この数年、飲酒運転や酒気帯び運転に対する問題意識が社会全体で高まっています。
2022年度の道路交通法の改正において、安全運転管理者によるアルコールチェックが義務化されました。
これにより、業務で自動車を利用する企業は、飲酒運転・酒気帯び運転を防止する体制づくりを求められるようになりました。
しかし、「アルコールチェックの方法がよくわからない」「チェックする際の手順が知りたい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アルコールチェックの義務化に際し、具体的な方法やチェックする際の注意点などについて解説します。
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目次
- 1 道路交通法におけるアルコールチェックとは
- 2 道路交通法における安全運転管理者とは
- 3 安全運転管理者によるアルコールチェック義務化とは?
- 4 安全運転管理者によるアルコールチェック義務化に向けて準備すること
- 5 安全運転管理者によるアルコールチェックのタイミング
- 6 安全運転管理者によるアルコールチェックの実施方法
- 7 アルコール検知器の種類
- 8 アルコールチェック実施後に安全運転管理者がすべきこと
- 9 アルコールチェック運用のために安全運転管理者が押さえておきたいポイント
- 10 安全運転管理者によるアルコールチェックを怠った際の罰則
- 11 アルコールチェックの結果が出た際の対応
- 12 まとめ:事故防止のために安全運転管理者はアルコールチェックを徹底しよう
道路交通法におけるアルコールチェックとは
道路交通法施行規則によると、アルコールチェックは以下のように定義されています。
運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認をおこなうこと。
引用:道路交通法施行規則第九条の六
道路交通法におけるアルコールチェックの義務化は、2022年より前に、2011年から実施されています。
しかし、2011年5月1日から施行されたアルコールチェックの義務化は緑ナンバーを所有する事業者に限られていました。
緑ナンバーとは、トラック・バス・タクシーなどの事業用自動車や、それらを運用する運送事業者を指します。
2011年に施行された義務化では、運行管理者がアルコールチェックを実施していました。
ただし、2022年以降の改正によってアルコールチェックの義務化の対象は白ナンバーを所有する企業にまで拡大されています。
業務で自動車を利用する企業は、決して見落とさないようにしましょう。
道路交通法における安全運転管理者とは
道路交通法において、安全運転管理者は以下のように定義されています。
安全運転管理者は、自動車の安全な運転を確保するために必要な当該使用者の業務に従事する運転者に対しておこなう交通安全教育その他自動車の安全な運転に必要な業務(自動車の装置の整備に関する業務を除く。第七十五条の二の二第一項において同じ。)で内閣府令で定めるものを行わなければならない。
引用:道路交通法第七十四条の三
安全運転管理者は、企業の交通安全教育・交通安全に必要な施策を実施する上で、重要な役職です。
一定の要件を満たしている企業では、安全運転管理者の選任は義務化されています。
そのため、要件を満たした際は、速やかに安全運転管理者を選任し、適切な手続きを行いましょう。
安全運転管理者によるアルコールチェック義務化とは?
2022年の道路交通法の改正で、段階的にアルコールチェックの義務化が実施されました。
この改正により、安全運転管理者は従来の業務に、アルコールチェックに係る業務の遂行が追加されました。
追加された業務は大きく分けて2種類あります。
2022年4月1日からの実施内容
2022年4月1日から実施されたアルコールチェックに係る業務は、以下のとおりです。
- 運転前後の運転者の状態や、酒気帯びの有無を目視等で確認する
- 酒気帯びの有無を記録。記録内容は1年保存する。
目視等による確認や、記録・記録の保管は、基本的に安全運転管理者が実施します。
2023年12月1日からの実施内容
2023年12月1日からは、以下の業務が追加されています。
- 運転前後の運転者の状態を、アルコール検知器を用いて確認
- アルコール検知器は常に有効な状態で保持
参照元:道路交通法施行規則第九条の十
2023年12月1日以降には、アルコール検知器を利用したチェックに係る業務が追加されました。
安全運転管理者はアルコール検知器を常時有効な状態で保持した上で、運転前後の運転者の状態の確認に用いる必要があります。
