飲酒してから何時間以内の運転で飲酒運転になる?飲酒運転の防ぎ方を解説

飲酒運転は、ドライバーはもちろん同乗者やほかの道路利用者を危険にさらす危険行為であり、法令でも厳しく禁じられています

飲酒運転や酒気帯び運転を防ぐためにも、アルコールを摂取した状態での運転は避けなければなりません。

一方で、「アルコールが抜けたと言えるのは飲酒から何時間経過後なのか」「翌日自動車を運転するけれど飲酒して大丈夫か」と感じる方もいるのではないでしょうか。

最適な対策を講じるなら、飲酒運転の基準や体内のアルコールが分解される仕組みなど、さまざまな知識を知らなければなりません。

本記事では飲酒運転の定義や、飲酒運転防止のために意識すべき注意点などについて解説します。

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【基礎知識】飲酒運転とは?

ここでは、飲酒運転の基準や罰則など、基礎知識について解説します。

飲酒運転の基本を理解するためにも、必ず押さえましょう。

飲酒運転の基準

飲酒運転とは、「体内に酒気を帯びたまま運転している状態」です。

飲酒運転の基準は呼気1リットルに含まれるアルコールの濃度によって決められています。

アルコール濃度に応じ、飲酒運転は以下の3種類に分けられます。

酒気帯び運転①呼気1リットル中のアルコール濃度0.25mg以上
酒気帯び運転②呼気中アルコール濃度0.15mg以上0.25mg 未満
酒酔い運転飲酒によって正常な運転ができない状態
参照:飲酒運転の罰則等|警視庁

酒酔い運転は呼気に含まれるアルコール濃度の数値に関わりなく、飲酒によって正常な運転できない状態を指すものです。

「まっすぐ歩けない」「正常なコミュニケーションできない」など、運転に支障をきたすと判断される状態であれば、酒酔い運転に該当します。

飲酒運転の危険性

日常的に注意喚起されているように、飲酒運転は非常に危険な行為です。

たとえ少量でもアルコールは人間の脳を麻痺させるリスクがあります。

アルコールを摂取した状態だと、人間は情報処理能力・注意力・判断力が低下し、正常な運転ができなくなります。

その結果、運転ミスを犯しやすくなり、交通事故につながるわけです。

飲酒のリスクは体質に関係なく、たとえ低濃度でも運転に影響をおよぼします。

したがって、飲酒後の運転は絶対に避けなければなりません。

参照:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警視庁

飲酒運転をした際の罰則

道路交通法において、飲酒運転の罰則は以下のように定められています。

ドライバー・車両の提供者酒酔い運転:5年以下の懲役、または100万円以下の罰金
酒気帯び運転:3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
酒類の提供者・車両の同乗者酒酔い運転:3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
酒気帯び運転:2年以下の懲役、または30万円以下の罰金
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト

飲酒運転において、罰則の対象はドライバーだけでなく、同乗者や酒類・車両の提供者も含まれます。

飲酒運転は、ほかのドライバーや歩行者など多くの人命を危険にさらす行為です。

そのため、厳しい罰則が科せられます。

飲酒後の運転可能時間

「飲酒後何時間で運転ができるのか」は多くのドライバーにとって重要な疑問です。

ここではアルコールが分解される仕組みを基に、「飲酒後何時間以内で運転ができるか」について解説します。

アルコールが分解される仕組み

アルコールが分解される仕組みは以下のとおりです。

  • 胃や小腸からアルコールが吸収される
  • アルコールが血液に溶け込む
  • 肝臓に運ばれ、分解される

アルコールが分解されるスピードは個人差があり、飲酒量によってはアルコールが分解されずに体内に留まります。

分解されていないアルコールは血液に取り込まれたまま全身を巡り、脳に達します。

その結果、アルコールによって脳が麻痺し、「酔う」と呼ばれる状態になるわけです。

何時間以内だと飲酒運転?

飲酒して何時間以内に運転すると飲酒運転になるかは、酒の種類・飲酒量・体重・年齢・アルコール分解速度などによって変わります。

複数人がアルコール度数5%のビールを500ml飲んだ場合でも、アルコールが分解される時間が同じとは限りません。

体質によっては、ほかの人より分解される時間が遅い場合もあります。

当然、アルコール度数が高い酒を飲んだり、酒量が多かったりすると、比例してアルコールが体内に留まる時間が延びます。

何時間経過したら運転できる?

