社用車における稼働率とは?メリットや適正化の方法を解説

社用車は保有しているだけでもコストが発生し、台数によっては大きな負担です。

そのため、もし業務に支障が出ないのであれば、保有台数を減らして負担を減らしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

企業で保有している車両の台数が適切なのかどうかを判断するためには、車両の稼働率を計算するのが効果的です。

本記事では、社用車における稼働率の計算方法や目安、保有する車両の適正化をおこなうための手順などについて解説します。

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社用車における稼働率とは

社用車における稼働率とは、企業が保有する車両がどの程度稼働しているのかを示す指標のことです。

稼働率によって、車両がどの程度使われているかを計算し、適正化を進めることでより効率的な社用車の運用や、無駄な車両の削減が可能となります。

社用車の維持・運用には以下のようなコストが必要です。

  • 車両本体代
  • 駐車場代
  • ガソリン代
  • 車検代
  • メンテナンス代

必要のない車両の保有は企業にとって少なくないコストが発生します。

無駄なコストを削減するためにも、稼働率を基にした社用車の運用適正化は企業にとって重要な取り組みの一つといえるでしょう。

社用車における稼働率の計算方法

社用車の稼働率は、以下の計算で算出することが可能です。

社用車の実働時間÷期間中の総業務時間×100=稼働率(%)

例えば、企業の1日あたりの業務時間が8時間で、社用車を使用した時間が1時間であった場合における稼働率は12.5%になります。

1時間(車両の使用時間)÷8時間(業務時間)×100=12.5(%)

基本的には稼働率が高いほど、無駄なく車両を利用できているといえますが、数値が高ければ問題ないという訳でもありません。

稼働率が高すぎる場合は、車両の数が足りず業務が滞っている可能性が考えられます。

また、無駄なルート走行などにより、意味もなく稼働率が上がっている可能性もあります。

稼働率を適正化するためには、数値の把握だけでなく営業成績などを参考に、どのように車両が利用されているかを精査することも重要です。

社用車の稼働率を計算することで得られるメリット

社用車の稼働率を計算することで得られるメリットにはさまざまなものがあります。社用車の運用に課題のある方はぜひ参考にしてください。

社用車の利用実態を把握できる

稼働率を計算することで、社用車の利用実態を詳細に把握できるようになります。

利用実態が把握できれば、現状に対する保有車両が適正かどうかや、社用車が効率的に運用されているかどうかが明確になり、適正化に向けて具体的な対策を取ることが可能です。

稼働データを取得する主な方法には以下があります。

  • ドライバーからの運転日報
  • デジタルタコグラフの利用
  • 車両管理システムの利用

それぞれの方法には、メリット・デメリットがありますので、自社の状況にあわせた方法を選ぶと良いでしょう。

社用車の削減につながる

社用車の削減につなげられる点も、稼働率を計算するメリットの一つです。

稼働率が低かった場合、業務量に対して社用車が多すぎることが考えられます。

その結果をふまえ、社用車の使い方を見直すことで社用車の削減につなげられるでしょう。

社用車を1台維持するためには、車種にもよりますが年間で約30万~60万円のコストが発生するといわれており、企業にとっては少なくない負担となります。

社用車の台数を適正化し、無駄なコストを減らせる点は稼働率を計算する大きなメリットの一つといえるでしょう。

生産性の向上につながる

生産性の向上につなげられる点も稼働率を計算するメリットです。

稼働率が高いほど、社用車が利用されているといえますが「社用車が利用されている=企業の運営に貢献している」という訳ではありません。

割り出した稼働率を参考に、社用車がどのように利用されているのか、無駄がないのかを検討し、効率的な運用を検討することで無駄なく社用車を活用できるようになります。

社用車を効率的に利用できるようになれば、従業員がその他の業務をおこなえる時間的余裕が生まれるため、結果として生産性の向上につながるでしょう。

顧客満足度の向上につながる

稼働率の計算は顧客満足度の向上にもつながります。

稼働率を基に業務を見直すことで、企業全体に時間的な余裕が生まれます。

その結果、余裕を持った接客対応が可能となったり、突発的な業務にも迅速に対応ができたりするため、結果として顧客満足度の向上につながるでしょう。

社用車における稼働率の目安

稼働率の適正値は、配送・運輸業など車両の使用が多い業種か、そうでない業種かで大きく異なります。

以下に「車両の使用が多い業種」「車両の使用が少ない業種」それぞれの稼働率の目安について解説します。

配送・運輸業

配送業や運輸業など車両の使用が多い企業における、適正な稼働率の目安は70%前後です。

稼働率が70%を大きく超えている場合、業務量に対して保有台数が少ない可能性があります。

業務量に対して社用車の数が足りていない場合、業務がスムーズにおこなえていないことによる機会損失が発生していることも考えられます。

また、適切なメンテナンスがおこなえていない可能性があり、それにより社用車の故障や事故につながることも懸念され、非常に危険です。

稼働率が高すぎる企業は、従業員の安全や機会損失の防止のためにも、社用車の導入や配送ルート・荷物の積み方などの見直しをおこなうのがおすすめです。

配送・運輸業以外

社用車の使用が少ない企業の場合、業務内容によって適正値が異なるため、それぞれに数値を割り出す必要があります。

営業やサービス業などの業種は、社用車の稼働時間が直接売上につながるわけではなく、稼働率を上げようとして無理に社用車を利用すると、かえって売上が下がることも考えられます。