さらに、アルコール検知器を使ったチェックにおいても、適切に記録し1年間保存しなければなりません。
アルコールチェック義務化の対象企業
アルコールチェック義務化の対象事業所は以下のとおりです。
- 自動車(白ナンバーを含む)を5台以上所有する事業所
- 11人以上が同乗できる自動車を1台以上所有する事業所
参照元:道路交通法施行規則第九条の八
アルコールチェックの対象事業所は、安全運転管理者の選任義務が課せられている対象事業所と同一です。
なお、リース・レンタル・カーシェアで使用している自動車も、台数にカウントされます。
ただし、普通自動二輪(原動機付自転車を除く)・大型自動二輪は、1台につき0.5台で計算されるので注意しましょう。
安全運転管理者によるアルコールチェック義務化に向けて準備すること
アルコールチェックを実施するなら、法規定に沿って準備を進めなければなりません。
本章ではアルコールチェック実施に向けて準備することを3点解説します。
安全運転管理者の選任
安全運転管理者の選任状況を確認しましょう。
万が一選任していない場合は、選任しなければなりません。
安全運転管理者は、以下の要件を満たした従業員から選任できます。
- 20歳以上(副安全運転管理者を選任するなら30歳以上)
- 2年以上運転管理の実務経験がある
- 過去2年以内に公安委員会より解任命令を受けたことがない
- 過去2年以内に一定の違反行為をしたことがない
参照元:道路交通法施行規則第九条の九
なお、国家公安委員会から相応の能力があると評価されれば、2年以上の運転管理の実務経験がなくても安全運転管理者に選任できる場合があります。
また、過去2年以内の違反行為は無免許運転や飲酒運転などの違反だけでなく、スピード違反や過積載違反も対象です。
業務中はもちろん、プライベートな場面での違反行為もカウントされます。
アルコール検知器の用意
アルコールチェックで用いるアルコール検知器に、機種やメーカーの指定はありませんが、光・音・数値などで結果を示す機能を有する検知器と定められています。
ただし、製品によっては使いにくかったり、性能が低かったりするため、導入する際は注意しなければなりません。
アルコール検知器を導入する際は、アルコール検知器協議会(J-BAC)のサイトを確認しましょう。
アルコール検知器協議会は、外部認定審査機関の審査により基準をクリアした機器をサイトで紹介しています。
アルコールチェックに用いる検知器を購入する際の参考になります。
アルコールチェック体制の整備
アルコールチェックはただ酒気帯びの有無を確認するだけでなく、チェック記録の保管・作成といった体制の整備も不可欠です。
アルコール検査を実施する際は、検査の手順やチェック記録の作成方法を記載したマニュアルを整備しましょう。
記録は書類・データのどちらでも問題ありませんが、従業員の数が多い事業者ならデータ管理の方が運用しやすいです。
また、アルコールチェックの記録は1年間保管しなければなりません。
書類・データに関わらず、保管場所は必ず用意しましょう。
安全運転管理者がいない場合のアルコールチェック
業務の都合等で安全運転管理者が不在の場合でも、アルコールチェックは実施しなければなりません。
安全運転管理者がいない際は、副安全運転管理者、あるいはあらかじめ指定された補助者がアルコールチェックを実施します。
副安全運転管理者・補助者がアルコールチェックを実施し、何かしらの問題があった場合は、速やかに安全運転管理者に報告しなければなりません。
代行者が実施する場合でも、アルコールチェックの実施に関する責任は安全運転管理者が負います。
不在時でも滞りなくアルコールチェックが実施できるよう、前もって実施体制を整えましょう。
なお、アルコールチェックの実施などを代行する補助者には資格要件が設けられておらず、選任時に届け出る必要もありません。
場合によっては、外部への業務委託も可能ですが、安全運転管理者の指示に速やかに対応できるようにしなければなりません。
安全運転管理者によるアルコールチェックのタイミング
アルコールチェックをおこなうタイミングは、対面・非対面に関わらず、運転前後です。
つまり1日2回、アルコールチェックをおこないます。
ただし、アルコールチェックの実施は、必ずしも運転の直前・直後である必要はなく、出勤時・退勤時などのタイミングでも問題ありません。
勤務前・勤務中の飲酒の有無を確認できるタイミングで、アルコールチェックを実施しましょう。
直行直帰時の場合
業務において、直行直帰時のように対面でのアルコールチェックが難しい場面は珍しくありません。
