スマホをドライブレコーダーとして代用できる?メリットや注意点を解説

ドライブレコーダーは、事故やトラブル時に役立つ非常に重要な装備です。

しかし、実際に活躍する機会はあまりないことから、お金をかけてまで設置するのに抵抗を感じている方もいるのではないでしょうか。

そのような方には、無料でも使えるスマホ用のドライブレコーダーアプリの利用がおすすめです。

本記事では、スマホ用ドライブレコーダーのメリットや主な機能、使用時の注意点などについて解説します。

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ドライブレコーダーの役割

ドライブレコーダーは、事故やあおり運転など、運転にまつわるさまざまなトラブルから自身を守る役割を持ちます。

ここからは、ドライブレコーダーが持つ具体的な役割について詳しく解説します。

事故発生時の証拠

ドライブレコーダーは事故の状況を記録できるため、事故発生時における証拠として利用可能です。

交通事故において、責任の所在や過失割合を決定する際、当事者や目撃者の証言が一致せず、話がうまく進まないケースも少なくありません。

ドライブレコーダーがあれば、事故の瞬間だけでなく前後の状況も映像として残るため、正確な情報のもとでスムーズに調査が進みます。

また、企業においては安全運転教育にも利用することも可能です。

例えば、実際の事故発生の映像を使用して「どうすれば事故を避けられたか」の検証や、具体的な対策の指導、ヒヤリハットを確認するための教材などに利用できるでしょう。

ただし、動画を見せるだけでは効果は得られなかったり、解説や正しい行動を伝えなければ効果が半減してしまったりするので、ドライブレコーダーを安全運転教育に用いるには工数がかかってしまう点がネックです。

あおり運転への対策

ドライブレコーダーは、あおり運転対策としても役立ちます。

あおり運転は、当事者の証言や状況証拠だけでの立証は困難であり、被害者の証言だけでは加害者に責任を問えないケースも少なくありません。

ドライブレコーダーによって前後の状況を記録しておくことで、被害にあった際の状況を正確に伝えられるだけでなく、被害の大きさを検討する際の資料としても利用可能です。

ドライブレコーダーの搭載を示すステッカーなどを貼っておくことで、あおり運転をするドライバーに対しての抑止効果も期待できるでしょう。

また、どのような経緯であおり運転へと至ったかを検証・周知することで、あおり運転に対する防衛策を指導することも可能です。

駐車時の防犯

ドライブレコーダーは、駐車中の犯罪(車上荒らし・当て逃げなど)の抑止や被害にあった際の証拠としても活用可能です。

ドライブレコーダーの搭載を示すステッカーを見やすい場所に貼っておくことで、犯罪者は行動をためらう可能性が高まります。

また、実際に被害にあってしまった場合でも、映像として記録が残っていれば、加害者の特定や捜査に役立つこともあるでしょう。

スマホをドライブレコーダーとして活用するメリット

スマホをドライブレコーダーとして活用する主なメリットには「コストを抑えられる」「比較的簡単に設置できる」の2つがあります。

それぞれについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

コストを抑えられる

スマホをドライブレコーダーとして活用するメリットの一つは、コストを抑えられる点です。

スマホのドライブレコーダーアプリは、機能こそシンプルなタイプが多いですが、無料で利用できるものがほとんどです。

その一方で、ドライブレコーダー本体の相場は1万円前後となっており、高機能タイプであれば5万円を超えるものもあります。

「まずは試してみたい」「使用頻度が低い車両なので本格的なドライブレコーダーは必要ない」などのケースでは、大きなメリットと言えるでしょう。

比較的簡単に設置できる

比較的簡単に設置できる点も、スマホのドライブレコーダーのメリットです。

通常のドライブレコーダーは配線や角度調整など、設置に多少の手間がかかるだけでなく、製品によっては取り外しにくいものもあります。

その点、スマホのドライブレコーダーは比較的簡単に設置や取り外しができるため、実際に使いながら最適な位置に調整することが可能です。

車両を変えた際や、複数の社用車で気軽に付け替えができる点もメリットと言えるでしょう。

スマホ用ドライブレコーダーの主な機能

ここでは、スマホ用ドライブレコーダーに搭載されている主な機能について解説します。

地図と画像の連動機能

スマホ用ドライブレコーダーは、実際の映像と地図情報を同時に表示する機能が備わっているものもあります。

連動機能を活用すれば、ルート確認としてはもちろん、事故が発生した際に事故現場の特定が容易になるため、警察や保険会社への連絡をスムーズにおこなえるようになります。

衝撃発生時録画機能

スマホ用ドライブレコーダーには、衝撃を感知した場合に前後の状況を録画してくれる機能が搭載されています。

走行中の全工程を録画すると、バッテリーや容量が足りないケースが考えられます。

その点、衝撃発生時の録画機能を活用すれば、スマホのバッテリー消費を抑えた上で事故やトラブルなどの万が一の事態に備えることが可能です。

安全運転サポート機能

スマホ用ドライブレコーダーの中には、録画機能だけでなく、運転中の安全をサポートする機能が搭載されているものもあります。

具体的には、以下のような機能が搭載されています。

主な機能内容
前方衝突アラーム前方車両との車間距離が一定以下になるとアラームで知らせてくれる機能
車線逸脱アラーム車線を逸脱しそうになった際にアラームで知らせてくれる機能
速度超過アラーム設定速度を超過した際にアラームで知らせてくれる機能

