐車違反)
前提として、普段から安全運転を励行している人だけが管理者になれるということです。
安全運転管理者の届出方法
安全運転管理者を選任したら、選任した日から15日以内に都道府県公安委員会に届け出なければなりません。
申請書は、事業所を管轄している警察署の交通課窓口で受理してもらえます。
申請書の書式を警察署のホームページで広報しているケースが多いので、まずは事業所がある都道府県の警察署ホームページを確認してみましょう。
なお、令和4年1月4日より警察行政手続サイトからオンライン申請も可能となりました。
届出書のほか、以下の書類の提出が求められるケースが多いため確認してください。
- 運転の管理に関する経歴証明書
- 運転記録証明書(2年以上のもの)
- 運転免許証や住民票などの写し
都道府県によっては上記に加えて履歴書が必要なところもあるので、事前に必ず確認しておきましょう。(参考:愛知県警察)
なお、安全運転管理者の変更や解任においても届出が必要です。
安全運転管理者を選任しないとどうなる?
業務多忙や情報不足で安全運転管理者を選任するのを怠ってしまったり、届け出の提出を忘れてしまったりした場合、企業には罰則やリスクが発生します。
安全運転管理者の選任や届出をしなかった場合に起こるリスクや罰則を解説します。
リスク
安全運転管理者を選任しないことは、法令違反となるだけでなく、企業にとって深刻なリスクを伴います。
安全運転管理者を選任していないことが発覚すれば、企業や組織に対する批判や風評被害が拡大し、社会的信用を失墜する可能性があります。
顧客や取引先との信頼関係が損なわれ、事業活動に大きな打撃を与えるかもしれません。
また、雇用体制にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
従業員は社員や業務上の安全を軽視していると受け取り、優秀な人材が流出するかもしれません。
罰則
安全運転管理者の選任が必要であるにもかかわらず事業者が選任しない場合は、選任義務違反となり、罰金が発生します。
2022年10月の道路交通法改正により、安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則が厳格化し、5万円以下の罰金から50万円以下の罰金へ引き上げられています。(令和4年10月1日施行)
選任基準にある事業者は、必ず届け出をおこなってください。
(参考:e-Gov 道路交通法 罰則)
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安全運転管理者について知っておきたいこと
安全運転管理者について、場面別に知っておきたいことをまとめました。
安全運転管理者を交代する場合
安全運転管理者を他の人へ交代する場合、15日以内に管轄の警察署へ変更届を提出する必要があります。
届出内容に変更がある場合
以下のような届出内容に変更があった場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。
- 事業者の名称
- 事業者の住所
- 自動車台数
- ドライバーの人数
事業所が移転する場合、変更届は所在地欄を上下にわけ、新旧の所在地を記載するなど移転したことがわかるように記載しましょう。(参考:警視庁)
変更届の提出先は、事業所の所在地を管轄する警察署の交通課です。
変更届の様式は、警察庁のホームページからダウンロードし、オンラインで提出できます。
異なる管轄警察署の管轄に移転する場合は、移転先の管轄警察署へ届出をおこなう必要があるので注意しましょう。
(参考:警察庁「安全運転管理者等の変更届」)
リース車やマイカーを業務利用している場合
自動車の名義に関係なく、リース車やマイカーを業務利用している場合も、台数の算出に含める必要があります。
安全運転管理等の選任義務対象である「自動車の使用者」とは、自動車を使用する権限を有し、かつ自動車の運行を総括的に支配する人を指します。
したがって、リース車やマイカーを含めた台数が、選任基準を満たしている場合は安全運転管理者を選任しなければなりません。
マイカーを通勤のみに利用している場合
マイカーで通勤しており、マイカーを業務利用していない場合は、安全運転管理者の選任に関わる台数にマイカーは含まれません。
同じ市内に拠点が2ヶ所以上ある場合
同じ市内に拠点が2ヶ所以上ある場合、それぞれの拠点で自動車の台数を算出します。
複数の拠点で業務利用している自動車を合計しても5台に満たない場合、安全運転管理者を選任する必要はありません。
同じビルに親会社と子会社の営業所が入居している場合
同じビルに親会社と子会社の営業所が入居しており、それぞれが業務で自動車を使用している場合、それぞれの営業所で安全運転管理者を選任する必要があります。