しかし、直行直帰時でもアルコールチェックが義務化されていることには変わりません。
通常のアルコールチェックと同様に、運転前・運転後、あるいは出勤時・退勤時の1日2回で実施しましょう。
なお、直行直帰時は事業所ではなく、自宅でアルコールチェックをおこなう場合もあります。
いずれにせよ、安全運転管理者が直接確認できない状況でアルコールチェックをおこなうため、確実に実施するよう従業員に徹底させましょう。
レンタカーやマイカーを運転する場合
企業によっては、社用車ではなくレンタカーや従業員のマイカーを業務で利用しているケースがあります。
この場合においても、アルコールチェックは実施しなければなりません。
ほかのケースと同様に、1日2回のアルコールチェックをおこなってください。
出張先でレンタカーを使用するなど、対面でのアルコールチェックが難しい場合は、直行直帰時と同じように対応しましょう。
なお、マイカーでの通勤におけるアルコールチェックは義務付けられていません。
安全運転管理者によるアルコールチェックの実施方法
アルコールのチェック方法はいくつかあるので、それぞれのメリット・デメリットを把握しましょう。
目視によるチェック方法
目視によるチェックは、アルコールチェックでも、もっともポピュラーな方法です。
目視でチェックする際は、運転者の顔色・呼気のにおい・受け答えの声色などに注目しましょう。
目視によるチェックは、簡単に実践できる方法です。
しかし、現在の法制度では目視のみのアルコールチェックは不十分なため、実践する際は必ずアルコール検知器も使用してください。
検知器を使ったチェック方法
アルコール検知器は、呼気を吹き込むことで酒気帯びの有無をチェックします。
昨今は携行式のアルコール検知器もあり、出張や直行直帰時でも酒気帯びの有無の確認が可能です。
複数名でアルコール検知器を使いまわす際は、感染対策のためにマウスピースを除菌シートやスプレーなどで消毒しましょう。
ただし、消毒に使ったアルコールが残っていたり、除菌シートやスプレーがセンサーに触れたりすると誤検知の原因になります。
消毒する際は、センサーに触れないように注意し、消毒後はアルコールを完全に揮発させてから使用しましょう。
スマホやカメラを使ったチェック方法
出張や直行直帰など、事業所に不在の従業員でも、業務で自動車を運転するならアルコールチェックは必須です。
非対面でアルコールチェックを実施するなら、スマホやカメラなどを使って実施しましょう。
スマホやカメラなどを使えば、遠隔地でもアルコールチェックができる上に、なりすましを防止できます。
カメラやモニターを通して、従業員の表情や応答時の声音を入念に確認しましょう。
非対面の場合、運転者には必ずアルコール検知器によるチェックと結果の報告を義務付ける必要があります。
アルコール検知器の種類
アルコール検知器には大きく分けて半導体式と燃料電池式があります。
それぞれのタイプによって精度やメリット・デメリットが異なるため、アルコール検知器を使用する際は現場の状況に合わせたものを選びましょう。
半導体式のアルコール検知器
半導体式のアルコール検知器は、主に家庭用として販売されているタイプであり、燃料電池式と比べるとリーズナブルに購入できる点が魅力です。
家庭用とはいえ、半導体式のアルコール検知器は感度が高く、反応速度もスピーディです。
しかし、半導体式はアルコール以外のガス検知することがあるため、飲酒をしていなくても反応が出る可能性があります。
気温や湿度など、環境の影響を受けやすい点にも注意しましょう。
また、使用されている部品が小さいため、故障時にパーツ交換で修理ができません。
故障した際はアルコール検知器を買い替える必要があります。
燃料電池式のアルコール検知器
燃料電池式は、一般的に業務用のアルコール検知器として利用されているタイプです。
企業のアルコールチェックのように、計測回数が多い状況を想定して製造されているため、耐用年数が長く、精度も低下しにくくなっています。
燃料電池式のセンサーは精度が高く、アルコール以外に反応しないため、正確なデータの計測が可能です。
燃料電池式のアルコール検知器はリーズナブルなものから高価なものまであり、なかにはデータ管理機能が搭載された高性能なモデルも販売されています。
半導体式と違って不具合が起きてもパーツ交換で修理が可能ですが、定期的なメンテナンスが必要な点には注意しましょう。
企業がメンテナンスサービスを提供しているアルコール検知器もあるため、製品選びの際に検討すると良いでしょう。
アルコールチェック実施後に安全運転管理者がすべきこと
アルコールチェックは実施するだけで終わりではありません。