これらの機能を活用することで、より安全な運転ができるでしょう。

安全運転診断機能

スマホ用のドライブレコーダーの中には、安全運転診断機能が搭載されているものもあります。

安全運転診断機能とは、運転終了後にドライバーの運転傾向を分析し、レポートとしてまとめてくれる機能です。

急加速や急ブレーキなどの回数や車間距離、速度などを記録・分析し「急ブレーキが多い」「車間距離が短い」といった具体的な傾向を表示してくれます。

安全運転診断機能を活用すれば、ドライバーは自身の運転の癖を客観的に把握し、効率的に運転技術の向上させられるようになります。

スマホをドライブレコーダーとして利用する手順

スマホをドライブレコーダーとして利用する手順について解説します。

1.アプリのインストール・設定

最初は、ドライブレコーダーアプリのインストールおよび設定です。

スマホ用のドライブレコーダーはさまざまタイプがあるため、自身が使いやすいものを選ぶと良いでしょう。

インストールが完了したら、アプリの案内に従い作業を進め、一通りの設定ができたら完了です。

2.スマホの設置・カメラの調整

次に、スマホの設置およびカメラの調整です。

設置用として新たにスマホホルダーを購入する場合は、利用するスマホの幅や重さが対応しているかを確認の上、購入しましょう。

設置が完了したらカメラ角度の調整です。

「前方車両のナンバープレートは写っているか」「左右の状況がどこまで見えるか」などを意識しながら最適な角度に調整しましょう。

3.利用開始

準備が完了したら、実際に利用して使用感を確かめましょう。

画面に表示されている範囲やバッテリーの減り、走行中の視線を妨げないか、などを確認して、必要に応じて設定を変えることで、より快適に利用できます。

スマホをドライブレコーダーとして設置する際に確認すべきポイント

スマホをドライブレコーダーとして設置する際に、確認すべきポイントを紹介します。

スマホのサイズ

スマホをドライブレコーダーとして使う際は、事前にサイズを確認しておきましょう。

スマホのサイズは、車内にスマホを設置するためのホルダーの購入や、設置する場所に影響するためです。

例えば、大型で重さのあるスマホをドライブレコーダーとして利用する場合、マグネットでスマホとホルダーを固定するタイプでは、走行中の振動で落下する可能性が上がります。

また、設置場所によっては視界を遮る可能性もあります。

このように、スマホのサイズによって選ぶべきホルダーや設置場所が異なってくるため、後悔しないためにも事前にスマホのサイズをしっかりと把握しておくことが重要です。

そのため、使用しているスマホをしっかり固定できる、かつ設置場所の視界を遮らないホルダーを選ぶことで、安定した撮影と安全な運転を両立できます。

ホルダーのタイプ

スマホを車両に設置するためには、専用のホルダーが必要になります。

ホルダーは、以下のようなさまざまなタイプがあるため、取り付ける位置をイメージしながら最適なものを選びましょう。

種類特徴
エアコン吹き出し口取り付け型・エアコンの吹き出し口に取り付けるタイプ
・視界を妨げにくい
・熱による誤作動を抑えられる
・車種によっては取り付けにくい
吸盤型・吸盤で取り付けるタイプ
・場所を選ばず設置可能
・吸盤に汚れが付着すると落下しやすくなる
クリップ型・クリップではさんで取り付けるタイプ
・固定する力が強く安定感がある
・取り付けられる場所が限られている

また、ホルダーにスマホを固定する方法もバネタイプやマグネットタイプなど、さまざまなものがあるため、自身のドライブシーンを考慮しながら使いやすいものを選ぶと良いでしょう。

設置場所

スマホのドライブレコーダーを設置する際は、視界を妨げない位置にすることが重要です。

通常のドライブレコーダーは、視界の妨げとならないように取り付け位置がある程度固定されています。

スマホは自分の好きな場所に取り付けられる反面、場所によっては視界が狭くなったり、死角ができてしまったりして、安全運転の妨げとなる可能性があります。

スマホでドライブレコーダーを利用する際は「運転中の視界を妨げないこと」を大前提とした上で、設置位置を考慮しましょう。

なお、右ハンドルの車両における視界が良好かどうかの判断基準は以下のとおりです。

  • 前方2m先の障害物(高さ1m、直径0.3の円柱)が見える
  • 前方2m・車両右端から0.7m右の位置にある障害物が見える
  • 前方2m・車両左端から0.9m左の位置にある障害物が見える

