社用車が暑い時期に故障しやすい原因とは?長引く夏のトラブル対処法を解説
気温が高い日は、人間だけでなく車にとっても過酷な環境となります。
昨今、10月中旬に入っても最高気温30℃以上の真夏日を観測する年があるなど、日本は二季化しているともいわれており、夏が過ぎてもバッテリー・タイヤ・エアコンなどのトラブルには注意が必要です。
社用車が業務利用中に故障してしまうと、ドライバーの安全を脅かすだけでなく、予定の遅延・キャンセル、代車の手配、修理費用など、業務全体に影響が及びます。
社用車の保有台数が多い企業ほど、季節に応じた点検方法の指導や定期点検のリマインドをおこなうなど、組織的にしっかり管理し、故障のリスクを減らしておく必要があります。
この記事では、気温が高くなることで起きやすくなる社用車の故障と原因、予防策や注意点、そしてトラブルが発生した際の対処法について詳しく解説します。
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夏の社用車トラブルは企業にとって大きなリスク

JAFが発表した2025年度ロードサービス出動理由(四輪・二輪合計)によると、「過放電バッテリー」が34.3%で最多、次いで「タイヤのパンク・バースト・空気圧不足」が20.9%、「破損・劣化バッテリー」が8.9%と続いています。
| 2025年度ロードサービス出動理由 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 過放電バッテリー | 792,392件 | 34.3% |
| タイヤのパンク・バースト・空気圧不足 | 482,696件 | 20.9% |
| 破損・劣化バッテリー | 204,724件 | 8.9% |
この統計は通年のものですが、バッテリーとタイヤのトラブルが日常的に多発していることが分かります。
ここでは上表の項目に加えて、暑い日に起こりやすい故障やトラブルの原因と対策を解説します。
オーバーヒート|冷却系統の異常・最終的にエンジン破損
夏の車の故障といえば、オーバーヒートを連想する人は多いのではないでしょうか。
オーバーヒートは冷却水の不足や漏れ、ウォーターポンプの故障や駆動するためのベルトの緩み・切れ、ラジエターファン不動、サーモスタット固着など、原因は多岐に渡ります。
オーバーヒートの初期症状として水温計の上昇、エンジン不調があり、やがて異臭・白煙が発生し、最終的にエンジンが破損して走行不能に陥ります。
これは一例ですが、気温が高い日に渋滞などにはまると、走行風によるラジエーターへの冷却効果が相乗的に見込めなくなり、ラジエターファンへの依存度が高くなって冷却系統に不具合が生じて水温が上がりやすくなることがあります。
予防方法としては、エンジンが冷えた状態で冷却水の量、漏れ確認し、異常があれば整備することが大切です。
出典:赤色の水温警告灯が点灯・点滅している場合の原因と対処方法 | JAF
バッテリー上がり|使用年数・ライトの消し忘れに注意

バッテリー上がりも夏に頻発するトラブルの一つです。
高温環境下ではバッテリーの劣化が早まり、性能が低下してしまいます。
また、エアコンなどの電装品を使用する頻度が高くなることで、すでに弱っているバッテリーで不調が顕著に現れます。
予防方法として大切なのは、バッテリーの寿命は予測が難しいため「3年交換」など使用年数を決めて定期的に交換したり、車を駐車した後にライト類の消し忘れがないか確認することです。
発生後の初動対応:出先でバッテリーが上がった場合はロードサービスに依頼する(自力でジャンプスタートさせる場合は、プラスとマイナスの接続位置・接続順を間違えないように注意する)
再発防止策:バッテリー交換の必要性も含めて充電・発電系統の点検を整備工場等で実施する
社用車のバッテリー上がりの原因・対策を、こちらの記事で詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください。
出典:トラブル対処法(私にもできるマイカー点検) | JAF
エアコンの不調|熱中症リスクが高まり運転に危険が及ぶ
エアコンは四季を通して使用しますが、特に暑い時期に多いトラブルといえます。
「冬は気がつかなかったけど、夏になって気が付いた」という人も多いかもしれません。
冷房が効かなくなる原因は、エアコンガスの不足やコンプレッサー不良などさまざまです。
ベルト切れや電動ファンの故障などが原因で、オーバーヒートと同時に発生することもあります。
予防方法としては、本格的な暑さが到来する前にエアコンの冷房を作動させてみて、もし効きが悪いと感じたら整備工場で点検を依頼・修理することです。
業務上の対応:暑い時期は、エアコンが使えないとドライバーの命に関わり危険なので、修理完了まで運行停止を検討・実施する
修理時の注意点:抜けた分のエアコンガスをただ補充するだけでなく、漏れ箇所を突き止めることが大切
出典:A/C(エアコン)がオンの状態で、停車時・走行時ともに風が冷たくならない場合の原因と対処方法 | JAF
タイヤのパンク・バースト|空気圧をこまめに点検