適切に記録・保存し、次回のアルコールチェックもスムーズに実施できるよう検知器の確認もおこないましょう。
アルコールチェックの結果を記録する
アルコールチェックを実践したら、結果を記録しなければなりません。
記録方法はアナログ・デジタルに関わらず、管理項目をすべて網羅した状態で記録されていれば、要件はクリアできます。
アルコールチェックでは、以下の項目を記録しましょう。
- 確認者の名前
- 運転者の名前
- 業務で使用する自動車の登録番号、または識別用の記号や番号等
- 確認日時
- 確認方法(アルコール検知器の使用の有無・非対面時はカメラやスマートフォンなどの使用の有無)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要事項
アルコール検知器を確認する
適切な検査体制を維持する上で、安全運転管理者はアルコール検知器を正しく管理しなければなりません。
アルコール検知器は、以下の項目に沿って確認します。
【毎日確認する事項】
- アルコール検知器の電源が確実に入るか
- アルコール検知器に損傷がないか
【最低でも週1回は確認する事項】
- 酒気を帯びていないものがアルコール検知器を使用した際に、アルコールを検知しないこと
- アルコールを含む液体、あるいは希釈したものを口内に噴霧した際に、アルコール検知器が検知すること
アルコールチェックを実施する上で、検知器の正確な稼働は不可欠です。
また、担当者間でアルコール検知器の正確な使用方法を共有し、チェックがスムーズに実施できるようにしましょう。
参照元:自動車運送業におけるアルコール検知器の使用について|国土交通省
アルコールチェック運用のために安全運転管理者が押さえておきたいポイント
アルコールチェックは、飲酒運転・酒気帯び運転を防止するためにも、確実に遂行されなければなりません。
アルコールチェックをスムーズに実施するために、押さえておきたいポイントを紹介します。
安全運転管理者不在時の対応を決めておく
安全運転管理者が、出張や休暇などの理由で不在になった際の対応も検討しましょう。
アルコールチェックは基本的に安全運転管理者が実施しますが、不在時は副安全運転管理者や、別の担当者がおこなっても問題ありません。
安全運転管理者と同じ手順で対応できるように、マニュアルや体制を整えましょう。
アルコールチェックの重要性を周知する
アルコールチェックの重要性を従業員へ周知することも大切な取り組みです。
そもそも従業員が、飲酒運転や酒気帯び運転のような危険運転のリスクを理解していなければ、アルコールチェックが浸透しにくい可能性があります。
従業員には、定期的に安全運転教育を実施し、危険運転を防止する意義を理解させましょう。
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点呼の精度を落とさない
アルコールチェックを実施する際、チェック漏れや酒気帯びの見落としを防ぐためにも、点呼の精度を落とさないように注意しなければなりません。
しかし、企業によっては点呼開始のタイミングが早朝・深夜になったり、大人数の点呼をおこなったりする場合など、安全運転管理者への負担が大きくなるリスクがあります。
安全運転管理者の負担が大きい状態だと、点呼の精度が下がり、正確なアルコールチェックができなくなります。
そのため、点呼をおこなう際は効率的に実践できる体制を整え、安全運転管理者の負担が大きくなりすぎないようにしましょう。
記録作業を効率化する
点呼と同様に、アルコールチェックの記録作業も負担がかかりやすい作業です。
従業員数が多い企業だと、アルコールチェックの記録量も膨大になります。
もし、アナログな方法で記録作業していると、結果の記録に加え、書類の保存・管理業務も発生し、手間がかかります。
そのため、記録作業の効率化も重要な取り組みです。
アルコールチェックの記録量が多いなら、記録作業をデジタル化しましょう。
昨今は計測結果をデータベースで管理できるアルコール検知器があり、記録量が多くても効率的に管理できます。
記録作業をデジタル化すれば、必要なときのデータ抽出もスムーズになります。
現場に合った検知器を活用する
アルコール検知器は、アルコールチェックにおいて欠かせない機器です。
いくら高性能でも、現場や状況に合っていないアルコール検知器を導入すれば、正しいアルコールチェックはできません。
そのため、アルコール検知器は現場で適切に運用できるものを選ぶ必要があります。
機械の操作が苦手な従業員が多い場合は簡単に操作できるもの、直行直帰が多いなら携帯式のものなど、現場での運用を見据えて検知器を選ぶことが重要です。
