【2026年最新版】アルコールチェック義務化の内容や罰則とは?企業としての対応を徹底解説!
事業用自動車(緑ナンバー)を使用する運送事業者は、点呼時にアルコール検知器を用いた酒気帯び確認が義務づけられています(2011年5月以降)。
その後、2021年の道路交通法施行規則改正により、業務で一定数以上の自家用自動車(白ナンバー)を使用する事業所についても、飲酒運転防止対策として安全運転管理者による酒気帯び確認と記録の保存が段階的に義務化され、2022年4月から運転前後のドライバーに対しての目視等による酒気帯び確認、2023年12月からはアルコール検知器を用いた確認も必要になりました。
しかし、「自社は対象になるのか」「どのように確認・記録すればよいのか」「怠った場合に罰則はあるか」と疑問を持つ担当者も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、2026年7月時点の情報をもとに、アルコールチェック義務化の内容や対象事業所、罰則・リスク、企業として整えるべき運用体制について解説します。
アルコールチェック義務化に備える!
目次
アルコールチェックの義務化とは

元々、アルコールチェックの義務は、旅客自動車運送事業や貨物自動車運送事業などの「緑ナンバー」の車両を使用する事業所が対象でした。
しかし、道路交通法施行規則の改正により、2022年4月以降、白ナンバーの社用車を一定台数以上使用する事業所に対しても、アルコールチェックが義務化されています。
飲酒運転根絶にはまだ遠い?義務化後も続く事故の実態
緑ナンバーに対するアルコールチェックが義務化されて以降、罰則の厳罰化や飲酒運転根絶に向けた取り組みなどにより、飲酒運転による交通事故件数は長期的に減少傾向にあります。
警察庁によると、2025年中の飲酒運転による交通事故件数は2,283件、死亡事故件数は125件でした。
件数は減少しているものの、飲酒運転の根絶には至っていません。
また、飲酒時の死亡事故率は飲酒なしの場合と比べて約6.9倍とされており、飲酒運転は大事故につながる極めて危険な行為といえます。
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト
アルコールチェックが義務化された背景
2021年6月28日、白ナンバーの車にもアルコールチェックが拡大されるきっかけとなった、大変痛ましい交通事故が千葉県八街市で発生しました。
下校途中の児童5人が、飲酒運転の白ナンバートラックにはねられ死傷する事故です。
事故当時の法律では、白ナンバー車を保有している事業所に対し、運転前のアルコールチェックをおこなう義務はありませんでした。
この事故を受け、2021年8月4日に「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策 」が決定されました。
これを踏まえて道路交通法施行規則が改正され、一定台数以上の白ナンバー車を業務で使用する事業所についても、酒気帯び確認が段階的に義務化されています。
具体的には、2022年4月1日から目視等による酒気帯び有無の確認と1年間の記録保存が、2023年12月1日からはアルコール検知器を用いた確認と、検知器を常時有効に保持することが義務づけられました。
参考:第4項 飲酒運転の根絶に向けた警察の取組|警察庁Webサイト
アルコールチェック対象となる事業所
道路交通法改正により、新たに検知器によるアルコールチェックの対象となった事業所の条件は以下の通りです。
- 乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している
- その他の自動車を5台以上使用している
※ただし、大型自動二輪車または普通自動二輪車は0.5台としてカウントする
スクールバスやホテルの送迎車などの乗車定員11人以上が乗れる車を1台でも保有していたり、営業などに使う乗用車の社用車を5台以上使用している事業所は、検知器によるアルコールチェック義務の対象になっています。
アルコールチェック義務に関する罰則とリスク

2026年時点では、アルコールチェックを実施しなかったこと自体に対する罰則は設けられていません。
ただし、酒気帯び確認や記録保存は安全運転管理者の義務として定められているため、未実施や記録不備があった場合、企業の安全運転管理体制が問われる可能性があります。
万が一、従業員が飲酒運転や酒気帯び運転をした場合、ドライバー本人だけでなく、車両の提供者、酒類の提供者、同乗者も罰則の対象となる可能性があります。
具体的な罰則は以下のとおりです。
| 運転者 | 車両等の提供者(代表者・管理者など) | 酒類の提供者・同乗者 | |
|---|---|---|---|
| 酒酔い運転の場合 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 酒気帯び運転の場合 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
こうした刑事罰に加え、企業には民事上の損害賠償責任も及ぶ可能性があります。罰則の根拠となる法律は以下の通りです。
- 運行供用者責任:企業が「自己のために自動車を運行の用に供する物」に当たる場合、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、損害賠償責任を追う可能性があります。
出典:自動車損害賠償保障法第三条 - 使用者責任:従業員が事業の執行について第三者に損害を与えた場合、企業は損害賠償責任を負う可能性があります。
出典:民法第七百十五条
事故防止や安全運転を第一としていても、たった1回の見過ごしが大きなリスクにつながるため、アルコールチェックは確実に実施しましょう。
アルコールチェック義務化の対象事業所がおこなう対応

