2023年12月1日、道路交通法施行規則が改正されました。
これにより、安全運転管理者によるアルコールチェッカーを用いた酒気帯びの有無の確認と、1年間の記録保持、アルコールチェッカーの有効な状態での保持が義務付けられました(道路交通法施行規則 第九条の十)。
そのため、安全運転管理者の選任義務がある企業にとっては、アルコールチェッカーの使い方をしっかりと理解しておく必要があります。
本記事では、アルコールチェッカーの正しい使い方や手順、使用するタイミングを解説します。
アルコールチェッカーが反応しない場合の対応策も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
また、アルコールチェック義務化をわかりやすく解説した「5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて」の資料をご用意しました。
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目次
アルコールチェッカーとは
アルコールチェッカーとは、センサー部分に息を吹きかけるだけで体内の残留アルコール濃度が数値で示される機器です。
体内のアルコール濃度は血液中のアルコール濃度、または呼気中のアルコール濃度から求められますが、会社などの日常的な検査では、呼気中のアルコール濃度を測定するのが一般的です。
アルコールチェッカーは見た目の様子だけではわからないわずかなアルコールも検知できるため、前日の飲酒によりアルコールが残っているかどうかを確かめられます。
そのため、安全運転には欠かせないアイテムと言えるでしょう。
アルコールチェッカーの正しい使い方
アルコールチェッカーを使用する際は、測定から機器のメンテナンスまでの流れを押さえておくことが重要です。
ここでは、それぞれの手順に沿って具体的な進め方を解説します。
1. 種別ごとの用法を理解して測定する
アルコールチェッカーは、測定方法によって主に3つの種類に分類されます。
それぞれ用法が異なるため、あらかじめタイプごとの測定方法を理解しておきましょう。
- 吹きかけタイプ:機器の吹き込み口に息を吹きかける
- ストロータイプ:機器に差し込んだストローを咥えて息を吹き込む
- マウスピースタイプ:機器に専用のマウスピースを装着して息を吹き込む
吹きかけタイプは、ストローの交換やマウスピースの洗浄が不要で、手間がかからない点にメリットがあります。
しかし、周囲の空気を取り込みやすく、息を吹きかける距離次第で測定結果に違いが現れやすい傾向があります。
そのため、計測結果の精度を重視する場合は、呼気以外の影響を受けにくいストロータイプやマウスピースタイプがおすすめです。
2. 測定結果を記録する
アルコールチェッカーの測定結果は記録として残しましょう。
道路交通法施行規則の改正により、次のいずれかの条件に該当する事業所では、安全運転管理者の選任とともにアルコールチェックの1年間の記録保持が義務付けられています。
- 乗車定員が11名以上の自動車を1台以上保有している
- ①に該当しない自動車を5台以上保有している
参考:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
安全運転管理者制度の概要|警察庁
記録簿に記載する内容は次の通りです。
- 確認日時
- 確認者の氏名
- ドライバーの氏名
- ドライバーが使用した自動車の車両識別番号
- 確認方法
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他の必要事項
参考:交通安全情報|警視庁
なお、紙やデータなどの保存様式は問われません(道路交通法施行規則 第九条の十の二)。
複数の拠点が存在する企業は、業務実態に応じて事業所ごとに記録簿を作成しましょう。
3. 機器の定期的なメンテナンスをおこなう
2023年12月1日からは、安全運転管理者の業務としてアルコールチェックの記録保持に加え、アルコールチェッカーを常時有効に保持することが義務化されました(道路交通法施行規則第九条の十の第七項)。
そのため、必要に応じていつでもアルコールチェッカーが使用できるよう、定期的な機器のメンテナンスが求められます。
メンテナンス時は次の5つの点を確認すると良いでしょう。
- 機器本体に損傷がないか
- スイッチを押すことで確実に電源が入るか
- 正常呼気で機器が反応しないか
- アルコール成分を含んだ呼気で正常に機器が反応するか
- 正常呼気による再測定時に機器が反応しないか
参考:アルコール検知器協議会からのお願い|アルコール検知器協議会