実際に見え方を確認して、一つでも見えないものがある場合は位置を調整してください。

※参考:道路運送車両の保安基準等の一部改正及び道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部改正について

スマホをドライブレコーダーとして利用する際の注意点

スマホ用のドライブレコーダーアプリは、気軽に使える反面、注意するべき点もあります。

ここからは、スマホをドライブレコーダーとして利用する際の注意点について解説しますので、参考にしてください。

バッテリーの消費量

スマホをドライブレコーダーとして利用する際、バッテリーの消費量には注意が必要です。

ドライブレコーダーアプリの使用中は、常にカメラやGPS機能を稼働させている状態となります。

そのため、通常よりはるかに多くの電力を使用することになるため、バッテリー対策をしておかないと、いざというときに録画ができないといった事態にもなりかねません。

このような事態を防ぐためにも、車両にあるアダプターとつなげて常に充電しておく、モバイルバッテリーを用意しておくなどの対策をしておくと良いでしょう。

高温による動作不良

ドライブレコーダーとしてスマホを利用する際は、高温による誤作動にも注意が必要です。

ドライブレコーダーアプリの使用中は、スマホが常時稼働している状態となり熱処理が追い付かず高温になりがちです。

スマホが高温の状態が続くと、バッテリーの劣化や内部部品の損傷などが発生しやすくなるため、ドライブレコーダーアプリを利用する際は、できるだけ涼しい環境で利用しましょう。

具体的には「直射日光は避ける」「夏場はエアコンが当たるように設置する」「冬場はエアコンから遠ざける」などの対策が効果的です。

長時間録画などからくるデータ不足

スマホをドライブレコーダーとして使う際は、長時間録画などからくるデータ容量不足にも注意が必要です。

ドライブレコーダーは仕様上、多くのデータ容量を使用します。

特に、常時録画する設定にしている場合、すぐにスマホの容量が埋まってしまう可能性が高く、適切に使用するためには、こまめなデータ削除や別の媒体への移行などの管理が必要です。

いざというときに必要な映像が取れていない、といった事態を防ぐためにも、スマホをドライブレコーダーと利用する際は、管理や録画方法の変更などの対策をおこないましょう。

速度誤差

スマホをドライブレコーダーとして使う際は、アプリに表示される速度と実際の速度には誤差が生じる可能性がある点に注意が必要です。

例えば、トンネル内や高層ビルが立ち並ぶ場所ではGPSの電波が届きにくくなり、正確な速度を計測できない場合があります。

また、GPSは位置情報から速度を算出するため、急な加減速の際にタイムラグが生じることも少なくありません。

以上のことから、速度を確認する際は車本体のメーターを利用しましょう。

ドライブレコーダーはアプリタイプと通常タイプどちらが良い?

ドライブレコーダーには、スマホアプリのほかにカメラや本体を購入する、いわゆる通常タイプのものがあります。

それぞれに料金や特徴が異なるため、ドライブレコーダーを購入する際は、自分に合ったタイプを選ぶことが重要です。

ここからは、アプリタイプ・通常タイプどちらを選べば良いか悩んでいる方に向け、タイプごとのおすすめな人を紹介します。

アプリタイプのドライブレコーダーがおすすめな人

  • 試しにドライブレコーダーを使ってみたい
  • 普段あまり車に乗らない
  • 初期費用を抑えたい
  • 機器の設置が苦手

アプリタイプの強みは、初期費用を抑えて手軽に使用できる点です。

そのため「まずはドライブレコーダーがどのようなものか試してみたい」「あまり車を乗るわけではないので高いお金はかけたくない」といった方はアプリタイプを利用するのが良いでしょう。

通常タイプのドライブレコーダーがおすすめな人

  • 普段からよく車を利用している
  • 前方以外の動画も記録したい
  • 停車中も録画しておきたい
  • 夜間でも鮮明な映像が欲しい

通常タイプの強みは、機能性が高く事故やトラブルに対する備えが充実している点です。

そのため「事故やトラブルにしっかりと備えたい」「夜間や停車時も記録しておきたい」といった方は、通常タイプのドライブレコーダーを利用するのが良いでしょう。

まとめ:トラブルから身を守るためにドライブレコーダーを利用しよう

スマホ用のドライブレコーダーは、機能は比較的シンプルながら無料で使えるもの多くあるため「コストを抑えてドライブレコーダーを利用したい」といった方には非常におすすめです。

万が一の事故やトラブルから自身を守るためにも、ドライブレコーダーを搭載してより安全に運転しましょう。

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