タイヤは、車の中で路面と唯一接触している重要な保安部品です。
真夏の道路の路面温度は60℃を超えることもあり、長距離走行や高速走行が重なるとタイヤへの負担が大きくなります。
さらに空気圧不足やタイヤゴムの劣化、溝の摩耗などによって、パンクやバーストのリスクが高くなります。
パンクやバーストの予防方法として、月に1回タイヤの空気圧を点検したり、タイヤの溝がスリップサイン(摩耗限界1.6mmを知らせる目印)に達していないか確認することが有効です。
発生後の初動対応:ハンドルを取られたり異常な振動を感じたら、急な操作を避け徐々に速度を落とし、安全な場所に停車する
対処方法:スペアタイヤとの交換、パンク修理キットが備わっていて修理可能な損傷であれば応急処置をおこない、すぐに整備工場で修理をする(高速道路や幹線道路など危険な場所で停止した場合や、自分で応急処置が難しければロードサービスに依頼)
タイヤの点検について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
暑い日に社用車が故障したときの対処法

万が一故障が発生した場合、冷静な対処を取ることが重要です。
適切な対処法を知っておくと、トラブルの拡大を防ぎ安全に対応できます。
社用車が故障し自分での対処が難しい場合は、次の対応を心がけましょう。
安全確保を最優先|二次事故防止
走行中に車の異常を感じたら、無理に運転を続けず、ハザードランプを点けつつ落ち着いて安全な場所へ停車しましょう。
次に、二次的な被害を防ぐため、三角表示板を設置し、後続車に故障車が停まっていることを知らせます。
高速道路や自動車専用道路では、必ずガードレールの外側などに避難してから救援要請しましょう(ガードレールがない場合は、停車中の車に追突されたときに巻き添えにならないよう車より後方に避難)。
素人判断は危険|ロードサービスなどのプロに依頼を
車の故障は見た目では判断できない原因が複雑に絡んでいることも多く、素人判断がさらなるトラブルを引き起こす可能性があります。
安全に対処できない場合は、自己判断で修理せずにプロに相談しましょう。
保険会社やロードサービスの連絡先などをまとめた緊急時の行動マニュアルなどを作成し、保有している社用車すべてに備えておくと安心です。
故障後の車内待機は避ける|熱中症のリスク

故障した車内での待機中は、高温環境下に長時間さらされる可能性があります。
特にエアコンが使えない状況では、車内の温度が急激に上がるので注意が必要です。
JAFがおこなった検証実験では、エアコン停止からわずか15分で熱中症指数が危険レベルに達しました。
また別のテストでは、窓を3cm開けた状態でも車内の平均温度が42℃であったことがわかっています。
エアコンが使えない場合は、故障車内で救援を待たず、安全を確保できる日陰に移動しましょう。
また、常に飲料水を車内に備えておき、のどが乾く前のこまめに水分補給ができるようにしておくことも大切です。
水が飲める状態ではない、自力での回復が困難だと感じたら場合は、ためらわず119番へ電話してください。
車内放置による電池類の発火に注意

炎天下の暑さの中では、故障対策以外にも注意すべきポイントがあります。
社用車には、ノートパソコン、スマートフォン、モバイルバッテリーを長時間放置しないようにすることです。
これらの製品に使われているリチウムイオン電池は、外からの熱に弱く、炎天下の車内では発熱・膨張・破裂・発火のおそれがあります。
真夏のダッシュボードの上は70℃を超えることもあります。
高温になりやすい車内、特に直射日光が当たる場所への放置は避け、可能な限り持ち運ぶようにしましょう。
まとめ:暑さによるアクシデントに備えた車の点検やBCP対策の整備を

長期化する日本の夏の暑さの中で、社用車の故障などによるトラブルを防ぐには、企業主導で車両を管理することが大切です。
定期的にバッテリー・タイヤ・冷却系統・エアコンなどの点検をおこない、状態に不具合があれば必要な整備をおこないましょう。
特に炎天下でトラブルが発生した場合は、熱中症のリスクを抑えることを第一に、安全確保・救援依頼などの一連の動きを実行することが必要になります。
そのためにも、企業としてBCPを策定し、万全の体制を整えていきましょう。
最後に、車の状態だけでなくドライバー自身の体調管理も安全運転には欠かせません。
安全運転と定期的な車両チェック徹底を可能にする企業風土づくりには、ぜひe-ラーニング教材「JAF交通安全トレーニング」をお役立てください。
日常点検整備の基本をはじめとする、安全意識の醸成に役立つ知識を効率的に学べます。
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発生後の初動対応:走行中に水温の異常、異臭・白煙などがあれば、安全な場所に停車しエンジンを止める
点検時の注意点:冷却水を補充しようとラジエターキャップを開けると、高温の冷却水が吹き出すおそれがあるため、不用意に開けずエンジンが冷えていることを確認してから点検する