安全運転管理者が複数の営業所を兼任することはできません。
会社が移転することになった場合
会社が移転する場合、移転先の地域を管轄する警察署に変更届を提出してください。
会社の名称が変更になった場合も同様です。
なお、解任届の提出は不要です。
運行管理者を配置している場合
安全運転管理者と同じく、運行管理者は従業員の安全運転を確保する業務を遂行します。
両者は管理対象となる自動車の使用用途が異なります。
運行管理者の管理対象となるのは、緑ナンバーの自動車です。
トラックやバス、タクシーなど、運ぶ行為で利益が発生する事業用自動車を指します。
一方で安全運転管理者の管理対象となるのは、白ナンバーつまり、営業や自社商品の運送などに使用する自家用自動車になります。
運行管理者を配置している事業所においては、白ナンバーの自動車を使用していても、運行管理者が管理できるため安全運転管理者を選任する必要はありません。(参考:警視庁)
道路交通法の改正による安全運転管理者の業務の変化
道路交通法および道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者の業務内容は大きく変化しました。
改正を踏まえ、安全運転管理者は積極的に業務を遂行し、事業所の安全運転体制を強化することが求められています。
安全運転管理者の業務が、具体的にどのように変化したのかを解説します。
アルコールチェックの義務化が開始
2022年4月1日より道路交通法施行規則が改正され、安全運転管理者に対して、ドライバーに対するアルコールチェックの実施と記録・保存が義務付けられました。
既述のとおり、2021年6月に千葉県八街市で発生した、白ナンバーのトラックによる飲酒運転事故を受け、白ナンバーの自動車における飲酒運転防止対策を強化するためです。
安全運転管理者は、ドライバーに運転前後に目視またはアルコール検知器を用いたアルコールチェックを実施し、その結果を記録し1年間保存することが義務化されました。
安全運転管理者は業務を円滑に遂行するために、アルコール検知器の導入やチェック体制の整備などをおこなう必要があります。
違反行為に対する罰則の厳格化
安全運転管理者の選任義務や解任命令に違反した場合の罰金が引き上げられました。
アルコールチェック義務化のきっかけとなった白ナンバー車による事故が起きたときは、ドライバーのアルコールチェックが義務付けられていなかったからです。
安全運転管理者の選任義務違反や解任命令に従わないなどの違反行為に対して、罰則が厳格化されました。
違反の内容 | 変更前の罰金 | 変更後の罰金 |
---|---|---|
選任義務違反 (参考:道路交通法第七十四条の三第三項) | 5万円以下 | 50万円以下 |
解任命令違反 (参考:道路交通法第七十四条の三第六項) | 5万円以下 | 50万円以下 |
是正措置命令違反 (参考:道路交通法第七十四条の三第七項、道路交通法第七十四条の三第八項) | – | 30万円以下 |
アルコールチェックの義務化と違反行為に対する罰則の厳格化は、企業とって大きな負担かもしれません。
しかし、安全には変えられません。
安全運転管理者は、改正内容を理解し、積極的に業務に取り組むことが求められています。
安全運転を徹底するために研修を実施しよう
従業員による事故や危険運転によって、企業のイメージダウンや社会的信用の失墜につながってしまうこともあります。
社用車を持つ企業は事故が起きてからの対策だけではなく、事故が起きないような対策を講じなければなりません。
その対策のひとつとして、従業員に対して安全運転に関する研修を実施することが挙げられます。
JAF交通安全トレーニングは、「交通安全のJAF」が全面協力して作り上げた、実践的な安全運転が学べるeラーニングです。
日頃からの継続的な交通安全教材の提供と管理で、従業員の安全運転指導を充実させましょう。
PCはもちろん、スマートフォンやタブレットでも受講可能で、受講状況をしっかり確認できる管理者機能付きです。
JAF交通安全トレーニングに関心を持ってくださった企業様は、お気軽にお問い合わせください。
スマホやタブレットでの受講も可能
まとめ:安全運転管理制度を正しく理解して運用徹底を
安全運転管理制度の厳格化の背景には、交通事故が絶えない現実があります。
従業員から理解が得られず、安全確認が形骸化してしまっているケースもあるようですが、たとえば業務中の飲酒運転などは、安全運転管理の徹底によって防ぐことができるものです。
企業の社会的責任を果たすためにも、対象の事業者は安全運転管理者を必ず選任し、日頃から事故防止のための安全管理を徹底しましょう。
スマホやタブレットでの受講も可能