また、機器によって細かいメンテナンス方法が異なる場合もあるため、付属の取扱説明書をしっかりと確認することが大切です。
メンテナンス中に何らかの異常が発生した際は、メーカーに問い合わせましょう。
なお、アルコールチェッカーの点検・メンテナンスの詳細や頻度については後述しているので、詳しい内容はそちらをご覧ください。
アルコールチェッカーの使用手順
アルコールチェッカーの使用手順は以下のとおりです。
- 運転前に安全運転管理者立ち合いの元、アルコールチェッカーを用いてアルコールチェックをおこなう
- ドライバーがアルコールチェックの結果を記録簿に記入する
- 運転する
- 運転後に安全運転管理者立ち合いの元、アルコールチェッカーを用いてアルコールチェックをおこなう
- ドライバーがアルコールチェックの結果を記録簿に記入する
- ドライバーが安全運転管理者に記録簿を提出する
- 安全運転管理者が記録簿を確認し、未記入などがある場合は修正を依頼する
- 正しく記入されていることが確認できたら、記録簿を1年間保管する
運転前後のアルコールチェックは、安全運転管理者(または副安全運転管理者、安全運転管理者の業務を補佐する者)が立ち合いの元でおこなわなくてはなりません(道路交通法施行規則第九条の十)。
アルコールチェッカーを使用するタイミング
アルコールチェックをおこなうタイミングは業務の開始前後であり、運転の直前や直後に都度実施する必要はありません。
例えば、自動車を利用する当日の業務開始前および退勤時に確認すれば事足ります。
退勤時にもアルコールチェックをおこなうのは、運転中の飲酒の有無を確認することが目的です。
また、前述のとおり、アルコールチェックは安全運転管理者が立ち合って実施することが定められています。
しかし、直行直帰や出張といった理由で、安全運転管理者が立ち会えない場合もあるでしょう。
その場合は、警察庁によって「対面による確認と同視できるような方法」が認められています。
参考:道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等について|警察庁
直行直帰などで対面確認ができない場合
従業員が直行直帰するなど、対面でのアルコールチェックが難しい場合は、ドライバーにポータブルタイプのアルコールチェッカーを携行させましょう。
そして、ドライバーが自己測定をおこなった上で、スマートフォンなどによるテレビ電話を用いて、安全運転管理者が顔色や声の調子などを確認する必要があります。
対面以外でアルコールチェックをおこなう際は、その確認方法を詳しく記録に残す必要があるため、あらかじめ確認方法を決めておくと良いでしょう。
酒気帯び確認の方法は対面が原則であるが、直行直帰の場合その他対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよく、例えば、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
① カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
② 携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法等の対面による確認と同視できるような方法が含まれる。
引用元:道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等について|警察庁
なお、直行直帰などで対面でのアルコールチェックが難しい場合の対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
安全運転管理者が対応できない場合
不在などの理由で安全運転管理者が対応できない場合は、副安全運転管理者または安全運転管理者の補助者がアルコールチェックを実施しましょう。
- 副安全運転管理者:20台以上の自動車を使用する事業所が20台ごとに1人選任しなければならない
- 安全運転管理者の補助者:安全運転管理者が適任者を選任し、その業務を補助するよう指導を受けた者
安全運転管理者が対応できない場合でも慌てず対応できるよう、チェック体制を整えておきましょう。
アルコールチェッカーを使用する際の注意点
酒気帯びの有無を正しく測定するためには、アルコールチェッカーの使用時にいくつか注意すべきポイントが存在します。
以下の点を意識して誤検知を回避しましょう。
測定前にうがいをする
口内の残留物や臭いは、アルコールチェッカーの誤検知を引き起こす要因となります。
そのため、測定前にうがいをして口内を綺麗に洗浄しましょう。
特に、臭いが残りやすいキシリトール・メントール系のガムや飴などを直前に食べていた場合は、入念にうがいをするのがおすすめです。