ここでは、アルコールチェック義務の対象事業所がおこなう対応について解説します。
この対応を怠ると、場合によっては罰則が科されるおそれがあるので、しっかりと理解しましょう。
安全運転管理者の選任
アルコールチェック義務対象事業所は、自動的に安全運転管理者を選任しなければなりません。
社用車を20台以上使用する事業所では、所定の人数以上の副安全運転管理者も選任しましょう。
条件に該当するにも関わらず安全運転管理者を選任していない場合、使用者(企業の経営者など)は50万円以下の罰金の対象となります。
また、安全運転管理者の仕事内容や選任基準は、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
アルコール検知器の導入
アルコール検知器は、事業所に設置する据え置き型と、直行直帰・出張など事業所外で使用しやすい携帯型などに分かれます。
安全運転管理者は、アルコール検知器を常時有効に保持する義務があるため、適切に使用・管理し、定期的に故障の有無を確認しなければなりません。
アルコールチェック記録簿の作成・保管体制の整備
アルコールチェックは測定を実施するだけでなく、結果を正確に記録し、その記録を1年間保存しなければなりません。
そのため、不備のない管理体制を整備する必要があります。
安全運転管理者を中心に、事業所全体で協力し合える体制を構築することをおすすめします。
- アルコール検知器の保管場所
- アルコールチェックの手順
- 記録簿の保管方法
- 酒気帯びが確認されたときの対応
などを明確にしておくことが重要です。
なお、記録簿の様式に指定はなく、紙でもデータでも問題ありません。
アルコールチェック義務化をわかりやすく解説した「5分でわかる!アルコールチェック義務化のすべて」の資料をご用意しました。
アルコールチェック義務化に備える!
記録簿のエクセルテンプレートも同封しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
従業員への交通安全教育
企業全体でアルコールチェックを徹底するには、従業員の理解が欠かせません。
運転業務に関わるすべての従業員が、アルコールチェックの重要性や飲酒運転の危険性を理解することが重要です。
定期的な研修や安全運転教育を実施するなどして、企業全体で交通安全意識の向上を目指しましょう。
アルコールチェックの実施時に記録する項目

アルコールチェックの実施時には、道路交通法施行規則により記録する項目が定められています。
- 確認者名
- 運転者名
- 運転者の業務に係る自動車登録番号または識別できる記号、番号等
- 確認の日時
- 確認の方法(例:対面確認、電話・カメラ等による確認など)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
なお、記録簿の書式は法令で明確に定められていないため、自社で必要な項目を追加しても問題ありません。
必要に応じて、自社で管理しやすい記録簿の書式となるよう工夫・改善すると良いでしょう。
参考:アルコールチェックの義務化と記録について|千葉県安全運転管理協会
アルコールチェックを適切に運用するためのポイント

ここまで紹介した内容以外で、アルコールチェックをより適切に運用するためのポイントを3つ紹介します。
対面でのアルコールチェックが困難なケース
出張時や直行・直帰するケースでも、アルコールチェックの対象から外れるわけではありません。
対面での確認が困難な場合、携帯型アルコール検知器を携帯させたうえで、スマートフォンなどカメラが搭載されている端末を使用し、顔色や声の調子、測定結果を確認できる体制を整えましょう。
参考:道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行に伴う安全運転管理者業務の拡充について|警視庁
アルコールチェックは運転するたびに毎回実施する必要はない
アルコールチェックは、必ずしも運転の直前・直後におこなう必要はありません。
道路交通法施行規則では、アルコールチェックの実施について以下のように定められています。
ここで記載されている「運転」とは、一連の運転業務全体のことを指します。
そのため、休憩や荷物の積み下ろし、納品先へ立ち寄った直後などに、その都度アルコールチェックを実施する必要はありません。
実務上は、運転業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時に確認することで足りるとされています。
事業所の勤務体制に応じたアルコールチェックができる環境を整える
確実に酒気帯び確認を実施するためには、業務時間に応じたアルコールチェックができる環境を整える必要があります。
特に、深夜や早朝にアルコールチェックが発生する事業所は、安全運転管理者に負担がかかりすぎないようしっかりと人員を配置しましょう。
アルコールチェックは、安全運転管理者だけでなく以下の方でも実施が可能です。
- 副安全運転管理者
- あらかじめ指定した安全運転管理者の業務を補助する者
補助者に任せる場合、安全運転管理者は事前に指導・教育を実施する必要があります。
アルコールチェックの方法、酒気帯びが確認された場合の報告・指示体制など、補助者と共有しておきましょう。
まとめ:アルコールチェックを徹底し飲酒運転を防ごう

この記事では、アルコールチェック義務化の内容や対象事業所、罰則・リスク、企業として整えるべき運用体制について解説しました。
アルコールチェックを怠った場合の罰則は現時点でありませんが、従業員の安全と企業の信用に関わる可能性があります。
また、従業員が飲酒運転や酒気帯び運転を起こした場合、ドライバー本人が罰せられるだけでなく、飲酒を把握していて運転を容認していれば、企業側の責任も問われます。
大切なのは、アルコールチェックを形式的なルーティンとして実施するのではなく、飲酒運転を防ぐ仕組みとして社内に定着させることです。
そうすることで、従業員一人ひとりが飲酒運転の危険性と企業ドライバーとしての責任を理解し、安全運転への意識を継続的に高めていくことができるでしょう。
そこで紹介したいのが、JAF交通安全トレーニング(通称JAFトレ)です。
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また、パソコン・スマートフォン・タブレット端末でも受講可能なため、すき間時間を活用しながら効率よく学ぶことができます。
アルコールチェックの運用と継続的な安全教育を組み合わせ、飲酒運転を起こさせない職場づくりを進めていきましょう。
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運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認をおこなうこと。
引用元:道路交通法施行規則 第九条の十