また、定期的にメンテナンスサービスを利用できるアルコール検知器なら、不具合が発生した際も早急に対処できます。
安全運転管理者によるアルコールチェックを怠った際の罰則
アルコールチェックを怠った場合、どうなるのかを解説します。
企業の社会的な信用を守る上でも、罰則の内容や、罰則に伴うリスクについて理解しましょう。
安全運転管理者への罰則
アルコールチェックを怠ったことに対し、企業へ直接的な罰則が科せられる法規定はありません。
ただし、安全運転管理者の業務違反となり、解任される恐れがあります。
また、公安委員会から指摘があったにも関わらず、アルコールチェックが適切におこなわれない体制が続けられている場合は、罰金等の罰則が発生する可能性があります。
飲酒運転が発生した際の罰則
もし実際に飲酒運転が発生した場合、発生する罰則は以下のとおりです。
運転者・車両の提供者 | 飲酒運転:5年以下の懲役、または100万円以下の罰金酒気帯び運転:3年以下の懲役、または50万円以下の罰金 |
酒類の提供者・車両の同乗者 | 飲酒運転:3年以下の懲役、または50万円以下の罰金酒気帯び運転:2年以下の懲役、または30万円以下の罰金 |
以上に加え、昨今は社会全体で飲酒運転や酒気帯び運転に対する目が厳しくなっています。
もし、飲酒運転・酒気帯び運転が発生すれば、企業の信頼が失墜し、事業の継続すら困難になることもあるでしょう。
企業を守る上でも、アルコールチェックの徹底は重要な意義があります。
アルコールチェックの結果が出た際の対応
アルコールチェックをおこなった際、結果に応じて安全運転管理者は適切な対応をしなければなりません。
ここではアルコールチェックの結果別に、実施すべき対応について解説します。
罰則対象となる数値が検出された場合
道路交通法施行令において、酒気帯び運転の罰則対象となる数値は以下のように定められています。
法第百十七条の二の二第一項第三号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。
引用:道路交通法施行令第四十四の三
もし、運転前のアルコールチェック時に酒気帯び運転に該当する数値が計測された際は、安全運転管理者は必ずその従業員に運転中止指示を出さなければなりません。
当該従業員に酒気がなくなるまで休暇を取らせたり、帰宅させたりしましょう。
ただし、運転後のアルコールチェックで酒気帯びが発覚した際は、酒気帯び運転を実施した可能性があるため、適切な対処と連絡をしましょう。
なお、安全運転管理者ではなく、代理人がアルコールチェックを実施した場合も同様の対応をしなければなりません。
誰がアルコールチェックをおこなうかに関わらず、検査後の対応の責任はすべて安全運転管理者が背負うことになります。
基準以下でも0mgを超える数値が検出された場合
アルコールチェック時に罰則の基準には達していないものの、0mgを超える数値を検出するケースは少なくありません。
アルコール検知器は呼気に含まれているアルコールに反応するため、チェック前に飲食をしてたり、アルコールを含んだ洗口液をでうがいをしていたりすると、検知器が反応する場合があります。
特にアルコールを含む洋菓子や一部の発酵食品は、無自覚に食べてしまうことも多いため、注意が必要です。
誤検知が疑われる場合は、従業員に一度水でうがいをさせ、時間をおいてから再チェックしてください。
加えて、誤検知を防ぐためにも、アルコールチェックを受ける従業員にはうがいをするように喚起しましょう。
しかし、それでもアルコ―ル反応が消えない場合は、体内にアルコールが残っている可能性が高いことを示しています。
安全のためにも、アルコール反応が完全になくなるまで当該従業員には運転をさせないようにしましょう。
また、その際の対応は必ず記録し、ほかの記録と共に保管してください。
まとめ:事故防止のために安全運転管理者はアルコールチェックを徹底しよう
飲酒運転・酒気帯び運転を防止する上で、アルコールチェックは重要な取り組みです。
アルコールチェックは行政で手順が定められている上に、さまざまなチェック方法があります。
また、正確な結果を測定するためにも、直行直帰する際や出張時など、さまざまな状況での対応も考慮しなければなりません。
アルコールチェックを怠った際や、実際に飲酒運転が発生した際に企業が被るリスクは計り知れないものです。
適切にアルコールチェックを実施し、飲酒運転・酒気帯び運転の発生を徹底的に防止しましょう。
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