測定前の発酵食品やエナジードリンクの摂取を控える
キムチや味噌汁などの発酵食品、エナジードリンクやノンアルコールビールなどには、微量のアルコール成分が含まれている可能性があります。
微量であってもアルコールチェッカーが反応する場合があるため、注意が必要です。
誤検知につながるため、測定前は上述したような食品・飲料の摂取は控えましょう。
測定前に口腔ケア用品の使用や喫煙をしない
アルコールチェック時は、口腔ケア用品の使用や喫煙も避けるのが無難です。
例えば、歯磨き粉やマウスウォッシュの場合はアルコール成分が、たばこであれば一酸化炭素がアルコールチェッカーに反応する可能性があります。
測定前日でもアルコール摂取は避ける
アルコールチェッカーが誤検知するのは、前日のアルコール成分が抜けきっていない点も理由の一つです。
アルコール成分は体外へと排出されるまでにある程度の時間がかかります。
そのため、測定前日だからといって油断せず、アルコール摂取は控えるか、飲酒する場合でも極めて少量に抑えましょう。
特に日頃から晩酌を楽しんでいる方は、車を運転するスケジュールをしっかりと頭に入れておくことが大切です。
持続的にしっかりと息を吹き込む
機器に息を吹き込む量が少ない、あるいは方法に誤りがある場合も、アルコールチェッカーが正しく反応しない可能性があります。
吹きかけタイプやストロータイプなど、いずれの種類であっても、持続的にしっかりと息を吹き込みましょう。
ただし、二日酔いをごまかすために、少量の息しか吹きかけない従業員もいるかもしれません。
そのため、アルコールチェッカーの使用と同時に、ドライバーの顔色や呼気の臭いなどを目視でもチェックしましょう。
アルコールチェッカーの点検・メンテナンス方法
アルコールチェッカーは、常時有効に保持しておかなければなりません(道路交通法施行規則第九条の十の七項)。
「常時有効」とは、正しく使用できる状態のことです。
万が一、アルコールチェッカーが常時有効でないと、従業員の飲酒を見落とし、飲酒運転を引き起こすリスクがあります。
以下に紹介する点検やメンテナンスの方法・頻度を守り、いつでも正しく使えるようにしておき、飲酒運転を防ぎましょう。
持ち出し前に確認すること
運転前にアルコールチェックを実施したり、外出先にアルコールチェッカーを持って行く場合、以下の項目を確認するようにしましょう。
- 電源が入るかどうか
- 損傷がないかどうか
- ポータブル充電器を忘れていないか
持ち出し先で充電が切れないように、ポータブルタイプの充電器を忘れないようにしてください。
週1回以上確認すること
週1回以上確認すべきことは「正しい計測数値が出ているかどうか」です。
以下の方法で確認するようにしてください。
- アルコールを含んでいない人がアルコールチェッカーに息を吹きかける
- 数値が0であることを確認する
- 呼気アルコール検知器点検スプレーを口腔内に吹きかける
- アルコールが検知されていることを確認する
呼気アルコール検知器点検スプレーとは、アルコールチェッカーが正常な状態であるか確認するための点検用スプレーです。
口の中にスプレーを噴射し、アルコールチェッカーに息を吹きかけることで、アルコール成分を正常に検知するかどうか、確認できます。
使用後は、必ず水でうがいをしましょう。
メンテナンス方法
アルコールチェッカーは使用回数や耐用年数が決まっています。
そのため、使用回数や耐用年数の上限を超えたアルコールチェッカーは、センサー交換などのメンテナンスをしなければなりません。
基本的に、メンテナンスはメーカーに依頼しましょう。
センサー交換式の場合は、センサーのみを購入し、自分で交換できる場合があります。
取扱説明書などで確認しておきましょう。
ちなみに、ほとんどの機種は使用した回数や残りの使用回数が本体に表示されたり、製造元から交換時期のお知らせメールが届いたりするため、メンテナンスのタイミングを把握できます。
購入時に、
- センサー交換はできるのか
- センサーの交換時期はどうやって把握するのか
を確認しておくと、余裕を持ってメンテナンスをおこなえるでしょう。
なお、センサー交換ができないアルコールチェッカーの場合、本体ごと買い替えなければなりません。
アルコールチェッカーを保管する際の注意点
アルコールチェッカーを保管する際は、以下の場所を避けるようにしましょう。
- 芳香剤やたばこ、スプレーなどにより、強いにおいがする場所
- 直射日光が当たる場所
- 暖房器具の近く
- 湿度が高い場所
- 水がかかる恐れがある場所
- ほこりが多い場所
- 車内(温度が高くなりすぎる、または低くなりすぎて、保管温度範囲外になってしまうため)
- トイレなど、アンモニアの影響を受けやすい場所