「飲酒後に何時間経過したら運転できるか」も、個人差があります。

先述したように、アルコール分解速度には飲酒量や酒の種類に加え、体質によっても変わるからです。

つまり、「飲酒後に何時間経過したら運転できるか」を明確にすることは困難ですが、タクシー業界やトラック業界では、飲酒後十分な余裕をもって、運転できるまでの時間を定義している企業もあるようです。

しかし、飲酒量によってはたとえ前日に飲酒した場合でも、アルコールが残るリスクがあります。

そのため、乗務の前日の飲酒は控えるようにしてください。

飲酒後何時間で運転できるか計算する方法

飲酒後何時間で運転できるかは、さまざまな条件によって決定されるため、必ずしも明確な答えはありません。

しかし、自身のアルコール分解時間を計算できれば、ある程度目安の時間を確認できます。

ここでは、アルコール分解時間を計算する方法について解説します。

純アルコール量の計算方法

アルコール分解時間を計算する上で、まずは純アルコール量を把握しなければなりません。

純アルコール量は以下の方法で計算できます。

酒の量(mL) × 度数または% / 100 × 比重 = 純アルコール量(g)

引用:e-ヘルスネット 飲酒量の単位|厚生労働省

5%のビールを1本(500mL)に含まれている純アルコール量は、以下のように計算されます。

  • 500(mL) × 0.05 × 0.8 =20(g)

この場合、500mlのビールに含まれている純アルコール量は20gです。

純アルコール量は、式さえ覚えていれば簡単に計算できますが、手軽に使える計算できるツールもあります。

無料で使えるものが多いので、ぜひ試してください。

アルコール分解時間の試算方法

純アルコール量を計算できれば、アルコール分解時間の計算が可能です。

※アルコールの分解は諸要素により変動しますので、目安として確認してください!

アルコール分解時間は以下の式で計算できます。

アルコール分解時間=純アルコール量÷1時間当たりのアルコール分解量

アルコール分解量は一般的に「体重×0.1」とされていますが、国道交通省は検知器に検出される可能性がほとんどない基準として、以下の数値を利用するよう提唱しています。

1時間当たりアルコール 4g

参照:飲酒に関する基礎教育資料|国土交通省

以上を踏まえ、アルコール度数5%のビールを500ml飲んだ際の分解時間を計算すると、答えは以下のとおりです。

  • 20÷4=5(時間)

500mlのビールを飲んだ場合、アルコールが分解されるまでの時間の目安は4時間であることがわかります。

しかし、この分解時間はあくまで目安です。

体調や年齢などの影響も加味して、計算結果より長く時間を見積もるようにしましょう。

飲酒運転を防止する際の注意点

飲酒運転を防止する上で、気を付けなければならないポイントがあります。

一般的に認識されている知識が、間違っている場合もあるので注意しましょう。

酒の種類によってアルコール量が異なる

当然ながら、酒の種類によってアルコール量は異なります。

一般的によく飲まれる酒のアルコール量は以下のとおりです。

酒の種類度数内容量アルコール量
ビール5%500ml20g
ウイスキー・ブランデー43%ダブル60ml20g
焼酎35%180ml(1合)50g
ワイン12%120ml(ワイングラス1杯)12g
日本酒15%180ml(1合)22g
出典:アルコール|厚生労働省

同じ種類の酒でも、メーカーや銘柄によって度数が変わることがあります。

特にアルコール度数が高い酒は、純アルコール量も多くなるため、十分に時間をおいてから運転するように心がけましょう。

前日の飲酒に注意する

「飲酒してから一晩寝れば問題ない」と考える人もいますが、前日の飲酒でも飲酒量によってはアルコールが体内に残るケースは珍しくありません。

例えば、アルコール度数5%

のビールを500ml缶で4本飲んだ場合、分解に要する時間は単純計算で20時間です。

つまり、一晩寝た程度では分解しきれないアルコールを摂取していることになります。

そのため、翌日に運転を控えている場合は、飲酒量には十分に注意しましょう。

アルコールを早く抜く方法はない

誤解されがちですが、アルコールを早く抜く方法はありません。

「水を多く飲む」「風呂やサウナに入る」といった方法でアルコールを抜こうとする人がいますが、これらの方法でアルコールの分解速度が早まることはありません。

排尿や汗で抜けるアルコールは微々たるものであり、水を多めに摂取したり、風呂やサウナに長く入ったりしたところで効果は期待できません。

ただし、水分の摂取はアルコールの分解による脱水症状を防ぐ効果があるので、積極的に飲むようにしましょう。

対して、風呂やサウナは発汗によって脱水症状を加速させてしまうリスクがあるので注意してください。

なお、睡眠によってアルコールを早く抜こうとする人もいますが、この方法も効果は期待できません。

睡眠中は内臓も眠ってしまうため、アルコールの分解速度が遅くなります。

そのため、睡眠時間を確保してもアルコールが早く抜けることはありません。

まとめ:飲酒後の運転は十分な時間を空けてから

アルコールは脳の機能を低下させ、安全運転に欠かせない正常な判断能力を奪うものです。

そのため、ドライバー自身や周囲の道路利用者の命を守る上でも、飲酒運転は決してしてはいけません。

アルコールは飲酒量・酒の種類だけでなく、体質や年齢などによって分解される速度が異なります。

飲酒運転を確実に防ぐには、飲酒の影響とアルコールの分解に時間を要すことを理解し、飲酒する時間や量を調整するなど、飲酒後に十分な時間を空けるようにしましょう。

正しい知識を身に付け、自分自身や周囲の安全を守るよう心がけてください。

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アルコールチェック義務化のすべて

アルコールチェックの義務化の概要をわかりやすく説明しながら、企業として対応が必要になることを解説していきます。添付してあるアルコールチェックの記録簿テンプレートをご活用ください。