そのため、算出された稼働率だけでなく実際の現場の状況も参考にして、適正化の方法を検討しましょう。

社用車の稼働率を適正化する手順

社用車の稼働率を適正化するための手順を解説します。

社用車の稼働状況を把握し稼働率を計算する

社用車の稼働を適正にする最初の手順は、稼働率の計算と具体的な社用車の利用状況のデータを合わせて実態を把握することです。

稼働率は、社用車がどれだけ使われているかを示す数値であり、車両が効率的に使われているかまでは見えないため、実態を把握するためには利用状況のデータも集める必要があります。

利用状況を把握する際に集めるべきデータの一例は以下の通りです。

  • 社用車の利用開始から終了までの時間
  • 目的地までに要した時間
  • 走行に使ったルート
  • 接客・待機などで車を停車していた時間
  • 社用車を利用したドライバー

以上のようなデータを集めておくことで、より具体的に実態が把握できるため、目標の設定や対策に役立ちます。

稼働率やデータを基に分析する

稼働率や利用実態を基に、社用車の使用傾向を分析し現在抱えている課題の見える化をおこないましょう。

一見、数値上の稼働率に問題がなかったとしても、利用方法に無駄が多いケースも考えられます。

算出した稼働率や集めたデータを基にさまざまな視点で分析をおこない、本当に無駄なく社用車が運用されているかを確認し、課題を抽出することが重要です。

稼働率を適正にするための具体的な対策を検討する

最後は、抽出した課題に対する具体的な対策を検討します。

具体的には以下のような対策が考えられます。

  • 実態に合わせた保有台数の調整
  • 利用ルートの見直し
  • カーシェアリングの利用

対策を実行する際は、事前にシミュレーションをおこない、本当に問題なく業務が進むをしっかり検討した上でおこないましょう。

また、対策の実施に関しても定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて修正・変更をおこなうことも重要です。

稼働率を適正化する具体的な方法

社用車の稼働率を適正化する具体的には「車両管理システムの利用」「営業・配送ルートの見直し」などが挙げられます。

それぞれの方法について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

車両管理システムの利用

車両管理システムを導入することにより、効率的に稼働率の適正化を進められるようになります。

車両管理システムとは、企業で社用車を管理する上で、必要となるさまざまな機能が搭載されているツールです。

具体的には以下のような機能が搭載されています。

機能概要
車両管理機能車両の利用状況や使用予約などをおこなえる機能
書類管理機能運転日報・点検記録・アルコールチェック記録簿などの書類を記録・管理する機能
免許証などの期限管理機能ドライバーの免許証や社用車の車検などの有効期限を管理し更新漏れを防ぐ機能
アルコールチェック機能アルコールチェックの測定結果をシステム上で記録・管理する機能
位置情報管理機能各車両の位置情報や走行ルートなどをリアルタイムで取得し管理する機能
稼働状況集計機能保有する社用車の稼働状況を集計・分析する機能

以上のように、車両管理システムの導入は、より正確なデータを集められるようになるだけでなく、管理者・ドライバー双方の業務負担を削減することにもつながります。

特に、運送・配送業など車両を多く取り扱う企業は、業務効率を大きく改善できるため、車両管理システムの導入はおすすめです。

営業・配送ルートの見直し

営業・配送ルートの見直しも稼働の適正化に効果的です。

具体的には、以下のようなメリットが得られます。

  • 業務生産性の向上
  • ガソリン代をはじめとしたランニングコストの減少
  • ドライバーの負担軽減

見直しをする際は、車両管理システムによるルートチェックや、高い成果を出す従業員が利用するルートの分析などをおこなうと良いでしょう。

まとめ:稼働率を適正にして無駄を減らそう

社用車における稼働率とは、企業が保有する車両がどの程度稼働しているのかを示す指標のことです。

稼働率が低い場合は保有する車両が多すぎることが考えられ、反対に稼働率が高い場合は業務量に対して保有台数が少ない可能性があります。

稼働率は計算すれば終わりという訳ではありません。

算出した稼働率を基に、企業が社用車において抱える課題を抽出し、適正化に向けて対策を検討・実施していくことが重要です。

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