- 子どもの手が届く場所
- 消毒液などのアルコール成分を含む製品の近くや同じ場所
このような場所に保管するとセンサーが悪影響を受け、誤検知や早期劣化につながります。
製品によってはセンサーキャップを締め、付属のチャック付きポリ袋で保管するものもあります。
取扱説明書をよく確認して、適切な場所・方法で保管するようにしましょう。
アルコールチェッカーが反応しない場合の対応策
本番環境でアルコールチェッカーを使用する前に、アルコールを摂取した状態で機器が正常に反応するか、確認しておくのが理想的です。
その際に機器が反応しない場合は何らかの異常があるため、以下のような対応を取ると良いでしょう。
1. 連続使用時は水分が乾燥するまで時間を置く
明らかに飲酒しているのにアルコールチェッカーが反応しない場合、複数人が連続で機器を使用していないか確認します。
この場合、前に使用した人の唾液がセンサーに付着し、正常な反応を妨げている可能性があります。
そのため、センサー付近の水分が乾燥するまで時間を経過させるのが効果的です。
2. 機器の使用期限を確認する
ある程度の時間が経過しても再び誤検知が起こる際は、機器の使用期限を確認します。
アルコールチェッカーは永続的に使用できるわけではなく、機器ごとに有効期間や測定回数の上限が定められています。
取扱説明書などで使用期限を確認し、有効範囲を超えている場合は別の商品に買い替えましょう。
また、一つの機器を長く使用するためにも、定期的なメンテナンスを心がけることが大切です。
3. 取扱説明書を確認するか点検キットを使用する
アルコールチェッカーが反応しない場合は、使用方法の不備や機器の故障も原因として考えられます。
使用方法に問題があるか確認する際は、取扱説明書のFAQを参考にするのがおすすめです。
それでも問題が解消しないなら、機器を再起動した上で、あらためて測定しましょう。
なお、点検キットがあれば、スムーズに機器の動作確認ができて便利です。
4. メーカーに問い合わせる
ここまでにお伝えした方法で問題解決が図れないようなら、メーカーに問い合わせましょう。
アルコールチェッカーはセンサーを搭載した精密機器です。
湿度の高い場所や水を多用する場所で機器を保管すると、センサーに水分が浸透し、故障の原因となります。
水漏れが原因でアルコールチェッカーを使用できない場合も、メーカーに相談するのがおすすめです。
指定のアルコールチェッカーはあるのか?
使用するアルコールチェッカーに条件や指定品はあるのでしょうか。
国家公安委員会によると、以下のように定められています。
呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器
引用元:国家公安委員会告示第六十三号
つまり、「音、色、数値などでアルコールが正しく測定できるものであれば、メーカーや形は問わない」と言えます。
現在はさまざまなメーカーから、多種多様なアルコールチェッカーが販売されています。
製品によって価格や精度、形状などが異なりますが、条件を満たしていればどのアルコールチェッカーを使用しても良いでしょう。
自社での運用方法を想定して、自社に合ったアルコールチェッカーを選びましょう。
アルコールチェッカーを選ぶ際のポイント
アルコールチェッカーには多種多様な製品があるため、価格以外にも複数の要素を比較することが重要です。
以下で紹介する選び方のポイントを踏まえ、自社に合う適切な製品を見つけましょう。
自社に合った形態を採用する
アルコールチェッカーの形態は、「ハンディタイプ」と「据え置きタイプ」の2種類に分かれます。
それぞれのメリットとデメリットは次の通りです。
ハンディタイプ | 据え置きタイプ | |
---|---|---|
メリット | ・小型軽量で持ち運びやすい ・価格が安い傾向にある | ・データ管理機能や長寿命など機能性に優れる製品が多い ・対面での利用が前提なので、不正がしにくい |
デメリット | ・据え置きタイプに比べて機能性が見劣りしがち ・盗難や不正のリスクが高まる | ・社外への持ち出しが困難 ・価格が高い傾向にある |
頻繁に直行直帰や出張が発生する事業所では、携帯性に優れるハンディタイプのアルコールチェッカーが向いています。
一方、事務所での車の出庫・帰庫が多い事務所では、据え置きタイプを使用するのがおすすめです。
アルコールチェックの精度を検証する
アルコールチェッカーに搭載されているセンサーには、「半導体式」と「電気化学式・燃料電池式」の2種類があり、それぞれ測定時の精度が異なります。
半導体式は、センサー表面の酸素とアルコールガスが反応し、電気抵抗値の変化によってガス濃度を測定する仕組みです。
電気化学式・燃料電池式は、アルコールガスが酸化して発生する水素イオンの移動により、反応を検知します。
このように仕組みが異なる分、センサーの特性(メリット・デメリット)にも大きな差が現れます。
半導体式 | 電気化学式・燃料電池式 | |
---|---|---|
メリット | ・価格が安い傾向にある ・反応速度の速い製品が多い | ・アルコール以外にはほぼ反応せず高精度 ・経年劣化を抑えられるため、長寿命が期待できる |
デメリット | ・アルコール以外にも反応しやすく誤検知のリスクがある ・使用可能な上限回数が少なく、経年劣化しやすい | ・価格が高い傾向にある ・測定にやや時間がかかる |
費用を抑えて十分な数のアルコールチェッカーを確保したい場合は半導体式を、多少費用をかけてでも正確性を重視したい場合は電気化学式・燃料電池式を選ぶと良いでしょう。
機器の機能性にも着目する
アルコールチェッカーの利便性を重視するなら、付帯機能にも着目しましょう。
例えば、モバイルアプリでの顔認証やクラウドへの自動データ送信ができる、AI搭載のアルコールチェッカーもあります。
その他、メール・SNSによる測定結果の共有機能や、電池の無駄遣いを抑えるオートパワーオフ機能が搭載された製品も存在します。
このような機能を厳選すれば、アルコールチェック時の業務効率化にも効果を発揮するでしょう。
測定可能な回数を確認する
測定可能な回数も、アルコールチェッカーを選ぶときの重要なポイントです。
1日に多くのドライバーがアルコールチェックをおこなう場合は、一度の充電で多くの測定ができるアルコールチェッカーが必要です。
また、使用頻度が多い場合は、耐久性があり、長時間の連続使用に耐えられるアルコールチェッカーが良いでしょう。
J-BAC認定機器であるか確認する
精度の高さを重視する際は、J-BAC(アルコール検知器協議会)認定機器であるか確認しましょう。
J-BACとは、行政機関などと連携し、飲酒運転根絶に取り組んでいる公的団体です。
認定を受けるにはアルコール検知器検定販売ガイドラインおよび技術要件の基準点を満たしており、申請書類をすべて揃えることが必要です。
J-BAC認定機器であるかどうかは、J-BACおよび販売メーカーのホームページで確認できるので、ぜひチェックしてみてください。
参考:アルコール検知器協議会
アルコールチェッカーの導入や使用に関する罰則
アルコールチェッカーを導入しなかったり、常時有効にしておかなかったりすると、以下の罰則が科せられます。
アルコールチェッカーを導入しなかった場合の罰則
そもそもアルコールチェッカーを導入しなかった場合は、旅客自動車運送事業や貨物自動車運送事業などの緑ナンバーには、次のような罰則が設けられています。
- 初違反:車両使用停止60日
- 再違反:車両使用停止120日
参考:貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表
一方で、白ナンバーに対する直接的な罰則は設けられていません。
しかし、安全運転管理者が業務を遂行する上で必要な機材を用意していないと見なされ、自動車の使用者に対して是正措置命令が下される可能性があります。
この是正措置命令に従わない場合、命令違反の罰則が科されます。
アルコールチェッカーが常時有効になっていない場合の罰則
メンテナンスを怠り、アルコールチェッカーが常時有効になっていない場合、緑ナンバーには以下のような罰則があります。
- 初違反:車両使用停止20日
- 再違反:車両使用停止40日
参考:貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表
こちらも、白ナンバーに対する直接的な罰則は設けられていません。
しかし、安全運転管理者の業務違反に該当する可能性があります。
業務違反が著しく、安全運転に支障が生じていると判断された場合は、安全運転管理者の解任命令が下される可能性があります。
まとめ:アルコールチェッカーの使い方を理解して適正な測定を実施しよう
万一、従業員が酒気帯び運転で事故を起こした場合、企業の社会的信用に大きなキズが付いてしまいます。
そのため、義務的にアルコールチェックをおこなうのではなく、リスクマネジメントの観点から適正な測定・管理方法を確立することが重要です。
アルコールチェック義務化をわかりやすく解説した「5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて」の資料をご用意しました。
記録簿のExcelテンプレートも同封しておりますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
\ 今すぐ使えるチェックシート付 /